1962年、長崎県で創業したリンガーハット。主力の長崎ちゃんぽんと、とんかつ「浜勝」を軸に全国でチェーン展開している。海外でのノウハウが豊富な同業のハチバンとの提携で、今後は海外での展開も加速しそうだ。聞き手=本誌編集委員/清水克久 写真=佐藤元樹

 リンガーハットの特徴は大型ショッピングモールへの集中出店

ブース店として出店したイトーヨーカドー葛西店の店舗

ブース店として出店したイトーヨーカドー葛西店の店舗

-- 現在、外食産業は、消費税増税や原材料費の値上がりなど、難しい状況にあるのでは。

秋本 4月の増税時には売り上げで若干の影響がありましたが、5月以降はすぐに業績も前年比プラスに転じています。原材料の値上がりも予想できていましたので、十分、対応できていると思います。ただ、エビの病気や物流費の値上がりなど、難しい状況であることに変わりはありません。

-- 景気が回復基調にあり、さまざまな業界で人手不足が問題化していますが、外食産業ではいかがでしょうか。

秋本 外食産業では恒常的に人手不足です。正社員に限らず、アルバイトの確保も難しい面があります。それでも当社は、同業他社に比べて影響は少ないほうだと思います。正社員の離職率も同業他社の3分の1程度です。その理由は年間の休日数や賞与の査定を含めて、企業として人を大事にするという文化が受け継がれていることのあらわれではないでしょうか。

 また外国人採用、女性の登用にも力を入れています。もちろん新卒も積極的に採用していますが、増やし過ぎても問題なので、現在の500人前後の体制を大きく変えるつもりはありません。

-- 現在の店舗数はどのくらいでしょうか。

秋本 8月の時点で665店舗です。今期中に700店舗に達するかどうかというところになると思います。

 当社の店舗展開の特長は、大型ショッピングモールなどへの集中出店です。特にフードコートですね。ショッピングセンターでは、全体の売り上げを見れば、当社が出店した場合のおおまかな売り上げ予測が立つので、それだけに出店計画が立てやすい面があります。その中で、当社の店舗がフードコートに入ると確実に人気店になるので、イオングループさまやセブン&アイ・グループさまのショッピングモールから出店の声がかかるという状況です。

 既にショッピングモールのフードコート店だけで200店舗以上になっています。フードコートは売り上げ状況によって入れ替わりが激しいですが、そこを狙って今後も積極的に出店していくことになると思います。ただ、売り上げ200億円を超える大型ショッピングモールには、ほとんど出店しているので、今後は中規模程度のショッピングモールも狙っていくことになります。その場合は、大型ショッピングモールと比較して売り上げ規模が異なるので、投資も抑えて出店することになります。

 また、実験的に葛西(東京都江戸川区)のショッピングモールにブース出店したところ、これも業績が良好でした。特にフードコートと隣接していると、売り上げもいい結果となるようです。今後、ブース出店も視野に入れていきます。

海外出店にも力を入れるリンガーハット

-- 北陸が地盤のラーメンチェーンであるハチバンと提携されましたが、その背景は。

秋本 もともと創業者同士が旧知の間柄だったのです。その縁でお互いの成長のために提携することになりました。ハチバンさんは北陸が拠点ですが、当社は北陸に店舗が少ない。また餃子やラーメンのノウハウも共有できる。さらにハチバンはタイをはじめ、海外に積極展開しており、成功していますので、そのノウハウも生かしていきたいと思っています。

-- 今後は海外にも積極的に展開していくのでしょか。

秋本 当社はタイ、ハワイなどに出店していますが、今後多店舗化するにもハチバンさんの力を取り入れていきたいと思っています。そのために、海外展開のノウハウを持っていらっしゃるハチバンさんの意見を聞きながらチャレンジしていきます

 一方、国内市場でも、まだまだ課題はあります。とんかつの「浜勝」ではビュッフェ形式のデザートを取り入れたり、リンガーハットでもセルフサービス店舗を導入してみたり、新たなチャレンジを行っています。

-- 先ほど、社員500人前後を維持していくという話がありましたが、その理由をお聞かせください。

秋本 ただ単純に人を増やせばいいというものではなく、店舗数とのバランスがあります。全社でどれだけの売り上げが見込めるかということをきちんと認識していないと、軽々に人を増やすことはできません。そのかわり、正社員に限らず、パート、アルバイトも積極的に研修を行って、重要な戦力にしようと考えています。パートの店長も今期20人を目標に育成しているところです。これが店舗数1千店舗になると全く変わってきます。当面の目標は、その1千店舗を達成することです。

 

経済界からのお知らせ

最新号のご案内

経済界2019年4月号
[特集]
日本の「食」最前線

  • ・総論 日本の「食」から世界の「食」へ 成長産業となった農水・食品産業
  • ・「食」の輸出1兆円を支えるジェトロの役割
  • ・全国で進むブランド化「食」から始まる地方創生
  • ・上海で見た日本の「食」の未来
  • ・海外進出した外食チェーン「成功」と「失敗」の分かれ目
  • ・日本人が知らない中国の「日本食ブーム」の真実
  • ・消費税引き上げで始まる「外食VS中食」最終戦争

[Special Interview]

 星野晃司(小田急電鉄社長)

 「未来を見据えた挑戦で日本一暮らしやすい沿線をつくる」

[NEWS REPORT]

◆中国リスクが顕在化 電機業界に再び漂い始めた暗雲

◆持続可能な水産業へ 魚はいつまで食べられるのか

◆CES 2019現地レポート 家電からテクノロジーへの主役交代が鮮明に

◆相次ぐトラブルで業績悪化 SUBARUの見えない明日

[総力特集]

 2019年注目企業30

ページ上部へ戻る