政治・経済

 3~15メートルの巨人に捕食され続けた人間は、高さ50メートルを超える巨大な三重の壁を築き、巨人が侵入しない安全な領域を確保。その後100年間平和が続いたが、突然50メートルを超える巨人が現れ、壁を破壊。多数の巨人が侵入し、手当たり次第に人間を捕食する。絶望の中で3人の若者は、果敢に巨人に挑むが……。『別冊少年マガジン』に連載中の『進撃の巨人』は、数々の賞を受賞。今年4月からはテレビアニメも放送中。コミックスも8月9日発売の11巻までの累計で2500万部を突破するなど、若者だけでなく、幅広い層からの支持を集めている。

 

『進撃の巨人』とは

 

『進撃の巨人』は、諫山創(いさやま・はじめ)による漫画、およびそれを原作とした小説・テレビアニメなどのメディアミックス作品。『別冊少年マガジン』(講談社)の創刊号となった2009年10月号から連載中で、『週刊少年マガジン』(同)にも出張読み切りとして特別編が2度掲載されている。単行本の発行部数は、第11巻までの累計で2500万部を突破している。壁で囲まれた閉鎖的な世界を舞台に、圧倒的な力を持つ巨人とそれに抗う人間たちの戦いを描いたファンタジーバトル漫画。宝島社「このマンガがすごい!」2011年版オトコ編で第1位、11年に第35回講談社漫画賞の少年部門を受賞しているほか、13年4月からはテレビアニメ化され、各局で放送中。実写映画化も予定されている。

右:木下哲哉(ポニーキャニオン クロスメディア制作部) 左:川窪慎太郎(講談社『週刊少年マガジン』編集部)

右:木下哲哉(ポニーキャニオン クロスメディア制作部)
左:川窪慎太郎(講談社『週刊少年マガジン』編集部)

 

『進撃の巨人』は〝応援団〟が分かりやすい設定で大ヒットに結び付く

 

―― 『別冊少年マガジン』創刊号から連載が続いているそうですが。

川窪 2009年9月に『別冊少年マガジン』が週刊少年マガジン編集部から新創刊されました。『進撃の巨人』はそのときから連載を開始しました。設定が分かりやすいのと、人間が食べられてしまうという、怖いけど気になる存在。初期のころは書店さんとかマンガが好きなブロガーの方などから高い評価をいただき、次第に雑誌やテレビで有名人の方に面白いマンガがあると言っていただき、口コミで広がっていきました。

―― 諫山創さんのデビュー作だそうですね。

川窪 諫山さんは福岡から講談社に電話を掛けてきて、『少年マガジン』に作品を持ち込みたいと。その電話を取ったのが僕でした。まずは半年に1回の新人漫画賞で佳作以上を獲ることがデビューの絶対条件になります。その上で連載案を考え、部内のコンペに出す。これを勝ち抜くのに2~3年くらいかかります。長い人は7~8年、10年かかる方もいらっしゃいます。

―― 早い段階から人気に火が付いたのですか。

川窪 連載開始から3カ月ほど経った時点で読者アンケートが急激に伸び始め、翌年『このマンガがすごい!2011』(宝島社)で1位を獲り、ここから一気に売れ出して、単行本も初版100万部を突破。さらに11年開催の第35回講談社漫画賞少年部門を受賞したのと、日販さんのフェアをやりたい作品のナンバーワンになるなどの応援もいただきました。

―― テレビアニメ化でさらに人気に拍車がかかった?

木下 13年4月から放送開始し、メディアミックスの効果でさらにブースターがかかりましたね。私もこの作品を読んで面白いと思い、テレビがいいのか映画か、あるいはビデオがいいのかと考えた結果、これはテレビが一番いいと思い、毎日放送さんと一緒に組んでやることにしました。まずこの作品は、とても映像映えするだろうなと思い、多くの人に見てもらいたいなと。最近はこういうドラマ性のある作品をアニメ化することは少ないのですが、毎日放送さんは骨太の作品にも取り組んでいたので、うってつけではないかと思いました。

 

推定60メートルの超巨人 写真:諫山 創/講談社

推定60メートルの超巨人
写真:諫山 創/講談社

「進撃の巨人」の大ヒットの秘密は”終わらせ方”にあり

 

―― 2500万部という数字は記録的なんでしょうか。

川窪 各出版社でオープンにしているわけではないので分かりませんが、10年、20年に一度のことです。しかも新人ということではかなり珍しいケースです。9巻までの単行本の発行部数は13年4月で累計1200万部を超えていましたが、テレビアニメが放送されてからはさらに売り上げが伸び、ほぼ倍増したことでも、その加速ぶりがお分かりだと思います。

木下 少年向けの雑誌で連載していて、単行本になってコアな漫画ファンから広がりを見せ、アニメ化で女性層にも拡大しています。漫画は10代後半~20代前半がコア層で、当初は男女比が7:3でしたが、アニメ化後は5:5になっているそうです。

―― ここまでヒットした秘密はどこにあると。

川窪 4話目で主人公が死んだと思わせるシーンがあります。単行本ではそこで次の巻になるようになっていて、次はどうなると読者の気を引く設定にしてあります。諫山さんは漫画の1巻ごとの最後の話が話題になるよう衝撃的な終わらせ方を意識して描いていらっしゃいます。

