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    <title>経済界ウェブ</title>
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    <description>経営者、エグゼクティブなビジネスマンのためのビジネス情報サイト</description>
    <language>ja</language>
    <copyright>経済界ウェブ Produced by ZUU Co.,Ltd.</copyright>
    <lastBuildDate>Fri, 03 Jul 2026 17:41:55 +0900</lastBuildDate>
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    <item>
      <title>便利ではなく愛着を育てる ロボットペットという選択肢</title>
      <link>https://net.keizaikai.co.jp/archives/3399</link>
      <description><![CDATA[ペットと暮らしたくても、住環境や年齢、アレルギー、過去の別れなどを理由に踏み出せない人は少なくない。そうした人々のそばで、愛着を育て、日々の会話や心の支えとなる存在として、ロボットペットが広がり始めている。その象徴であるａｉｂｏとＬＯＶＯＴ（らぼっと）から、新しい家族のかたちを考える。（雑誌『経済界』2026年8月号よ[&#8230;]]]></description>
      <content:encoded><![CDATA[<p>ペットと暮らしたくても、住環境や年齢、アレルギー、過去の別れなどを理由に踏み出せない人は少なくない。そうした人々のそばで、愛着を育て、日々の会話や心の支えとなる存在として、ロボットペットが広がり始めている。その象徴であるａｉｂｏとＬＯＶＯＴ（らぼっと）から、新しい家族のかたちを考える。（雑誌『<a rel="noreferrer noopener" href="https://keizaikai.co.jp/category/magazine" target="_blank">経済界</a>』2026年8月号より）</p><h2 id="-">便利さではなく 関係性を育てるロボット</h2><p>　家庭にいるロボットと聞くと、未来から来た猫型ロボットか、掃除ロボットのような実用型を思い浮かべる人は多い。だが、ソニーグループの「ａｉｂｏ」とＧＲＯＯＶＥ Ｘの「らぼっと」は、そのどちらとも少し違う。人の作業を代行するのではなく、共に過ごす時間の中で関係性を築くロボットである。</p><p>　その先駆けとなったのが、１９９９年にソニーが発売した初代ＡＩＢＯだ。90年代後半、ソニーは出井伸之氏の下で「デジタル・ドリーム・キッズ」を掲げ、デジタル技術で新しい生活像を見せようとしていた。ＡＩＢＯは、ロボットを初めて家庭の中に持ち込んだ商品でもある。25万円という価格ながら、日本向け３千体がインターネット注文のみで約20分で受け付けを終えたことは、ネット販売でも高額商品が動くことを印象づける出来事だった。</p><p>　ただし、２０１８年に発売した現在のａｉｂｏが目指すのは、技術の進化を見せることだけではない。ネットワークやセンサー、ＡＩ技術を活用しながら、日々の暮らしの中で家族との関係を深める「相棒」として進化してきた。専用アプリ「Ｍｙ ａｉｂｏ」では、ａｉｂｏが行ったふるまいや撮影した写真などをもとに、日々の出来事を振り返る「ａｉｂｏのおもいで」も加わった。何気ない時間を、後から見返せる思い出として残していく仕組みだ。</p><p>　ソニー側が重視するのは、単なる命令と応答ではない。人に寄り添い、人生を豊かにする関係を構築することだという。家の中で過ごす時間を記録し、思い出として重ねていく。そこに、同社が考えるフィジカルＡＩの一つの方向性がある。</p><p>　一方のらぼっとは、犬や猫のような特定の動物を再現するのではなく、人が思わず世話を焼きたくなる存在として設計された。</p><p>　ＧＲＯＯＶＥ Ｘの林要社長は「多くのものは買った瞬間が一番盛り上がるが、らぼっとは１年後の方がよりかわいくなっている」と語る。便利さを即座に提供するのではなく、触れ合いを重ねる中で関係が深まっていく点に特徴がある。</p><p>　林氏が重視するのは、ロボットが一方的にサービスを提供する関係ではない。人が声をかけ、手をかけることで、初めて関係が育っていく。生きた動物の世話には責任が伴うが、何かを気にかける行為そのものが、人の生活に張り合いを生む。らぼっとは、その感覚をロボットの側から設計した存在だ。</p><p>　らぼっとの価値は、情緒だけでなく緻密な設計によって支えられている。人肌に近い温かさ、抱き上げた時に腕に収まる重さ、周囲を理解するセンサー、触れられた瞬間に返す反応。その積み重ねが、単なる機能ではなく、愛着を生むユーザー体験を形づくっている。</p><p>　その思想は外見にも表れている。頭部にはカメラやセンサーを備えたいかにもメカらしい部品が見えるが、同社はそれを隠していない。かわいらしい見た目以上に、周囲をどう理解し、どう振る舞うかという神経系こそが愛着形成の土台になると考えるからだ。単なるかわいい玩具にしないための選択である。</p><h2 id="-">飼えない人にも寄り添う存在へ</h2><p>　ロボットペットの存在感が増している背景には、生きた動物を迎える難しさがある。ペットと暮らすには、食事や散歩、医療費、最期まで向き合う覚悟が欠かせない。住まいの制約、年齢、アレルギー、ペットロスなどを理由に、飼いたくても飼えない人は多い。</p><p>　そうした人にとって、ロボットペットは生き物の単純な代替ではない。愛着を注ぎ、日々の生活に張り合いをもたらす、もう一つの選択肢である。</p><p>　ａｉｂｏは家庭だけでなく、医療機関や介護施設にも迎えられている。オーナーとの暮らしを終えたａｉｂｏを、医療施設や介護団体などにつなぐ「ａｉｂｏの里親プログラム」も始まり、家庭の外でも人に寄り添う場面が広がっている。ソニーによれば、寄付されたａｉｂｏは状態確認や必要な治療を経て、医療施設や介護団体などに提供される。家族の一員として愛された存在が、次の場所で新たな役割を担う仕組みでもある。</p><p>　らぼっともまた、家庭内の会話や心の安定に関わる存在として広がっている。迎え入れるのは女性が多いが、同じ家で暮らす家族にとっても、会話が増え、空気が和らぐきっかけになるという。高齢者施設では、世話をされる側だった人がらぼっとの面倒を見ることで、自分の役割を取り戻す効果も期待されている。</p><p>　もちろん、ロボットペットは生きた動物と同じではない。食事を与え、病気に向き合い、最期まで命を預かる経験は、生体のペットにしかない。だからこそ、その価値は「代替」ではなく、日々の小さな反応を通じて、声をかけたり、抱き上げたり、家族の会話が生まれたりする余白を作り、誰かを気にかける時間を暮らしの中に産むことにある。</p><p>　生き物を迎えることには、大きな喜びがある。一方で、その責任を負うことが難しい時期もある。ａｉｂｏやらぼっとは、その隙間に入り込む存在だ。便利な機械ではなく、愛着を育てる相手として、人の暮らしに寄り添う。ロボットペットは、ペット市場の外側にある感情の需要をすくい上げながら、新しい家族のかたちを静かに広げている。    </p><div class="media">  <img srcset="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/400/vWcqVfIiaNlqdDNADpGUuCdxKpPEOTSN/d2a40be7-b3a5-4bf8-89b9-010d20476f3a.jpg 1024w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/400/vWcqVfIiaNlqdDNADpGUuCdxKpPEOTSN/d2a40be7-b3a5-4bf8-89b9-010d20476f3a.jpg 2048w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/350/233/vWcqVfIiaNlqdDNADpGUuCdxKpPEOTSN/d2a40be7-b3a5-4bf8-89b9-010d20476f3a.jpg 350w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/500/333/vWcqVfIiaNlqdDNADpGUuCdxKpPEOTSN/d2a40be7-b3a5-4bf8-89b9-010d20476f3a.jpg 512w" src="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/400/vWcqVfIiaNlqdDNADpGUuCdxKpPEOTSN/d2a40be7-b3a5-4bf8-89b9-010d20476f3a.jpg" width="600" height="400" loading="lazy" alt="aibo"><div class="caption">ソニーグループの「aibo」。