政治・経済

 7年後の東京オリンピックではインフラ整備や観光を中心に経済効果が見込まれ、日本再成長のきっかけとなることが期待されている。その一方で期待どおりの効果が挙げられるか、懸念すべき材料も多い。第一生命経済研究所主席エコノミストの永濱利廣氏に、東京オリンピックの経済効果と今後の問題について話を聞いた。

期待される経済効果のそれぞれの課題

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 2回目の東京オリンピックについて、7年後に希望的な目標ができたという意味では、閉塞感が漂っていた日本に明るい光が差し込んだ気がします。

 経済効果が期待されていて、一般的には3兆円ともいわれていますが、それは少な過ぎます。あくまでざっくりした計算ですが、1984年のロサンゼルス以降の先進国で開催されたオリンピックの場合、開催が決まってから7年間の経済成長率は、その前の7年間と比べて年平均0・2%押し上げられています。それを今の日本に当てはめると、GDPの押し上げベースでは、7年間で6・5兆円くらいになります。これは付加価値ベースの数字ですから、生産誘発額で言えば、13兆円くらいになると思います。

 経済効果が特に見込まれているのは、インフラ整備と観光客増加です。その意味で、今回のオリンピックはやり方次第で、アベノミクスの第2の矢(財政出動)と第3の矢(成長戦略)を促進させると思います。しかし、いろいろな問題があります。

 まずインフラ整備がうまくいくかと言うと、建設労働者が圧倒的に足りません。現在は2002年の日韓ワールドカップの時に比べ、建設業の就業者が約120万人減っています。この状況のままで、ただでさえ被災地の復興や地方の老朽化インフラの整備を行わなければならない中で、オリンピックに向けた東京の整備が物理的に可能なのかという問題があります。

 そうなると建設労働者を増やさなければいけませんが、少子化などの影響もあり、構造的に日本人で建設労働者を増やすことはもう無理だと思います。個人的な意見では、外国人労働者を入れるしかないと思います。しかし果たして日本国民がそれを容認できるかと言うと別の問題になります。また、現在、政府は高度人材については外国人労働者を受け入れようとしていますが、それが移民の障害にもなっています。

 ですから今度のオリンピックが風穴を空けることになるかもしれません。世界中の人に対して最高のおもてなしをするためには、インフラを整備しなければいけない。そのためには現在の状況を日本国民が理解して、多様な外国人労働者を受け入れることが必要だと思います。

 観光については、アベノミクスの成長戦略にも掲げられています。政府は20年までに年間訪日観光客数を2500万人に引き上げることを目標としています。確かに足元でも東南アジアへのビザの緩和などを行い観光客は増えていて、瞬間的には年間1200万人ペースぐらいまできています。これをさらに2倍に増やさなければいけませんが、一方では足元で中国と韓国からの観光客の増加が停滞しています。領土問題などを発端とした東アジア諸国との関係が今のままでは非常にまずいと思います。また、安倍首相は招致のプレゼンテーションで、「福島第一原発の汚染水の問題はコントロールできている、絶対大丈夫だ」と国際公約したわけです。それを実現できなかったら、外国人観光客の効果も期待できません。

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