政治・経済

一朝一夕に真似できないのが勝者のメンタリティー

 

 6月13日、サッカーのワールドカップ・ブラジル大会がいよいよ開幕する。

 過去4回の出場を経験して、ここ数年は日本代表においてもワールドカップでの目標を「優勝」と公言する選手が増えてきた。世間には鼻白む声もあるが、勝負の世界で世界に臆さない姿勢は結構なことである。ぜひ、その意気込みで世界を驚かせるサッカーを見せてほしい。

 しかし、厳然たる事実として、今回で20回を数えるワールドカップの歴史において、過去優勝した国はわずかに8カ国しか存在していない。

 さらに言えば、そのうちの5カ国(ブラジル、イタリア、ドイツ、アルゼンチン、ウルグアイ)で16回を占めているのである。

 それらの国を眺めれば、必ずしも人口や経済力だけが優勝できた要因でないことは明白だ。最新の戦略や戦術も、サッカーというスポーツがこれだけグローバル化すると、決定的な要因とはなり得ないのである。

 では、これらの勝者たちと他の国々を分ける真因は一体何であろうか。私は、それらの国々には、目に見えない「勝者の遺伝子の厚み」とでも言うべきものがあると考えている。

 例えば、それぞれの民族性にも立脚した独自のプレースタイル、国際大会を勝ち抜いていく上での経験、代表選手一人ひとりに浸透している勝者のメンタリティー、そんな選手を生み出すサッカー文化の裾野の広さ深さと歴史の厚み……。いずれも、他国の代表チームが一朝一夕には模倣できないものである。

 私の場合は1974年の第10回西ドイツ大会から、テレビの生放送でワールドカップを観るようになった。毎回、長丁場の総力戦が続く結果、ダークホース的なチームが現れても準決勝くらいまでで力尽き、結局、選手層の厚いサッカー大国と言われる国同士の決勝戦となる。

 

企業経営における勝者のメンタリティーとは?

 

 ひるがえって企業経営においても、同じようなことは少なくない。時流の経営論や手法に踊らされるだけでは、長期的な競争、すなわち企業間の総力戦に勝ち残っていくことは難しい。

 重要なのは、企業文化や経験・技術の蓄積といった、確立に時間がかかるものの、その企業ならではの競争力の源となる組織能力を〝芯〟(コア・コンピタンス)として強化していくこと、加えてそれを生かせる事業領域で戦っていくことである。

 そこで、経営者の果たすべき役割は明らかだ。自社の〝芯〟を見極めた上で、ゆるがぬ意志で強化に取り組み、世代を超えてそれが引き継がれていく仕組みを構築することである。読者の皆さんには、この視点から自らの会社を、今一度見つめ直していただくことをお勧めしたい。

 今回も、過去の優勝経験国が優勝することになるのか、はたまた何かサプライズが起こるのだろうか。

 大会中は、世界最高峰の選手たちによる闘いを純粋に楽しむこととしたい。当然、わが日本代表の健闘も祈りながら!

 

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