[リーダーたちの師弟関係]
“師”とは人生の貴重な教訓を与えてくれた人を指す--野田一夫(日本総合研究所会長)
2014年7月8日


野田一夫(のだ・かずお)
1927年生まれ。52年東京大学社会学科卒業後、3年間同大学大学院特別研究生。55年立教大学に赴任し、助教授を経て65年に教授。多摩大学など3大学の初代学長、日本総合研究所初代所長、ニュービジネス協議会初代理事長などを歴任。
無名の青年の夢を真面目に聞く〝変人〟
「智に働けば角が立つ。情に棹させば流される」、--漱石の『草枕』の冒頭の一文ですね……。やたら専門用語を使う学者の抽象的定義より、はるかに的確に人間関係の本質を説明してくれていると思いませんか? 人間関係は、〝利〟でつながるものと〝情〟でつながるものに大別できます。売買とか貸借、時には上司と部下とかの関係は基本的には前者であり、師弟関係は親子とか恋愛などの関係とともに基本的には後者に入れられます。
ただし、〝師弟関係〟という表現は、学校時代に先生と生徒・学生だったという、それだけの関係ではありませんよね……。ある若者が学校時代にある先生から、授業またはそれら以外の場で人生上の貴重な教訓を学んだ場合に自然に生まれた敬愛の念が、〝師〟という語で表現されます。ですから、学校時代の先生ではなくても、人は何かの機会にその後の人生上での貴重な教訓を与えてくれた人を、ごく自然に〝人生の師〟と呼ぶのです。
望外の幸せですが僕は、昔からたくさんの若い起業家から〝人生の師〟と呼ばれてきました……。お世辞と言いたくありませんから、すべて心からの親愛感の表現だと考えています(笑)。
ある雑誌で孫(正義)さんが僕を「人生の志を教えて下さった人生の師」と言いました。僕はよく記憶していませんが、孫さんが誰かと一緒に赤坂のオフィスに初めてやってきた時の30年も昔の想い出でしょう。当時孫さんは九州から上京し、どこかのビルの小さな1室を借りて新事業の計画を練っていたらしく、社員もたしか2人しかいなかったとのことでした。
ただ、さすがにその頃から、既に孫さんは心中に途方もない夢を描いていたようでしたが、当時も今も日本では、そういう状況の青年の夢を真面目に聞いてくれる大人は〝変人〟しかいません。どうやら僕は幸い典型的な変人の1人に生まれ育ったらしく、昔も今も、青年の夢を聞いては、人生の先輩ぶって「単なる夢ではだめだぞ、夢は少年・少女の願望にすぎない。願望を成就するためには、夢を〝志〟と呼ぶ強い〝決意〟にし、それを常時自分自身に言い聞かせるだけでなく、機会あるごとに他人にも堂々と述べるべきだ……」といった説教をぶってきたのです。
ところが、この間久しぶりに孫さんに会った時、「有利子負債が9兆円になりました……」とあっさり言われて、帰途、あんなすごい人物に、30年前とはいえ、偉そうなことを言った自分をさすがに反省しましたね(笑)。
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