戸別売電可能な太陽光発電マンションを首都圏で初めて供給したタカラレーベンは、供給実績でも全国第1位を誇る。顧客満足度を重視する経営戦略で着実な成長を目指し、戸建事業や営業エリア拡大に邁進している。(聞き手=本誌編集委員/清水克久 写真=佐藤元樹)

太陽光発電マンション、3年連続供給戸数全国第1位

屋上に太陽光パネルが設置されている「レーベン新川崎デュアリズム」

屋上に太陽光パネルが設置されている「レーベン新川崎デュアリズム」

 -- 首都圏を中心にマンション販売は好調のようですね。

島田 昨年1年間で状況は大きく変わりました。景気向上期待が高まって、消費者のほうに不動産を買いたいという気持ちが起きたと感じられます。それに加え、復興需要や2020年の東京オリンピック招致効果で、不動産に先高感が出てきたことも大きいですね。事実、物件価格の上昇もみられています。だから、買うなら今、という動きになっているのです。当社も昨年は1750戸を販売し、過去最高を更新しました。

-- マンションデベロッパーとして、御社の特徴は。

島田 顧客ターゲットとしては1次取得者、ファミリー層をメーンと考えています。エリアとしては、現状では東京都下、埼玉県などの首都圏郊外がメーンです。今、都心の高額物件に勢いがありますが、このジャンルは体力のある財閥系大手のマンションデベロッパーの得意分野なので、当社は郊外のファミリー層に絞りこんでいます。

-- 太陽光発電マンションのパイオニアですね。

島田 埼玉県和光市で、首都圏初の戸別太陽光発電マンションである「レーベンハイム光が丘公園」を販売しました。今年は約20棟のマンションを販売しますが、その約7割が太陽光発電マンションです。戸別太陽光発電だけでなく、専有部で使用可能な太陽光発電を搭載した太陽光発電マンションの累計供給実績も、全国第1位になっています。

 当社の太陽光発電マンションで発電した電力を売電すると、1世帯当たりの月々の電気代が従来の半分以下になるという例もあります。経済効果が高いことはもちろん、環境に優しい点がお客さまに喜ばれています。つまり、お財布にも地球にも優しいマンションなのです。

 デザインや立地はマンション選びの重要なポイントですが、経済効果の点で優れていることが他社の物件と一線を画す、差別化のポイントです。

-- 首都圏から地方にも展開していると聞いています。

島田 首都圏郊外が中心ですが、実は昨年度の供給のうち約3割は地方都市です。栃木県、茨城県、群馬県が多いのですが、06年から、富山市の市街地再開発事業に参加しています。これに加えて長野市や金沢市などにもマンションを計画中です。

 北陸を例にとると、戸建に長年、家族で住んでいた方が、子育ても終わり、高齢になってくると、利便性を求めて駅に近い市街地のマンションに住み替えたいという希望が強くなってきます。やはり、いつも車で買い物に行かなくてはいけないことや雪かきは大変ですからね。アクティブシニア、あるいはシニア予備軍といった層で、このようなお客さまが今後ターゲットになってくると思います。

安定的な収益源であるストック事業の拡充を

-- 建築資材などの高騰はどのような影響がありますか。

島田 昨年から建築費の上昇がよく取り上げられますが、今後も下がる要素はしばらくないと思われます。問題は、建築費が上がり過ぎるとそれが物件価格にはね返って、高くて売れない物件が出てきてしまうことです。ですから、あまりにコストが高い物件は建築を見合わせると言うこともあり得ます。これは業界全体としての課題です。

-- 競合他社の状況は。

島田 当社が市場としている郊外は、同じように郊外型マンションを供給していたデベロッパーが減っているのです。これはリーマンショックの影響で、郊外を主戦場としていたプレーヤーが破綻してしまった例もあり、生き残った会社も、その経験があるので動きは慎重です。

-- 今後の展望は。

島田 まず当社の事業を大きく3つに分けて考えています。1つ目は新築分譲マンション事業であり、この事業は現在の戦略を維持、発展させて、安定的な増加を目指していきます。2つ目が戸建事業です。これは、太陽光をはじめ、他社との差別化が明確にできる商品の開発に注力し、年間供給300戸体制を早期に実現したいと思っています。そして3つ目が、その他事業ですが、具体的にはリニューアル、管理事業、賃貸などを指します。これらは既存顧客をベースとしたストック事業なので安定的な収益源になります。またメガソーラー事業ですが、これは社会貢献の一環として参入したものです。栃木県塩谷町に昨年、発電所を建設、16年3月期までに20メガワットの稼動を目標にしています。

-- リゾートマンション事業もあると聞いています。

島田 メーンターゲットは、アクティブシニアとシニア予備軍でかつ富裕層です。昨今、リゾートに対する価値観にも変化が見られ、首都圏郊外のブランド立地に対するニーズが高いことから、条件に見合うものがあれば、適宜取り組んでいきます。

 

 タカラレーベン

島田和一(しまだ・かずいち)
1965年生まれ。87年宝工務店(現タカラレーベン)入社。98年取締役。2000年常務開発本部長。06年代表取締役副社長。14年4月に同社長に就任。

 

経済界からのお知らせ

最新号のご案内

経済界11月号
[特集]
運の科学

  • ・北尾吉孝(SBIホールディングス社長)
  • ・江口克彦(江口オフィス社長)
  • ・畑村洋太郎(畑村創造工学研究所代表)
  • ・藤井 聡(京都大学大学院工学研究科教授・内閣官房参与)
  • ・角居勝彦(日本中央競馬会調教師)
  • ・桜井章一(雀鬼会会長)

[Interview]

 安永竜夫(三井物産社長)

 「やるべきことは2つ。方向性を指し示し、トップ同士の関係を構築する」

[NEWS REPORT]

◆東芝メモリ買収の影の主役 産業革新機構の収支決算

◆電気自動車がガソリン車を駆逐するまであと10年

◆60代を迎えた孫正義 ソフトバンク300年の計への足固め

◆出版不況の風向きは変わるか!? 常識を覆すオンリーワン作戦!

[政知巡礼]

 若狭 勝(衆議院議員)

 「自民党のしがらみ政治をぶった斬りたい」

ページ上部へ戻る