経営者コミュニティ「経済界倶楽部」

「事業部門の連携を活性化させ営業利益100億円を目指す」 内藤宏治(ウシオ電機社長 )

内藤宏治(ウシオ電機社長 )

1964年に産業用光源メーカーとしてスタートしたウシオ電機。これまで「光」をさまざまな領域で活用し数多くの世界シェアナンバーワン製品を生み出してきた。ウシオ電機はこれからどんな会社になっていくのか。今年新社長に就任した内藤宏治氏に意気込みを語ってもらった。聞き手=和田一樹 Photo=西畑孝則 (『経済界』2019年9月号より転載)

内藤宏治・ウシオ電機社長プロフィール

内藤宏治ウシオ電機社長

ないとう・こうじ 1963年生まれ。86年に上智大学外国語学部英語学科を卒業後、同社入社。事業部長などを経て2014年に執行役員、15年に上級執行役員兼光源事業部長、16年より常務執行役員を務め、19年から現職。

内藤宏治社長のリーダーシップのスタイルとは

―― 社長就任の率直な感想はいかがですか。

内藤 ウシオ電機は1964年の創業以来、ランプやLED、レーザーなどの各種光源や、それらを組み込んだ装置を製造販売してきました。

その中で培ってきた光を応用する技術を、半導体や精密機器の開発・製造現場において加熱や検査、測定に活用したり、プロジェクター用の光源や照明、さらには医療機器や環境衛生などに幅広く展開しています。

世界シェアが80%を超える製品もあり、グループ全体に対してはもちろん、社会的な責任も強く感じています。

ですが私は元来、必要以上に考えすぎず、ミッションに打ち込み、課題や目標をクリアにすることにやりがいを感じるタイプなので、気負い過ぎるということはありませんでした。

―― 内藤社長流の組織の動かし方は。

内藤 私はチームで成果を残していきたいという考えが根本にあります。社長は孤独になりがちだと言われますが、信頼できる役員の方々と一緒に経営をしていきたい。会社の方針についても、社長である私や、それ以外の役員の誰が話してもすべて同じ内容になるような状況をつくっておくことが大切だと考えています。

会社の方針が役員に浸透すれば、次は管理職に浸透していきます。管理職に浸透すれば次はその下の社員たちに浸透していきます。時間はかかるかもしれませんが、こういったやり方で会社の方向性を全社に示していきたい。ですから、月に1度は役員で集まる機会をつくり、そこでまず役員たちの意識を共有するようにしています。

―― 内藤社長が理想とするリーダーシップの形とはどんなものですか。

内藤 いろいろな経営者の方やプロスポーツの監督、コーチをみていて、即決してすぐに実施することの大切さを学びました。私も優先順位を明確にして、決めたことを速やかに実行するということを大事にしたいですね。即決してすぐに実行するのは自分自身にとっても分かりやすいですし、現場で実行する人たちにとっても分かりやすく、納得感が得られやすい姿だと思っています。私もそういうリーダーシップを心掛けていきたいと考えています。

ウシオ電機の風土と強さはどこにあるか

―― ご自身の趣味などは。

内藤 仕事と休日のオンとオフをしっかりと分けるようにしています。

私は歩くことが好きなので、休日には都内もそうですし、遠方までドライブをして、その周辺を散策したりもしています。歩きながら日本の四季の変化を肌で感じるのが好きなんです。

また、都内にはあちこちに七福神がありますから、そういった環境も活用して、正月に社員と一緒に七福神めぐりをするなど、社員と歩くことも定期的に行っています。

事業部長のときから社員たちと近い存在でいることは大切にしてきましたが、社長になったことで、肩書が周囲の社員たちを遠ざけてしまうのではないかと少し心配もしています。

―― 社長にとってウシオ電機とはどんな会社ですか。

内藤 一言でいえば上下関係がフラットで、さまざまな意見を言い合える会社だと思っています。

一方で、ずっと事業部制でやってきましたので、事業部内の縦のオペレーションは非常に強固な連携が行えるのですが、その半面、事業部間の横の糸は若干弱点があるかもしれません。

そこで今期の4月から、事業統括本部という部署を作り、事業間の連携を生み出す取り組みを始めました。横の連携をより濃くできれば、ウシオブランドはもっと強くなると確信しています。

ウシオ電機の経営目標と将来像

―― 他にはどんなことに取り組んでいきますか。

内藤 まず今期は営業利益100億円を目指します。前期比で約18%の増益を実現しないといけませんから、非常に大きな目標だとは思いますが、ここに挑戦します。ウシオ電機はメーカーです。メーカーはしっかりと営業利益を積み上げていくことこそが本業だと考えています。営業利益が自分たちの明確な成果になりますから、100億円達成が第一の目標です。

次に、2020年5月に発表する予定の中期経営計画が、持続的な成長を実現できるものとなり、かつステークホルダーの方々にも納得していただけるように、優先的な課題を明らかにし短時間で実行していきたいと思います。

そして3つ目に、企業理念の1番目にある「会社の繁栄と社員一人ひとりの人生の充実を一致させること。」をより高いレベルで実現できるように、環境整備に今まで以上に取り組みます。

これら3つが特に就任1年目で注力していく目標です。

―― それらの目標を達成した先に、ウシオ電機をどんな会社にしていきますか。

内藤 一言でいうと分かりやすい会社にしたい。最終的なゴールはどこにあって、そのために今これをやるのだというのが明確な会社でありたいですね。そして、それを社内だけではなく、世間や投資家の皆さんにも伝えていきたいと思います。

ウシオ電機のミッションは光を使って人々の暮らしを便利にしていくこと。光の機能はまだ未解明なものがたくさんあります。つまり、われわれにはまだまだやれる仕事がたくさんある。分かりやすい組織風土をつくり上げ、即断即決でまい進したいと思います。

雑誌「経済界」定期購読のご案内はこちら

経済界ウェブトップへ戻る