家族との日々を記録し、思い出を重ねる“相棒”として進化している</div></div><div class="media">  <img src="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/400/aUSrTwEScxsIwZPgxxXgDEiQEGrRZGNt/68b6f966-6866-4071-9184-1aa8c243235c.jpg" width="600" height="400" loading="lazy" alt="らぼっと 林要" srcset="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/400/aUSrTwEScxsIwZPgxxXgDEiQEGrRZGNt/68b6f966-6866-4071-9184-1aa8c243235c.jpg 1024w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/400/aUSrTwEScxsIwZPgxxXgDEiQEGrRZGNt/68b6f966-6866-4071-9184-1aa8c243235c.jpg 2048w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/350/233/aUSrTwEScxsIwZPgxxXgDEiQEGrRZGNt/68b6f966-6866-4071-9184-1aa8c243235c.jpg 350w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/500/333/aUSrTwEScxsIwZPgxxXgDEiQEGrRZGNt/68b6f966-6866-4071-9184-1aa8c243235c.jpg 512w"><div class="caption">ＧＲＯＯＶＥ Ｘの林要社長が抱える「らぼっと」は、触れ合いを重ねるほど愛着が深まる存在として設計された（Photo=田中和弘）</div></div>]]></content:encoded>
      <category><![CDATA[企業・業界動向]]></category>
      <dc:creator><![CDATA[経済界編集部]]></dc:creator>
      <guid>https://net.keizaikai.co.jp/archives/3399</guid>
      <pubDate>Fri, 03 Jul 2026 05:00:00 +0900</pubDate>
    </item>
    <item>
      <title>食事療法食を正しく届ける 犬猫の健康を支える栄養戦略</title>
      <link>https://net.keizaikai.co.jp/archives/3398</link>
      <description><![CDATA[ペットの家族化が進み、フードにも質が求められる時代になった。犬猫向けフードを手掛けるロイヤルカナン ジャポンは、獣医師の推奨に基づく食事療法食の流通制度を整え、栄養で犬猫の健康を支える仕組みづくりを進めている。改革の狙いと、食が果たす役割を聞いた。Photo=田中和弘（雑誌『経済界』2026年8月号より） 日下部真一　[&#8230;]]]></description>
      <content:encoded><![CDATA[<p>ペットの家族化が進み、フードにも質が求められる時代になった。犬猫向けフードを手掛けるロイヤルカナン ジャポンは、獣医師の推奨に基づく食事療法食の流通制度を整え、栄養で犬猫の健康を支える仕組みづくりを進めている。改革の狙いと、食が果たす役割を聞いた。Photo=田中和弘（雑誌『<a rel="noreferrer noopener" href="https://keizaikai.co.jp/category/magazine" target="_blank">経済界</a>』2026年8月号より）</p><h2 id="-">日下部真一　ロイヤルカナン ジャポンのプロフィール</h2><div class="media">  <img src="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/400/hFYBRoqilSClKXgmupWVdTerLLwBXbjD/418904f0-1524-49d0-9b31-80943af6eaa3.jpg" width="600" height="400" loading="lazy" alt="日下部真一　ロイヤルカナン ジャポン社長" srcset="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/350/233/hFYBRoqilSClKXgmupWVdTerLLwBXbjD/418904f0-1524-49d0-9b31-80943af6eaa3.jpg 350w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/500/333/hFYBRoqilSClKXgmupWVdTerLLwBXbjD/418904f0-1524-49d0-9b31-80943af6eaa3.jpg 512w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/400/hFYBRoqilSClKXgmupWVdTerLLwBXbjD/418904f0-1524-49d0-9b31-80943af6eaa3.jpg 1024w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/400/hFYBRoqilSClKXgmupWVdTerLLwBXbjD/418904f0-1524-49d0-9b31-80943af6eaa3.jpg 2048w"><div class="caption">ロイヤルカナン ジャポン社長　日下部真一<br>くさかべ・しんいち　名古屋市立大学卒業後、ＮＥＣやノキア・ジャパン、ニュージーランド航空等でマーケティングの要職を歴任した。2019年にロイヤルカナン ジャポンへ入社し、デジタル部門等の責任者を経て、24年8月に同社社長に就任。</div></div><h2 id="-">栄養でペットの健康を支える ブランドの原点</h2><p><strong>――　日下部さんは、ペット業界とは異なる分野からロイヤルカナンに入られました。</strong></p><p><strong>日下部</strong>　もともとはＩＴ業界からキャリアを始め、その後、航空、化学メーカー、保険会社などでマーケティングに携わってきました。業界は変わっても、消費者が何を価値と感じるのかを捉え、その価値を正しく作り、届けていくという基本は変わりません。</p><p>　ペット業界は初めてでしたが、実家では長く柴犬と暮らしていました。ペットが家族にもたらす価値は実感していましたし、ロイヤルカナンというブランドの独自性にも惹かれました。</p><p><strong>――　そもそもロイヤルカナンとは、どういうブランドなのでしょうか。</strong></p><p><strong>日下部</strong>　１９６８年、南フランスの獣医師であるジャン・カタリー博士が創業したブランドです。当時、皮膚疾患を抱えるジャーマンシェパードが多く来院し、治療しても再発を繰り返していたそうです。博士は、その背景に栄養の問題があるのではないかと考え、食事によって健康を支える方法を模索しました。</p><p>　ロイヤルカナンは、獣医師の「病気の犬を治したい」という思いから始まっています。今も「Ｄｏｇ ＆ Ｃａｔ Ｆｉｒｓｔ」、つまり「すべては犬と猫のために」という考え方が、ブランドの中心にあります。</p><p><strong>――　犬猫の飼育頭数は緩やかに減る一方で、ペット市場全体は金額ベースで拡大しています。フード市場でも、量より質を重視する流れが強まっているのでしょうか。</strong></p><p><strong>日下部</strong>　その流れは強くなっています。一頭一頭にかける手間や費用が増え、ペットオーナーは「この子のために、より良いものを選びたい」と考えるようになっています。