自動車部品、建設機械部品製造で長い歴史と技術力を持っているプレス工業。安定した収益力には定評があり、4月からスタートした新中計では売り上げ増に加えて利益率の大幅改善を狙う。今後の方針を聞いた。聞き手=本誌編集委員/清水克久 写真=佐藤元樹

 

自動車用部品と建機部品の2本柱で安定成長を

-- まず御社の概要をお聞かせください。

角堂 大正14年に創業し、当時は鉄道関連部品、建築材料などのプレス加工を主業務としていました。戦後に日本で初めて、大型アクスル(車軸)ハウジングのプレス加工に成功、その後は自動車のアクスルユニットを中心に業績を伸ばし、建設機械部品なども手掛けるようになっています。日本のトラックメーカー、建設機械メーカーのほとんどと取引がある点は珍しいのではないかと思っています。

 現在の事業としては、自動車部品事業と建設機械事業が2本柱です。それぞれが国内事業と海外事業に分かれています。国内の自動車部品事業では、消費増税の影響が大きいと予想していたのですが、想定していたほど、増税後の反動は大きくありませんでした。

 自動車、建設機械とも、国内需要という点では、震災復興が大きい。さらには2020年に開催予定の東京オリンピックに向けての建築需要、加えてインフラの再整備などがあって、大型トラック、建機ともに需要が高まるでしょう。一方、海外需要は中国の景気の不透明感、インドネシアの石炭価格の暴落などの影響で、需要がやや伸び悩んでいるのが現状です。

 現在、生産の割合は国内が7割、海外が3割ですが、国内生産でも海外輸出用のものもあり、これを考えると海外向けの製品が6〜7割程度になります。

-- 部品メーカーとしての御社の強みは何でしょうか。

角堂 単にお客さまの設計に基づく部品を納入するのではなく、当社は設計、デザインの段階からお客さまの設計部と一緒に開発します。長い歴史とさまざまなメーカーとの付き合い、多くの製品を作ってきた経験がある点も大きいと思います。

 さらに軽量化、強度に高い技術を持っています。日本で初めてアクスルのプレス化を実現したのですが、他社はアクスルを鋳物で作っています。鋳物は、どうしても重くなってしまいます。当社はプレス、板金で作りますので軽量化ができるのです。また、新興国では、トラックや建設機械の稼動環境が厳しく、悪路などは当たり前ですが、当社製品の高い強度が認められ、信頼を得ているのです。

軽量化や強度などで高い技術力には定評がある

軽量化や強度などで高い技術力には定評がある

-- 高い技術力を支える意味で、研究開発が鍵だと思いますが、工夫されていることは。

角堂 技術研究所という部署があり、そこで素材から加工技術まで、一貫して研究を行っています。特に実験部門は最も重視しており、試作品の強度を確かめるために、悪条件での長時間のストレステストなどは繰り返し行っています。この実験によるデータをもとに、当社が保証できる性能の製品だけを納入しているのです。

 建設機械関連では、当社は主としていわゆる運転席、キャビンを製造しています。これは例えば横転などしたときでも運転者の安全空間が保たれる強度が必要です。当社はそこに非常に強度が高いキャビンを提供しており、多くのメーカーに採用されています。

 また、納入先であるメーカーの設計部門と一緒に開発を行っていますので、当社の研究開発力向上に貢献しています。

-- アベノミクスで自動車、建機業界も堅調ですね。

角堂 リーマンショックの時は、さすがに厳しい状況になりましたが、東日本大震災後の復興需要で徐々に業績が回復。現在は復興需要に加えて、景気回復に伴う国内需要の高まりで好調を持続しています。

既存事業強化と新規事業で5年で1・5倍の増収へ

-- 中期経営計画を策定しましたが、目標達成に向けた施策はどのようなものですか。

角堂 今年度から向こう5カ年にわたる中期経営計画に基づいて活動しています。最終年度には売上高を2700億円、売上高営業利益率を10%以上にすることを目標としています。

 現在の売上高が1836億円、同利益率が5・1%ですので、相当頑張らないといけませんが、決して無理な目標ではないと思っています。計画達成のためには、現在の主軸となっている事業の強化は当然ですが、新規顧客の開拓や新規事業を考えています。

 もともと当社は、日本のモータリゼーションの幕開けとともにトラック部品を作りはじめて成長してきました。この自動車部品、建設機械のキャビンの技術を生かしていきます。具体的な例としては、工場内の地震シェルターを開発、販売する予定です。工場内は震災などの時に危険な場所になりますが、キャビンの技術を使った堅牢なシェルターを緊急時の避難場所として、工場内に設置するのです。ほかにもエネルギー関連事業をはじめ、多くの新規事業にチャレンジしていきます。

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