政治・経済

 シニア起業に関するさまざまなサービスを提供している銀座セカンドライフ。起業コンサルやレンタルオフィス、セミナー・交流会といった事業を柱に順調に業容を拡大している。片桐実央社長に事業展望と顧客動向について取材。同社顧客には、事業概況と起業への思いを聞いた。

片桐実央(銀座セカンドライフ社長)

片桐実央(銀座セカンドライフ社長)

レンタルオフィスの契約者は800社超に

 同社の今年6月期決算での売上高は、初年度比約10倍。2008年からの開業半年で黒字転換を果たしている。片桐社長は業績好調の要因を「シニア起業に対する認知度が高まり、ニーズが顕在化してきた」と分析する。

 レンタルオフィス「アントレサロン」は都内の銀座と東京駅そばに4店舗を構える。サロンの契約会員数は9月中旬時点で800社超に達した。10月には横浜市に新しいサロンを開設。片桐社長は「できるだけ早く大阪、名古屋、福岡といった大都市圏を網羅したい」と目標を語る。

 同社の顧客は50~60代が6割程度を占め、40代、30代、70代が続く。改正高年齢者雇用安定法の施行で定年引き上げなどが義務化されたものの、片桐社長は「雇用を継続しても希望する仕事を担当できずに、起業を選ぶ人が増加する可能性がある」と指摘する。また、最近では30~40代の利用が増加。将来に向けて、情報収集を行うセミナー参加者が目立ってきたという。

50代と60代では起業スタイルに大きな差が

 世代別で起業スタイルは異なるようだ。60代以上は過去の経験と人脈を生かし、開業前から一定の収益が見込めるなど、盤石な体制を築くケースが多いという。

「〝退職金代わりに前職の顧客をもらったようなもの〟とジョークを飛ばす人もいる。60代には事務サポートと、新規獲得を支援するために交流会への参加を促すだけで、経営をうまく回す人が少なくない」(片桐氏)

 一方、50代は未経験分野での起業や、開業してからマーケットを開拓しようとする起業家が目立つという。片桐氏は「一世代の差だが、起業時期が定年後と定年前の早期退職後では、気持ちの在り方が全く違うようだ」と説明する。

 世代差はあるものの、片桐氏は中高年に合った起業スタイルとして「ゆる起業」を提案している。「ゆる起業」の5原則は、(1)楽しいと思える(2)やりがいを感じる(3)経験を生かす(4)利益を追求しない(5)健康が一番。

「うまくいっているシニア起業家に話を聞くと、自然とこの5原則を実践している人が多い。バリバリ働いているミドル層にも当てはまる部分はあるのではないか」(同)

 片桐社長は「シニア起業家は幸せそうに仕事をしていて、ほほ笑ましい。ミドルの方は拡大志向が強く、私自身刺激を受けている。どちらにせよ、顧客には幸せな起業ライフを実現してほしい」とエールを送る。

 

雑誌「経済界」定期購読のご案内はこちら

経済界電子版トップへ戻る

関連記事

好評連載

深読み経済ニュース

一覧へ
一般社団法人かぎろい出版マーケティング代表 西浦孝次氏

[連載] 深読み経済ニュース解説

2015年の経済見通し

[連載] 深読み経済ニュース解説

再デフレ化に突入し始めた日本経済

[連載] 深読み経済ニュース解説

消費税率引き上げ見送りの評価と影響

[連載] 深読み経済ニュース解説

安倍政権が解散総選挙を急ぐ理由

実録! 関西の勇士たち

一覧へ

稀有のバンカー、大和銀行・寺尾威夫とは

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第20回)

実録! 関西の勇士たち

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第17回)

三和銀行の法皇・渡辺忠雄の人生

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第14回)

住友の天皇・堀田庄三の人生

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第11回)

商売の神様2人の友情 江崎利一と松下幸之助

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第7回)

関西財界の歴史―関経連トップに君臨した芦原義重の長期政権

ビジネストレンド新着記事

注目企業

一覧へ

家族葬のファミーユが目指す「生活者目線で故人に寄り添う」葬儀の形

家族葬のファミーユは家族や親族など故人の近親者だけで施設を貸し切って行う「家族葬」のパイオニアだ。創業者・高見信光氏は異端児と言われながらも旧態依然とした業界を変えてきた。その思いに共感し、異業種のリクルートから転じて社長を引き継いだ中道康彰氏も業界の常識を打ち破るため奮闘している。文=榎本正義(『経済界』2…

