日本通運を母体として設立された企業系大学の雄である。ロジスティクスを根幹に、専門的職業人の育成を建学の精神に掲げて、多くの人材を輩出してきた。キャンパスは龍ケ崎(茨城県)と新松戸(千葉県)に分かれるが、どちらで学ぶかは学生が選択できるという特色もある。 (聞き手/本誌編集委員・清水克久)

時代の要請に合わせて5学部8学科体制に

小池田冨男(こいけだ・とみお)
1949年生まれ。76年東京大学大学院経済学研究科博士課程満期退学。同年、流通経済大学経済学部専任講師。88年教授(現任)。2001年から05年まで経済学部長。01年学校法人日通学園理事(現任)。08年から学長。

小池田 1940年に中堅運送業の幹部養成学校として建学され、戦後になって日本通運を中心とした産業界の支援で、経済学部経済学科のみの単科大学として流通経済大学が発足しました。高度経済成長期に消費と生産が拡大し続ける中で、その2つをつなぐ物流の近代化、合理化なくして日本経済の発展はないと考えたのです。

 教育面では、実業界で活躍できる高度な専門知識を持った、専門的職業人の育成を目的としていました。建学当時は、物流分野の人材が不足している上に、事業としての研究も進んでいなかったのです。近年は、ロジスティクスやマネジメントを核とする研究機関としても、多くの研究者を内外に輩出するようになりました。

-- 今では学部も5学部に増えていますね。

小池田 実学教育、教養教育、そして少人数教育を柱に、社会の要請に応え得る人材の育成を目的にしていますので、時代の変化に応じた学部学科を設置してきました。経済学部といっても交通論や流通論を軸に、特色ある専門教育と研究を進めてきました。また他学部においても、社会学部には社会学科と国際観光学科、流通情報学部には流通情報学科、法学部にはビジネス法学科と自治行政学科があります。いずれも実学に沿って、ビジネスの最前線で活躍する人材の育成を意識したものです。スポーツ健康科学部では、スポーツプロモーションの専門家や教員が養成されています。

ゼミを中心とした少数教育には定評がある

ゼミを中心とした少数教育には定評がある

-- 少人数教育の意義は。

小池田 昔は学生を大量に送り出して、あとは企業が社内で教育すればよかった。しかし現代では、企業は学生に対して、社会人としてのコミュニケーション能力や判断力、意志決定力、何よりも応用的な能力を求めています。その要請に応えるには、きめ細かい指導ができる少人数教育しかないのです。

 まず、本学では1年次から4年次まで、必ず、何かしらのゼミに所属します。そのゼミで、グループワークを通して課題発見能力、問題解決能力を養成していきます。学科によっては学生ごとのラーニングポートフォリオやカルテを作成し、教育目標の達成度を把握。また教員にはタブレット端末を持たせて、学生と緊密にコミュニケーションを取るようにしています。

 さらに実学教育の一環として、各学科には、複数の企業から第一線で活躍している部長クラスの方を客員講師としてお招きし、最新のビジネスの現場に即した教育も行っています。

特別奨学生制度を新たに創設しリーダーを育成

2004年に開校した新松戸キャンパス

2004年に開校した新松戸キャンパス

-- 志願者を増やすためには、就職率の向上が課題ですね。

小池田 この5年程度で、志願者数を約1・5倍に増やすことができました。その理由はやはり就職率の向上があります。今、特に私立文系の学生の就職状況は厳しいのですが、本学の場合、いわゆる就職志望者に対する内定率で約96%、卒業生に対する就職率でも約8割になっています。私立文系の平均が6割台ですから、格段に就職には強いと自負しております。

 その背景の1つとして、日本通運の存在があります。日本通運全体で約300もの関連企業があり、約600人の本学の卒業生が働いております。日本通運さんとのつながりの強さは大きな財産です。また日本通運に限らず、物流業界全体に、本学の卒業生がたくさんいます。他の業界においても、ロジスティクス、サプライチェーンをきちんと教えている大学は本学だけということもあって、年々社会的評価が高まっております。

-- 今後の課題、新たな取り組みは。

小池田 今年から学力試験で選抜した特別奨学生制度を導入して、高度な教育を施しています。この特別奨学生をトップ企業に送り込み、彼らが幹部候補生として、将来、その企業のリーダーになることを期待しています。入学当初の学生をフォローする教育学習支援センター、充実した就職活動をサポートする就職支援センターもあります。

 グローバル化、IT化する経済の中で、必要なのはロジスティクスの進化であり、その重要性はますます高まっていくでしょう。

 本学はその根幹を支える教育研究機関として研鑽を重ね、多くの人材を社会に送り出したいと考えています。

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