マネジメント

変えられない過去なんてどうでもいいと考えることが成功に近づく

 過去が光り輝いて、それを誇れる人はまれで、むしろマイナス面にとらわれている人が、圧倒的に多い。

 「俺ももう少し勉強して、いい大学を出ていれば」「親の言うとおりにしておけば」「あんな女に騙されなければ」……現在から見れば、過去は後悔のるつぼであり、コンプレックスやトラウマの源泉である。

 トラウマは精神分析学者フロイトの使った言葉で、心的外傷と訳されている。「~というトラウマがあって~ができない(怖がる)」などと使う。

 要は、人間が過去の出来事に支配されているだけといっていい。最近のベストセラー『嫌われる勇気』(岸見一郎・古賀史健著/ダイヤモンド社)で詳述されているアドラー心理学は、これと真っ向から対立する(アドラーも20世紀の精神分析学者)。

 過去というものを考えたとき、いちばん注意しなくてはならないのは、過去は既に決定されていて、変えられないということだ。

 これでは人間は自由になれない。過去のことなんてどうでもいいとアドラーは言う。

 私も賛成だ。過去というくびきから解き放たれたほうが現在を自由に歩けるというものだ。「あれは僕のトラウマになっていて」などと言い出す人は、トラウマを免罪符代わりに使って、何かから逃れていると考えてもいいのだ。

成功の秘訣 未来のために活用できる「過去」を発見しよう

 トラウマという言葉を使って、何かから逃れるのは確かに良くない。そういう人に積極的な人生は考えにくい。

 だが、そういう過去のとらえ方ではなく、私は「過去」を「未来」のために、もっとプラスの意味で活用したらどうだろうと考えている。

 過去から、マイナス面でなく「プラス面」を積極的に探し出してくるのだ。

 幼い時以来の体験で、褒められたこと、得意だった科目、好きだった勉強、成功した経験……、そうした過去のプラス面をできるだけ集めてみたらどうだろうか。

 単に思い出すのではなく、それらを紙に書き出していく。こうすると、すっかり忘れていた、自分がとても評価されていたことなども、意外に思い出すものなのである。

 しかし、「私には、何もプラス面が思い浮かばない」という人がいるかもしれない。

 たいへん謙虚な人だろうとは思うが、そのような人でも、明確に「プラス」とは言えなくとも、プラスにできる「種子」は拾うことができるのではないか。種子さえ見つけられれば、それを育てて大木にすることも夢ではない。

プラスになる過去(種子)を思い出し成功につなげる

 例えば、本欄ですっかりお馴染みになった(株)アースホールディングス代表の國分利治さんがそれだ。國分さんは自著『地道力[新版]』(PHP研究所)にも書いているが、小さい時から悪ガキで、中学では札付きの不良だった。

 そんな國分さんはサラリーマンだった父の姿を見て、「人に使われたくない」と考え、高校生の時に「社長になる」と決めた。これが幼い時には何の取り柄も見つからなかった國分さんの、将来に向けてプラスにできる「種子=初心」となった。

 地元の会社に勤め、怠惰な生活を送っていたのだが、免許証を取り消された時、この初心を思い出す。これを機会に東京に出て、「社長になろう」と決心するのだ。

 上京して新宿・歌舞伎町の美容院に働き口を見つけ、國分さんはただ一点、「経営者になる」を見つめてまい進する。

國分さんのすごさは、一度決めたその目標を、ゆるがせにしなかったことだ。初志貫徹である。

 プラスになる「種子」は誰の過去にもある。マイナス面は放っておいて、明日に役立つことを考えたほうがいい。

 

[今号の流儀]

トラウマなんて言葉を使う人間に「成功」の二文字はない。

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