1957年に福岡で創業した。すぐに東京に拠点を移し、95年に株式店頭公開(現ジャスダック証券取引所)した商品先物取引大手。しかし近年では、勧誘規制が一段と強化されるなど経営環境は厳しい。今後の展開を聞いた。聞き手=本誌編集委員/清水克久 写真=佐藤元樹

商品先物以外に株価指数証拠金取引などが人気

安成政文(やすなり・まさふみ) 1976年豊商事入社。2006年取締役、08年専務取締役を経て14年5月に社長に就任。

安成政文(やすなり・まさふみ)
1976年豊商事入社。2006年取締役、08年専務取締役を経て14年5月に社長に就任。

-- 現在、商品先物業界は厳しい勧誘規制の中で、難しい状況にあるのではないですか。

安成 現在、個人投資家を保護するため、お客さまからの要請がない限り原則勧誘してはいけないということになっています。個人顧客へ積極的な勧誘ができないので、正直なところ、営業活動の幅が大きく狭まりました。かつては100社ほどあった商品先物会社ですが、勧誘規制の強化をきっかけに転業や廃業が進んで、現在ではネット専業の会社を入れても30社くらいに減りました。うちのように対面営業で、一人ひとりのお客さまときちんと対面して取り引きしている企業は十数社程度です。

 当社は商品先物取引、金地金の販売、取引所外国為替証拠金取引(FX)、株価指数証拠金取引(CFD)などを扱っています。全国10カ所の本支店のすべてでこだわっているのは、お客さまと顔を合わせ、ご満足いただけるサービスを提供することです。

-- インターネット取引が増えていますが、それでも対面営業にこだわるのですか。

安成 必ず、ご訪問しています。1997年の外為法改正で外為業務が自由化されOTC取引(取引所を通さず売り手と買い手が店頭で取引すること)が始まった時、当社はその第1号として積極的に進出しました。ネット取引でも必ず一度は訪問しています。当時、日本は低金利で米国は高金利だったので、その金利差を狙って人気が出ました。

-- アベノミクス以降、証券市場は盛り上がっています。資金流入でみると証券市場と商品先物市場の関係は逆相関にあると言われましたが、実際は。

安成 今では一概にそうも言えず、昔の教科書的な動きにはなっていません。しかし株式関連にお客さまの興味関心が移っているのは事実で、営業活動は証券CFDが中心となっています。

 CFD取引、中でも「日経225」が伸びていますね。FXも日経225と同じくらいの預り金があるのですが、こちらは為替のボラティリティ(変動)の幅が今年は特に小さいこともあり取引は低水準に止まっています。われわれ業者からすると、為替変動がない凪(なぎ)の状態は困ります(笑)。

-- 御社の顧客層の中心はどのようになっていますか。

安成 営業活動は経営者層を中心に行っておりますが、講演会にはサラリーマンや主婦層も多く、職業はさまざまです。金融商品においては、口座開設までは対面で、取引はネットですので、ケータイやスマホ、パソコンなどは必要となりますが、年配の方でも最近は慣れていらっしゃる方が多く、年齢層は幅広い。また、法令や規則に従って適合性については厳格な審査を実施しています。

あかつき証券と提携して有価証券の媒介業務を

定期的に各地で開催されている「特別経済セミナー」には多くの来場者が集まっている

定期的に各地で開催されている「特別経済セミナー」には多くの来場者が集まっている

-- 顧客の裾野は広がっているのでしょうか。

安成 ネットで金融商品を売り買いする人が確実に増えており、その意味で顧客のすそ野は広がっています。最近では各種の税制優遇制度や、相続税対策を踏まえた資産運用への関心が高まっているので、投資への需要は伸びると思います。

-- 証券やFXビジネスはIT業界など、異業種からの参入も多く、競争がし烈ですね。

安成 手数料を極端に安くしたり、あるいはゼロにして売り買いのスプレッドなど、他で儲ける会社もあります。お客さんからすれば魅力的に見えるかもしれませんが、一概に安いとは言えません。当社は原則、対面営業を重視しているので投資初心者からベテランの方まで、あらゆるニーズにお応えできるようにしています。

-- 新規に参入した分野などはありますか。

安成 お客さまに喜んでもらえる金融商品を、今まで以上に手掛けていきたいと思っています。新規という観点では、今年7月に、あかつき証券と業務提携し、株式の媒介業務をスタートさせました。提携により、有価証券取引全般を扱えることになりました。あかつき証券から出向社員を受け入れてスタートしましたが、経験を積んで来期は全店で積極的に展開したいと思います。

-- 商品先物取引業界はネガティブなイメージがありますが、払拭できますか。

安成 現状は厳しい勧誘規制がありますが、当社は創業時から「お客さま第一主義」を企業理念に掲げており、お客さまが期待する満足を提供できなければ、企業としての発展もないと考えています。

 これらの点は、新入社員研修でも徹底して行っています。FXやCFDなど顧客ニーズの高い金融商品を扱うことで営業社員も自信がつき、定着率も高くなってきています。これからも時代の変化に合わせて、お客さま第一主義を貫きながら企業の発展を目指していきます。

 

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