企業が販売する商品やサービスによって、その決済手段は多岐にわたる。相対で現金決済することも多いが、現在は決済会社を間に挟むのが主流となりつつある。その理由は決済会社が提供する多様な決済のプラットホームを利用することが顧客の利便性を高め、それがひいては売り上げ増に直結するからだ。

 

 2007年に設立されたハートランドITイノベーションが得意とするのは、会員制組織を持った企業に提供する会員課金システムだ。テレビ放送会社、ファンクラブや定期購読などさまざまな業種業態に提供している。また決済のみならず、相手先企業の特性や要望に応じて売り上げ増に向けた各種コンサルティングも手掛けている。

 岸本健志社長は大学に在学中、インターネット時代の新しいビジネスモデルを研究する学生の会合に参加、その会合でいろいろな人と交流を深めていった。

 「祖父が戦前に京都から東京に出て、後に北京で百貨店を開業して成功したという話を子どものころから聞かされていましたので、自分も将来は事業を起こしたいと考えていました」

 大学を卒業後、コンサルティング会社に就職した。たまたま顧客の中にインターネットプロバイダー会社があり、その会社は、大手警備会社と組んでSLL(ネット上の情報を暗号化して成りすましや、改ざんを防ぐプロトコル)の認証局を立ち上げる構想があった。

 「まだ新人でしたが、事業のビジネスモデルを書いて、それを兵庫県や神戸市に提出したら審査に通って補助金をもらって神戸で事業が動きだしました」

 プロバイダーでありながら決済機能があり、認証局でもあるというユニークな会社で、その立ち上げを見届けてから、東京に出て仲間3人と独立した。

 1990年代後半の当時はまさにECビジネスの勃興期で、類似のIT企業が多数、立ち上がったが、岸本氏は「ネット関連のビジネスは賞味期間があるのでブームが起きてもすぐになくなる。そこで普遍的なモノは何かと考えたら、それが決済ビジネスだったのです」と考えた。

 ECは現在も競合が激しくどこも収益的には厳しい。また決済業務でも、物販などで稼ぎたい携帯キャリアが、自身で決済業務を内包する動きが出るなど状況は変わってきている。

 ただ顧客はECに止まらず、例えば月極駐車場の管理業務でも使える。企業側の管理上の問題点は未払い時の対応だが、最初からネット申し込みで毎月の「利用券」を発行すれば、未払いもなく、煩雑な契約業務もいらない。その意味で決済ビジネスの領域は無限に広がる。

 栄枯盛衰の激しいIT業界を見てきた岸本氏は「当社は黒子ですが、小さくても存在感のある会社を目指す」と言う。

 

「ハートランドITイノベーション」ホームページ

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