マネジメント

外国人新社長の下、グローバル化を進めようとする武田薬品工業。だが、OBと創業家による反発、さらには臨床研究における不正疑惑などが加わり、同社の行く末には暗雲が立ち込めている。長谷川閑史会長のワンマン体制は、終局に来て大混乱の様相を呈してきた。

長谷川会長

長谷川会長が進めるグローバル経営に反発が強まる

OBと創業家が蜂起

 創業233年の歴史を持つ老舗が、外国人社長を迎え入れると発表したことで、世間を驚かせた武田薬品工業。国内製薬最大手の同社が、にわかに持ち上がった「お家騒動」に揺れている。

 きっかけは、会長の長谷川閑史氏の急進的な社内グローバル化に反発した、同社OBらの蜂起だった。6月27日に大阪市で開かれた武田の株主総会に先立ち、OBら112人が、7項目からなる事前質問状を、当時社長の長谷川氏に送りつけたことを、複数のメディアを通じて暴露したのだ。

 その内容は、いまだ具体的な投資効果が表れていない、計2兆円に及ぶ大型買収の責任や、招き入れた外国人幹部がマジョリティーを占めることによって、取締役会による企業統治が形骸化してしまったことなどの責任を追及するものだった。

 「ウェバー氏の社長就任は、外資の乗っ取りだ」

 長谷川氏にとって、このOBらの主張は、国際化の荒波に目を背けてきた、守旧派の悪あがきと映ったに違いない。

 2003年に創業家の武田國男前社長からバトンを譲り受け、11年にわたって社長として武田を率いてきた長谷川氏に代わり、英グラクソ・スミスクライン(GSK)出身のクリストフ・ウェバー氏が社長に就く。この仰天人事に対し、最も強い拒否反応を示したのが、武田にサラリーマン人生を捧げたOBたちだった。ただし、今は個人株主の立場にすぎない彼らの背後に、創業家一門の意向も働いていたことが、長谷川氏の想像を超えて、今回の騒動を大きくした。

 長谷川氏は、11年にスイスのナイコメッドを1兆1800億円で買収した頃、次期社長は生え抜きの日本人を据えると常々公言していた。しかし、2年後に選んだのは、生え抜きでも日本人でもなく、社外から引き抜いてきた実力未知数のフランス人だった。

 かつてはグローバルで年商1千億円以上を稼ぎ出した主力新薬がすべて特許切れで製品寿命を終え、安価なジェネリック医薬品に席巻されるようになったのが、12年のこと。ピーク時に約4千億円の売り上げがあった糖尿病治療薬「アクトス」を最後に、高収益を誇った武田の自社創出の新薬は途絶えている。

 こうした苦境の中、昨年から武田社内で進められたのが、全社的なコスト削減計画「プロジェクトサミット」だった。5年間で累計1千億円(その後1200億円に計画を引き上げ)の余剰利益を捻出するという大鉈も、昨年に入社したフランス人CFO(最高財務責任者)フランソワ・ロジェ氏の主導によって進められた。

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