政治・経済

 観光庁は、4月のビジット・ジャパン事業10周年を機に、海外プロモーションの抜本的転換を図った。海外6カ国8人の外国人を含む11人の委員による「『普遍的な日本の魅力』の再構築・発信に関する検討会」において取りまとめられた「訪日観光の3つの価値」を踏まえ、PR映像、ウェブサイト、ガイドブックについて、震災時に称賛を浴びた「日本人」を切り口として一新した。座長を務めた西村幸夫・東京大学教授に、検討会を通して感じたことなどを聞いた。

 

日本の面白さは日本人そのものにある

 

西村幸夫(東京大学先端科学技術 研究センター所長・教授)

西村幸夫(東京大学先端科学技術 研究センター所長・教授)

―― これまでの経緯を。

西村 昨年8月~今年2月まで3回の検討会で活発な議論を重ねてきました。アジア、欧米の知日家による指摘は新鮮で非常に面白かった。最初に作ったデモビデオは酷評で、全面的に作り替えることになりました。

―― ダメ出しの部分は。

西村 日本には四季があり、食事がおいしく、文化や伝統もある……といった内容でしたが、これでは今までの日本の売り方と何ら変わらない。四季がある国は他にもあるし、歴史のある国も多い。最終的に日本の面白さは、日本人そのものにあるのではないか。伝統工芸品だけでなく、ハイテク製品に至るまで、モノづくりへのすさまじいこだわりがある。一見無愛想だが、気心が知れると親しみがあるし、田舎に行くとサイフを落としても出て来る。街も最先端な中に古いものが混じり合っている。これは他のアジアにもないと。

―― 「訪日観光の3つの価値」(3C)と。

西村 日本人の神秘的で不思議な「気質」(Character)に触れることができる、日本人が細部までこだわり抜いた「作品」(Creation)に出会える、日本人の普段の「生活」(Common Life)にあるちょっとしたことを経験できる、というものです。17言語で展開するメーンPR映像では「DISCOVER the SPIRIT of JAPAN」をテーマに、リオのサンバカーニバルとも比較される「阿波踊り」を入り口に、情熱的な「日本人」を紹介しています。その他、新設のウェブサイトに合計で160本以上の動画を準備し、「知られざる日本」を発見してもらうことを狙っています。

―― よく1つに絞り込めましたね。

西村 祭りにも、おわら風の盆やねぷたもある、となると、総花的でインパクトが無くなる。もっと人を前面に出そう、と。

―― 西村さんと観光との接点について。

西村 1996年頃から、当時の観光審議会や運輸省などと話し合う機会が増えました。もともとは都市計画畑で、個性ある魅力的な都市づくりや世界遺産の話などにかかわってきました。しかし、そうした地域は往々にして観光地とかかわっており、都市を良くすることが観光にも重なる部分が多かった。

―― 海外からの旅行者にとって不具合、不満点は?

西村 レンタカーの窓口が空港内になかったり、鉄道の切符や道路標示が日本語だけとか、問題は多いが、受け入れのための壁を取り払おうと本気で考えれば知恵は出てきますよ。

 

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