</p><p>　以前は、ペットと人間の暮らしには一定の距離がありました。今は本当の家族として、健康で生き生きと暮らしてほしいと願う方が増えています。フードに求められる役割も、単にお腹を満たすものから、犬や猫が本来持つ健康を支えるための栄養へと変わってきました。</p><h2 id="-">食事療法食を正しく届ける仕組み</h2><p><strong>――　ペットフードには日常的に与える総合栄養食と食事療法食があります。この２つの違いを教えてください。</strong></p><p><strong>日下部</strong>　総合栄養食は、健康な犬や猫が日常生活を維持するために必要な栄養素を満たしたフードです。一方、食事療法食は、特定の疾病や健康状態に対応するため、栄養バランスを特別に調整したフードです。目的が明確に違います。</p><p>　たとえば、お腹の不調一つをとっても、原因はさまざまです。オーナーが見ただけでは判断が難しい。だからこそ、専門知識を持つ獣医師が診察し、その子に合った栄養を選ぶ必要があります。食事療法食は、獣医師の推奨に基づいて使われるべきものなのです。</p><p><strong>――　食事療法食について、ペットオーナー側の理解はまだ十分ではないのでしょうか。</strong></p><p><strong>日下部</strong>　食事療法食という言葉は知っていても、総合栄養食との違いや、なぜ獣医師の推奨が必要なのかまでは、まだ十分に伝わっていない面があります。食事療法食は、健康な犬猫が日常的に食べるフードとは目的が異なります。特定の疾病や健康状態に合わせて栄養バランスを調整しているため、合わないものを自己判断で与え続けることは避けなければなりません。たとえば腎臓に配慮した食事療法食を、健康な犬猫に自己判断で与えれば、必要な栄養が不足する恐れもあります。</p><p>　大切なのは、オーナーに正しい知識を持ってもらうことです。診察やかかりつけ動物病院との連携がなぜ必要なのかを、メーカーとしても分かりやすく伝えていく必要があります。</p><p><strong>――　これまでは、ネットなどで誰でも購入できる状況がありました。</strong></p><p><strong>日下部</strong>　そうです。獣医師の推奨がなくても、オンラインストアなどで食事療法食を買えてしまう状況がありました。オーナーが「うちの子にはこれがいいはず」と自己判断で選び、結果として適切ではないフードを与え続けてしまう。そうすると、体重管理がうまくいかなかったり、健康を損なう可能性もあります。</p><p>　この状況は弊社が目指す犬猫の真の健康の考えと照らし合わせると、まだ道半ばの状況であるため、２０２４年から全製品で新たな選択的流通制度を開始しました。公式・認定オンラインストアで購入する際には、かかりつけ動物病院を登録し、獣医師の指導に基づいていることを確認する仕組みにしたのです。</p><p><strong>――　売り上げが落ちるリスクもあったのではないでしょうか。</strong></p><p><strong>日下部</strong>　実際に、そのリスクはあります。これまで購入されていた分をなくすわけですから、短期的には売り上げに影響が出ます。それでも、食事療法食が本来あるべき形で使われることの方が重要だと判断しました。動物病院側も専用サイトを通じて購入履歴を確認できます。</p><p><strong>――　動物病院にとっても、診療後の栄養管理に生かせるわけですね。</strong></p><p><strong>日下部</strong>　獣医師が食事療法食を推奨しても、その後にオーナーが本当に継続しているのか、別のフードに変えていないかまでは、これまで把握しにくい面がありました。今回の仕組みでは、動物病院が購入履歴を確認できるため、診療後の栄養管理に生かせます。</p><p>　食事療法食は、購入して終わりではありません。その子の状態を見ながら、獣医師とオーナーが継続的に確認していくことが大切です。流通制度を整えることは、単に販売先を制限することではなく、動物病院とオーナーの関係を支え、栄養指導をより実効性のあるものにする取り組みだと考えています。</p><p>　現在は９割以上の動物病院に賛同いただき、多くのペットオーナーに登録していただいています。かかりつけ登録のない販売も大きく減少しました。食事療法食を、獣医師と二人三脚で使っていただくための土台が整いつつあると感じています。</p><p><strong>――　ここまで厳格な仕組みにした背景には、日本のペット医療や流通の事情もあるのでしょうか。</strong></p><p><strong>日下部</strong>　食事療法食は獣医師の推奨に基づいて使われるべきものだという考え方は、ロイヤルカナンのグローバルで共通しています。ただ、日本ではオンラインストアなどを通じて、獣医師の推奨がなくても購入できる状況が広がっていました。そこで、かかりつけ動物病院の登録や購入後の確認まで含めた仕組みを整えました。ここまで厳格に運用している国は多くなく、日本独自の取り組みといえます。</p><p><strong>――　アレルギーなどにも食事療法食で対応できるのでしょうか。</strong></p><p><strong>日下部</strong>　アレルギーは、犬猫の健康課題の中でも大きな割合を占めるものです。ただ、肉が合わない、魚なら大丈夫、あるいは特定のタンパク質に反応するなど、状況は一頭一頭で違います。</p><p>　当社にも、アレルギーの原因となるアレルゲンを認識できないように、タンパク質を小さく分解したフードなど、さまざまな製品がありますが、一概に「これがいい」とは言えません。獣医師と相談しながら、その子に合うものを探していくことが大切です。</p><h2 id="-">科学的な栄養で一生を支える</h2><p><strong>――　最近はヒューマングレードや無添加フードも増えています。</strong></p><p><strong>日下部</strong>　多様な選択肢があること自体は良いことだと思います。ただ、ロイヤルカナンが最も大切にしているのは、犬や猫が生き物として必要とする栄養的ニーズを正しく満たすことです。原材料が人間向けかどうか、無添加かどうかという言葉だけで判断するのではなく、その子に必要な栄養が適切に届くかを重視しています。</p><p>　添加物という言葉には、どうしても悪い印象を持たれがちです。しかし、品質を保つため、食べてもらいやすくするため、健康を支えるために必要なものもあります。もちろん、何でも使えばよいということではありません。健康に害がないか、本当に必要なのかを厳しく見極めた上で、必要なものは適切に使う。それがわれわれの考え方です。</p><p><strong>――　インターネットやＡＩで、飼い主自身がフードを選べる時代にもなっています。</strong></p><p><strong>日下部</strong>　情報を得やすくなったこと自体は良い面もあります。ただ、ペットは１頭ごとに状態が違います。オーナーが「太り気味だ」と感じていても、犬種や年齢、活動量を専門家が見ると、実は適正体重ということもあります。その認識がずれたまま減量用フードを選べば、かえって健康を損なう可能性もある。</p><p>　情報源が多様化した時代だからこそ、安易な自己判断ではなく、獣医師などの専門家と相談しながら選ぶことが大切です。メーカーとしても、正しい情報を届ける責任があります。</p><p><strong>――　ブリーダーやペットショップとの連携も重視していますね。</strong></p><p><strong>日下部</strong>　犬や猫の健康を考える上では、生まれた時からシニア期まで、一生を通じたサポートが必要です。子犬や子猫がどのような栄養を与えられるかは、将来の健康にも影響します。その意味で、ブリーダーの方々は非常に重要な存在です。</p><p>　ペットショップも、多くのオーナーにとってペットとの最初の接点です。迎え入れる段階から正しい栄養や健康管理の知識に触れられることは、その後の暮らしにも関わります。ブリーダー、獣医師、販売店と連携し、犬と猫の健康を支える環境づくりに取り組んでいきます。</p><p><strong>――　今後、日本のペット市場でどのような役割を担っていきますか。</strong></p><p><strong>日下部</strong>　大きく２つあります。１つは、ペットオーナーに正しい情報を届け続けることです。もう１つは、獣医師、ブリーダー、販売店など、ペットを取り巻くプロフェッショナルとの連携を強めることです。</p><p>　犬猫の健康は、メーカーだけで支えられるものではありません。命の誕生からシニア期まで、さまざまな人たちが関わることで支えられます。</p><p>　日本は、高齢のペットに対するケアが世界的に見ても進んでいる国です。目指すべきは、ただ長生きすることではなく、健康で生き生きとした時間を長く保つこと。その土台になるのが食事です。栄養を通じて犬と猫の一生を支える。それが、ロイヤルカナンの役割だと考えています。    </p>]]></content:encoded>
