戸倉蓉子氏は看護師から一級建築士に転身を果たした異色の経歴を持つ。人の生命力に大きな影響をもたらす環境の力を実感したのがきっかけだ。戸倉氏が大切にする「人に寄り添う建築」とはどのようなものなのか。

戸倉蓉子社長が描く建築設計と環境

戸倉蓉子社長 生年月日●1962年7月25日 出  身  地●福島県 趣  味●オペラ鑑賞 尊敬する人●フローレンス・ナイチンゲール 座右の銘●きっとできる

戸倉蓉子社長
生年月日●1962年7月25日
出 身 地●福島県
趣  味●オペラ鑑賞
尊敬する人●フローレンス・ナイチンゲール
座右の銘●きっとできる

 ── ずいぶん思い切った転身をされましたね。

戸倉 私は子供の頃にナイチンゲールの伝記を読んで、看護師に憧れるようになりました。夢を貫き、看護学校の卒業後に慶応義塾大学病院に就職。ある時、元気がなかった白血病の女の子の病室に花を飾ったところ、笑顔を見せてくれるようになりました。ナイチンゲールの「看護覚え書き」に書かれた「看護とは環境づくりである」という言葉を実感しましたね。環境づくりそのものを仕事にしたいと考え、建築業界に入りました。

── 貴社の手掛ける設計デザインの強みについて。

戸倉 そこで住み、働く人に思いを馳せながら設計を行っています。図面を引くだけでは素敵な空間は完成しません。人に寄り添う設計をするには顧客のヒアリングだけでなく、潜在的なニーズを形にする必要があります。細やかな視点が求められるためスタッフは全員女性です。

 私が留学したイタリアには玄関と台所が直結して、家族団らんが生まれる住空間がありました。留学で学んだことを生かして、今まで手掛けたマンションでも住民同士が交流できる庭園を配置し、夜間にライトアップをするなどの工夫を凝らしています。多くの賃貸マンションでは、オープン時からの入居者が今も変わらずに暮らしています。 私たちが行っているのは、人生の舞台を演出するお手伝いです。その場に身を置くことで「自分自身が人生の主役」だと実感できれば、他の物件に浮気することはないでしょうね。

── 注力していく事業領域は。

戸倉 現在は医療施設の設計に力を入れています。群馬県高崎市にある黒沢病院では、リゾートホテルにいるような感覚を味わいながら人間ドックを受診できるデザインに仕上げました。病院に行くのを楽しみにしてもらうことで、病気の早期発見を手助けする狙いからです。

 介護問題を考えると、高齢者施設の整備も急務です。ハード面の拡充に加えて、看護と建築の知識を合わせ持った〝メディカルアーキテクト〟を育成したいと考えています。休眠看護師を活用して、介護される人にとって理想の環境を整えられる人材を増やすために、将来的にはスクールを開設したいと思います。

 

【会社データ】
ドムスデザイン
設立●1991年2月
資本金●1千万円
従業員●8人
所在地●東京都渋谷区

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