テクノロジー

20130918_32_01 富士フイルムのメディカルシステム事業が好調だ。同社は1936年のX線フィルムへの参入に始まって、デジタルX線画像診断システム(FCR)、内視鏡、血液診断システム等、診断系の機器を中心に展開。海外進出も約60年の長い歴史を持つ。現在は得意の画像処理技術などを武器に、医師の正確かつ迅速な診断をサポートする製品・サービスに注力する。

 特に好調なのが、年率2桁成長を実現している医療IT事業。病院内で使用されるCTやMRIなどから得られる検査画像を保存・解析するシステムPACS(Picture Archiving and Communication System)の「SYNAPSE」は、国内トップシェアで世界市場でも高いシェアを誇る。

 競合との差別化ポイントとなるのは、医療の現場で培った画像処理技術と使いやすい操作性、システムの安定性だ。「SYNAPSE」は、ウェブ環境があれば院内のさまざまな端末からアクセスできるのが特徴。メディカルシステム事業部長の後藤禎一氏は、

「ITプラットフォームを押さえることで、そこにつながるさまざまな機器が提供しやすくなるため、ビジネスの拡大が見込める。病院では、医師の使い慣れたシステムが継続利用される傾向が強いので、こうした基盤を持っているのは強み」と、説明する。また、クリニックから病院の検査・診療予約ができる地域医療連携システム「C@RNA(カルナ)コネクト」も、全国100施設以上の病院と約1700のクリニックで運用実績がある。このシステムを導入することで、地域全体で医師不足を補い、病院側は業務効率や紹介率の向上を図れるという。

 内視鏡事業では、経鼻内視鏡やダブルバルーン小腸内視鏡など特徴のある製品を軸に展開する。加えて注目されるのが、2012年9月に発売したレーザー光源を用いた新内視鏡システム「LASEREO」。富士フイルムが写真分野・医療分野で長年培ってきたレーザー制御技術を応用して、2種類のレーザー光を観察目的に応じて自在にコントロールし、独自の画像処理技術と組み合わせることで、粘膜表層の微細血管などを強調した画像観察を実現したものだ。

 医師の正確かつ迅速な診断のサポートに加え、同社がもう1つ掲げるのが患者の負担が少ない診断のサポートだ。例えば今年4月に発売したデジタルマンモグラフィ「AMULET Innovality」。低線量化を実現したほか、乳がん検査で受診者の乳房を圧迫固定する板の形状を改良し、乳房の厚みに添って板が傾斜して圧力を分散することで痛板の軽減を目指した独自の圧迫板も搭載可能だ。

 海外市場に関しては、中国で内視鏡の売り上げ増を目指すほか、中東・アフリカでも売り上げを伸ばしているという。今後は南米でも攻勢を強め、グローバル展開を加速していく構えだ。

「日本の医療機器メーカーでも、グローバルな販売チャネルの多さではわれわれが一番」(後藤氏)と自信を見せる。

関連記事

好評連載

エネルギーフォーカス

一覧へ

緑の経済成長とエネルギー

[連載] エネルギーフォーカス

Energy Focus

[連載] エネルギーフォーカス

電力業界のイノベーション

[連載] エネルギーフォーカス

今後、10年後の電力業界の様相(2)

[連載] エネルギーフォーカス

発電単価から既存原発の経済性を考える

[連載] エネルギーフォーカス

日本は再生エネルギーで世界トップとなる決断を

テクノロジー潮流

一覧へ

科学技術開発とチームプレー

[連載] テクノロジー潮流

テクノロジー潮流

[連載] テクノロジー潮流

エボラ出血熱と情報セキュリティー

[連載] テクノロジー潮流

21世紀の日本のかたち 農電業と漁電業

[連載] テクノロジー潮流

工学システムの安全について

[連載] テクノロジー潮流

エネルギー移行と国民の価値観の変化

ビジネストレンド新着記事

注目企業

一覧へ

次世代の医療現場を支える病院経営の効率化を推進――保木潤一(ホギメディカル社長)