      <category><![CDATA[企業・業界動向]]></category>
      <dc:creator><![CDATA[経済界編集部]]></dc:creator>
      <guid>https://net.keizaikai.co.jp/archives/3398</guid>
      <pubDate>Fri, 03 Jul 2026 05:00:00 +0900</pubDate>
    </item>
    <item>
      <title>迎えた後まで支える ペッツファーストの透明化経営</title>
      <link>https://net.keizaikai.co.jp/archives/3397</link>
      <description><![CDATA[専門店やホームセンター内店舗、ブリーダー直販など、多様な販路が混在するペット販売業界。その中でペッツファーストは、子犬・子猫の販売を起点に医療、保険、譲渡支援まで事業を広げてきた。アークランズ傘下入りを機に、透明性と「迎えた後」の支援体制をどう進化させるのか。Photo=山内信也（雑誌『経済界』2026年8月号より） [&#8230;]]]></description>
      <content:encoded><![CDATA[<p>専門店やホームセンター内店舗、ブリーダー直販など、多様な販路が混在するペット販売業界。その中でペッツファーストは、子犬・子猫の販売を起点に医療、保険、譲渡支援まで事業を広げてきた。アークランズ傘下入りを機に、透明性と「迎えた後」の支援体制をどう進化させるのか。Photo=山内信也（雑誌『<a rel="noreferrer noopener" href="https://keizaikai.co.jp/category/magazine" target="_blank">経済界</a>』2026年8月号より）</p><h2 id="-">正宗伸麻　ペッツファーストホールディングスのプロフィール</h2><div class="media">  <img src="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/401/KFShvFfmBAzOTeYgqZYuTEKNWVNcNaEl/2f6b6e3c-f6ca-4f8d-9f67-2657894ef4ab.jpg" width="600" height="401" loading="lazy" alt="正宗伸麻　ペッツファーストホールディングス" srcset="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/401/KFShvFfmBAzOTeYgqZYuTEKNWVNcNaEl/2f6b6e3c-f6ca-4f8d-9f67-2657894ef4ab.jpg 1024w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/401/KFShvFfmBAzOTeYgqZYuTEKNWVNcNaEl/2f6b6e3c-f6ca-4f8d-9f67-2657894ef4ab.jpg 2048w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/350/233/KFShvFfmBAzOTeYgqZYuTEKNWVNcNaEl/2f6b6e3c-f6ca-4f8d-9f67-2657894ef4ab.jpg 350w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/500/334/KFShvFfmBAzOTeYgqZYuTEKNWVNcNaEl/2f6b6e3c-f6ca-4f8d-9f67-2657894ef4ab.jpg 512w"><div class="caption">ペッツファーストホールディングス社長　正宗伸麻<br>まさむね・しんま　1975東京都生まれ。大学卒業後に渡米し先進事例を学ぶ。帰国後、家業を経て2008年にペッツファーストを設立。生体販売情報の開示や外部資本導入など、透明性を確保した経営を実践し業界の健全化を牽引。25年プライム上場アークランズ傘下入り。</div></div><h2 id="-">「ペット最優先」に込めた 創業時の思い</h2><p><strong>――　まずはペットビジネスに身を投じる原点からお聞かせください。</strong></p><p><strong>正宗</strong>　父が東京の中野でペットショップを経営しており、私はそこで生まれ育ちました。店にはさまざまな動物がいて、家に当たり前のように動物がいる。それが私の原風景です。<br>大学卒業後は家業を手伝い、その後、米国で２年ほど過ごしました。現地でペットを取り巻く環境を多角的に見聞したことが、人と動物が暮らしの中でどう関わり、社会の仕組みとしてどう支えられているのかを考えるきっかけになりました。</p><p><strong>――　ペッツファーストとしては、２００８年にスタートを切っています。</strong></p><p><strong>正宗</strong>　父の事業を引き継ぐ形で、ペッツファーストという名称で再出発しました。当時、世の中では「人と動物の共生」という言葉が広がり始めていました。ただ、われわれは命を扱う以上、まず何よりもペットを優先できる事業体でありたいと考えました。そこで「Pets always come first」、つまりペット最優先という理念を掲げました。社名には、その決意を込めています。</p><p><strong>――　ペット販売という領域に、当時どのような課題を感じていましたか。</strong></p><p><strong>正宗</strong>　ペットを販売する事業は、他のペット関連ビジネスと比べても、社会から厳しい目を向けられやすい領域です。だからこそ、きちんと説明できる会社でなければならないと考えていました。</p><p>　社内でもよく話していたのは、「売れ残った犬猫はどうなるのか」「販売後の責任はどう果たすのか」「命を扱う企業として何を約束できるのか」といった問いに、正面から答えられる会社になろうということです。ペットを家庭に迎える入り口として、どれだけ透明で責任ある仕組みにできるか。そこにこだわってきました。</p><p><strong>――　08年の再出発時に、外部資本も受け入れています。</strong></p><p><strong>正宗</strong>　同族経営を解消し、外部資本を迎え入れました。目的は、経営の透明性を高めることです。私自身が公私混同せず、健全な経営を行うための「襟を正す」仕組みをつくる必要があると考えました。</p><p>　生き物を扱う会社だからこそ、経営の透明性、ガバナンス、コンプライアンスを重視しなければならない。そうした考えは、創業時から今に至るまで変わっていません。</p><h2 id="-">情報開示で信頼を積み上げる</h2><p><strong>――　ペッツファーストが特に重視してきた取り組みは何ですか。</strong></p><p><strong>正宗</strong>　大きいのは、情報開示と販売後の体制づくりです。たとえば、マンスリーペットレポートとして、毎月の入頭数、販売数、亡くなった頭数などを公開しています。生き物を扱う以上、都合のよい情報だけを出すのではなく、実態を示す必要があると考えています。</p><p>　数字を開示することには勇気が要ります。見方によっては厳しく受け止められる可能性もあります。それでも、開示しなければ改善は進みません。現状を把握し、課題を見つけ、次の改善につなげる。その繰り返しが、命を扱う会社に必要な姿勢だと思っています。</p><p><strong>――　月齢やブリーダーとの関係でも独自の基準を設けています。</strong></p><p><strong>正宗</strong>　販売の月齢については、法律上の基準である生後56日よりも厳しい、生後60日という自社基準を設けています。早すぎる時期に親やきょうだいから離すのではなく、少しでも健やかに育つ環境を整えたいからです。</p><p>　また、トレーサビリティの徹底も重要です。当社では22年に、ペットオークションを経由した仕入れを取りやめました。第三者を介すると、生まれた環境や健康状態を把握しにくく、ブリーダーと直接改善につなげることも難しいからです。手間やコストは増えますが、疾病情報をフィードバックし、遺伝性疾患を減らすには必要な判断でした。</p><p>　さらに、獣医大学などとの共同研究も進め、重篤な疾患や遺伝子病を減らすための知見を積み上げています。