2000年に開学し、まだ歴史が浅い名古屋産業大学。実践的な職業教育に力を入れており、次年度からは3カ月にわたる長期間のインターンシップを正課教育として始める。学内に設置した株式会社を教育に活用するなど、意欲的な取り組みが話題となっている。現状と今後の方針について伊藤雅一学長に話を聞いた。(聞き手/本誌編集委員・清水克久)

文理融合のビジネスが基盤の日本初の学部

-- 御校の建学の理念、特徴をお聞かせください。

名古屋産業大学 学長
伊藤雅一(いとう・まさかず)
1958年生まれ。三重大学大学院工学研究科博士後期課程修了、博士(工学)。津市市長公室政策課政策担当主査、名古屋産業大学助教授、教授等を経て、2009年4月から現職。株式会社名古屋産業大学グリーン・ソーシャルビジネス代表取締役、一般社団法人日本CO₂濃度マップ普及協会副代表理事のほか、国、地方自治体の審議会委員などを兼任。

伊藤 「職業教育を通して社会で活躍できる人材の育成」が建学の精神です。本学の母体である学校法人菊武学園は、タイピスト専門学校に始まり、65年におよぶ職業教育の歴史があります。この歴史を踏まえた建学の精神が本学の特徴です。

 環境情報ビジネス学部と環境マネジメント研究科の1学部1研究科、学生数も600人ほどの小規模の大学ですが、ビジネス教育に特化しています。今、日本中に環境系、情報系の学部を持つ大学はたくさんありますが、その多くは理系の学部です。しかし、本学では、文理融合のビジネスを基盤とした社会科学系の学部としており、そういった学部は日本で唯一なのです。

-- 具体的にはどのようなことを学んでいるのでしょうか。

伊藤 教養教育の上に専門基礎教育として、ビジネスの基礎を学ぶのですが、さらに次の段階として3つのコースを用意しています。環境を専門的に学ぶ環境ビジネスコース、情報、ICTを専門とする情報コミュニケーションコース、経営学や法律を学んで地域ビジネス、起業、中小企業診断士の資格取得を目指すビジネスプロフェッションコースです。

 せっかく大学名に「産業」が付いているのですから、その特色を発揮するためにビジネススクール指向のカリキュラムを徹底しています。

-- 特にビジネス能力に特化している教育を行っているということでしょうか。

伊藤 3年次の春学期からは、ビジネストレーニングプログラムが始まります。このプログラムには5つの種類があります。まず、企業インターンシップ、海外インターンシップ、農山村インターンシップ、環境ビジネス実践プログラム、地域ビジネス実践プログラムです。

 3つのインターンシッププログラムは、3カ月という長期のインターンシップを通じて、就労体験にとどまらずビジネスの現場で企業研究することまでを課題としています。海外インターンシップでは、語学学習と就労体験の組み合わせになっており、農山村インターンシップは地域活性化研究にもなっています。通常のインターンシップですと数週間という短期で単なる職業体験で終わってしまいがちですが、長期間、かつ複数の目的を持つことで、より実践的な学習の場としています。

 またインターンシップのような学外での学びに限らず、学内でも企業と連携した実践教育プログラムを受けることができます。これは学内に株式会社を設立し、その会社で学内インターンシップを行うというものです。学生でありながら、株式会社という枠組みの中で実践的な環境ビジネスの学習体験を得ることができます。この株式会社の利益は、学生の奨学金資金などに活用して学生に還元します。学生は給料をもらうのではなく、能力開発、もっと端的に言えば単位を報酬としてもらっているのです。中小企業基盤整備機構中部本部と協力した実践的なプログラムもあり、選択必修科目として履修するようにしています。

多くの企業と協力した実践的な職業教育を

-- 就職支援についての取り組みは。

伊藤 キャリア支援課に9人のスタッフがおり、2人のカウンセラーを置いています。これは大学の規模を考えるとかなり多いほうだと思います。内定率は、毎年、95%前後で推移しています。実は、インターンシップ先として協力いただいている企業には、厳しく学生を評価してほしいとお願いしています。その評価に加えて、学内の学修評価を加味して、企業には大学推薦枠を作ってほしいとお願いしているところです。インターンシップ制度を単なる青田買いの場にせず、実践的な学びが就職に結び付くように工夫しています。大学院に進む学生も多く、昨年は25人が進学しました。

-- 企業の国際化に伴ってグローバル化も急務ですね。

伊藤 海外インターンシップもそのひとつですが、カリキュラム全体では、2週間と1カ月の短期留学、3カ月の海外インターンシップ、1年間の交換留学と4つのレベルの留学機会を設けています。在校生の中には4年間の在学中、1年2カ月も海外にいたという学生もいます。また、留学後も、スタディメイト制度があり、留学生とペアになって、互いの文化などを学び合えるようにしています。

-- 最後に、今後の展望をお聞かせください。

伊藤 まだまだ若い大学で、知名度も低いというのが現状ですが、大学の本質は教育の質にあると思っています。入学志願者を増やす入口の問題や就職を含めた出口の問題がありますが、今はその真ん中にある教育を強化し、就職実績のさらなる向上につなげているところです。今後はこれら本学の取り組みを、いかにして高校生、その保護者、高校関係者に伝えていくかが課題だと思っています。

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