文化・ライフ

木田優夫選手

ファンとの記念写真に応じる木田優夫選手

木田優夫氏がBCリーグで「GM兼投手」として奮闘

 これも、一種のセカンドキャリアだろう。

 プロ野球の巨人やメジャーリーグで活躍した木田優夫がグラウンド内外で活躍している。

 45歳の木田が所属するのは現在、北信越、関東地方をテリトリーとする独立リーグ「ベースボール・チャレンジ・リーグ」(BCリーグ)の石川ミリオンスターズだ。

 木田の名刺に刷られた肩書は「GM兼投手」。恐らく、こんな肩書を持つプロ野球選手は、世界中で彼くらいのものだろう。

 実際、木田はオフには練習の合間を縫って、スーツ姿でスポンサー獲得のための営業活動を行う。

 その効果について、同球団の端保聡代表取締役は、こう語る。

 「球団創設8年目になりますが、私が『石川ミリオンスターズ社長の端保です』と言っても、『ミリオンスターズって何?』と言う人も、まだたくさんいるんです。

 でも、木田君と一緒に行くと『わざわざ、お2人が来てくれたんだから何とかしなくちゃいけないなァ』と言ってくれるんです。

 その結果、2008年をピークに、リーマンショック、東日本大震災のダブルパンチで、減少傾向にあったスポンサーが、昨年は一気に15社も増えました」

 一方で、木田自身がスポンサー獲得のための提案を行うこともある。その一例が、新マスコットの「タン坊」だ。

 これは木田が企画し、デザインを担当した。ちなみに「タン坊」は、端保社長をイメージしたキャラクターだ。

 このマスコットが登場したのは、昨年8月からだ。後頭部にバナー広告が入っている。

 木田は語る。

 「これは社長との雑談の中で生まれたアイデア。ゲーム中にイベントをするには、スポンサーがいる。そのためのアイデアなんです。今では県内のイベントにも登場して、皆さんから喜ばれています」

 実は木田のイラストレーターとしての腕前は玄人はだしだ。親交のあるタレントの明石家さんまからは「木田画伯」と呼ばれている。

 今年は選手の似顔絵を描いたオリジナルTシャツのデザインにも挑戦している。

 芸は身を助ける、とはよく言ったものだ。

 木田のこうしたグラウンド内外の奮闘もあって、昨シーズン、石川はホームゲームでの観客動員数が前年比34%増を記録した。

BCリーグで集客力アップをもたらしたラミレス効果

 東日本大震災が起きた11年以来、BCリーグの観客動員数は減少の一途をたどっていた。それが昨年は3シーズンぶりに増加に転じた。

 リーグ全体では前年比2428人増の16万2240人。1試合平均では、前年比22人増の732人だ。

 これを受け、リーグ代表の村山哲二は、今シーズンの目標を4シーズンぶりの「1試合平均1千人突破」に定める。

 5月末までの集計では昨年の790人から24%増の978人。目標に、もう一歩のところまできている。

 今シーズン、BCリーグで最も観客動員数が多いのは、主に高崎市を本拠地とする群馬ダイヤモンドペガサスだ。5月末までの1試合平均は6球団トップの1302人。前年比135%増である。

 集客力アップに大きく貢献しているのが、NPBで昨年、2千本安打を達成し、名球会入りを果たしたアレックス・ラミレスだ。

 フロントの肩書こそないものの、ラミレスも木田同様、営業活動に熱心である。シーズン中の現在も、時間をつくっては企業や学校を訪問し、記念写真やサインに応じているという。

 こうした〝ラミレス効果〟について、堀口芳明取締役社長は、こう語る。

 「試合当日にスタッフが入場ゲートで誘導していると、車がスッと停まって『ラミレスがいる球団ですよね。今日は出場するんですか?』と聞いてくるんです。『出ますよ』と答えると、そのままチケットを購入してくれる。ありがたいものです」

 関係者によると、ラミレスが入団以降、球場に他府県ナンバーの車が増えたという。ラミレスそのものが、〝観光資源〟になっているということか。

 さて来春には、いよいよ北陸新幹線が開業する。これにより、BCリーグが球団を置く6県のうち5つが新幹線の駅を有することになる。

 スポーツ・ツーリズムという観点から見た場合、新幹線の開業は球団に大きなメリットをもたらすに違いない。スポーツ興行の基本はホーム&アウェイだからだ。

 いかにしてファンを掘り起こし、集客につなげるか。独立リーグが地域に根を張るには、キメの細かい営業戦略が求められる。

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