イスラム系過激派組織ISILによる人質殺害事件の影響で、日本人がテロの標的になる可能性が高まっている。しかし、危機意識は高まってきているものの、実際の取り組みは企業によって大きな差があるという。今回は企業の海外危機管理を支援する安全サポートの有坂錬成社長に話を聞き、テロ回避のための処方箋を探った。

 「人質事件の影響で、海外に進出している日本企業がテロに遭遇する危険性は格段に高くなりました。ISILが今後、日本人をターゲットにすると宣言したことで、これまでよりはるかに高いレベルの警戒が必要です」

 安全サポートの有坂社長はこう説く。ISILには内部対立による弱体化の可能性が指摘されているが、同組織に賛同するテロ組織や個人が全世界でテロを起こし、予断を許さない状況が続いている。今回の事件によってこれらの組織やテロリストの目が日本人に向き、企業による駐在員の安全対策が一層求められている。

 事件後、安全サポートには顧客からの問い合わせが増えている。特に多いのは、「テロ対策として何をしたらよいのか」「海外駐在員への注意喚起を本社はどう行えばいいか」というものだ。有坂社長は「これまでテロの対象になりにくかった日本人が明確に狙われるようになったという認識が重要です」と指摘する。

 事件のあったシリアを含む中近東やアフリカに比べ、欧州やアジアにおける駐在・出張者の危機意識はまだ十分とは言えないという。「“今まで何事もなかったから将来も大丈夫”という考えはもはや通用しません。あまりにも危険な発想です」と話す有坂社長。現地拠点や住居の周辺を確認、テロが起きやすい場所を特定し、できる限りそこに近づかない、もしくは滞在時間を短縮し、混雑する時間を避けるなどの対策が必要だ。

 「駐在員や出張者自身が危機感を持つ、自分の頭で安全対策を考える、といった地道な取り組み以外に安全への近道はありません」

 意識改革を行うには、人事担当者によるアナウンスや赴任者研修に加えて、経営トップの役割が欠かせない。危機管理が定着している企業では、たとえ大企業であっても、重要な局面においては、社長自らが注意喚起を促す。多くの海外拠点と駐在員を抱える企業において認識を統一するには大きなインパクトが必要だという。

 加えて重要なのは、海外危機に備えたリスク分析や、対策の立案、社内教育を実施するための危機管理体制の構築だ。安全サポートは、平時や緊急時における本社と現地拠点同士のなすべき業務や連携について指南している。

 「地震があると机の下に隠れるように、危機管理への取り組みが習慣になるお手伝いをしたいと考えております」

 

「安全サポート」ホームページ

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