政治・経済

橋本徹が石原慎太郎切りで決意した「原点回帰」

 「主語」が誰なのか--、実はみんなの認識が間違っている。

 日本維新の会(以下維新)の分裂劇は、石原慎太郎共同代表が分党を決め、これを橋下徹共同代表に告げたところ泣く泣く了承した--、「石原氏」が主体的であり主語だ。永田町の多くがそう理解しマスコミもそう報じた。

 しかし、全く違う。

 「真実は、主語は『橋下さん』。橋下さんのほうが石原さんを切ったということ」(維新橋下系国会議員)なのだ。

 維新は2012年の総選挙前に、石原氏らの旧太陽の党と合流して野党第2党の53議席を獲得。ところがここから同時に「迷走」、ときには「暴走」気味の党運営が続いた。

 維新の大阪府議が言う。

 「総選挙で旧太陽と一緒になったところからおかしくなった。本来うちがやるべき大阪都構想や国の統治の仕組みを変えるとか地域主権とか、そういうことよりも、旧太陽に引っ張られて憲法改正などを前面に出した維新になってしまった」

 別の維新・大阪府議も言う。

 「旧太陽系のベテラン国会議員が、『大阪なんか放っておけ』『東は東でやればいい』と話しているのがしょっちゅう耳に入ってきました。横暴でしたね」

 こうした中で、維新をもう一度立て直すために、橋下氏が決断したのは「原点回帰」だった。

 大阪維新の会のある幹部はこう話す。

 「橋下さん自身も慰安婦発言で求心力を失い、地方選挙でも連敗、政党支持率も下がる中で追い詰められていました。地元では、維新発足当時から橋下さんの理念に共鳴して行動してきた府議や大阪市議たちの多くが、太陽の党を切って、もう一回大阪維新の原点、『地域政党としての活動』や『維新当初からの政策』に戻るべきだと主張し始めていました。橋下さんが、ついに切る決心をしてくれたのが、今年3月の『出直し大阪市長選挙』をやると決めたときでした」

 この幹部がポイントとして挙げた「出直し市長選挙」とは、「大阪都構想」実現へ向け、これに難色を示す市議会の既成政党に対抗するために橋下氏が仕掛けたもの。もう一度民意を得て、今後当分は「都構想」一本でいくという決意の表れだったが、それが同時に分党覚悟の行動だったというのだ。

 橋下系維新国会議員もこう続ける。

 「つまり『もうこれからは大阪のことだけしかやらない。旧太陽など好き放題発言して活動している国会議員のあなたたちとはやることが違うんですよ。それぞれでやりましょう』という決別だったんです。実は驚くことに、代表自身の出直し選という党の一大事にもかかわらず、橋下さんは国会議員団には一部にしか相談しなかった。ほとんど知らされていなかった旧太陽系のベテランたちからは不満の声が一斉に上がった。橋下さんの応援にすら来なかった。しかし橋下さんにとってはそれでよかったんです」

 この時期、党会合で石原氏が原子力協定をめぐり党決定に反して行動すると豪語した際、橋下系1年生議員がなんと石原氏に「(党を)出て行ったらよろしい」と発言する一幕があった。

 さらに、これまで石原氏には気遣いを見せてきた橋下氏自身が「議論はいいが(石原氏も)ルールには従ってもらう」とピシャリ言ったのが驚きだった。「政策を維新の原点に戻すという橋下さんの覚悟が既にあった」(同議員)ことを証明したものだ。

 そして、出直し選に勝利した橋下氏は、この秋には住民投票、来年は大阪維新にとって最重要の統一地方選に向かう。

イラスト

イラスト/のり

分党は橋下徹による最高のマネジメント?

 石原氏らを切った橋下氏は今後「国政」にはどうかかわっていくのか。

 「もともとの国政進出の理由は、都構想実現のためには国の法律を120本以上変えなきゃダメだから国政に足掛かりをということだったが、突然の総選挙で旧太陽やその他の現職議員たちとの合流を急ぎ過ぎたということでしょう。理念や政策をオープンの場で意見交換してきた最初の国政メンバーとともに、今度は本格的な野党再編を進めるということです」(前出・大阪維新幹部)

 原点回帰であれば政策的には結いの党とは合流確定。次は民主党。さらにみんなの党も「もともと政策もブレーンも共通。渡辺喜美前代表や江田憲司・結いの党代表らの確執がクリアできれば連携・合流は可能」(みんなの党幹部)だと言う。

 今回の分党、「橋下氏のマネジメント」を批判する声もあるがそれは逆ではないか。「これで、地域主権や霞が関改革などを柱にした野党再編が着実に進んでいく」(前出維新幹部)とすれば、最高のマネジメントとしてのちの評価になるかもしれない。

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