政治・経済

スパリゾートハワイアンズ

本場に劣らぬフラダンス、ポリネシアンショーが誘客を支える(スパリゾートハワイアンズ)

ハワイアンズ 大震災で1年近く休館、再開後2年で復旧複配

 東日本大震災から3年余り、施設が深刻な打撃を受けた福島県いわき市のテーマパーク「スパリゾートハワイアンズ」が復活軌道を走っている。2013年度の日帰り客が150万7千人と5年ぶりに大台を突破し、14年3月は17万人超と単月で最高記録を更新した。フラガールの多彩な活動、集客増を狙う巧みな販促活動が奏功したものだが、開業50周年を迎えて地域全体に賑わいをもたらす本格復興への正念場を迎える。

 スパリゾートハワイアンズの中核がヤシの木が茂る常夏のドーム型施設・ウォーターパークだ。その一角にあるビーチシアターで午後1時半、昼のショーが始まった。

 頭と首、手足にレイを着け、色とりどりのスカートに身を包んだ女性たちが軽快なリズムでフラダンスを踊ったかと思うと、陽気なリズムに乗って群舞するサモア・ダンス、男性ダンサーによる火の踊りが登場する。昼のショーで披露されるのは16曲ほどだ。

 5人から10人ほどの女性チームが舞台に登場するたびに、観客は声を出したり踊ったりして楽しむ。打楽器や弦楽器が鳴り響く中で、激しく腰を振るオテアが始まると、観客は一気に興奮し「アロハ!」を連発していた。

 ここの施設は11年3月の大震災と1カ月後のいわき直下型地震で、甚大な打撃を受けた。運営する常磐興産の営業企画スタッフによると、大プールは底に亀裂が生じ、ショーのステージや温浴施設も損壊、主要施設が1年近くも休館に追い込まれた。

 12年2月にやっと営業を全面再開したものの、12年3月期は宿泊客が何と8万5千人、日帰り客も37万人に落ち込み、レジャー部門は12億円の営業赤字に陥ってしまった。先行きが心配されたが、2年後の14年3月期には見事に復活、宿泊客は年間で45万9千人、日帰り客は同150万7千人と社史に残るような好成績を達成した。

 営業企画グループの猪狩光訓マネージャーによると、同期のレジャー部門の売上高は前期比12・1%増の130億円、営業利益は同23・5%増の22億円を確保し、4期ぶりの復配に大きく貢献した。

ハワイアンズ休館中にハード大改装とフラガールの慰問活動

 常磐興産の斎藤一彦会長は「営業再開の際、3年で元のレベルに戻そうと社員にハッパをかけた。数としては2年で何とか復旧できた」と心境を語る。なぜ予想より1年も早く復活させることができたのだろうか。その点を探ると、4つの要因が浮かび上がる。

 第1は施設の魅力を高める対策を休館中に講じたことだ。新ホテル「モノリスタワー」の開業に加え、既存ホテルの客室改装、大プールの修復と改良、ショー・ステージの3割拡張など、ハード面での大規模なリニューアル作戦を100億円掛けて実施した。

 ショーの中身も組み換え、照明と演出をレベルアップして楽しさあふれる内容に変えた。フラガール作詞のオリジナル曲を新たにショーに盛り込むと、口コミで評判を呼び、入場者の拡大に結び付いた。

 第2はフラガールの多彩な活動である。一例が、震災地や避難所をフラガールが慰問する「全国きずなキャンペーン」だ。訪問地は全国で125カ所、公演数が145回にも及び、ハワイアンズの認知向上にかなり成功した。

 13年5月からは、フラガールが全国の小学校を訪れて被災地の体験談を伝える出前授業(「フラガールきずなスクール」)を開始、子どもたちの話題をさらった。

 第3はファミリー層を狙ったマーケティング戦略だ。テレビCMの強化や施設内での機動的なイベントの連発はもちろんのこと、感謝セールや無料送迎バスの拡充強化が入場客を増やしている。無料バスは現在、9路線となり、「首都圏から年15万人の顧客を運ぶ。リピーターも増えている」と斎藤会長は強調する。

 そして、第4が復興支援消費の存在だ。被災地の復興を支援しようと、全国から来る団体客が想定を上回るレベルで続いている。「土産を買い、飲食もしてくれるので、地域は元気になれる」(斎藤会長)。

 ただ、復興支援消費はいつまでも続くわけではない。減少した子ども客を回復させ、リピーターのさらなる拡大や外国人客の新規獲得など、新たな対策が急務だ。そこを見越して、常磐興産は14年度に「オールニッポン感謝祭」と呼ぶキャンペーンを実施、集客増につなげる戦略に出る。

 15年には大きなイベントがある。いわき市での太平洋島サミットと福島県内での観光企画「デスティネーション」がそれだ。同じ年に開業50周年を迎える常磐興産にとって、質量兼ね備えた本格復興への跳躍台に活用できるか否か、まさに正念場と言える。

 

【地域が変えるニッポン】の記事一覧はこちら

雑誌「経済界」定期購読のご案内はこちら

経済界電子版トップへ戻る

関連記事

好評連載

深読み経済ニュース

一覧へ
一般社団法人かぎろい出版マーケティング代表 西浦孝次氏

[連載] 深読み経済ニュース解説

2015年の経済見通し

[連載] 深読み経済ニュース解説

再デフレ化に突入し始めた日本経済

[連載] 深読み経済ニュース解説

消費税率引き上げ見送りの評価と影響

[連載] 深読み経済ニュース解説

安倍政権が解散総選挙を急ぐ理由

実録! 関西の勇士たち

一覧へ

稀有のバンカー、大和銀行・寺尾威夫とは

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第20回)

