政治・経済

20130820_26_03 外食業界を低価格競争に巻き起こんだ張本人ともいえる牛丼チェーン。その主役となったのはゼンショーの「すき家」、松屋フーズ「松屋」の大手2社だ。

 両社は、業界トップに君臨してきた吉野家ホールディングス(HD)の展開する「吉野家」が、原材料仕入れの問題から低価格を実施しづらい状況にある中、その牙城を切り崩すべく価格競争を仕掛けた。

 

「すき家」と「松屋」が仕掛けた牛丼戦争に吉野家が応戦

 

 これまで380円前後で販売されてきた牛丼を大幅に値下げした280円で販売。不景気で所得減に苦しむ庶民の味方として、マスコミに散々取り上げられていたことは記憶に新しい。その追い風も幸いし、両社の売り上げは急増、ゼンショーに至っては外食産業ナンバーワンの売り上げを誇るまでにのし上がった。

 えげつないないほどの価格競争により、「吉野家」は苦戦を余儀なくされ〝一人負け〟が常態化する。まさに両社の狙いどおりの展開となった。

 しかし、この状況に危機感を募らせた吉野家HD経営陣は今年4月中旬から両社と対等に渡り合える280円への値下げに動く。

 同社は、「客単価の下落は、来店客の30%増で補う」という高いハードルを自ら課し、全面戦争に突入する。「来店客3割増しというのは、よほど自店の味に自信がなければ実現しない数字です」(業界関係者)という指摘があるとおり、まさに最後の大勝負に出たのである。

 この「吉野家」の大勝負は現状、こと280円の牛丼に限っては吉と出ている。7月6日に吉野家HDが発表した6月の既存店売上高は対前年比10・8%増と3カ月連続でプラスに推移していることからもそれはうかがえる。

 逆に苦戦が鮮明になっているのは戦争を仕掛けた側の「すき家」と「松屋」だ。6月の既存店売上高は「すき家」が7・1%減、「松屋」も5・5%減とそれぞれ22カ月、15カ月連続で前年割れを記録するなど「吉野家」に軍配が上がった。

 だが一方で、「吉野家の目論見どおり、来店客は増加しましたが、客単価の下落を補いきれていない」(業界関係者)との指摘もあり、今後は客単価の下落をいかに食い止めるかという課題も残っている。

 

吉野家に牛丼戦争で完敗したライバルの次の手は?

20130820_26_02 そこで吉野家HDの次の一手が、高価格商品への誘導だ。同社では、7月4日から「牛カルビ丼」、「ねぎ塩ロース豚丼」を相次いで投入したが、価格は480円。牛丼よりも200円高く設定している。割安感のある牛丼で集客し、高単価の商品へと誘導する。これはまさに日本マクドナルドの勝利の方程式と同じ手法だ。

 牛丼で完敗した「松屋」では7月4日から500円の「から揚げ丼」の販売を開始、「すき家」も単価を上げた牛丼トッピング型商品で対応する。

「低価格が最大の売りとも言える牛丼チェーンで、マクドナルド方式が通用するかは疑問符が付きます。販売当初は、トライアル的に注文する利用者が少なからずいますが、それがリピートにつながるのか見ものです。200円という価格差は常連客にはハードルが高いのではないですか」(同)との見方もある。

 この夏場の動向に注目したい。

 

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