国際

 日銀の異次元緩和の場合、日銀が市場から国債を買い取ってその代金を金融機関に渡す。ところが金融機関はその資金をそっくり日銀の当座預金に預け入れる。こうした資金還流をECBは許さない点で、日米の量的緩和と一線を画する政策となっている。ECBの施策は市場に直接働き掛ける効果がより高いと言える。

 ECBの狙いは市場金利を低下させ、低インフレの要因のひとつであるユーロ高を是正し、同時に金融機関の資金の持って行き場を失くすことだ。最終的に企業向け貸出が増加し域内経済活動が活性化すれば低インフレも是正できる︱︱これがECBの青写真である。

過熱するイールド(利回り)ハンティング

 ECBの緩和策を受けて欧州の国債利回りは軒並み低下、イタリアやスペインの国債利回りは過去最低を記録した。ECBの青写真どおりに欧州経済が立ち直れば、世界経済全体にとっても喜ばしいことであるが、一部では「過熱」とも思われる利回りの低下を助長していることも確かだ。スペインの10年債利回りは米国の10年債利回りを下回った。欧州債務危機の発端となったギリシャの国債にさえ旺盛な需要がある。

 もっとも、利回りのある資産に資金が向かう動きは全世界的な潮流であり、なにもECBの追加緩和策のみが責めを負うような話ではない。典型的な利回り商品であるREIT(不動産投資信託)の価格も年初から一本調子に上昇している。米国の高利回り債券も買われ、米国債との利回り格差は過去30年でもっとも低い水準に縮小している。高利回りの債券だけでなく、格付けの低い企業向けのローン(レバレッジド・ローン)の発行も記録的な高水準。それだけ利回りに対する需要が強いのである。世界的に加速する利回り追求の動き。これが株高・債券高併存の理由である。無論、株式市場の中では高配当利回り株のパフォーマンスが良好である。

 新興国の一部がいまだにインフレに悩む一方で先進国経済は低成長・低インフレという重石に喘いでいる。その産物として生み出された過剰なマネーは、見境なく利回りを食い潰す。行くところまで行かねば収束しないようなイールド・ハンティングは危険なゲームの香りが漂い始めている。

 

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