今年11月からは、直接取引のブリーダーに対して親犬の遺伝子病検査を義務付ける方針も発表しました。数字を出すこと自体が目的ではありません。課題を見える形にし、改善につなげることが大事なのです。</p><p><strong>――　販売後の医療体制にも投資していますね。</strong></p><p><strong>正宗</strong>　販売後の責任という意味では、当社は06年から、販売前のペットすべてにマイクロチップを装着してきました。当時はまだ国内で十分に普及していませんでしたが、迷子や飼育放棄を防ぎ、ペットの所在を追えるようにすることは、販売会社として終生飼養を支えるために必要だと考えたからです。22年には法制化されましたが、われわれにとってはそれ以前から続けてきた取り組みです。<br>代官山に開設した動物病院も、その考え方の延長線上にあります。ＣＴやＭＲＩといった高度医療機器を導入しました。単体で見れば大きな投資ですし、すぐに収益だけで回収できるものではありません。それでも、当社で扱うペットの健康を守るためには必要なインフラです。</p><p>　ペットを販売して終わりではなく、その後まで責任を持つ。万が一、病気などで販売が難しくなった個体についても、自社の病院で治療を継続し、必要に応じて里親へ譲渡する仕組みを整えています。その際も、一定期間の治療費を当社が負担する保証をつけるなど、引き受ける方に過度な負担をかけないようにしています。</p><p><strong>――　「売った後」まで見据えることが、事業の広がりにつながっているわけですね。</strong></p><p><strong>正宗</strong>　ペッツファーストは、周辺事業を増やすために広げてきたわけではありません。ペットを迎えていただく以上、その後の暮らしまで考える必要がある。そう考えた結果、動物病院、保険、しつけ、飼い主向けサポートが必要になりました。</p><p>　体調不良やしつけ、将来の医療費など、ペットを迎えた直後の飼い主の不安は少なくありません。そうした不安に対し、販売後も相談できる体制を持つことが大切です。</p><p><strong>――　販売前の説明やセミナーにも力を入れていますね。</strong></p><p><strong>正宗</strong>　ペットを迎える前に、啓発動画の視聴やセミナー受講をお願いしています。そこでは、ペットを飼う楽しさだけでなく、日々の世話、医療費、しつけ、突然の体調不良、最期まで向き合う責任も伝えています。現実を理解した上で迎えていただくことが重要です。</p><p>　説明を受けた結果、購入を見送る方もいます。販売機会を失っても、安易に迎えて後で飼えなくなる方が大きな問題です。終生飼養ができるかどうかを考えていただくことも、販売会社の責任だと思っています。</p><p><strong>――　ペットを迎えるハードルを上げることにもなりませんか。</strong></p><p><strong>正宗</strong>　そこは難しいところです。ペットを迎える文化を広げたい一方で、誰でも気軽に迎えればいいとは考えていません。命を迎える以上、一定の覚悟は必要です。ただ、必要以上に閉じた市場にしてしまうと、ペットと暮らしたい人の機会を狭めてしまうことにもなります。</p><p>　大切なのは、ペットを迎えた後に困らない仕組みを社会全体で整えていくことです。高齢化が進む中で、飼い主に万が一のことがあった場合にどう支えるのか。住環境やライフスタイルが多様化する中で、どうすれば安心してペットを迎えられるのか。そうしたセーフティネットを整えることが、これからのペット産業には求められると思います。</p><p><strong>――　日光のペットケア＆アダプションセンターも、その一環でしょうか。</strong></p><p><strong>正宗</strong>　はい。飼い主の事情で飼育が難しくなった場合に、一時的にお預かりし、新しい飼い主を探す仕組みを提供しています。もちろん、簡単に手放していいという意味ではありません。ただ、病気、介護、転居、家族構成の変化などで、どうしても飼い続けられない事情が起きることもあります。</p><p>　その時に、ペットが行き場を失わないようにする。迎える入り口を担う会社だからこそ、万が一の出口にも向き合う必要があります。</p><p><strong>――　ペット販売を巡る社会の見方は、変わってきたと感じますか。</strong></p><p><strong>正宗</strong>　以前よりも、飼い主の意識は高まっているように感じます。ペットを家族として迎えることが当たり前になり、健康管理やしつけ、販売後のサポートに対する関心も高くなっています。一方で、販売会社に求められる責任も重くなっています。<br>だからこそ、われわれは説明できる会社であり続けなければならない。どこから来たペットなのか。迎えた後にどんな支援があるのか。万が一の時にどう対応するのか。そうした一つ一つを積み重ねることで、ペットを迎える文化の信頼を高めていきたいと考えています。</p><h2 id="-">アークランズ傘下で広がる支援体制</h2><p><strong>――　昨年、アークランズグループへ参画しました。どのような意味がありますか。</strong></p><p><strong>正宗</strong>　アークランズは「ホームセンタームサシ」や「ビバホーム」を展開し、全国に強い店舗網と物販のインフラを持っています。われわれが培ってきたペット販売や医療、保険、サポートの仕組みと、アークランズの持つ顧客接点を掛け合わせることで、より多くの飼い主に一気通貫のサービスを届けられる可能性が広がりました。</p><p>　この１年でも、アークランズの拠点への出店や、テナントとの連携、金融サービスや保険などの提案を進めています。ペットを迎える場、フードや用品を買う場、医療や保険につながる場を、より近い距離で提供できるようになる。そこに大きな意味があります。</p><p><strong>――　アークランズグループに入ったことで、ペッツファーストの経営にはどのような変化がありましたか。</strong></p><p><strong>正宗</strong>　アークランズ側は、ペッツファーストが大切にしてきた考え方や現場の強みを尊重してくれています。グループの規模や店舗網、物販の力を生かし、単独では届きにくかった領域にも挑戦しながら、顧客がペットを迎えた後まで支える体制を広げていきたいと考えています。</p><p><strong>――　これからのペッツファーストは、どの領域を強めていきますか。</strong></p><p><strong>正宗</strong>　基本にあるのは、これまでと変わらず、ペットを最優先するという考え方です。その上で、販売時の情報開示、販売後の医療や保険、飼い主向けのサポートをさらに磨いていきます。</p><p>　ペットを迎える入り口に立つ会社として、ただ販売数を追うのではなく、一頭一頭がその後どう暮らしていくのかに責任を持つ。遠回りに見えても、誠実に正しい商売を続けることを大切にしたいです。</p>]]></content:encoded>
      <category><![CDATA[企業・業界動向]]></category>
      <dc:creator><![CDATA[経済界編集部]]></dc:creator>
      <guid>https://net.keizaikai.co.jp/archives/3397</guid>
      <pubDate>Thu, 02 Jul 2026 05:00:00 +0900</pubDate>
    </item>
    <item>
      <title>家族化と長寿化 おやつ・用品に消費行動の変化</title>
      <link>https://net.keizaikai.co.jp/archives/3396</link>
      <description><![CDATA[国内のペット市場が拡大を続ける中、飼い主の消費行動はどのように変化しているのか。ペット用品とおやつの総合メーカーとして業界を牽引し続けてきたドギーマンハヤシ社長の林雄一氏に話を聞いた。フードや医療とは異なる日常的な用品やおやつの売れ方から、最新のペット市場の動向を明らかにする。（雑誌『経済界』2026年8月号より） 林[&#8230;]]]></description>
