1966年日本に進出し、日本最初の人材派遣会社として業界を牽引してきたマンパワーグループ。現在は総合人材サービスとして10分野12種類のフルサービスを全国156営業拠点で提供している。池田匡弥社長に話を聞いた。

人手不足の今こそ、企業にできることを発信する

-- 人手不足感が強まっていますね。

池田 当社が四半期ごとに発表するレポートでも世界で36%、日本では81%の企業が人手不足であると回答しています。人材派遣、紹介などの人材ビジネスを展開する当社にとって人手不足は追い風ですが、こういうときこそ受け入れ先である企業の体制、ルールづくりの実現が必要だと考えています。

 その実現のために当社は企業向けセミナーを積極的に開催しています。今後人手不足が拡大していけば、人材を受け入れるための法令順守が重要視されてきます。

池田匡弥

池田匡弥(いけだ・まさひろ)
1989年慶応義塾大学経済学部卒業。同年サントリー入社。97年マンパワー・ジャパン(現:マンパワーグループ)入社。2014年10月マンパワーグループ社長に就任。

-- 「番号制度(マイナンバー)」のセミナーもそのひとつですね。

池田 2015年の10月から個人番号の通知が始まり、16年にスタートするマイナンバー制度ですが、今から企業にとって大きな課題となっています。

 現状の社員に対しての体制、システム、規定など変更のほかに、新卒・中途採用に対しても同様の対応が必要です。マイナンバーに関係するのは人事部門だけではないため、当社では企業の経営企画、給与・厚生部門の方を対象に、実務対応セミナーを実施、特定個人情報保護委員会のガイドラインなどを基に、常に最新の情報をセミナーや個別の企業に対して提供しています。

 当社としても企業への情報提供だけではなく、派遣・紹介する人材への特定個人情報に関する教育ツールも検討しています。人手不足の現状でもなお企業に求められる魅力的な人材の開発に努めています。

グローバル企業として海外の人材を日本へ

-- 日本で働く外国人のエンジニアが増えていますね。

池田 当社は全世界80の国と地域で、3500の拠点を持つグローバル企業であることを生かし、海外からの人材、特に中国、韓国、インド、フィリピンなどのアジア諸国からエンジニアの人材採用支援を行っています。

 海外のエンジニアは日本の現場でスキルアップを目指す方も多く、モチベーションも高く、高学歴なエンジニアも多いのです。そういったエンジニアが困るのが日本での生活環境の変化、言葉の問題です。

 当社では住宅から生活環境、日本語教育など日本での不安を解消できるようにサポートしています。また、受け入れ先の企業にも海外のエンジニアの受け入れ体制の支援も行っています。働く人、働く先、両方の支援があってこそ、エンジニアは能力を発揮できるのです。

-- 受け入れ先のグローバル化が進むそうですね。

池田 以前より日本企業のグローバル化が遅れているといわれています。そこで海外からのエンジニアを受け入れることで会社全体がグローバル化を意識し、海外市場に目を向けるようになったという事例が多くなってきました。

 当社は、これからもアジアに限らず世界のグローバルネットワークを最大限に活用し、国内外問わず優秀な人材を必要とする企業と求職者の双方のニーズにあったきめ細かなサービスを提供していきます。

派遣のノウハウを生かした採用代行で企業を支援

-- 企業の採用代行が好調だそうですね。

池田 人材不足と言っても誰でも採用というわけにはいきません。新卒、中途に限らず、優秀な人材を採用したいのはどこの企業も同じです。

 とはいえ、人手不足の中で人材を募集するには母数を多くしないといけません。母数を増やすと応募者のデータ管理や電話・ネットでの受け付け、説明会開催、参加者のフォローなど手間とコストが掛かります。

 当社には人材派遣、紹介を通じて培ったノウハウと、それを持った専任担当者がいます。また、コールセンターと事務処理センターを併合した独自のオペレーションセンターを設置し、採用代行業務に対応しています。

-- 人手不足では採用のミスマッチの解消も課題ですね。

池田 採用のミスマッチを防ぐため、専任担当者が企業の採用課題をしっかりと把握・分析した上で、ターゲットの設定や、求人スペック・人数に最適な募集メディアの選定・活用を実施しています。併せて、変動する採用マーケットの状況についても随時必要なデータを添えて報告し、継続的な戦略立案をすることで、新卒・中途採用代行サービスのリピート率は90%以上と高い評価を得ています。

 採用のミスマッチは企業と人材の両方にコスト的にもメンタル的にも大きなロスを生み出します。当社の提案力とオペレーション力がこのミスマッチを解消する手助けになるものと考えています。

(聞き手=本誌/井上 博 写真=佐藤元樹)

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