政治・経済

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「JINS」の戦略 業界の常識を打ち破る

 群雄割拠のメガネ市場で日増しに存在感を高めているのが「JINS」ブランドを展開するジェイアイエヌだ。

 同社の強みは、SPA(製造小売業)の導入によりメガネの市場最低・最適価格を実現していることだ。

 それまでは「メガネ」と言えば、安くても1本2万円以上が常識で、ある意味、高級品としてとらえられる側面もあった。しかし、同社は独自のSPA方式の構築に成功、品質を担保しながら1本4990円からという圧倒的競争力を実現し、業界に新風を巻き起こした。

 誰もが経験したことがあるだろうが、そもそもメガネの価格というのは常に不明朗さが付きまとうものであった。フレーム料金に加え根拠が曖昧なレンズ料金や加工賃等が知らない間に加算され、支払いの段になると予算オーバーとなることもしばしば。

 その旨を店員に伝えると「特別に予算内で購入できるようにします」といった笑えないやり取りにも遭遇する。

 そこでジェイアイエヌが打ち出したのが「オールインプライス」。表示価格イコール総支払料金というシンプルなものだった。遠近両用やカラーレンズといった特殊加工商品を除いては、レンズの追加料金も0円という画期的なビジネスモデルにメガネの価格に疑念を持っていた多くの人々が飛びついた。

 そんな同社が飛躍のきっかけをつかんだのは2009年9月に販売を開始した超軽量メガネ「Air frame(エアフレーム)」だ。

 同商品のヒットの要因は、素材自体が軽量で弾力性、復元力に優れている特徴をもつ「TR‐90」をフレーム部分に使用、デザインする際には日本人の顔や頭の大きさを研究し、日本人専用のフレーム作ることで、1日中掛けていてもストレスを感じない掛け心地を実現したこと。さらには国内大手レンズメーカ製の〝薄型非球面レンズ〟を標準搭載しながら、どんな度数でも追加料金0円の4990円からという高品質・低価格を可能にした。言うなればメガネ業界の中で、全く新しい価値を創造したことに他ならない。

 同商品は、その後、リニューアルを繰り返し、累計800万本を突破するロングラン商品に成長した。

「Air frame」の大ヒットで成長の足掛かりりをつかんだ同社ではあるが、この〝付加価値の創造〟という勝利方程式にたどり着く道のりは決して平坦なものではなかった。

 服飾雑貨製造卸業だったジェイアイエヌがメガネ事業に参入したのは00年、同社の田中仁社長が韓国へ赴いた視察旅行がきっかけになった。その頃日本で最低でも2万円前後していたメガネが、韓国では何と3千円程度という低価格で販売されていたのだ。これに驚愕した田中社長は、帰国後すぐにメガネ業界のリサーチを実施、勝算を確信し参入を決意する。

 同氏の予想は見事的中、出店する店舗はどれも大当たり、矢継ぎ早に出店を加速する。

 しかしそんな同社の業績にもすぐに暗雲が立ちこめる。成功を目の当たりにした競合が、類似するビジネスモデルで続々と参入、価格競争に陥り業績も急降下、08年からは一転、赤字決算となり経営危機に見舞われる。

田中仁社長は「今期は足固めの年」と慎重姿勢を崩さない

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「JINS」の窮地を救ったユニクロ・柳井正氏の言葉

 そんな厳しい状況を救ったのは面談に訪れたユニクロを展開するファーストリテイリングの総帥、柳井正氏の一言だった。柳井氏は田中社長の話を聞いた上で「あなたの会社の事業価値は何ですか? ビジョンも志もないのなら事業を続ける意味がない」と。それまで、売り上げという側面で経営を考えがちだった田中社長は、柳井氏の一言にショックを受け、すぐに事業価値の再構築を模索する。

 そこで生まれたのが「メガネを掛けるすべての人によく見える×よく魅せるメガネを市場最低・最適価格で、新機能・新デザインを継続的に提供する」とい事業価値だ。

 これまで同様、SPA方式こそ継続したが、以降、商品化されたものは、「Air frame」、「JINS PC」などに見て取れるような機能性に満ちあふれたものとなった。

 「早期に500店舗体制、売上高1千億円を達成したい」と意気込みを述べる田中社長の次の一手に業界内の注目は集まる。

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