政治・経済

 POSシステムをはじめ、流通業界向けシステムを幅広く展開する日本NCR。O2Oに関しても店頭向けキオスク端末のシステムおよびソリューションを提供している。同社のO2O向けビジネスの展開について、社長兼CEOの諸星俊男氏に話を聞いた。

諸星俊男(日本NCR社長兼CEO)

諸星俊男(日本NCR社長兼CEO)

店頭での販売機会ロスを補うキオスク端末を提供

―― O2Oの現状をどうとらえていますか。

諸星 やはりネットとリアル店舗の融合は非常に重要です。昔は、例えば百貨店などのリアル店舗販売とネット販売は互いにカニバライズする、喰い合ってしまうということで、強い警戒感がありました。しかし今では、双方が補完する動きが強くなってきました。

 補完する動きとは、トータルのパイを大きくすることです。今までリアル店舗で100を売り上げていた会社が、ネット販売を手掛けることでリアル店舗の売り上げが70に落ちてネットで30を売り上げるのではなく、リアル店舗の売り上げも100を越して120になって、ネットの売り上げも30になって、トータルで150ぐらいにまで増やすということです。今では専門店業界や百貨店業界でも、こうしたチャネルの融合に注目しています。

 例えば、顧客が店舗に来て、気にいった商品があっても、色やサイズが違うため買わない場合があります。それを当社が提供しているキオスク端末などを使って、オンラインショップで注文していただくことで販売機会をロスしない。ネットとの連携で、トータルで増やす方向に進んでいます。

―― 貴社のビジネスとしてはどういう展開ですか。

諸星 われわれは店頭に置くキオスク端末などのシステムと、最適なシステムを構築するノウハウを提供します。O2O向けの具体的な製品としては、キオスク端末「NCR SelfServ 85 スリムライン」とeコマース・パッケージアプリケーション「エンドレス・アイル」があります。SelfServ 85は、32インチのタッチパネル式ディスプレーを搭載し、顧客に商品情報の提供、広告や販促情報を配信します。また、エンドレス・アイルにより、SelfServ 85はEコマース環境での利用が可能となり、顧客はオンラインストアでショッピングすることができます。

 ここで重要なのは、単にIT技術を提供するのではなく、どうすればカニバライズせず、販売機会を失わずに全体の売り上げを伸ばせるかということです。そのためのノウハウを用いてシステムを構築し、パッケージとして提供します。ハードとソフトを組み合わせただけではノウハウは入りきりません。また、業態によって、百貨店や専門店など購買層の違いがあり、それぞれにノウハウが異なります。当社はこれまで多くの企業に業務システムを導入してきて、それぞれの業務へのノウハウをかなり蓄積していますし、ノウハウを生かした最適なシステムを構築できます。

―― カニバライズが起こらないようにする秘訣は。

諸星 ひとつは補完関係をうまく構築することです。エンドレス・アイルを例に取りますと、アイルとは通路を意味しますが、商品棚が並ぶ通路がエンドレスに続くコンセプトです。つまりリアル店舗で在庫がなくても、足りない商品についてはオンラインストアで全部補完するという考え方です。顧客にはリアル店舗でいろいろ商品を見ていただいて、欲しい商品があれば店頭で買っていただき、商品がなければネットで注文していただく。こういう仕組みにすると、カニバライズは起きず、補完的な運用ができます。

 オンラインとオフラインとの垣根を低くして、互いにトータルで顧客を逃がさない取り組みが進んでいます。

ページ:

1

2

関連記事

好評連載

深読み経済ニュース

一覧へ

[連載] 深読み経済ニュース解説

2015年の経済見通し

[連載] 深読み経済ニュース解説

再デフレ化に突入し始めた日本経済

[連載] 深読み経済ニュース解説

消費税率引き上げ見送りの評価と影響

[連載] 深読み経済ニュース解説

安倍政権が解散総選挙を急ぐ理由

実録! 関西の勇士たち

一覧へ

ワンマンシリーズ(7)稀有のバンカー、大和銀行・寺尾威夫〈1〉

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第20回)

実録! 関西の勇士たち

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第19回)

ワンマンシリーズ(6)三和の法皇・渡辺忠雄〈3〉

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第18回)

ワンマンシリーズ(5) 三和の法皇・渡辺忠雄〈2〉

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第17回)

