国際

深刻な不振に陥った中国株式市場

 

 世界の株式相場が史上最高値を更新する一方で、中国株市場の不振が顕著だ。

 世界の株式相場上昇の理由は、(1)米国を中心に世界経済が順調に成長している、(2)ユーロ危機が終息した、(3)主要先進国ではゼロ金利が続く、などが挙げられる。これらの要因が、当面、大きく変化するとは考えにくいため、世界の株式相場の上昇基調に大きな変化はあるまい。

 そんな中、日本と中国の株価は、史上最高値よりもはるかに低い水準にある。日本の株価のピークは、バブルのピークである1989年12月だったので、それからまもなく四半世紀が過ぎようとしている。

 アベノミクス相場で日本株は大きく上昇したが、それでも、現在の株価はピークの半分以下の水準にとどまる。中国も日本と同じ道をたどるのだろうか。

 2000年から09年にかけて、新興国株式市場は、BRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)を中心に、大きく上昇した。MSCI新興国株価指数は164%拡大し、MSCI先進国株価指数の8%下落を大きく上回った。

 その中でも、ブラジルは496%、インド300%、ロシア299%、中国152%上昇と、BRICsは世界の中でも好調だった。

 ところが、10年代に入って、景色は一変した。

 新興国株式市場は不振に陥り、リーマンショックの発信源である米国、ユーロ危機の発信源である欧州と比較しても、大きく出遅れている。

 10年から14年5月末までに、MSCI新興国株価指数は25%上昇にとどまり、米国の90%上昇、欧州の47%上昇と比較すると不振だ(MSCI先進国株価指数は65%上昇)。

 その中でも、中国は6%上昇にとどまる。07年の中国株の高値を100とすると、今年5月末は69にすぎない(同じく、米国は144、欧州は110、日本は75)。このように、10年代に入って、中国株の不振は深刻だ。

 

中国の地位の変化が株価に影響を与える

 

 株価低迷の要因は、第1に、中国経済の成長の減速だ。

 中国の経済成長率は、ピークである07年に14・2%に達した。ところが、15年には7・0%に低下の見込み。その最大の原因は、経常黒字の減少だ。中国の経常黒字対GDP比は、07年の10・1%から15年には1・5%へと大幅に低下する見とおしだ。

 経常黒字急減の理由としては、(1)人民元の上昇、(2)世界経済不振の長期化による輸出の不振、(3)内需の好調による輸入拡大、などがある。

 しかし、より構造的には、「世界の工場としての中国の地位は終わった」ということなのではないか。10年代に入って、中国は、発展途上国から中進国へシフトしつつある。中国の1人当たりGDP(14年IMF予想)は7138ドルと、ベトナムの2064ドル、インドの1389ドル、ミャンマーの980ドルを大きく上回る。これでは、中国の安い賃金を使って、先進国に安い商品を輸出するビジネスモデルが成り立たない。必然的に、外国企業の設備投資は東南アジアやインドにシフトせざるを得ない。

 さらに、反日暴動の顕在化リスクが挙げられる。12年の反日暴動勃発以降、日中関係が悪化し、安倍政権でも修復の兆しが見られない。

 中国は、ウイグル、チベットなどの地域紛争、貧富の格差、汚職などの深刻な国内問題を抱えている。このため、中国政府は、国内の不満を外に向けるため、尖閣諸島、南沙諸島などで挑発的な行動を繰り返している。日中関係の修復の兆しが見られない以上、日本から中国への投資は鈍化する。

 株価長期低迷の要因は、第2に、典型的な新興国型産業構成だ。中国の株式市場の業種別時価総額構成比で最も大きいのは、金融の36%、続いてエネルギーの11%、通信技術の11%だ。

 つまり、これら3業種で市場全体の58%も占める。時価総額の大きい上場企業の多くは、国営企業が民営化されたものであり、経営者の多くは中国共産党員だ。中国では、かつての日本のソニーやホンダに相当する大型企業は見当たらない。グローバル時代に、世界に通用する会社が少ないのでは、株価の大きな回復は期待しづらい。

 

中国の株価上昇の鍵は金融システム整備と日本との関係修復

 

 それでは、中国株の本格上昇の条件は何か。第1に、金融システムの整備だ。中国の最大のリスクは、理財問題に代表される金融問題だ。金融制度をオープンにし、かつ先進国並みに整備することが、不良債権問題の早期解決につながるだろう。これにより、時価総額が最も大きい銀行株の上昇が期待できる。日本は、大型金融危機を何度も経験しただけに、金融システム整備のノウハウが豊富だ。金融庁、日銀を中心に、中国の金融システム整備に積極的に協力することが期待される。

 第2に、日本との関係修復だ。これにより、中国は日本企業の投資を誘致し、技術の移転が促進されよう。また、日本企業が中国市場の開拓を行うことによって、中国の消費、サービス市場の発展に寄与できることだろう。これは、双方の経済に大きなメリットがある。

 結論として、日中関係が本格的に改善し、経済交流が活発化すれ