政治・経済

富士山

世界遺産登録で関心が高まる富士山

 財務省が6月9日に発表した4月の国際収支の速報値によると、海外とのモノやサービス、投資の取引状況を示す経常収支が、3カ月連続で黒字になった。特筆すべきは、旅行収支が、1970年7月以来、約44年ぶりに黒字に転じたことだ。訪日観光客が増加したことなどが背景にあるが、「貿易赤字が続く日本にとって、新たな収益の柱になり得る」と期待する声も上がっている。

 経常黒字は前年同月比76・1%減の1874億円で、3カ月連続の黒字となった。額としては、比較できる85年度以降、最小だった。

 消費増税前の「駆け込み輸入」の動きは一服したものの、円安や、原発停止を背景にした燃料輸入額の高止まりで、貿易赤字が拡大した。麻生太郎財務相は5月、最近の経常黒字の縮小傾向について、「貿易赤字が一番の問題だ」「日本の稼ぎ方が変わってきている」などと発言している。

 ただ、4月の国際収支で〝朗報〟かもしれないのは、赤字が続いてきた旅行収支が、177億円の黒字に転じたことだ。昨年、訪日観光客数は、政府が掲げてきた「1千万人」の目標を初めて突破。円安であることに加え、富士山・和食が国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界遺産・無形文化遺産に登録されるなどして、日本への関心が高まっていることが追い風となっている。これを受け、経済力をつけているアジアの新興層が、より多く、日本へ来るようになったのだ。

 今後は東京五輪が開催されることも、大きな魅力となる。「観光立国」を目指す政府は、2030年までの2千万人突破を、新たな目標に掲げた。市場からは、「訪日観光客を増やし、旅行収支を増やすことが、経常黒字を牽引する」との声が上がっている。

 このほか、消費税がかからない免税品目を増やすなどして、外国人が買い物をしやすい環境を整備することも重要だ。官民一体で旅行収支の黒字を定着させられるかが、今後の日本経済の行く末を左右するとも言える。

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