政治・経済

並木浩司氏の思い 「東北を元気に」

 「スーパースポーツゼビオ」や「ヴィクトリアゴルフ」などを全国で展開する、スポーツ用品販売大手のゼビオは、企業のステートメント(宣言)として「スポーツの国をつくろう」を掲げている。そのゼビオが昨年10月、仙台市内に「アリーナ」をオープンした。一般的に施設を造るのは自治体が基本の中で、あえて自前で造った狙いとは。

並木浩司(ゼビオアリーナ仙台 館長)

並木浩司(ゼビオアリーナ仙台 館長)

―― 「ゼビオアリーナ」を造ったきっかけは。

並木 「スポーツの国をつくろう」という方針を、私たちゼビオグループは掲げています。その中でスポーツを楽しんでいただく方の裾野を少しでも広げようという目的から「アリーナ」への発想が生まれました。日本という国が、高齢化社会になり、子どもさんたちの数も減っています。それは、私たちの商売であるスポーツ用品の小売りにまで響いてしまうことになります。

 では、どうやってスポーツの楽しさを伝えようかと思った時に、「あこがれ」というものを考えました。

 今までの公共の体育館や競技場などはどうしても、競技者中心に考えられてきました。どうしても観客席は後回しになりがちだったのです。ですから、私たちが考えたのは観て楽しめる施設でした。

 例えば、子どもたちが観て、あこがれてその競技を始めたいと強く思うような場所です。

 あえて言うならばエンターテインメント性を重視したと言えば適当かと思います。建設までには5、6年ほど準備期間を設けました。視察も米国を含めて数多くの競技施設を見学し、日本人の好む繊細な部分も含めて、各場所のいいところを採用した施設になったと思っています。

―― アリーナスポーツとはどのようなスポーツですか。

並木 基本的には屋内スポーツですので、中心はバスケットボールやバレーボールになります。仙台には仙台89ers(エイティーナイナーズ)というbjリーグ所属のバスケットボールチームと、Vチャレンジリーグの仙台ベルフィーユがあり、何試合かわれわれの会場を使っていただいています。

常設では日本初となる160インチの大型ビジョン。

常設では日本初となる160インチの大型ビジョン。イベントを盛り上げる映像・音響施設が充実
写真:XEBIO

 先ほどもエンターテインメント性を高めているというお話をさせていただきましたが、常設では日本初になる160インチの大型ビジョンが4面+2面設置され、全方向からリプレーや会場を盛り上げる映像を流すことができます。また観客席を1周する213メートルのリボンビジョンなどもあり、NBA(米国のプロバスケットボール)のような雰囲気を再現できると思っております。

 観戦していただいた子どもさん方も圧倒的な迫力に感動していただけているようです。いずれ、この地をアリーナスポーツの聖地と呼ばれるようにしたいと考えています。

 また、私自身アイスホッケーの選手でしたので、いずれここでも開催したいと思っていますが、かなりの費用が掛かりますので、そこをクリアできれば可能性は広がりますね。

―― なぜ仙台で造られたのですか。

並木 ゼビオグループの本社は福島県の郡山市ということもあり、地元東北地方への思い入れがやはり大きいということと、現在1千坪以上ある店舗を約150店舗くらい展開しているのですが、最初に手掛けたのが、泉中央という仙台市の北側にある店舗で、それ以降も仙台近郊に数多く出店し、多くのお客さまにお世話になっていたということ、そして何よりも人口が106万人いる大都市ですので、市場規模からいっても最適な土地であったことが挙げられます。

―― 地域とどのような活動を行っていますか。

並木 「箱を作りましたから、さぁ使ってください」では、誰も来てくださいません。地元の長町商店街に加盟して商店街の方たちに、今度このようなイベントがありますから、一緒にイベントをしましょうというお誘いも始めています。

 アリーナの前に市の所有するイベント広場がありますので、地元の方や行政の方たちとアリーナに絡めた情報を発信しています。

 例えば、アリーナで5千人規模のコンサートをした時に、地元の長町商店街の方々に飲食のブースを出していただいたり、子どもたちも楽しめるような仕掛けもつくってくださいました。コンサートにお越しになったお客さん以外も楽しまれて、地元の方たちとも協力し合う関係を築けたのはうれしいですね。

 私たちにとっては、アリーナに入らなければお金にはならないのですが、いつもここでは何かやっている、ここに来ると楽しいと思っていただくことで町全体に活気が出ることが、長い目で見れば重要なのではないかと考えています。

 今後は、施設を利用した方に長町商店街のクーポン券をお渡しして、この地元の街に滞留していただく工夫をしていきたいと思っています。長町は、仙台駅からJR東北本線で南に一駅ですが、かつては仙台に入る1つ前の奥州街道の宿場町であり、歴史のある街なのです。

