広告やマーケティング、ブランディングを事業プロデュースという大きな枠で捉え、事業が成功するまで顧客と並走する姿勢が支持されているグランドビジョン。経営者の思いを形にしていく力で、単なる広告代理店とは一線を画している。

 

中尾賢一郎・グランドビジョン社長プロフィール

中尾賢一郎1

(なかお・けんいちろう)1975年生まれ。鹿児島県出身。大学卒業後にコピーライターを志し広告企画会社に入社。その後電通九州に転職し、通信業界、商業施設、映画、酒類、自動車メーカー等の販売促進プロデュースや、官公庁のイベントプロデュースやイベントプロデュース、また鹿児島の観光にも大きく貢献した2004年に開催された長渕剛桜島オールナイトコンサートのスポンサードプロデュースなどを担当。さまざまな企業のPRやイベントに携わった後、2011年グランドビジョンを創業。マーケティングやブランディングを強みとする総合事業プロデューサーとして活躍する。

 

 

事業プロデューサーの仕事は経営者の思いを見える化すること

 

 「昨年との違いは、圧倒的に事業プロデュースのコンサルティングが増えていることですね。一般的な広告代理店との差別化の意味でも、事業プロデュースには力を入れています」  

 グランドビジョン社長の中尾賢一郎氏はこう語る。

 テレビ通販番組の制作から始まり、マーケティング、ブランディング、さらには人材採用支援も行うなど、幅広いサービスをクライアント企業に提供できるのが同社の強み。「広告代理店機能を持つ事業プロデューサー」という部分に強いこだわりを見せてきた中尾氏だが、クライアント企業にもその認識は着実に広がっているようだ。

 広告やマーケティング、ブランディングを事業プロデュースという大きな枠で捉えるため、単に指示を与えるだけでなく、事業が成功するまでクライアントと並走することを重視する。そんな姿勢も支持される理由だ。

 クライアント企業の業種はさまざまで、新規事業の立ち上げ案件もあれば、既存事業のテコ入れもある。そんな中で結果を出すために重視しているのが、経営トップのビジョンや事業ミッションを共有し、明確に言語化することだ。

 「経営者の思いを形にするプロセスは、分野が違っても変わりません。そして、トップが伝えたいことを見える化して、現場に反映させることがわれわれの役割です」と、中尾氏は語る。

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「経営トップが伝えたいことを見える化して、現場に反映させることが役割」と語る

顧客の声を最重視する理由

 

 近年では、不特定多数に訴えかけるマスマーケティングより、コアなファンを獲得するためのダイレクトマーケティングが主流になってきている。そのため、通販事業などを通して日々集まる顧客の声が大きな資産となる。グランドビジョンではコールセンターをロイヤルカスタマーを生み出す場所と位置づけ、顧客の意見をデータベース化して商品開発やマーケティングに活かす取り組みを強化していくという。

 「最初に受け取る顧客の声や属性などのデータを、いかに抽出して活かしていくかが最も重要です。当社ではそれをVOCソリューションサービスと呼んでいて、6~7年やり続けています」

 新たな試みとしてAI技術を導入したマーケティングにも取り組んでいる。通販番組への消費者からのレスポンスを媒体ごとに事前予測して事業者に提供するもので、広告予算の費用対効果を最大化する試みだ。現在は人間による予測のサポートツールとしての域を出ていないが、将来的にはこうしたサービスも本格化させる考えだ。

 海外進出も本格化させる考えだ。既にベトナムでの法人設立が決定しており、通販番組のマーケティングを手掛けていくという。

 「ベトナムは完全にスマホ社会でテレビがあまり見られていないので、日本のやり方がそのまま通用するわけではないと思いますが、まずは一歩踏み出します。われわれのように総合事業プロデュースの観点を持つ会社が他になないのも、進出を決めた理由です」

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海外への挑戦第一歩としてベトナムに進出する

成長のカギを握る事業プロデューサーの育成

 

 会社がさらに成長するためには、事業プロデュースをしっかりと手掛けられる人材育成が不可欠となる。

 「さまざまな企業や商品と関わっていく事業プロデューサーに必要な素養は、好奇心が旺盛であること。さらに、事業プロデューサーとしてパートナー企業を成長させることで雇用が生まれ、雇用が生まれると地方活性化にもつながるという気持ちでやってほしい」と、中尾氏は語る。

 会社設立から8年を迎え、優秀な人材が育っていることが実感できてきたという。

 「新卒で入ってきたメンバーが、3~5年経って活躍しだしました。今後も新卒採用には力を入れて、長い目で育てていきたいと考えています」

 自身も事業プロデューサーとしてさまざまな企業を支援する傍ら、2011年からスタートさせた「空海劇場」をはじめとする自社企画のイベントにも力を入れるなど、まだまだプレイヤーとしても精力的に活動する中尾氏。後進を育成し、よりマネージメントに注力できる環境をつくることも、今後の成長に向けた課題となりそうだ。

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