1880(明治13)年、日本で初の経済、法律を日本語で学べる私立の「専修学校」として誕生した専修大学。現在では7学部17学科を擁する人文社会科学系の総合大学に発展した。堅実な校風で就職率も高く、国際化へ向けた取り組みも積極的だ。 聞き手=本誌編集委員・清水克久 写真=佐藤元樹

 

米国留学から帰国した新進気鋭の4人の若者が建学

矢野建一(やの・けんいち) 1949年生まれ。72年専修大学文学部卒業。80年立教大学大学院博士課程単位取得退学。92年専修大学助教授。98年同教授。2006年文学部長。13年9月より学長。

矢野建一(やの・けんいち)
1949年生まれ。72年専修大学文学部卒業。80年立教大学大学院博士課程単位取得退学。92年専修大学助教授。98年同教授。2006年文学部長。13年9月より学長。

-- まず御校の特徴をお聞かせください。

矢野 明治13年に、米国から帰国した4人の留学経験者が建学したのが本学の始まりです。その当時、経済学や法律学を勉強するには英語かフランス語ができなければならなかったのに対し、日本語で教育することで門戸を広げたのです。日本初の経済科と私立初の法律科を併設した高等教育機関でした。戦後の教育改革を経て、現在の7学部17学科の体制に至っております。

 卒業生の数は25万人を超え、社会の第一線で活躍している方々もたくさんいます。社会における本学の存在感はどんどん増してくると思います。

-- 現在、グローバル人材の育成に力を入れていると聞いています。

矢野 グローバル人材の育成は国の政策でもありますが、本学はもともと、4人の留学生が建学したという経緯もあり、国際化に向けた意識は高いものがあります。

 国際化教育の施策としてポイントは大きく3つあります。まず、海外で活躍できる人材を育成すること。これは英語能力に限らず、コミュニケーション能力、異文化への深い理解が求められます。そして次は、将来的に増加すると見込まれている海外からの労働者と向き合い、理解し合う能力を高めることです。特に今後増えるのはアジア諸国から来る人たちでしょうが、彼らと適切にコミュニケーションを取る能力の養成は急務です。3つ目としては、日本とヨーロッパ諸国の歴史や伝統、文化の違いを理解し、その長所と短所を見据えながらコミュニケ-ションできる人材の育成です。

 さらに本学では、21世紀ビジョンとして「社会知性の開発」を掲げています。グローバル化、異文化交流、情報化の加速など、現代社会には解決しなければならない問題が山積していますが、これらの社会的課題を地球的視野から解決するために求められる知性が「社会知性」です。この「社会知性」を培う教育によって、社会の屋台骨を支える有為な人材の育成に努めています。

アクティブラーニングで学生の自主性を高めていく

生田キャンパス (神奈川県川崎市)

生田キャンパス
(神奈川県川崎市)

-- アクティブラーニングの導入に積極的ですね。

矢野 大教室で先生が一方的に教えるマスプロ型ではなく、対話型、対論型の教育の実践を行っています。そのために、教室だけではなく、ロビーや階段の踊り場など、ちょっとしたスペースでも勉強ができるように、環境の整備を行いました。

 また、学生には授業前に適宜集まって予習をするよう求めており、そこで学生同士が討論するなど、コミュニケーション能力の育成にもつながっています。

 さらに、生田キャンパス(神奈川県川崎市)に建設した国際交流会館は、海外からの留学生の宿泊機能を有し、本学の新たな国際交流の拠点となっています。日本人学生も一緒に生活できるので、そこでは英語教育のみならず、異文化理解をも深められる環境にあります。

-- 就職支援への取り組みはどのようになっていますか。

矢野 伝統的に就職支援は手厚く行っています。就職課を中心に、きめ細かい指導と支援を行っており、ある調査によれば本学の就職支援満足度は上位にランクされています。

 卒業生を招いての懇談会や勉強会の開催、業種別の就職対策、また企業から実際の面接官を招いての面接指導など、充実したプログラムで実践的な指導を行っています。キャリアカウンセラーは担当の学生が納得するまで最後まで指導し続けるようにしています。

-- 一方で志願者数の推移はどうですか。

矢野 18歳人口の減少や理系人気の影響を受けた印象があります。しかし、法学部では、これまで1年次は生田キャンパス、その後は神田キャンパス(東京都千代田区)と分かれていたのですが、これを神田キャンパスでの学修に統一したところ、人気が上がりました。こういった取り組みは今後も積極的に行っていきたいと考えています。

生田キャンパス内にある国際交流会館の前で浴衣姿で撮影する留学生

生田キャンパス内にある国際交流会館の前で浴衣姿で撮影する留学生

-- 最後に今後の展望は。

矢野 創立140年に向けて、新たな校舎の建設を検討しています。将来的には、現在の7学部体制を世の中のニーズに合わせて再編する時代が来るかもしれませんね。まじめで堅実なイメージの本学の学生が、積極性をもって、社会で活躍できるよう、ハード・ソフトの両面から、教育環境を整備していきます。

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