 現在は仙台の副都心とよばれ、街が元気になっていますから、活気ある街を、地元の方とつくりあげていきたいと思っています。

関連記事

好評連載

深読み経済ニュース

一覧へ

[連載] 深読み経済ニュース解説

2015年の経済見通し

[連載] 深読み経済ニュース解説

再デフレ化に突入し始めた日本経済

[連載] 深読み経済ニュース解説

消費税率引き上げ見送りの評価と影響

[連載] 深読み経済ニュース解説

安倍政権が解散総選挙を急ぐ理由

実録! 関西の勇士たち

一覧へ

稀有のバンカー、大和銀行・寺尾威夫とは

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第20回)

実録! 関西の勇士たち

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第17回)

三和銀行の法皇・渡辺忠雄の人生

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第14回)

住友の天皇・堀田庄三の人生

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第11回)

商売の神様2人の友情 江崎利一と松下幸之助

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第7回)

関西財界の歴史―関経連トップに君臨した芦原義重の長期政権

ビジネストレンド新着記事

注目企業

一覧へ

次世代の医療現場を支える病院経営の効率化を推進――保木潤一(ホギメディカル社長)

1964年にメッキンバッグを販売して以来、医療用不織布などの、医療現場の安全性を向上する製品の普及を担ってきた。国は医療費を抑える診断群分類別包括評価(DPC制度)の導入や、効率的な医療を行うため病院のさらなる機能分化を実施する方針を掲げており、病院経営も難しい時代に入っている。ホギメディカルは手術室の改善か…

刺激を浴びて徹底的に考え抜くことで自らを変革する―― 鎌田英治 グロービス 知命社中代表

ワンストップで手厚くサイトの売却をサポートするサイトマ――中島優太(エベレディア社長)

新社長登場

一覧へ

地域に根差した証券会社が迎えた創業100周年―藍澤卓弥(アイザワ証券社長)

中堅証券会社のアイザワ証券は今年7月、創業100周年を迎えた。この記念すべき年に父からバトンを受け継ぎ新社長となったのが、創業者のひ孫にあたる藍澤卓弥氏。地域密着を旗印に掲げてここまで成長してきたアイザワ証券だが、変化の激しい時代に、藍澤社長は何を引き継ぎ、何を変えていくのか。聞き手=関 慎夫 Photo:西…

メディカル事業を横串にすることでシナジーを発揮し、顧客満足度向上へ 伏見有貴(リゾートトラスト社長)

新事業の芽を伸ばすことでさらに大きな個性的な会社を目指す――日髙祥博(ヤマハ発動機社長)

イノベーターズ

一覧へ

ペット仏具の先駆企業が「ペットロスカフェ」で目指す癒しの空間づくり

家族のように接していたペットを亡くし、飼い主が大きな喪失感に襲われる「ペットロス」。このペットロスとなってしまった人々が交流し、お互いを癒し合うカフェが、東京都渋谷区にオープンした。「ディアペット」を運営するインラビングメモリー社の仁部武士社長に、ペット仏具の世界とペットロスカフェをつくった目的について聞いた…

元引きこもり青年が「cluster」で創造する新たなVRビジネスとエンターテインメント(加藤直人・クラスターCEO)

日本人の英語学習の課題解決に向け、学習者目線のアプリを開発―― 山口隼也(ポリグロッツ社長)

大学の挑戦

一覧へ

専門分野に特化した“差別化戦略”で新設大学ながら知名度・ブランド力向上を実現――了徳寺大学・了徳寺健二理事長・学長

2000年設立で、了徳寺大学が母体のグループ法人。医療法人社団了徳寺会をグループ内に持つ。大学名の「了」は悟る、了解する、「徳」は精神の修養により、その身に得た優れた品性、人格を指す。「了徳寺」は人間としての品性、道を論す館の意味を込めた大学名だ。 聞き手=本誌/榎本正義 、写真/佐々木 伸教育部…

大学の挑戦

創立100周年、西南学院大学・K.J.シャフナー学長「世界に貢献しインパクトを与える人材を育てる」〜国際交流・就職支援・インターネット出願〜 

「“STAND BY YOU”のスローガンの下、学生一人ひとりに寄り添う教育を」――中央学院大学・佐藤英明学長

経済界からのお知らせ

最新号のご案内

経済界2019年3月号
[特集]
環境が経済を動かす

  • ・総論 災い転じて福となせるか 持続可能な社会の成長戦略
  • ・越智 仁(三菱ケミカルホールディングス社長)
  • ・100年後を考える 世界最大級の年金基金「GPIF」
  • ・金融業界はこう動く
  • ・脱炭素化の遅れがはらむ「座礁資産」の危険性
  • ・脱炭素化で移行する「地域循環共生圏」とはどういう社会なのか!?

[Special Interview]

 中田誠司(大和証券グループ本社社長)

 「SDGsを経営戦略の根幹に据えることで企業は成長する」

[NEWS REPORT]

◆稲盛哲学を学ぶ盛和塾解散を塾生たちはどう聞いたか

◆米中経済戦争の象徴となった「ファーウェイ」強さの秘密

◆EV時代にあえてガソリンエンジンにこだわるマツダのプライドと勝算

◆それは自由か幸福か——「信用スコア」で個人の信用が数値化された世界

[特集2]関西 飛躍への序章

 大阪万博開催で始まる関西経済の成長路線

ページ上部へ戻る