不動産のノウハウや技術を生かしサステナブルインフラへ―いちご

次世代車向け先進技術を応用する日本発プラットフォーマー ―イーソル

新社長登場

一覧へ

「若者需要の開拓でビール市場を盛り上げていく」塩澤賢一(アサヒビール社長)

アサヒグループ食品の副社長から、この3月にアサヒビールの社長に就任した塩澤賢一氏。長年、ビール営業畑を歩み、マーケティングを兼ねた繁華街歩きを趣味にしている。街の変化から世の中の流れを読む塩澤新社長が挑むのは低迷するビール市場の活性化。若者需要を伸ばしつつ、スポーツイベントを商機として攻勢をかけていく。聞き手…

塩澤賢一(アサヒビール社長)

「事業部門の連携を活性化させ営業利益100億円を目指す」 内藤宏治(ウシオ電機社長 )

地域に根差した証券会社が迎えた創業100周年―藍澤卓弥(アイザワ証券社長)

イノベーターズ

一覧へ

シリコンバレーへの挑戦が生んだ「起業家と投資家が待ち望んだサービス」― 戸村光・ハックジャパンCEO

起業家のスタンスとして、画期的な技術やビジネスモデルを社会で活かすことを目的としたイノベーション先行型もあれば、社会課題解決を最優先とし、そこに必要な技術やノウハウを当てはめていくやり方もある。ハックジャパンCEOの戸村光氏の場合は後者。対象となる課題は「身の周りの気付いたことすべて」だ。(取材・文=吉田浩)…

戸村光・ハックジャパンCEO

「測量美術」が起こす道路工事のイノベーション―草木茂雄・エムアールサポート社長

IT化で変革する産業廃棄物処理の世界―福田隆(トライシクルCEO)

大学の挑戦

一覧へ

専門分野に特化した“差別化戦略”で新設大学ながら知名度・ブランド力向上を実現――了徳寺大学・了徳寺健二理事長・学長

2000年設立で、了徳寺大学が母体のグループ法人。医療法人社団了徳寺会をグループ内に持つ。大学名の「了」は悟る、了解する、「徳」は精神の修養により、その身に得た優れた品性、人格を指す。「了徳寺」は人間としての品性、道を論す館の意味を込めた大学名だ。 聞き手=本誌/榎本正義 、写真/佐々木 伸 …

大学の挑戦

創立100周年、西南学院大学・K.J.シャフナー学長「世界に貢献しインパクトを与える人材を育てる」〜国際交流・就職支援・インターネット出願〜 

「“STAND BY YOU”のスローガンの下、学生一人ひとりに寄り添う教育を」――中央学院大学・佐藤英明学長

経済界からのお知らせ

最新号のご案内

経済界2019年10月号
[特集] 進撃のスタートアップ
  • ・スタートアップ・エコシステムの活性化
  • ・[スパイバー]2万5千円のTシャツは完売 実用化が迫った人工クモの糸
  • ・[Rhelixa]エピゲノム関連の研究・開発で人類の役に立つ
  • ・[チャレナジー]台風発電でエジソンになる ビジネス展開は「島」から
  • ・[エイシング]エッジで動く超軽量AIでリアルタイムに予測制御
  • ・[キャディ]製造業に調達革命! 町工場は赤字から脱出へ
  • ・[Clear]目指すは日本酒産業のリーディングカンパニー
  • ・[空]「値付け」の悩みを解決するホテル業界待望のサービス
  • ・宇宙ビジネスに民間の力 地球観測衛星やロボット開発
  • ・71歳で環境スタートアップを立ち上げた「プロ経営者」
[Special Interview]

 荻田敏宏(ホテルオークラ社長)

 「The Okura Tokyo」をショーケースに海外展開を進めていく

[NEWS REPORT]

◆戴正呉会長兼社長を直撃! なぜ、シャープは復活できたのか?

◆アスクル創業社長を退陣させた筆頭株主・ヤフーの焦り

◆サービス開始から3カ月で撤退 セブンペイ事件の背景にあるもの

◆絶滅危惧種ウナギの危機 イオンが挑むトレーサビリティ

[特集2]

 富裕層は知っている

・富裕層の最大の使い道は商品ではなく次代への投資

・シンガポールからケイマン諸島まで 資産フライトはここまで進化した

・年間授業料100万円超は当たり前 教育投資はローリスクハイリターン

・最先端の人間ドックは究極のリスクマネジメント

・家事代行サービスで家族との時間を有効活用

ページ上部へ戻る