マネジメント

 かつて「お金の神様」と称えられたひとりに、邱永漢という人物がいます。「資産は、法人で貯めるべし」とは、税金対策本の草分けと言える同氏の著書にある言葉。今回は、この「神の言葉」を検証してみます。

邱永漢の名言を検証① 税率は資産の法人所有が断然お得

 まず、税率は、資産を法人で持つほうが断然低くなります。法人の実効税率は地方税を合わせても東京都の場合は、35・64%(※1)。対する個人は、最高税率が55%(※2)。ですから、資産を毎年法人で貯めていくほうが、長期的な資産額は、大きくなるのです。

邱永漢の名言を検証② 資産取得も法人が有利

 長期間保有している資産(土地や有価証券)の簿価が、現在の時価よりも安い場合が多々あります。それが法人所有の資産である場合、相続評価では、「含み益(相続評価額マイナス簿価)」の40%(※3)を控除してくれます。それに対して、個人で資産を保有していると、相続評価額の100%の評価になります。とはいえ、個人保有の場合も、小規模宅地に関する特例などがあり、一部個人が有利な場合もあります。ご注意のほどを。

邱永漢の名言を検証③ 資産の法人所有と個人の満足感のバランスが問題

 私の勧めで資産の法人保有を長期間実践し、かなりの資産を成した社長さんに、こうぼやかれたことがあります。

 「本郷さん。会社には財産が残ったけど、ボクはお金が全く使えず、ずぅーっとピーピーだった。何となく、人生で損した感じだよ」

 なるほど、少しだけ責任を感じます(笑)。

 とはいえ、引退時には退職金として個人への財産移転が可能です。退職金の税率は低く、役員報酬の税引き後の手取りが額面の約半分とすれば、退職金は約4分の3。しかも、人は(生物学上)144歳まで生きられるとか。会社引退後も人生を楽しむ時間はいくらでもあるということです。そう、引退後の人生も長いのですよ、社長さん(笑)。

 

※1:法人実効税率については、平成26年4月1日以後の開始事業年度から復興特別法人税が廃止

※2:個人最高税率は、平成27年分以後の所得税から、課税所得4千万円超の部分が45%となり、住民税の10%と合わせて最高55%となる

※3:平成26年3月31日までは42%。平成26年4月1日以後は40%

 

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