政治・経済

 本年5月に発表された政府の教育再生実行会議の提言の中に、グローバル化に対応した教育を充実するということで、英語教育の改善についての記述がある。これを受けて、6月に打ち出された日本再興戦略の中に、グローバル化等に対応する人材力の強化という項目が設けられ、初等中等教育段階からの英語教育の強化の必要性が唱えられている。

 グローバル化が急速に進展している。人、物、金そして情報が国境を越え自由に動きまわる時代の中で、国際語となった英語を身に付けることは必要不可欠である。さもないと自分の考えを人に伝えることができないし、人の考えを理解することもできない。TOEFLの国別ランキングで、日本は163カ国中135位となっており、英語教育を早急に改善しなければならない。

 わが国の英語教育を改めなければならないことは、何十年も前から指摘されているが、今度こそ具体的な結果を出さなければなるまい。

 日本の英語教育の最大の問題点は実用性の低さにある。大学卒の人であれば、中高で各3年、大学で4年、合計10年英語を勉強したはずであるが、手紙を書いたり会話をしたり英語でコミュニケーションが可能な人は少ない。

 五十数年前、私が米国に留学した際、外国人向けの英語の講座を履修したが、非常に実践的な教育がなされ大変役立ったのを覚えている。あれから半世紀以上もたっているのに、なぜわが国ではあのような外国のやり方を参考にしないのか疑問に思う。早急に実用性に主眼をおいた教育への転換が望まれる。

 一方、コトバの勉強はできるだけ早くから始めるのが良いといわれている。近年、カリキュラムに英語を加える小学校が増えているのは大変結構なことである。今後、より低学年から英語の教育が行われることを期待したい。しかし、従来の中学校からの英語教育のやり方を踏襲するものでは意味がない。実用性を前提に早くから英語に慣れ親しむことを目的として実施されるべきである。小学校から始める1つの目的は、外国語を恐れさせないということなので、楽しく学べる方法を考えるべきだ。

「小学校から英語を教えなくてもよい。小学校においてはもっと国語、正しい国語の教育に時間を使うべきだ」という意見がある。

 もちろん国語の教育はしっかりやらなければならないが、英語の教育とは両立できると思う。また、いまだに「英語教育は英語を使う人、必要とする人だけに行われればよい」ということを言う人もいるが、グローバル化の進展を全く理解していないと思われる。英語を始終使う人にはさらに勉強してもらわなければならないが、そうでない人たちにとってもコミュニケーションのツールとしての英語が欠くことのできないものになっていることを認識すべきだ。

 

視点 記事一覧はこちら

茂木友三郎氏 関連記事一覧はこちら

雑誌「経済界」定期購読のご案内はこちら

経済界電子版トップへ戻る

関連記事

好評連載

深読み経済ニュース

一覧へ
一般社団法人かぎろい出版マーケティング代表 西浦孝次氏

[連載] 深読み経済ニュース解説

2015年の経済見通し

[連載] 深読み経済ニュース解説

再デフレ化に突入し始めた日本経済

[連載] 深読み経済ニュース解説

消費税率引き上げ見送りの評価と影響

[連載] 深読み経済ニュース解説

安倍政権が解散総選挙を急ぐ理由

実録! 関西の勇士たち

一覧へ

水辺に都市が栄える理由と開発の事例を探る

[特集 新しい街は懐かしい]

水辺に都市が栄える理由と開発の事例を探る

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第20回)

稀有のバンカー、大和銀行・寺尾威夫とは

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第17回)

三和銀行の法皇・渡辺忠雄の人生

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第14回)

住友の天皇・堀田庄三の人生

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第11回)

商売の神様2人の友情 江崎利一と松下幸之助

ビジネストレンド新着記事

注目企業

一覧へ

総合事業プロデューサーとして顧客と共に成長する―中尾賢一郎(グランドビジョン社長)

広告やマーケティング、ブランディングを事業プロデュースという大きな枠で捉え、事業が成功するまで顧客と並走する姿勢が支持されているグランドビジョン。経営者の思いを形にしていく力で、単なる広告代理店とは一線を画している。 中尾賢一郎・グランドビジョン社長プロフィール &nb…