      <content:encoded><![CDATA[<p>国内のペット市場が拡大を続ける中、飼い主の消費行動はどのように変化しているのか。ペット用品とおやつの総合メーカーとして業界を牽引し続けてきたドギーマンハヤシ社長の林雄一氏に話を聞いた。フードや医療とは異なる日常的な用品やおやつの売れ方から、最新のペット市場の動向を明らかにする。（雑誌『<a rel="noreferrer noopener" href="https://keizaikai.co.jp/category/magazine" target="_blank">経済界</a>』2026年8月号より）</p><h2 id="-">林 雄一　ドギーマンハヤシのプロフィール</h2><div class="media">  <img src="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/400/PbAGBWFMZvEWXQflHpcQUsbBSgAsrpof/f06a9f29-3d7a-45ea-bf81-d6a38c34391c.jpg" width="600" height="400" loading="lazy" alt="林 雄一　ドギーマンハヤシ" srcset="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/500/333/PbAGBWFMZvEWXQflHpcQUsbBSgAsrpof/f06a9f29-3d7a-45ea-bf81-d6a38c34391c.jpg 512w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/400/PbAGBWFMZvEWXQflHpcQUsbBSgAsrpof/f06a9f29-3d7a-45ea-bf81-d6a38c34391c.jpg 1024w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/400/PbAGBWFMZvEWXQflHpcQUsbBSgAsrpof/f06a9f29-3d7a-45ea-bf81-d6a38c34391c.jpg 2048w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/350/233/PbAGBWFMZvEWXQflHpcQUsbBSgAsrpof/f06a9f29-3d7a-45ea-bf81-d6a38c34391c.jpg 350w"><div class="caption">ドギーマンハヤシ社長　林 雄一<br>はやし・ゆういち　1965年生まれ、大阪府出身。関西学院大学社会学部卒。商社勤務を経て92年ドギーマンハヤシ入社。営業、開発、物流などに従事し、2009年に現職に就任。</div></div><h2 id="-">外飼いの鎖から家族の用品へ</h2><p><strong>――　ドギーマンハヤシは、現在ではペット用品やおやつの総合メーカーとして知られています。創業の経緯から教えてください。</strong></p><p><strong>林</strong>　創業者で現在も会長を務める林明雄は、もともと鍋や釜などを扱う金物問屋の営業をしていました。当時、担当していた沖縄はまだ米国統治下にあり、米軍基地内のスーパーに行く機会があったそうです。そこにはペットフードや用品が並ぶ立派なペットコーナーがありました。それを見て、「日本にも必ずペットの市場ができる」と考え、１９６３年に前身となる林製作所を創業しました。</p><p>　最初に扱ったのはドッグチェーンつまり犬をつなぐ鎖です。金物の知識を生かし、日本で作った鎖を米国に輸出するところからスタートしました。</p><p><strong>――　そこから国内市場に転換したわけですね。</strong></p><p><strong>林</strong>　当時は１ドル＝３６０円の固定相場制でしたが、その後、為替が変動相場制へ移っていきます。米国の取引先も、より安く作れる国に発注先を移すようになりました。このまま輸出だけでは難しいと判断し、国内販売に舵を切ったのです。</p><p>　当時はスーパーにペットコーナーがある時代ではありませんでした。ドッグフードはお米屋さんに置かれていましたし、犬は屋外で飼われることが多かった。首輪や散歩用の紐、鎖などを金物店に卸すところから、少しずつ販路を広げていきました。最初の20年ほどは、ほとんど用品中心の会社でした。</p><p><strong>――　現在のペットとの暮らしとは、ずいぶん違いますね。</strong></p><p><strong>林</strong>　昔は番犬として外で飼う家庭が多く、玄関先に犬がいる風景も珍しくありませんでした。今は家の中で一緒に暮らし、家族の一員として迎えられる時代です。子どもや孫のような存在になっている家庭も多い。ペット用品も、その変化に合わせて大きく変わり、求められる役割も広がっています。</p><p><strong>――　社内には「社員犬」や「社員猫」もいると聞きました。</strong></p><p><strong>林</strong>　会社には社員犬や社員猫がいて、獣医師による健康チェックを受けながら過ごしています。彼らには商品開発にも協力してもらっています。おもちゃなら、どんな遊び方をするのか、すぐ壊れないか。実際の反応を見ることができます。</p><p>　自宅でペットと暮らす社員も多く、社員のペットにもモニターとして開発中の商品を試してもらうことがあります。社員に対しては、ペットを迎える際の一時金や毎月の手当も設けています。ペットメーカーとして、社員自身がペットとの暮らしを知っていることは大切だと思っています。</p><h2 id="-">おいしさから目的へ 変わるおやつ</h2><p><strong>――　おやつや用品に対して、飼い主の求めるものは変わっていますか。</strong></p><p><strong>林</strong>　昔は「おいしい」が一番でした。40年以上前にペットフード事業へ参入した頃は、おやつの市場自体がまだ小さく、牛皮で作ったガムなどが中心でした。おいしければ売れるという時代です。</p><p>　今は、それだけではありません。たとえば、お米を使ったおやつは、犬がサクサクと音を立てて食べます。飼い主にとっては、その音を聞くことも満足感になる。そこで「音までおいしい」といった伝え方をすることもあります。おやつは、ペットが食べるだけでなく、ペットが喜ぶ姿を見て、飼い主がうれしくなる商品でもあるんです。</p><p><strong>――　オーラルケア商品も増えています。</strong></p><p><strong>林</strong>　オーラルケアは非常に伸びているカテゴリーです。当社の調査では、オーラルケアをしている飼い主は犬で40％程度、猫では20％を切っています。犬も猫もシニア期に入ると歯石がたまりやすくなります。動物病院で歯石を取るには、全身麻酔が必要になることもあり、体への負担も大きい。</p><p>　だからこそ、噛むことで歯の汚れを取るガムや、遊びながらケアできる用品を提案しています。商品が店頭に並ぶことで、飼い主の意識も少しずつ変わっていきます。食後や寝る前に１本与えるといった習慣をつくることが、健康維持につながっていくと考えています。</p><p><strong>――　商品の選び方にも変化はありますか。</strong></p><p><strong>林</strong>　コロナ禍を経て、成分表示やパッケージの裏面をよく見て選ぶ方が増えたと感じます。以前はパッケージの印象やおいしそうという感覚で選ばれることも多かったのですが、今は健康志向が強くなっています。</p><p>　当社でも「無添加良品」のように、気になる添加物を使わない商品を開発のスタンダードにしています。フードだけでなく、おもちゃでも同じです。遊んで楽しいだけでなく、オーラルケアになる、室内での運動になるといった目的を持たせることが重要になっています。</p><p><strong>――　夏場は犬の散歩も難しくなっています。</strong></p><p><strong>林</strong>　猛暑の日は、朝は散歩に行けても、夜になっても地面が熱くて外に出にくいことがあります。そうなると運動不足になりやすい。そこで、家の中でエクササイズできるおもちゃを提案しています。</p><p>　以前からある商品でも、伝え方を変えることで再び売れ始めることがあります。たとえば、棒の先にボールがついたおもちゃがあります。以前は「遊んで楽しいおもちゃ」として売っていましたが、今は「座ったまま『持ってこい遊び』ができる」と伝えています。飼い主が楽に遊ばせられるという価値を示したことで、また反応が出てきました。</p><p><strong>――　人間向けの商品とは、開発の考え方が違いそうです。</strong></p><p><strong>林</strong>　一番の違いは、買う人と使う相手が違うことです。おやつもおもちゃも、買うのは飼い主ですが、使うのはペットです。ペット自身が「これが欲しい」と言うわけではありません。</p><p>　だから、われわれはペットの反応だけでなく、飼い主の暮らしや悩みも見ています。買い物に出かける時、犬が一緒に行きたがる。そこで、少し長くかめるおやつを与え、夢中になっている間に外出する。