マネジメント

 今回のテーマは、「PL法の適用対象」です。PL法の正式名称は「製造物責任法」。その名のとおり、PL法は「製品に欠陥があった場合の業者の特殊な責任」を定めた法律ですが、適用対象は製造業者のみに限定されません。今回は、高級外車メルセデス・ベンツの事例をもとにPL法の適用対象について説明します。

【事 例】

 ある会社の創業者、A氏は、高級外車のメルセデス・ベンツを購入しました。販売したのはメルセデス・ベンツ日本株式会社。同社は、ダイムラー・クライスラー株式会社(当時)の日本における総輸入元として、同社製品の輸入販売を手掛けていました。

 A氏は購入したベンツで妻と初ドライブに出掛けました。ところが、メーターの表示されるディスプレーに、トランクの開閉状態に関する警告灯が点灯しています。そこでA氏は、登坂車線にてレバーをパーキングに入れ、フットブレーキを踏みこみ、停車させた上で、トランクの開閉作業を行いました。しかし、開閉作業を何度繰り返してみても警告灯は消えません。

 A氏が途方に暮れていると、停車中のベンツが、突然坂を後退し始めました。慌てたA氏は、後退するベンツを追い掛け、運転席に乗り込もうとしましたが、車体とガードレールの間に挟まれたまま30メートル近く引きずられてしまいました。A氏はレスキュー隊に救出され、病院に搬送されましたが、胸部挫傷により亡くなりました。そしてA氏の遺族は、欠陥車両を輸入・販売したことを理由に、メルセデス・ベンツ日本株式会社に対し、6億円近い損害賠償を求める訴えを提起したのです。

【解 説】

PL法の対象は製造業者だけではない

 PL法の適用対象は、大きく次の3者です。

(1)製造業者

(2)加工業者

(3)輸入業者

 このうち、「輸入業者」がPL法の適用対象に含まれていることに違和感を覚える方もおられるはずです。ただし、今回のベンツ事件で訴えを起こされたメルセデス社も車両を製造していたわけではありません。ですが、車両を輸入していたことでPL法の適用対象となったのです。

 PL法は、日本の消費者を欠陥商品による被害から守る法律です。輸入業者は製品を国内で最初に流通させる当事者なので、PL法の適用対象とされるわけです。

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