不動産事業を幅広く手掛けるラ・アトレが昨年12月、創業25周年を迎えた。リーマンショック後の不動産不況を乗り越え、独自の「脱特化、全方位型ビジネスモデル」で他社に真似のできない事業展開を進める同社の戦略を脇田社長に聞いた。

独自のポートフォリオで描く成長戦略

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株式会社ラ・アトレ
代表取締役社長
脇田 栄一 (わきた・えいいち)

 「企業は30年続いて一人前と言われるので、そのような意味では25周年を迎えた当社はもう一息で一人前になるのかな、と考えています」と語るのは、「脱特化、全方位型ビジネスモデル」を成長戦略に掲げるラ・アトレの脇田栄一社長だ。

 不動産業界では、効率的な成長を目指して経営資源を集中するため、新築マンションの分譲や戸別リノベーション、不動産管理など各分野ごとに特化する企業が多い。最近でこそ、そうした事業の垣根を超える企業も増えつつあるが、その先陣を切ったのが同社といえるだろう。

 創業以来25年間、派生的にビジネスを多角化してきた結果、分譲マンション事業から中古住宅の再生、アセットマネジメント、不動産管理まで、多彩な事業を展開し独自の事業ポートフォリオを構築してきた。この「脱特化、全方位型ビジネス」のメリットについて脇田氏は、「2008年のリーマンショック時には、各事業を再編してリスクの少ない分野に絞ったことで、ダメージを最小限に抑えることができました」と語る。

 そして同社では現在、さらに事業の幅を広げようとしている。その一つがM&Aだ。一昨年にDM発送事業を行う企業を買収した案件では、他業種ながらもさまざまなシナジーを発揮して実りある結果を残している。また、海外戦略も今後の成長に向け大きなカギを握る。現在、タイとカンボジアにそれぞれ拠点を設けているが、日本人らしい緻密な商品設計力を生かした分譲事業に参入する。

多彩な事業展開で他社との差別化を

 「当社の経営の要諦にあるのは、他社との差別化です。他社との競合が激しいところでは無理な成長戦略をとらず、半歩先を行く市場を小規模ながら開拓していくことが重要です」

 こうした戦略が顕著に表れているのが、昨年6年ぶりに再開した自社開発による新築分譲マンション「ラ・アトレレジデンス浅草橋」だ。駅からすぐという立地に、地域のニーズに合わせた近隣物件にはない間取りが潜在的需要を喚起し、早期完売している。

 また、他社との差別化という点では、今年3月に発売予定の長野県松本市の物件も興味深い。

 「社員がさらに成長していくために、もう一度モノづくりの原点に戻ってしっかりとした商品開発にチャレンジしました。『広さと邸宅感で地域ナンバーワンの低層分譲マンション』がコンセプトです」

 こちらの物件では、晴天率が高いという地域の特性を生かし、屋上に太陽光パネルを設置。全国で分譲マンションとしては初めてとなるゼロエネルギー住宅を実現する。

 さらに、同社の「全方位型ビジネス」を象徴するのが「福岡アイランドシティ」内で今年3月のオープンに向けて建設が進む複合商業施設「アトレアモール照葉」だ。福岡市が「複合未来都市構想」の実現に向けて街づくりを進める同エリアだが、いまだ生活利便施設が十分でないことから、有機肥料で育てられたこだわりの食材を提供するスーパーマーケットをメーンテナントに、美容院や歯科クリニックなど「医食同源」をテーマにした店舗をオープンする。将来的には、このエリアでの住宅供給も視野に入れるというが、これも長きにわたる不動産総合デベロッパーとしてのノウハウで、多様な事業の切り口を持つ同社らしいビジネスといえるだろう。

 近年、過熱する中古住宅の再生事業についても、業界のパイオニアとして早くから取り組んできたが、こちらも他社との差別化を徹底している。

 「基本は山手線内の立地で、価格は4千万円以上と他社があまり取り扱わないハイレベルな住宅に絞っています」

 価格に相応しいしっかりとした作りこみを徹底することで、100平方メートル以上で1億円を超えるような物件も積極的に手掛けている。

 「当社は、オリンピックイヤーである20年にちょうど30周年を迎えることになります。そこに向け、まずは早期に売上高100億円を達成するため、少人数で効率よく収益を上げる仕組みを構築しながら、M&Aや海外展開を積極的に進めていきます。長期利益、持続的利益をかなえるため、単なる拡大ではなく、質を伴う拡大を目指します」

 そのための布石は既に十分打っている。今後は、新たなステージで安定的かつ着実な成長を目指していく。

 

株式会社ラ・アトレ

  • 設立/1990年12月
  • 資本金/3億5624万円
  • 事業内容/再生不動産販売事業、新築不動産販売事業、不動産管理事業
  • 会社ホームページ/http://www.lattrait.co.jp/

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