―― 今後の予定は。

川窪 テレビアニメを中心に、他の映像化やイベントなども積極的にやっていきたいと思います。この8月に江ノ島でサンドアートとのコラボをやりましたが、単行本は4カ月に1回出るので、そこに合わせて今後も何らかの仕掛けをしていきたいです。

関連記事

好評連載

深読み経済ニュース

一覧へ

[連載] 深読み経済ニュース解説

2015年の経済見通し

[連載] 深読み経済ニュース解説

再デフレ化に突入し始めた日本経済

[連載] 深読み経済ニュース解説

消費税率引き上げ見送りの評価と影響

[連載] 深読み経済ニュース解説

安倍政権が解散総選挙を急ぐ理由

実録! 関西の勇士たち

一覧へ

稀有のバンカー、大和銀行・寺尾威夫とは

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第20回)

実録! 関西の勇士たち

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第17回)

三和銀行の法皇・渡辺忠雄の人生

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第14回)

住友の天皇・堀田庄三の人生

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第11回)

商売の神様2人の友情 江崎利一と松下幸之助

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第7回)

関西財界の歴史―関経連トップに君臨した芦原義重の長期政権

ビジネストレンド新着記事

注目企業

一覧へ

次世代の医療現場を支える病院経営の効率化を推進――保木潤一(ホギメディカル社長)

1964年にメッキンバッグを販売して以来、医療用不織布などの、医療現場の安全性を向上する製品の普及を担ってきた。国は医療費を抑える診断群分類別包括評価(DPC制度)の導入や、効率的な医療を行うため病院のさらなる機能分化を実施する方針を掲げており、病院経営も難しい時代に入っている。ホギメディカルは手術室の改善か…

刺激を浴びて徹底的に考え抜くことで自らを変革する―― 鎌田英治 グロービス 知命社中代表

ワンストップで手厚くサイトの売却をサポートするサイトマ――中島優太(エベレディア社長)

新社長登場

一覧へ

地域に根差した証券会社が迎えた創業100周年―藍澤卓弥(アイザワ証券社長)

中堅証券会社のアイザワ証券は今年7月、創業100周年を迎えた。この記念すべき年に父からバトンを受け継ぎ新社長となったのが、創業者のひ孫にあたる藍澤卓弥氏。地域密着を旗印に掲げてここまで成長してきたアイザワ証券だが、変化の激しい時代に、藍澤社長は何を引き継ぎ、何を変えていくのか。聞き手=関 慎夫 Photo:西…

メディカル事業を横串にすることでシナジーを発揮し、顧客満足度向上へ 伏見有貴(リゾートトラスト社長)

新事業の芽を伸ばすことでさらに大きな個性的な会社を目指す――日髙祥博(ヤマハ発動機社長)

イノベーターズ

一覧へ

ペット仏具の先駆企業が「ペットロスカフェ」で目指す癒しの空間づくり

家族のように接していたペットを亡くし、飼い主が大きな喪失感に襲われる「ペットロス」。このペットロスとなってしまった人々が交流し、お互いを癒し合うカフェが、東京都渋谷区にオープンした。「ディアペット」を運営するインラビングメモリー社の仁部武士社長に、ペット仏具の世界とペットロスカフェをつくった目的について聞いた…

元引きこもり青年が「cluster」で創造する新たなVRビジネスとエンターテインメント(加藤直人・クラスターCEO)

日本人の英語学習の課題解決に向け、学習者目線のアプリを開発―― 山口隼也(ポリグロッツ社長)

大学の挑戦

一覧へ

専門分野に特化した“差別化戦略”で新設大学ながら知名度・ブランド力向上を実現――了徳寺大学・了徳寺健二理事長・学長

2000年設立で、了徳寺大学が母体のグループ法人。医療法人社団了徳寺会をグループ内に持つ。大学名の「了」は悟る、了解する、「徳」は精神の修養により、その身に得た優れた品性、人格を指す。「了徳寺」は人間としての品性、道を論す館の意味を込めた大学名だ。 聞き手=本誌/榎本正義 、写真/佐々木 伸教育部…

大学の挑戦

創立100周年、西南学院大学・K.J.シャフナー学長「世界に貢献しインパクトを与える人材を育てる」〜国際交流・就職支援・インターネット出願〜 

「“STAND BY YOU”のスローガンの下、学生一人ひとりに寄り添う教育を」――中央学院大学・佐藤英明学長

経済界からのお知らせ

最新号のご案内

経済界2019年3月号
[特集]
環境が経済を動かす

  • ・総論 災い転じて福となせるか 持続可能な社会の成長戦略
  • ・越智 仁(三菱ケミカルホールディングス社長)
  • ・100年後を考える 世界最大級の年金基金「GPIF」
  • ・金融業界はこう動く
  • ・脱炭素化の遅れがはらむ「座礁資産」の危険性
  • ・脱炭素化で移行する「地域循環共生圏」とはどういう社会なのか!?

[Special Interview]

 中田誠司(大和証券グループ本社社長)

 「SDGsを経営戦略の根幹に据えることで企業は成長する」

[NEWS REPORT]

◆稲盛哲学を学ぶ盛和塾解散を塾生たちはどう聞いたか

◆米中経済戦争の象徴となった「ファーウェイ」強さの秘密

◆EV時代にあえてガソリンエンジンにこだわるマツダのプライドと勝算

◆それは自由か幸福か——「信用スコア」で個人の信用が数値化された世界

[特集2]関西 飛躍への序章

 大阪万博開催で始まる関西経済の成長路線

ページ上部へ戻る