政治・経済

 飯沼一元氏は日本電気(NEC)の研究者を経て、健康食品の製造開発や販売を手掛けるライステックを立ち上げた。慣れない販売に苦労しながら、黒字化にこぎつけた。畑違いの領域で起業に至った経緯と、健食ビジネスを手掛ける苦労とは。

いいぬま かずもと

NEC研究者から健康食品会社経営へ
【いいぬま・かずもと】
1943年仙台市生まれ。70年東北大学で工学博士号取得、日本電気(NEC)に入社。研究開発技術本部長や本社理事支配人を経て、2002年にライステックを創業する。

社員平均年齢61歳による〝シニアの船出〟

―― NEC時代はどういった仕事に携わっていたのですか。

飯沼 私は一貫して技術畑を歩んできた人間です。主にデジタル通信やコンピューターソフトウエア、半導体などさまざまな分野の研究を行っていました。DVDやデジタルテレビ放送に利用される映像圧縮方式の「MPEG(エムペグ)」の開発にもかかわっています。

―― 起業するに至ったきっかけは。

飯沼 会社を設立する前、米国カリフォルニア州のシリコンバレーでベンチャー企業の経営者たちと付き合う機会に恵まれました。現地では20歳代の起業家が少なくありません。中高年はどうしているかと言うと、エンジェル投資家として有望な若者に資金の供給や助言、ノウハウの提供などを行っているわけです。エンジェルたちはシニアになっても、自分の培った経験を生かして事業を支援しています。ひいては、国力の強化にも貢献できる、非常にスケールの大きな取り組みです。エンジェルの取り組みを目の当たりにして大変刺激を受け、定年後の人生設計を考えるようになりました。

―― 電機業界の研究者から健康食品事業の経営者への転身は意外に思われます。

飯沼 かねがね、定年後にはNECで行っていたこととは、全く関係のないビジネスを行いたいと思っていました。新しい分野で、自分を試したいと思ったのです。健康にかかわる事業に興味を持ったのは、自分自身の健康管理だけが理由でなく、増加が続く医療費問題に歯止めを掛けるなど、日本の社会問題の解決につながると思ったからです。

 米は人間の生命維持に欠かせない三大栄養素を含んでおり、特にぬかの部分はビタミンやミネラルなど、高い栄養価を誇っています。ちなみに「糠(ぬか)」という字は、米へんに健康の康と書きます。国民の健康増進に寄与することで社会に貢献したい。会社員時代に異業種交流会などで知り合った製薬、警備など幅広い業界の役員や幹部などに声を掛けて、2002年に創業しました。設立当時のスタッフの平均年齢は約61歳。まさに〝シニアの船出〟だったわけです。

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