中尾賢一郎(グランドビジョン社長)

人材戦略を経営の核に成長する駐車場ビジネスのプロ集団―清家政彦(セイワパーク社長)

「PCのかかりつけ医」として100年企業への基盤構築を進める―黒木英隆(メディエイター社長)

新社長登場

一覧へ

森島寛晃・セレッソ大阪社長が目指すクラブ経営とは

前身のヤンマーディーゼルサッカー部を経て1993年に創設されたセレッソ大阪。その25周年にあたる2018年12月に社長に就任した森島寛晃氏は、ヤンマー時代も含めて通算28年間セレッソ一筋、「ミスターセレッソ」の愛称を持つ。今も多くのファンに愛される新社長が目指すクラブ経営とは。聞き手=島本哲平 Photo=藤…

森島寛晃・セレッソ大阪社長

カリスマ創業者の後任として描く「新しいマネックス証券像」― マネックス証券社長 清明祐子

「若者需要の開拓でビール市場を盛り上げていく」塩澤賢一(アサヒビール社長)

イノベーターズ

一覧へ

20歳で探検家グランドスラム達成した南谷真鈴さんの素顔

自らの手で未来をつかみ取る革新者たちは、自分の可能性をどう開花させてきたのか。今回インタビューしたのは、学生でありながら自力で資金を集め、世界最年少で探検家グランドスラムを制した南谷真鈴さんだ。文=唐島明子 Photo=山田朋和(『経済界』2020年1月号より転載)南谷真鈴さんプロフィール&nbs…

南谷真鈴

シリコンバレーへの挑戦が生んだ「起業家と投資家が待ち望んだサービス」― 戸村光・ハックジャパンCEO

「測量美術」が起こす道路工事のイノベーション―草木茂雄・エムアールサポート社長

大学の挑戦

一覧へ

専門分野に特化した“差別化戦略”で新設大学ながら知名度・ブランド力向上を実現――了徳寺大学・了徳寺健二理事長・学長

2000年設立で、了徳寺大学が母体のグループ法人。医療法人社団了徳寺会をグループ内に持つ。大学名の「了」は悟る、了解する、「徳」は精神の修養により、その身に得た優れた品性、人格を指す。「了徳寺」は人間としての品性、道を論す館の意味を込めた大学名だ。 聞き手=本誌/榎本正義 、写真/佐々木 伸 …

大学の挑戦

創立100周年、西南学院大学・K.J.シャフナー学長「世界に貢献しインパクトを与える人材を育てる」〜国際交流・就職支援・インターネット出願〜 

「“STAND BY YOU”のスローガンの下、学生一人ひとりに寄り添う教育を」――中央学院大学・佐藤英明学長

経済界からのお知らせ

最新号のご案内

経済界2020年1月号
[特集] 新しい街は懐かしい
  • ・「街の記憶」で未来をリノベーション
  • ・日本橋が「空を取り戻す」水辺と路地がつながる街へ
  • ・水辺はエンタメの宝庫だ 大阪が目指す観光客1300万人
  • ・街の誇りを取り戻せ 名古屋・堀川復活プロジェクト
  • ・なぜ水辺に都市が栄えるのか
  • ・2020以降は海と川がさらに面白くなる
  • ・「住む」と「働く」両方できるが求められている(たまプラーザ)
  • ・「土徳」が育む一流の田舎(南砺市)
  • ・音楽ファンが集う街づくり
[Special Interview]

 辻 慎吾(森ビル社長)

 東京が世界で勝ち抜くために必要なこと

[NEWS REPORT]

◆飛びたくても飛べないスペースジェットの未来

◆エンタメが街を彩る 地方創生に挑むポニーキャニオン

◆問題噴出のコンビニをドラッグストアが抜き去る日

◆始まった自動車世界再編 日本メーカーはどう動く?

[特集2]

 経済界福岡支局開設35周年記念企画

 拓く!九州 財界トップが語る2030年のかたち

ページ上部へ戻る