そういう使い方もあります。何分くらいかけて食べるのかまで見ながら、商品づくりに生かしています。</p><h2 id="-">ペットの健康寿命が市場を支える</h2><p><strong>――　ペット市場は拡大していますが、犬猫の飼育頭数は減少傾向にあります。</strong></p><p><strong>林</strong>　犬猫を合わせた飼育頭数は現在１５００万頭ほどです。10～15年前は１８００万頭ほどありましたから、頭数としては減っています。それでも市場が広がっているのは、保険やしつけなどのサービスが増えたことに加え、より高付加価値の商品が選ばれるようになったからです。</p><p>　小型犬や猫との室内生活が広がり、家族化が進みました。飼い主は、多少高くても良いものを選ぶようになっています。メーカー各社も、より良い商品を開発しようと努力している。その結果、単価が上がり、市場全体を押し上げている面があります。</p><p><strong>――　今後、メーカーとして市場をどう伸ばしていくのでしょうか。</strong></p><p><strong>林</strong>　われわれメーカーが「新しくペットを飼ってください」と言うことはできません。だからこそ、今一緒に暮らしている犬猫が、できるだけ長く元気でいられるようにすることが大切です。</p><p>　現在、犬猫の平均寿命は15歳前後です。単純計算では、１歳ごとに約１００万頭の犬猫がいることになります。つまり、寿命が１年延びることは、それだけ多くのペットの暮らしを支えることに近い意味を持ちます。社内でも「どうすれば20歳まで元気に過ごせるか」とよく話しています。</p><p>　そのために、オーラルケアや室内運動、健康に配慮したおやつなどを提案していく。健康寿命を延ばすことが、結果として市場を支えることにもつながります。</p><p><strong>――　ペットと暮らしやすい社会づくりも課題ですね。</strong></p><p><strong>林</strong>　欧州では、街中のカフェでテーブルの下に犬が座り、飼い主が食事を終えるのを待っているような光景をよく見ます。日本でもできるはずですが、まだ一緒に入れる場所や住める物件は限られています。</p><p>　もちろん、ペットのしつけや飼い主のマナーも必要です。ただ、ペットと一緒に出かけられる場所が増えれば、もっと飼いやすい社会になります。ペットとの暮らしは、飼い主の生活にも潤いを与えます。飼い主自身の健康寿命にも関わってくると思います。</p><p><strong>――　ドギーマンの今後の展望を教えてください。</strong></p><p><strong>林</strong>　日本のペット文化は、世界から見てもきめ細かいものづくりが特徴です。飼い主の悩みに寄り添い、ペットの行動を観察しながら商品を作る。その積み重ねが、日本らしい市場を育ててきました。</p><p>　今後はアジアだけでなく、欧米にも事業を広げていきたいと考えています。おやつや用品は、ペットとの毎日の暮らしに一番近い商品です。だからこそ、単に売るだけではなく、どう使えばより健康で楽しく過ごせるのかまで伝えていく必要があります。ペットと飼い主の毎日を支える商品を、これからも作り続けていきます。</p><div class="media">  <img src="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/400/dLVbvYhCejmAALapgJVKcsgtaCyPXPGy/7d62e031-2789-4406-bee0-5292cb43d36a.jpg" width="600" height="400" loading="lazy" alt="猫ちゃん歯ﾌﾞﾗｼかみかみ歯ﾋﾟｶ" srcset="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/350/233/dLVbvYhCejmAALapgJVKcsgtaCyPXPGy/7d62e031-2789-4406-bee0-5292cb43d36a.jpg 350w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/500/333/dLVbvYhCejmAALapgJVKcsgtaCyPXPGy/7d62e031-2789-4406-bee0-5292cb43d36a.jpg 512w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/400/dLVbvYhCejmAALapgJVKcsgtaCyPXPGy/7d62e031-2789-4406-bee0-5292cb43d36a.jpg 1024w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/400/dLVbvYhCejmAALapgJVKcsgtaCyPXPGy/7d62e031-2789-4406-bee0-5292cb43d36a.jpg 2048w"></div><div class="media">  <img height="400" loading="lazy" alt="かみかみ歯ﾋﾟｶ爆噛み遊びｺｯﾄﾝﾛｰﾌ" srcset="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/400/FggzzIpfVvLXBwmzTIIyBVXmXOHJjfZd/79ea3376-ec6c-419e-bd71-0dbbbc588d6d.jpg 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      <category><![CDATA[企業・業界動向]]></category>
      <dc:creator><![CDATA[経済界編集部]]></dc:creator>
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      <pubDate>Thu, 02 Jul 2026 05:00:00 +0900</pubDate>
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      <title>個人の献身から組織の力へ 動物医療を持続可能にする</title>
      <link>https://net.keizaikai.co.jp/archives/3394</link>
      <description><![CDATA[地域の動物病院では、人材確保や働き方、承継の課題が重くなっている。現場の負担が増し、ペット医療の高度化も進む中、地域医療と専門医療をつなぐＭｉｒａｉＶｅｔｓ Ｐａｒｔｎｅｒｓは、動物医療をどう持続可能にしようとしているのか。Photo=田中和弘（雑誌『経済界』2026年8月号より） [&#8230;]]]></description>
      <content:encoded><![CDATA[<p>地域の動物病院では、人材確保や働き方、承継の課題が重くなっている。現場の負担が増し、ペット医療の高度化も進む中、地域医療と専門医療をつなぐＭｉｒａｉＶｅｔｓ Ｐａｒｔｎｅｒｓは、動物医療をどう持続可能にしようとしているのか。Photo=田中和弘（雑誌『<a rel="noreferrer noopener" href="https://keizaikai.co.jp/category/magazine" target="_blank">経済界</a>』2026年8月号より）</p><div class="media">  <img height="400" loading="lazy" alt="ＭｉｒａｉＶｅｔｓ Ｐａｒｔｎｅｒｓ" srcset="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/500/333/VVLNpOnfHVCfEiHoUrkPEWMwADDOsErO/db8162ac-055c-40f9-9a24-14107322b9e5.jpg 512w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/400/VVLNpOnfHVCfEiHoUrkPEWMwADDOsErO/db8162ac-055c-40f9-9a24-14107322b9e5.jpg 1024w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/400/VVLNpOnfHVCfEiHoUrkPEWMwADDOsErO/db8162ac-055c-40f9-9a24-14107322b9e5.jpg 2048w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/350/233/VVLNpOnfHVCfEiHoUrkPEWMwADDOsErO/db8162ac-055c-40f9-9a24-14107322b9e5.jpg 350w" src="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/400/VVLNpOnfHVCfEiHoUrkPEWMwADDOsErO/db8162ac-055c-40f9-9a24-14107322b9e5.jpg" width="600"><div class="caption">Ｊａｐａｎ Ａｎｉｍａｌ Ｃａｒｅ Ｈｏｌｄｉｎｇｓ取締役　長谷宜勇<br>ＭｉｒａｉＶｅｔｓ Ｐａｒｔｎｅｒｓ代表取締役　早瀬真紀子<br>ＡＮＣＨＯＲＳ取締役会長／獣医師　上地正実</div></div><h2 id="-">地域医療と専門医療をつなぐ 新たな動物医療グループ</h2><p><strong>――　まず、ＭｉｒａｉＶｅｔｓ Ｐａｒｔｎｅｒｓ（みらい）とはどのような組織なのでしょうか。