マネジメント

横田響子

横田響子(よこた・きょうこ)
1999年お茶の水女子大学卒業後、リクルート入社。2006年に退職し、コラボラボを設立。「女性社長.net」「J300」「Wooooomen’s(ウィーミンズ)」など、女性社長を応援する企画で事業展開する。内閣府・男女共同参画連携会議議員も務める。

横田響子氏の思い 大企業に足りない部分を埋める

 今年1月に渋谷ヒカリエで開催された大手・中堅企業と女性起業家を結ぶためのイベント「J300」。第5回を迎えた今回は、内閣府の男女共同参画推進連携会議も主催者に加わり、企業から約75人、女性社長100人、その他120人が参加した。この場でマッチングに成功した企業と女性経営者との間で、既にいくつかのプロジェクトが始まっている。

 リーマンショック後の2009年に「女性経営者300人が不況を吹っ飛ばす」と銘打って始まったこのイベント。仕掛け人は横田響子氏。女性経営者のネットワーク作りを目的とした会員制ウェブサイト「女性社長.net」の運営を手掛けるコラボラボの代表取締役だ。

 サイトには現在約1500人の女性経営者や個人事業主が登録し、仕事上の悩みなどを共有、サポートし合っている。コラボラボではJ300のようなイベント以外にも、日常的に企業と女性経営者を結ぶ活動を展開しているほか、女性経営者向けの情報発信や販路拡大の支援などを手掛けている。

 「例えば、大企業から新商品をつくりたいという要望があった場合は、女性社長たちとチームを組んで開発や納品を手掛けていくこともあります。人事制度改革に強い方、商品開発に強い方、販路拡大に強い方などさまざまな人材がいますので、それを生かして新たなことに取り組んでいきます」と、横田氏は語る。

 会員の女性経営者たちの所属する業界はさまざま。小さい会社が多く専門分化ができているため、例えば大企業のプロジェクトで一部だけ欠けている部分を穴埋めできるといった良さがあるという。

 実際に持ち込まれる案件は、例えば働く女性たちの需要にマッチした調理器具の提案、街を活性化するプロジェクト、化粧品パッケージのリニューアルなど、多岐にわたる。

 コラボラボでは事業のスタートアップ支援も手掛けるが、活動の主軸は女性経営者が事業を継続していけるようにするための取り組みだ。事業コラボレーションの推進だけでなく、会員同士で顔の見える関係を構築して、女性経営者ならではの悩みを共有できるのが特徴となっている。

 女性経営者の中には、起業前に組織で働いた経験がない人も多く、加えて資金不足、人脈不足のケースも多々見られる。一方で、自らの生活をコントロールできるようにするため、起業という選択をする場合も多い。こうした女性たちが持続的、安定的に事業を継続できる環境づくりの役割を、コラボラボは担っている。

「女性社長という言葉がなくなれば本望」と語る横田響子氏

 「マッチングは昔からの趣味」という横田氏は、幼少時代を豪州で過ごした。髪の毛や目の色が一人ひとり違う同級生に囲まれ、個性を尊重する文化の中で育った影響で、個人の良い点を掛け合わせて新しいものを生み出すことに興味を持ったという。

 さらに、10代の頃には、優秀な同級生たちの母親がほとんど専業主婦だったのを見て、女性の力が社会で生かされないのはもったいないとの思いを抱くようになった。女性の活躍支援をビジネスにすることを思い付いたのは、こうした体験によるところが大きいと語る。

 コラボラボを設立する前の横田氏は、リクルートに6年間在籍。人材領域を担当していたが、クライアントに女性社長は1人もいなかった。そのため、起業した時はまず、女性経営者に会うことから始めた。元同僚に女性経営者を紹介してもらうなどし、2年間で400人ほどに会った。そこで知り合った人々から仕事をもらうなどしながら、地道にネットワークを広げていき、現在に至る。

 今年3月に首相官邸で開かれた「輝く女性応援会議」にも林文子・横浜市長や内永ゆか子・J―Win理事長など、各界の著名な女性リーダーたちと共に出席。世間から注目される機会も増えてきた。

 これについて横田氏は「アベノミクスで女性活用が掲げられていることも含め、われわれの活動に追い風が吹いている感じはあります。女性の活躍支援という点で、たまたま情報を私が他の方よりも持っていたり、現場を知っていたりするので、いろいろな場に呼んでいただいているのかとも思います」と言う。

 今後の目標について尋ねると、こんな答えが返ってきた。

 「本当は会員が10万人ぐらいになれば、いろんな案件に対して対応できるようになるのでしょうが、目標は女性の経営者が一般的になって、女性社長という言葉自体がなくなることでもあります。だから今やっている『女性社長.net』がなくなっても本望と言えますね」

(文=本誌編集長・吉田浩 写真=森モーリー鷹博)

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