ワンマンシリーズ(4) 三和銀行の法皇・渡辺忠雄〈1〉

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第16回)

ワンマンシリーズ(3)住友銀行に残る堀田の魂魄

ビジネストレンド新着記事

注目企業

一覧へ

次世代の医療現場を支える病院経営の効率化を推進――保木潤一(ホギメディカル社長)

1964年にメッキンバッグを販売して以来、医療用不織布などの、医療現場の安全性を向上する製品の普及を担ってきた。国は医療費を抑える診断群分類別包括評価(DPC制度)の導入や、効率的な医療を行うため病院のさらなる機能分化を実施する方針を掲げており、病院経営も難しい時代に入っている。ホギメディカルは手術室の改善か…

刺激を浴びて徹底的に考え抜くことで自らを変革する―― 鎌田英治 グロービス 知命社中代表

ワンストップで手厚くサイトの売却をサポートするサイトマ――中島優太(エベレディア社長)

新社長登場

一覧へ

地域に根差した証券会社が迎えた創業100周年―藍澤卓弥(アイザワ証券社長)

中堅証券会社のアイザワ証券は今年7月、創業100周年を迎えた。この記念すべき年に父からバトンを受け継ぎ新社長となったのが、創業者のひ孫にあたる藍澤卓弥氏。地域密着を旗印に掲げてここまで成長してきたアイザワ証券だが、変化の激しい時代に、藍澤社長は何を引き継ぎ、何を変えていくのか。聞き手=関 慎夫 Photo:西…

メディカル事業を横串にすることでシナジーを発揮し、顧客満足度向上へ 伏見有貴(リゾートトラスト社長)

新事業の芽を伸ばすことでさらに大きな個性的な会社を目指す――日髙祥博(ヤマハ発動機社長)

イノベーターズ

一覧へ

老舗コニャックメゾンがブランド強化で日本市場を深耕――Remy Cointreau Japan代表取締役 宮﨑俊治

フランスの大手高級酒グループ、レミー・コアントロー社の日本法人。18世紀から愛飲されてきた名門コニャックの「レミーマルタン」や世界有数のリキュール「コアントロー」をはじめ、スピリッツやウイスキーなど戦略的なラインアップを日本市場で展開している。同社の宮﨑俊治代表取締役に事業展開について聞いた。 &nbs…

リグナ社長 小澤良介 家具のEC販売から様々な展開へ

内装空間の総合プロデュースで想いをカタチに創り上げる――ユニオンテック社長 大川祐介

大学の挑戦

一覧へ

専門分野に特化した“差別化戦略”で新設大学ながら知名度・ブランド力向上を実現――了徳寺大学・了徳寺健二理事長・学長

2000年設立で、了徳寺大学が母体のグループ法人。医療法人社団了徳寺会をグループ内に持つ。大学名の「了」は悟る、了解する、「徳」は精神の修養により、その身に得た優れた品性、人格を指す。「了徳寺」は人間としての品性、道を論す館の意味を込めた大学名だ。 聞き手=本誌/榎本正義 、写真/佐々木 伸教育部…

大学の挑戦

創立100周年、西南学院大学・K.J.シャフナー学長「世界に貢献しインパクトを与える人材を育てる」〜国際交流・就職支援・インターネット出願〜 

「“STAND BY YOU”のスローガンの下、学生一人ひとりに寄り添う教育を」――中央学院大学・佐藤英明学長

経済界からのお知らせ

最新号のご案内

経済界2018年12月号
[特集]
平成 ランキングで振り返る“時代”の経営者

  • ・バブル破裂で顔ぶれ一新 平成人気経営者の系譜
  • ・次の時代を創るリーダーとは?

[Special Interview]

 榊原定征(2025日本万国博覧会誘致委員会会長)

 「誘致決定まで1カ月 大阪万博を日本経済の起爆剤に」

[NEWS REPORT]

◆コンビニ軽減税率適用で激化する「外食VS中食」の戦い

◆「液晶のシャープ」が有機ELスマホを発売 初の国産パネルで攻勢をかける

◆「世界一高い」と認定された日本の携帯料金のこれから

◆チャネル政策を見直すトヨタ自動車の危機感

[特集2]

 北海道・新時代の幕開け

ページ上部へ戻る