1965年に米国で誕生したウィルソン・ラーニング社は、81年に日本に進出。現在では、日本法人が世界中のグループを統括している。日本経済新聞社と業務・資本提携を締結しさらなる成長を目指す同社の展望を聞いた。聞き手=本誌編集委員/清水克久 写真=佐藤元樹

競争激化の中で実践的研修プログラムの質の強化を

為定明雄(ためさだ・あきお) 1981年早稲田大学文学部卒業。同年日本経済新聞社入社。2006年日経MJ(流通新聞)編集長。12年人材・教育事業本部長。13年6月からウィルソン・ラーニングワールドワイド取締役を兼務。14年4月から社長。

為定明雄(ためさだ・あきお)
1981年早稲田大学文学部卒業。同年日本経済新聞社入社。2006年日経MJ(流通新聞)編集長。12年人材・教育事業本部長。13年6月からウィルソン・ラーニングワールドワイド取締役を兼務。14年4月から社長。

-- 御社の概要と事業内容はどのようなものですか。

為定 米国で優秀な営業マンだったラリー・ウィルソンが創業した会社です。氏は保険のセールスマンだったのですが、あまりに優秀なので、外部から講演を頼まれるようになったそうです。ところが、自分のどのような営業活動が、好成績を挙げる鍵なのかが本人は全く分からなかった。そこで大学に入りなおして、心理学を学び、自分が顧客の性格や反応に合わせて、どのように対応してきたか、その効果はどうか、と整理していった。それをベースに研修プログラムを作成したことが、当社の始まりです。日本への進出は、1981年です。

-- 現在は、日本法人が世界中のグループを統括する立場だそうですね。

為定 米国の会社が一時買収されて、日本法人がそれを買い戻した形になっているのです。91年から日本法人がホールディングスの機能を持っています。

-- 御社の主力事業である研修の特長をお聞かせください。

為定 研修プログラムとしては、営業力の強化、コーチング、組織のマネジメント、リーダーシップ研修が多い。業界知識などのハードスキルではなく、ソフトスキルと言われるジャンルの研修がほとんどです。心理学をベースに研修プログラムが構成されているので、国柄が違っても世界中で通用する内容になっています。

 また、クライアントには大手企業が多く、社内の講師を育成したいという要望が多い。そこで、当社の研修プログラムを教えることができる認定講師の育成にも力を入れています。

-- グローバルという特色をどのように生かしていきますか。

為定 現在、世界の45カ国に地域法人、代理店を持っていますが、日本国外のお客さまはほとんどが、欧米のグローバル企業か地元企業です。日本企業がこれだけグローバル展開している今、日本企業の海外での人材育成を今まで以上にお手伝いしていきます。

 特に現地社員の幹部候補生に、日本と同じプログラムを英語ないし現地語で実施することは、すぐにでも可能で、この成果を日本語で日本の本社にフィードバックできます。

日本経済新聞社とのシナジーを期待

-- 認定講師を育成してしまうと、それ以降の研修事業の継続が難しいのでは。

為定 常に新規のお客さまを開拓し続けなければなりません。また、企業の課題に対しても、常に新しいプログラムを開発し、既存のプログラムもバージョンアップし続けることに取り組んでいます。

-- 新しいプログラムの開発は大変ではないでしょうか。

為定 実は、既存の研修プログラムを習得内容などでモジュール化しているのです。そのモジュールを組み合わせることで、さまざまなプログラムを作ることができます。これは新しいプログラムの開発にも、お客さまの要望や状況にあわせたカスタマイズにも役立ちます。

-- 昨今の企業研修では、eラーニングも普及しています。

為定 当社も事業として企業内の人材育成、自己啓発のためのポータルサイトの構築、運営を行っています。当初は、他社のeラーニングプログラムを仕入れてきて、それを複合的に提供できるサイト作りをお手伝いしていましたが、最近は学ぶ気持ちになる工夫を心懸けています。単に研修プログラムを集めるだけではなく、社員一人ひとりが学びたくなる、学ぶモチベーションが上がる環境をウェブ上で提供していくのです。社長自らのメッセージや事業部ごとに「何を学ぶべきか」といった情報を相互に共有できる場を提供し、eラーニングにとどまらず、さまざまな研修を提供できる環境づくりを提案しています。

-- 日本経済新聞社と業務・資本提携した背景は。

為定 日本経済新聞社はもともと、記者が持つ知見、業界知識などを企業などに教える研修事業を行っていました。いわゆる知識系の研修と、当社のソフトスキルの研修を組み合わせることでシナジーが生まれると考えています。「日経TEST」というTOEICの経済知識版のようなものがあるのですが、このスコアを社内の昇進の目安にして貰えると面白いと考えています。

 当社の考え方として、「自転車の両輪」というものがあります。後輪は駆動力を与えるものですが、前輪は舵取りをするもの。仕事を成功させるには、駆動力となる知識だけではだめで、舵取りをするソフトスキルが欠かせない。この考えで事業を展開していきたいと考えています。

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