文化・ライフ

 エリート銀行員の痛快な復讐劇を描いて大ヒットした連続ドラマ「半沢直樹」。「やられたらやりかえす。倍返し、いや10倍返しだ!」という決め台詞で、悪徳上司たちに逆襲するシーンに溜飲を下げた視聴者も多かったろう。9月22日の最終回は関東地区で42・2%と民放の現代ドラマで過去2位の歴史的高視聴率をたたき出した。このドラマのプロデューサーは伊與田英徳氏。これまでに『ブラックジャックによろしく』や『ヤンキー母校に帰る』『クロサギ』『新参者』など多数の作品をプロデュースした。

伊與田英徳(TBSテレビ制作局ドラマ制作部プロデューサー)

伊與田英徳(TBSテレビ制作局ドラマ制作部プロデューサー)

TBS連続ドラマ「半沢直樹」成功の理由は原作の面白さ

―― このドラマが成功したのはなぜだと思いますか。

伊與田 原作を読んで面白いと思い、その感動を映像にしたいと思いました。そのときに、以前から一緒に仕事をしたいと思っていた、今回主演して下さった堺雅人さんの顔が浮かびました。その上で、自分たちが作りたいと思ったものをストレートにまとめ上げることができたのが良かったのかと。もちろんマーケティング論は必要ですが、それだけじゃなくて、原作者の池井戸潤さんも、「台本は読まない。信用しているから好きなように作っていい」とおっしゃってくれたし、堺さんも僕らがいいと思うことを信じて演じて下さった。このドラマにとっていいと思うことを信じて皆で突き進んでこられたのがいい結果に結びついたのだと思います。

―― ここまで大ヒットしたキモは?

伊與田 これをしたからこうだというものはないです。そんなものがあったら教えてください(笑)。よく後講釈で、あそこはこうした方が良かったんじゃないかとかおっしゃる人もいますが、ドラマは台本に基づいて先行して撮っているので、変更がききません。いい方法が分かっているのなら、先に言っていただきたい(笑)。監督の福澤克雄が言っていましたが、おいしいものを作ろうと思って一生懸命作ったが、それをお金に変えようとは思っていなかったと。ヒットは狙ってできるものではないし、理屈先行の数字ありきで作ってはこなかったということかな。

 それと日曜劇場だったので、ターゲット論はすべての世代なんです。でも最初からあらゆる世代に受けようと思っても無理だし、女性には多少見づらいかもしれない。もちろん女性にも見ていただけるための努力はするけど、まずは自分たちが面白いと思うものを作ること。あとは少なくとも自分の友達には面白いと言ってもらえるようにしよう。そんなところからスタートした感じです。

 

20131029_030_半沢直樹連続ドラマ「半沢直樹」の視聴率はスタートから右肩あがり

―― 社内でも途中で茶々を入れる人はいなかったと。

伊與田 視聴率が良くないときはいろいろ言われますが、お陰様で今回はほとんどそういうことはありませんでしたね。ドラマの場合、かなり先から準備をしますし、半沢直樹の場合は1年くらい前から始まっていましたから。

「半沢直樹」の制作現場

「半沢直樹」の制作現場

―― 毎回視聴率が上がっていきましたが、何か仕掛けをしたのでしょうか。

伊與田 ドラマはスタートダッシュがすごく重要で、そこに向けてのプロモーションはかなり力を入れてやりました。毎回宣伝担当がフェイスブックで頑張ってくれたのも背中を押してくれたとは思いますが、それをしたから当たるとは限りません。すべてが好循環していった結果だと思っています。

―― 数字のプレッシャーはなかったですか。

伊與田 毎回どこかで落ちるかもとは思っていました。でもどんどん自分の中でも勝手に期待値が上がり、ハードルが高くなっていくという、いいプレッシャーはありましたね。

連続ドラマ「半沢直樹」の続編はについて

―― 続編の予定は。

伊與田 現段階では未定です。いい形でできればいいなとは思いますが、具体的に動いているわけではありません。まだ終わったばかりという感じなので。

 

 大ヒットドラマだったので既にご存じかとは思うが、「半沢直樹」は、池井戸潤による企業エンターテインメント小説「半沢直樹シリーズ」をテレビドラマ化した作品。『果つる底なき』で第44回江戸川乱歩賞、『鉄の骨』で第31回吉川英治文学新人賞、『下町ロケット』で第145回直木賞を受賞した池井戸潤の人気小説『オレたちバブル入行組』と『オレたち花のバブル組』が原作だ。

 バブル期、都市銀行の数は全部で13行。銀行に入ったら一生安泰と言われていた時代で、銀行員はエリートの代名詞でもあった。そんな日本経済が熱狂していた時代に入行したのが、いわゆる「バブル入行組」。この物語は、そんなバブル期に東京中央銀行に入行したバンカー・半沢直樹が、銀行の内外に現れる「敵」と戦い、組織と格闘していく様子を中心に描いている。2013年7月7日からTBS「日曜劇場」枠で放送。主演は堺雅人。

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