昭和4(1929)年創業の倉庫業、運輸業として長い歴史を持つ東洋埠頭。日本では自前で埠頭を所有している数少ない会社の1つであり、そこを拠点に総合物流業を展開している。現状と今後の経営方針を聞いた。(聞き手=本誌編集委員/清水克久)

満鉄時代から続く物流業界の老舗「東洋埠頭」の経営環境と強み

自社保有の埠頭には最新の設備がある(川崎市)

自社保有の埠頭には最新の設備がある(川崎市)

-- まず御社の概要をお知らせください。

 創業は昭和4年、南満州鉄道株式会社の子会社として誕生しました。満鉄が日本に運びこんださまざまな貨物を日本の港で受け入れる受け皿として誕生したのです。「埠頭」という社名ではありますが、物流のよろず屋といった雰囲気で、物流全般にかかわるサービスを提供しています。倉庫業と港湾運送業を軸に、荷役、保管、運送、通関、流通加工などの物流にかかわるあらゆる機能を備えています。

 当社の最大の特徴のひとつは、自前の埠頭を持っていることです。通常は行政が管理している港湾設備を借りて事業を行うのですが、当社は創業時から、川崎に自前の埠頭と設備を持っています。

-- 現在の業界の経営環境はどのようなものですか。

 いわゆる物流業は荷主からコスト削減が厳しく求められます。しかし、絶対に物流という機能は欠かせないので、自分たちがものを運ぶだけではなく、顧客にどんなサービスを提供できるかという点が重要になってきます。そもそも物流は人手がかかる仕事です。倉庫に物を入れるにも荷捌きの人員が必要ですし、倉庫などの建物は簡単に削減できません。そこで、システム化、機械化で大きなコストカットを実現しているのです。また、最近は物流ファンドが倉庫を持って、物流企業に貸すという業態も出て来ています。これはスケールメリットがあります。そういった環境の変化もあって、競争は激しくなっています。

-- 景気変動の影響は大きいのでしょうか。

 物流業界への景気の影響は、ワンテンポ遅れます。リーマンショックの時も、しばらくは倉庫に在庫があるので、保管料が入ります。ところがそれがなくなってしまうと次の在庫が入ってこないという状況になります。ただ、世間の景気動向を見ながら先の展開を予想して対応できる利点があります。

-- 業界の中で、御社の強みを教えてください。

 ただ物を運ぶ、倉庫で保管するのではなく、総合的な物流サービスの提供を心掛けています。当社のような事業は広告を打ったから仕事が増えるといったことはありません。倉庫そのものの性能、トラックの性能なども他社とは差がありません。だからこそ、人的サービスの充実、ソフト面でのサービスの拡大が重要なのです。顧客にはさまざまな提案をしています。できるだけ、顧客と同じ視点に立って、物流を形成できるように気を配っています。当社が培った知識とノウハウをそこで生かしていく。そのために、社員には広汎な勉強をさせています。

 一例ですが、紙を運ぶとなったら、その紙はどこの原料でどのように製造されていて、最終的に何に使われるのか、品質の良し悪しはどこで決まるのかといったことまで学ばせます。当社がかかわるのは、運ぶ、倉庫に保管するという一部ではありますが、全体像をきちんと理解することで、求められるサービスを知ることができるのです。そこから、本当に役に立つ提案ができるようになるのです。

「東洋埠頭」の新たな取り組みと今後の展望

-- 設備面でも新たな取り組みがあると聞いています。

 川崎に新たな物流倉庫を造りました。既に稼働しており、あるスーパーの物流拠点になっています。生鮮食品も多く扱うので冷蔵などの設備はもちろん、周辺の空気が倉庫に入らないようにする特殊な空調などの機能を持っています。また川崎市は今、政策として物流、エネルギー関連の施設誘致を行っております。それに合わせて当社は、バイオマス発電用の木質ペレットを隣接するバイオマス発電所へ搬入する設備を、来年7月稼働に向けて建設する予定です。

-- 先ほど、コスト削減という話もありました。それに関するシステムへの取り組みは。

 倉庫業におけるIT化は必須です。かつては、入庫の段階で出庫の時に手間がかからないように倉庫内に配置する、あるいはピッキングしやすいようにする必要がありましたが、現在では、IT化で入庫した順に次々と倉庫に入れ、出庫時にシステムで何がどこにあるかを確認してピッキングするようになってきています。

 こうすることで、入庫時の手間が省け、出庫時もすばやいピッキングができるのです。当社もいずれはそのレベルか、それ以上のシステムを構築しなければなりませんが、業務全体のさらなる効率化に向けてシステム開発に取り組んでいます。

-- 今後の展望をお聞かせください。

 例えば金融業ではお金を預かり、出資や運用することで経済に貢献しています。当社のような倉庫業、運輸業は、物を預かることで経済に寄与しており、これからも今まで以上のサービスの拡充を図っていきたいと思っています。

東洋埠頭

原 匡史(はら・まさふみ)
1959年生まれ。85年立教大学理学部卒業。同年東洋埠頭入社。2009年執行役員経営企画部長。10年取締役執行役員。13年取締役常務執行役員を経て14年4月に社長に就任。

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