1964年にメッキンバッグを販売して以来、医療用不織布などの、医療現場の安全性を向上する製品の普及を担ってきた。国は医療費を抑える診断群分類別包括評価(DPC制度)の導入や、効率的な医療を行うため病院のさらなる機能分化を実施する方針を掲げており、病院経営も難しい時代に入っている。ホギメディカルは手術室の改善か…

刺激を浴びて徹底的に考え抜くことで自らを変革する―― 鎌田英治 グロービス 知命社中代表

ワンストップで手厚くサイトの売却をサポートするサイトマ――中島優太(エベレディア社長)

新社長登場

一覧へ

地域に根差した証券会社が迎えた創業100周年―藍澤卓弥(アイザワ証券社長)

中堅証券会社のアイザワ証券は今年7月、創業100周年を迎えた。この記念すべき年に父からバトンを受け継ぎ新社長となったのが、創業者のひ孫にあたる藍澤卓弥氏。地域密着を旗印に掲げてここまで成長してきたアイザワ証券だが、変化の激しい時代に、藍澤社長は何を引き継ぎ、何を変えていくのか。聞き手=関 慎夫 Photo:西…

メディカル事業を横串にすることでシナジーを発揮し、顧客満足度向上へ 伏見有貴(リゾートトラスト社長)

新事業の芽を伸ばすことでさらに大きな個性的な会社を目指す――日髙祥博(ヤマハ発動機社長)

イノベーターズ

一覧へ

元引きこもり青年が「cluster」で創造する新たなVRビジネスとエンターテインメント(加藤直人・クラスターCEO)

バーチャル空間で開催される会議や音楽ライブなどに、3Dアバターで参加できる画期的サービス「cluster」を生み出したのは、元引きこもりのオタク青年だった。エンタメの世界を大きく変える可能性を秘めたビジネスで注目を浴びる経営者、加藤直人氏の人物像と「cluster」の展望を探る。(取材・文=吉田浩)加藤直人・…

日本人の英語学習の課題解決に向け、学習者目線のアプリを開発―― 山口隼也(ポリグロッツ社長)

老舗コニャックメゾンがブランド強化で日本市場を深耕――Remy Cointreau Japan代表取締役 宮﨑俊治

大学の挑戦

一覧へ

専門分野に特化した“差別化戦略”で新設大学ながら知名度・ブランド力向上を実現――了徳寺大学・了徳寺健二理事長・学長

2000年設立で、了徳寺大学が母体のグループ法人。医療法人社団了徳寺会をグループ内に持つ。大学名の「了」は悟る、了解する、「徳」は精神の修養により、その身に得た優れた品性、人格を指す。「了徳寺」は人間としての品性、道を論す館の意味を込めた大学名だ。 聞き手=本誌/榎本正義 、写真/佐々木 伸教育部…

大学の挑戦

創立100周年、西南学院大学・K.J.シャフナー学長「世界に貢献しインパクトを与える人材を育てる」〜国際交流・就職支援・インターネット出願〜 

「“STAND BY YOU”のスローガンの下、学生一人ひとりに寄り添う教育を」――中央学院大学・佐藤英明学長

経済界からのお知らせ

最新号のご案内

経済界2019年1月号
[特集]
平成の事件簿

  • ・[イトマン事件]闇勢力に銀行が食い荒らされた戦後最大の経済事件
  • ・[ダイエー、産業再生機構入り]一代で栄枯盛衰を体現した日本の流通王・中内 功の信念
  • ・[ライブドアショック]一大社会現象を起こしたホリエモンの功罪
  • ・[日本航空経営破綻]親方日の丸航空会社の破綻と再生の物語

[Special Interview]

 高橋和夫(東京急行電鉄社長)

 「100周年に向けて、オンリーワン企業の強みを磨き続ける」

[NEWS REPORT]

◆かつてのライバル対決 明暗分けたパナとソニー

◆経営陣に強い危機感 富士通が異例の構造改革断行

◆売上高1兆円が見えた ミネベアミツミがユーシンを統合

◆前門の貿易戦争、後門の技術革新 好決算でも喜べない自動車各社

[特集2]経営に生かすAI

 「人工知能は『お弟子さん』
日常生活が作品になるということ」
落合陽一(筑波大学准教授)

ページ上部へ戻る