主力の医療保険では年率約40%増と絶好調であるが、今後は死亡保険などの第一分野にも積極的に挑戦していく。来年度中にはハートフォード生命と合併する計画で、財務体質が強化され顧客基盤も拡大する。聞き手=本誌編集委員/清水克久 写真=佐藤元樹

 第一分野への進出と販売チャネルの拡大が急務

片岡一則(かたおか・かずのり) 1978年中央大学卒業。同年千代田生命入社。81年アリコ・ジャパン。2000年AIG本社入社。03年AIGエジソン生命CEO兼社長。12年三井生命取締役専務執行役員。14年1月より現職。

片岡一則(かたおか・かずのり)
1978年中央大学卒業。同年千代田生命入社。81年アリコ・ジャパン。2000年AIG本社入社。03年AIGエジソン生命CEO兼社長。12年三井生命取締役専務執行役員。14年1月より現職。

-- 千代田生命を皮切りに内外の生保会社で勤務した実績が豊富ですが、オリックス生命でのミッションは何ですか。

片岡 これまで勤務した会社は、業績が低迷しているか、あるいは多くの課題を抱えていました。ところがオリックス生命は、業界では中堅規模ですが、対前年比でいえば年率約30%増という新規契約数の伸びを示しており、非常に元気が良い会社です。

 そこで私のミッションは何かというと、当社の主力商品である医療保険やがん保険などの第三分野以外への積極的な進出です。また、現在、販売チャネルは代理店チャネルが9割を占め、残りが通販チャネルと非常に偏りがあるので、これをオールマイティーの販路で売れる体制にしたいと思います。

 まず、今年度内に終身保険などの死亡保険の販売を強化していきます。従来の掛け捨て型の定期保険に加えて、貯蓄性のある終身保険を開発しました。

-- 比較サイトの登場や乗合代理店の増加で、消費者の選択肢が増えていますね。

片岡 そうですね、だからこそ代理店の方々や、お客さまに選んでいただける商品を作らなければなりません。幸い第三分野の医療保険「新キュア」「新キュア・レディ」の販売が好調で、2013年度の新規契約件数は創業来初の50万件を超えました。乗合代理店などで比較していただいた上で、当社の商品が選ばれているわけです。

 生命保険の販売は一昔前までは自社専属の営業職員を多数擁して、数の論理で販売する手法が主流でしたが、今後は乗合代理店、ネット販売などが増加すると思います。

 ただ、そうは言っても営業職員による直販も、コンサルティング能力が高いところは、生き残るでしょうね。ある調査会社が実施した顧客満足度調査を見ると、上位にランクされた数社はコンサルティング能力で定評のある会社で、その次にくるのは商品力が高いところです。これが現在の消費者ニーズです。

-- コンサルティング力、提案力の強化は欠かせませんね。

片岡 今、当社で評価していただいているのは商品力です。しかしどんな優れた商品も、他社がより優れた商品を出せば負けてしまいます。そこで、良い商品を開発し続けられるという現在の強みを残したまま、コンサルティング力を含めた販売ソフトのクオリティーを上げていけば大きな成果が出ると思います。

商品力とコンサルティング力の強化へ

オリックス生命保険のイメージキャラクターである「バクバク」が出迎える本社エントランス(東京都・港区)

オリックス生命保険のイメージキャラクターである「バクバク」が出迎える本社エントランス(東京都・港区)

-- 第一分野の死亡保険の強化はどうされますか。

片岡 第三分野は商品設計の部分で知恵の使い所がありますが、第一分野の死亡保険は商品の差が付けにくい。だからこそ、先ほどのソフトの部分での差別化を図るしかありません。言い換えれば、今本当にコンサルティング能力で顧客満足度を得ている会社は数社しかない。そこに食い込んでいくことは可能です。

-- コンサルティング能力を重視した営業部署の新設は。

片岡 そこはまだ具体的ではありません。現在、当社の保険契約の約3割が第一分野ですが、これは掛け捨てなので価格競争ができます。これ以外に本格的な死亡保険を売るために、約9千社の当社の代理店への教育、トレーニングを考えています。ただ商品を卸すのではなく、売り方、提案力を提供していきます。そうすることで自前の営業部隊を持たなくても、代理店さんの提案力を強化することで、第一分野で闘っていけるのではないかと思います。会社経営の上でも販売チャネルはマルチチャネルのほうがいいですからね。

-- マルチチャネルとして、具体的にはどのようなイメージをお持ちですか。

片岡 現在の柱は代理店チャネルです。9割を占めている代理店はまさに大黒柱ですね。ここに銀行窓販と通販を伸ばしていきます。まずは通販を強化して第二の大黒柱に育てて、その次に第三の大黒柱を作りたいと思っています。

-- 新たなチャレンジのためには人材育成も必要ですね。

片岡 言葉は悪いですが、保険業というのは、契約書という紙とあとは人で仕事をしているのです。ですから人材は極めて重要です。当社は現在、急速に業績が伸びていますので、あらゆる部門で慢性的な人出不足に陥っています。中途、新卒含めて定期的にハイペースで採用しておりますが、質も厳選しなければなりませんので難しいですね。

 オリックスが買収したハートフォード生命と当社は来年度中にも合併する予定ですが、その目的のひとつは優秀な人材の確保があります。当社は20年の歴史しかない若い会社ですが、その分、余計なしがらみがなく自由に動けます。それを強みとしていろいろな分野に積極的に挑戦していきたいと思います。 

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