政治・経済

20131112_17_2―― 社長と東京の総支配人を兼務されていますが。

定保 これだけ大きなホテルですから、本来は社長がいて総支配人が別にいるという形がベストであるかもしれません。しかしホテル業の経営は、お客さまの声というか、現場の声が経営に直結します。総支配人を兼務していることは、大変なところもありますが、経営のヒントにつながる生の声を総支配人として直接聞けますから、それを東京のみならず大阪、上高地を含めた帝国ホテルの経営に生かしていく意味では利点も多数あると思っています。

 総支配人を4年やっていますが、社長になってお会いするお客さまの数と幅が増えました。企業のトップの方々とお話しさせていただく機会もかなり増えてきておりますので、自分にとって勉強になりますし、お会いすることによって、帝国ホテルのファンをどんどんつくっていけると考えています。

―― 今年、上高地帝国ホテルは80周年ですが、節目のイベントは予定していますか。

定保 大きなイベントは120年が終わったばかりですので、全社を挙げた計画にはございません。しかし、上高地では、80周年を冠にした宿泊商品やお土産関係を充実させたりしています。また、東京については、現在の建物の前の2代目本館であるライト館が竣工して、ちょうど90年になります。フランク・ロイド・ライトという有名な米国の建築家が遺したホテルということで、9月から館内各所でいろいろなご紹介をさせていただいたり、特別な宿泊商品を用意したりしています。また、ライトにちなんだデザインのサンドイッチや、特別なカクテルなどの商品も提供しています。それであらためてお客さまに来ていただく機会を増やしたいと思っております。

代々引き継がれる人材の育成を推進

―― 今後の目標は。

定保 自身のミッションとしましては、やはり営業力を上げることと、帝国ホテル全体のサービスの質を上げていくことです。そのためには、人材の育成が非常に重要です。社会人として、ホテルマンとしてのレベルをいかに上げていくかだと思います。

 人材をきちんと育成してレベルを上げていけば、サービスの質も上がり、お客さまの数も増えます。お客さまの数が増えれば、売り上げも増え、利益も確保できるので、また施設改修や人材育成に再投資できます。この理想的なサイクルをしっかりと回すことが非常に重要であり、その土台となる人材育成を頑なに進めていきたいです。そうすれば、外資系との競争にも勝ち残っていけると思っています。

 ご宿泊いただいているお客さまの数は、年間平均において以前は約半分が外国人で、半分が日本人でした。震災直後は外国人が2割近くまで落ちました。今はお陰さまで外国人が少し戻ってきていて、ようやく6対4に近づきつつあります。将来を見据えますと、10年、20年というタームでは日本人の人口は減っていきますから、外国人のお客さまの数と割合をもう少し上げていきたいと思っています。以前の外国人比率50%が、1つの営業的な目標です。

―― 人材育成について求められるホテルマンとは。

定保 これは普遍だと思います。帝国ホテルには9つの行動基準があります。まずは「挨拶」「清潔」「身だしなみ」。これは社会人としての1つのベースかもしれません。次に「感謝」「気配り」「謙虚」、そして最後に「知識」「創意」「挑戦」。この9つの実行テーマは新入社員が入社した時に最初に時間をかけて教えるテーマです。この9つをきちんと実行できるかが、われわれが考えるホテルマンに求められる要素だと思います。これは代々引き継がれてきますし、これからもそうだと思います。

(聞き手/本誌・村田晋一郎)

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