実録! 関西の勇士たち

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第17回)

三和銀行の法皇・渡辺忠雄の人生

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第14回)

住友の天皇・堀田庄三の人生

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第11回)

商売の神様2人の友情 江崎利一と松下幸之助

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第7回)

関西財界の歴史―関経連トップに君臨した芦原義重の長期政権

ビジネストレンド新着記事

注目企業

一覧へ

家族葬のファミーユが目指す「生活者目線で故人に寄り添う」葬儀の形

家族葬のファミーユは家族や親族など故人の近親者だけで施設を貸し切って行う「家族葬」のパイオニアだ。創業者・高見信光氏は異端児と言われながらも旧態依然とした業界を変えてきた。その思いに共感し、異業種のリクルートから転じて社長を引き継いだ中道康彰氏も業界の常識を打ち破るため奮闘している。文=榎本正義(『経済界』2…

不動産のノウハウや技術を生かしサステナブルインフラへ―いちご

次世代車向け先進技術を応用する日本発プラットフォーマー ―イーソル

新社長登場

一覧へ

「若者需要の開拓でビール市場を盛り上げていく」塩澤賢一(アサヒビール社長)

アサヒグループ食品の副社長から、この3月にアサヒビールの社長に就任した塩澤賢一氏。長年、ビール営業畑を歩み、マーケティングを兼ねた繁華街歩きを趣味にしている。街の変化から世の中の流れを読む塩澤新社長が挑むのは低迷するビール市場の活性化。若者需要を伸ばしつつ、スポーツイベントを商機として攻勢をかけていく。聞き手…

塩澤賢一(アサヒビール社長)

「事業部門の連携を活性化させ営業利益100億円を目指す」 内藤宏治(ウシオ電機社長 )

地域に根差した証券会社が迎えた創業100周年―藍澤卓弥(アイザワ証券社長)

イノベーターズ

一覧へ

シリコンバレーへの挑戦が生んだ「起業家と投資家が待ち望んだサービス」― 戸村光・ハックジャパンCEO

起業家のスタンスとして、画期的な技術やビジネスモデルを社会で活かすことを目的としたイノベーション先行型もあれば、社会課題解決を最優先とし、そこに必要な技術やノウハウを当てはめていくやり方もある。ハックジャパンCEOの戸村光氏の場合は後者。対象となる課題は「身の周りの気付いたことすべて」だ。(取材・文=吉田浩)…

戸村光・ハックジャパンCEO

「測量美術」が起こす道路工事のイノベーション―草木茂雄・エムアールサポート社長

IT化で変革する産業廃棄物処理の世界―福田隆(トライシクルCEO)

大学の挑戦

一覧へ

専門分野に特化した“差別化戦略”で新設大学ながら知名度・ブランド力向上を実現――了徳寺大学・了徳寺健二理事長・学長

2000年設立で、了徳寺大学が母体のグループ法人。医療法人社団了徳寺会をグループ内に持つ。大学名の「了」は悟る、了解する、「徳」は精神の修養により、その身に得た優れた品性、人格を指す。「了徳寺」は人間としての品性、道を論す館の意味を込めた大学名だ。 聞き手=本誌/榎本正義 、写真/佐々木 伸 …

大学の挑戦

創立100周年、西南学院大学・K.J.シャフナー学長「世界に貢献しインパクトを与える人材を育てる」〜国際交流・就職支援・インターネット出願〜 

「“STAND BY YOU”のスローガンの下、学生一人ひとりに寄り添う教育を」――中央学院大学・佐藤英明学長

経済界からのお知らせ

最新号のご案内

経済界2019年10月号
[特集] 進撃のスタートアップ
  • ・スタートアップ・エコシステムの活性化
  • ・[スパイバー]2万5千円のTシャツは完売 実用化が迫った人工クモの糸
  • ・[Rhelixa]エピゲノム関連の研究・開発で人類の役に立つ
  • ・[チャレナジー]台風発電でエジソンになる ビジネス展開は「島」から
  • ・[エイシング]エッジで動く超軽量AIでリアルタイムに予測制御
  • ・[キャディ]製造業に調達革命! 町工場は赤字から脱出へ
  • ・[Clear]目指すは日本酒産業のリーディングカンパニー
  • ・[空]「値付け」の悩みを解決するホテル業界待望のサービス
  • ・宇宙ビジネスに民間の力 地球観測衛星やロボット開発
  • ・71歳で環境スタートアップを立ち上げた「プロ経営者」
[Special Interview]

 荻田敏宏(ホテルオークラ社長)

 「The Okura Tokyo」をショーケースに海外展開を進めていく

[NEWS REPORT]

◆戴正呉会長兼社長を直撃! なぜ、シャープは復活できたのか?

◆アスクル創業社長を退陣させた筆頭株主・ヤフーの焦り

◆サービス開始から3カ月で撤退 セブンペイ事件の背景にあるもの

◆絶滅危惧種ウナギの危機 イオンが挑むトレーサビリティ

[特集2]

 富裕層は知っている

・富裕層の最大の使い道は商品ではなく次代への投資

・シンガポールからケイマン諸島まで 資産フライトはここまで進化した

・年間授業料100万円超は当たり前 教育投資はローリスクハイリターン

・最先端の人間ドックは究極のリスクマネジメント

・家事代行サービスで家族との時間を有効活用

ページ上部へ戻る