福良伴昭氏が描くジャストシステムの未来

 日本語ワープロソフトの草分けとして知られる「一太郎」。発売元のジャストシステムで、その前身となる「JS ― WORD」からメーンの開発者として携わってきたのが、現社長の福良伴昭氏だ。歯科医を目指していたが、アルバイトで購入したパーソナルコンピューターとの出合いが大きな転機となった。

根強い人気を誇る看板ソフト「一太郎」は、来年発売30周年を迎える。パソコンにおける日本語環境の充実に同社が果たしてきた功績は大きい

根強い人気を誇る看板ソフト「一太郎」は、来年発売30周年を迎える。パソコンにおける日本語環境の充実に同社が果たしてきた功績は大きい

 「自分でプログラムをしてゲームを作りたかったのですが、まだプログラム教本も何もない時代でした」と語る福良社長は、創業間もない同社でアルバイトからスタート。すぐに正社員となりソフトウエア開発を牽引する立場となった。

 パソコン黎明期から国内ワープロ市場を席巻してきた「一太郎」も、一時はマイクロソフト「オフィス」シリーズの攻勢によって苦境に立たされた。しかし、企画により時間をかけ、製販一体で製品、サービスの開発、提供に取り組む体制に切り替えたことで、最近は11四半期連続で最高益を更新するなど、業績は急回復している。

モノがあふれていては効率化が実現しないとの考えから、社長室は無駄を省きシンプルに。机上に書類が積み重なることはない

モノがあふれていては効率化が実現しないとの考えから、社長室は無駄を省きシンプルに。机上に書類が積み重なることはない

 「一太郎」のイメージが強い同社だが、実は法人向けから個人向けまで幅広い事業を手掛けている。タブレットを活用した通信教育事業としてスタートした「スマイルゼミ」は、楽しみながら学習を継続できる工夫が随所に盛り込まれ加入者数が急増。得意の日本語入力システムでも、電子カルテとスムーズに連携する医療現場向けの「ATOK Medical」は拡大中の市場で好評を博している。また、流行りのスマートフォン、タブレット機器にも早くから対応し、同分野で高いシェアを誇る。

 好業績を背景に、今年2月には東証一部へと市場変更した。福良社長は、「今の経営環境をチャンスととらえ、ワクワクしています。新たな製品やサービスを軌道に乗せるのは簡単なことではありませんが、継続して伸ばしていけるような事業を育てていきたいですね」と、新規事業の立ち上げに意欲を燃やしている。

 

ふくら・ともあき ──1963年徳島県生まれ。83年ジャストシステム入社。86年取締役就任。95年常務取締役を経て2009年6月社長に就任。

ふくら・ともあき ──1963年徳島県生まれ。83年ジャストシステム入社。86年取締役就任。95年常務取締役を経て2009年6月社長に就任。

東京本社の窓からは新宿中央公園の緑が一望できる。多忙な合間に心が休まるお気に入りの風景だ

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1985年頃の徳島本社。食事中も同僚と共に開発するソフトウエアについての議論に花が咲いた(中央が福良社長)

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今年2月、ジャスダック市場から東証一部へ市場変更した

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全国の営業部員も含め、全社員を集める「全体会」で目標を共有し、社員の士気を高める

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通信講座「スマイルゼミ」が「2013年日経優秀製品・サービス賞 最優秀賞 日本経済新聞電子版賞」を受賞

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毎年バージョンアップを重ねる「一太郎」の記者発表会

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 (写真=佐々木 伸)

 

 

 

 

 

 

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