1969年に独立系のICTベンダーとして創業したコア。2003年に東証2部、翌04年に東証1部上場を果たした業界の老舗企業の1つだ。組込みシステムでの豊富な実績を背景に、新たな市場開拓を目指していく。聞き手=本誌編集委員/清水克久 写真=佐藤元樹

組込みソフトウエアの実績で独立独歩の成長を

-- まず御社の概要をお聞かせください。

松浪 1969年に独立系のベンダーとして創業以来46期目、73年にグループ化してから41期目を迎えました。社名は「情報サービス産業の核になる」という意味が込められており、組込みソフトウエアをコア事業ととらえて1万件以上の実績があります。当初は家電関連、ファクス、アナログ電話、コピー機などの組込みソフトウエアが多く、その後は電話機がデジタルに換わり、PHSや携帯電話なども手懸け、現在も売り上げの半分以上が組込みソフトウエアになっています。ほかには金融、生保などのシステム開発、当社オリジナルのソリューション、プロダクトがあります。

-- ICTベンダーとして、独立系の強みとは。

松浪 メーカー系のベンダーはクライアントへの提案内容が絞られてしまうのでベストの提案ができない。独立系はバックボーンがない弱点はあるのですが、人に頼らず、自分たちで考えて仕事を進めていくという文化があり、それが強みです。

-- ICT業界はM&Aで成長を目指す動きがありますね。

松浪 競合他社はM&Aなどで資本増強、売り上げ規模の拡大などを図っていますが、当社は自律的な成長を目指す文化です。

 現在、グループには子会社が10社、関連会社も6社、海外では北京と上海に各1社があり、国内外に合計23カ所の拠点があります。また当社はかつて、分権型経営をしてきました。当社の管理職の多くは、もともと技術者です。「バス理論」というものがありますが、技術者が管理職になった場合、バス1台分の人数であれば統率できることを受けて、60〜100人くらいを目安に地域ごとに別法人にして分権型経営をしてきたのです。それを再統合し、今では全体で9つのカンパニーに分割して、独立採算制を採っています。地域ごとの事情に則した活動ができるメリットがあります。

-- 常に技術革新が進む業界ですが、研究開発ではどのような工夫を。

松浪 多い時は年間6億円程度の研究開発投資を行っていました。今は少し絞っていますが、それでも年間3億円程度です。現在は、GPSの研究に力を入れています。国産の準天頂衛星が打ち上げられているのですが、既存の技術では測位誤差が数メートル。それが当社の技術であれば数センチにまで抑えられています。この技術は、自動車の自動運転、農機具の自動運転などに活用できます。

 ただ、現在はまだ準天頂衛星が1機しか上がっていないので、1日8時間しか活用できない。2018年には予備を含めて4機の衛星が上がる予定なので、その時に、当社の技術が生かされると思います。また、当社の技術であれば、世界中の衛星に対応できるので、市場も全世界を見据えることができます。

農業分野への進出を視野に観光農園を経営

-- ほかに今後注力していくジャンルは。

松浪 医療分野とクラウドサービスです。これが直近の成長エンジンだと考えています。

 医療分野は、院内の電子カルテシステム、地域医療連携、介護・看護ソリューションの3つを軸として考えています。院内システムは中小規模の病院をターゲットに昨年から実績が上がり始めています。課題としては、院内システムは1件数千万円の案件になるのですが、地域医療連携だと数百万円、介護・看護ソリューションだと月額数万円のサービスになるため、それぞれでビジネス戦略が全く異なるという点です。

 ただ、当社はもともと組込みソフトウエアの実績があるので、院内の電子カルテでも、血圧などのバイタルデータを測ったら自動的にカルテに反映させることができます。それでスタッフの労力が軽減されるのです。

 昨年10月に川崎市にコアクラウドセンターを設置しました。ここでビジネスプロセスアウトソーシングなどを、ハウジング事業に加えて展開していきます。

-- コアファームという農園も設立されましたね。

松浪 宮崎県で観光農園を経営しています。これは農業をしたいのではなく、今後、農業分野にICT技術を導入するに当たって、まずは自分たちで経験し、ノウハウを集積する目的があります。ハウス内での温度湿度、土壌の状態などを自動測定して、また肥料の撒布状況など、多くのデータをビッグデータとして分析、勘に頼らない農業のモデルを作りたいと思います。

 ここでも川崎市のコアクラウドセンターの設備、技術が活用されています。今後も、組込みソフトウエアでの実績をベースに、医療や農業などの新たな分野に挑戦し、さらなる業務の拡大、発展を目指します。

川崎市に建設したコアクラウドセンター

川崎市に建設したコアクラウドセンター

株式会社コア社長
松浪正信(まつなみ・まさのぶ)
1956年生まれ。79年大分大学を卒業、同年システムコア(現コア)入社。2006年執行役員、10年常務執行役員、11年取締役常務執行役員、12年同専務執行役員を経て、14年4月より現職。

 

経済界からのお知らせ

最新号のご案内

経済界2018年7月号
[特集]
社会課題で儲ける!

  • ・総論 グローバリズムとどう折り合いをつけるのか
  • ・なぜ、よしもとは社会課題と向き合うのか 大﨑 洋(吉本興業共同代表取締役CEO)
  • ・茶葉から茶殻までバリューチェーン全体で価値を創造する 笹谷秀光(伊藤園顧問)
  • ・持続可能な経営は、持続可能な地域が支えている キリンホールディングス
  • ・人生100年時代の健康問題に取り組む ファンケル
  • ・世の中に貢献する中で商売を広げていく ヤマト運輸
  • ・社会課題を解決する金融モデルは、懐かしい過去に学ぶべき 吉澤保幸 場所文化フォーラム名誉理事

[Special Interview]

 芳井敬一(大和ハウス工業社長)

 創業のDNAに立ち戻り、オーナーの教えを伝承・実践

[NEWS REPORT]

◆史上最高益でも原価低減 豊田章男の「原点回帰」

◆成長戦略再考を迫られた富士通の苦境

◆市場規模はバブル前に逆戻り 規模より知恵を問われるビール商戦

◆7兆円M&Aを仕掛けた武田薬品の野望とリスク

[特集2]

 オフィス革命 仕事場を変える、働き方が変わる

ページ上部へ戻る