Ｊａｐａｎ Ａｎｉｍａｌ Ｃａｒｅ Ｈｏｌｄｉｎｇｓ（ＪＰＡＣ）とＡＮＣＨＯＲＳ（アンカーズ）の関係も含めて教えてください。</strong></p><p><strong>早瀬</strong>　みらいは、地域医療を担うＪＰＡＣと、高度専門医療を担うアンカーズという２つの動物病院グループを束ねる持ち株会社です。</p><p>　ＪＰＡＣは、茨城、兵庫、宮城など各地の動物病院グループを中心に、地域に根差した一次診療を担ってきました。一方のアンカーズは、専門医が中心となって高度専門医療を提供する動物病院グループです。</p><p>　２つの組織を一つの会社に吸収するのではなく、それぞれの歴史や個性を残したまま連携できる形にする。そのために設立したのがみらいです。経営支援や人材育成、ノウハウの共有を進めながら、地域医療と専門医療をつなぐ基盤をつくろうとしています。</p><p><strong>――　ＪＰＡＣはどのような課題意識から生まれたのでしょうか。</strong></p><p><strong>長谷</strong>　動物病院業界では近年、グループ化の動きが進んでいます。地域の病院がこれからも良い医療を提供し続けるには、採用や教育、設備投資、経営基盤をどう整えるかが大きな課題になります。</p><p>　特に地方では、飼い主から信頼されている病院であっても、若い獣医師を確保できなければ、いずれ現場が疲弊してしまう恐れがあります。そうした危機感から、現場の医療を理解する私たち自身が受け皿となり、地域の動物医療を次の世代につなぐ仕組みをつくりたいと考えました。</p><p><strong>――　アンカーズは高度専門医療を担うグループです。</strong></p><p><strong>上地</strong>　私は大学教員を経て、循環器などの専門医療に特化した動物病院を横浜に立ち上げました。心臓外科を中心に診療件数が増える中で、循環器だけでは対応しきれない症例も多く、内科、外科、腫瘍科などを含む総合動物病院へと広げていきました。</p><p>　一方で、心臓病の子を横浜まで連れて来るのが難しい飼い主もいます。そこで札幌や奈良など、各地で専門医療を受けられる体制を広げてきました。ただ、拠点が増えれば、獣医師や動物看護師の確保、育成、労務管理も大きな課題になります。専門医療を持続的に提供するためにも、組織として支える仕組みが必要だと感じていました。</p><p><strong>――　地域の一次診療と専門医療がつながることに意味があるわけですね。</strong></p><p><strong>上地</strong>　そうです。一次診療の病院から紹介を受けてわれわれが治療し、その後の経過をまた一次診療の先生にお願いする。この連携はこれまでも行ってきました。ただ、同じグループ内で多様な病院がつながることで、より率直に情報交換ができ、互いの知見を共有しやすくなります。</p><p><strong>早瀬</strong>　われわれは、Ｍ＆Ａ後の統合プロセスであるＰＭＩなどを後方から支えています。ただ、それぞれの病院には長年築いてきた誇りや独自のオペレーションがあります。</p><p>　急に一つのやり方を押し付けることはしません。互いの良い取り組みを学び合いながら、時間をかけて強い組織にしていきたいです。</p><h2 id="-">働き方と人材育成を組織で支える時代へ</h2><p><strong>――　みらいは本部機能として、採用やＤＸの支援も行うと聞きました。</strong></p><p><strong>早瀬</strong>　採用活動の支援や、バックオフィス業務の集約はすでに進めています。目的は、現場の獣医師や動物看護師が本来の診療に集中できる環境をつくることです。</p><p>　一方で、カルテの電子化などのＤＸは、現場の状況を見極めながら慎重に進める必要があります。</p><p>　紙のカルテに慣れた獣医師が急に電子カルテに移行すると、端末の操作に追われ、動物や飼い主と向き合う時間が減ってしまうこともあります。現場の声を拾いながら、最適な環境を整えていきたいです。</p><p><strong>――　動物病院の現場では、働き方も変わっていますか。</strong></p><p><strong>上地</strong>　大きく変わっています。私たちの世代は、動物を救う使命感から、自己犠牲を伴う働き方を当然のように受け止めていました。診療に時間を使い、勉強し、技術を磨く。それが当たり前だったのです。</p><p>　しかし、若い世代の獣医師には、ライフイベントやプライベートの時間を大切にしたいという人もいます。専門医として技術を極めたい人もいれば、定時で勤務したい人、子育てのために一時的に時短勤務を選びたい人、将来は経営に携わりたい人もいる。</p><p>　だからこそ、キャリアパスを一つに決めつけるのではなく、多様な働き方を用意する必要があります。それぞれが長く力を発揮できる組織にしていきたいです。</p><p><strong>長谷</strong>　地域の動物病院は、院長やスタッフの献身的な働きに支えられてきた面があります。地域のため、動物のために、昼夜を問わず診療に向き合ってきた。その積み重ねが、飼い主から信頼されてきたのだと思います。</p><p>　ただ、その形を次の世代にそのまま求めるのは難しい。これからは、採用、教育、経営、ＤＸを組織として支えることで、現場の負担を軽くし、地域の優れた病院を次代に残していくことが必要です。</p><p><strong>――　医療の高度化に伴い、獣医師に求められる役割も変わっていきますか。</strong></p><p><strong>上地</strong>　ペットの高齢化に伴い、１頭にかける医療費や、求められる医療の高度化は進んでいます。</p><p>　以前であれば諦めていた病気でも、今は治療の選択肢が増えています。一方で、飼い主がＡＩなどで症状を調べてから来院するケースも増えています。</p><p>　これからの獣医師には、知識や技術だけでなく、個別の状況に応じたリスクや選択肢を、飼い主が納得できるように説明する力が必要です。</p><p>　動物は言葉を話せません。その分、獣医師は動物の小さな変化を読み取り、飼い主の心情にも寄り添いながら治療方針を決めていく必要があります。</p><p><strong>早瀬</strong>　みらいは発足したばかりの組織です。ただ、地域医療を担うＪＰＡＣと、高度専門医療を担うアンカーズ、そして経営支援の知見が集まったことで、動物医療を持続可能な形にしていく土台はできつつあります。大切なのは、それぞれの動物病院が持つ個性や地域で築いてきた信頼を生かしながら、採用、教育、専門医療、経営支援をつなげていくことです。現場で働く人たちが長く力を発揮できる環境をつくり、理念に共感する動物病院と共に獣医療の未来を支えていきたいと考えています。</p>]]></content:encoded>
      <category><![CDATA[企業・業界動向]]></category>
      <dc:creator><![CDATA[経済界編集部]]></dc:creator>
      <guid>https://net.keizaikai.co.jp/archives/3394</guid>
      <pubDate>Wed, 01 Jul 2026 05:00:00 +0900</pubDate>
    </item>
    <item>
      <title>言葉なき家族の異変をデータで見つけるＲＡＢＯ</title>
      <link>https://net.keizaikai.co.jp/archives/3395</link>
      <description><![CDATA[ＲＡＢＯは、首輪型デバイスなどで犬猫の行動を記録し、体調変化をデータで捉えるペットヘルスケア企業だ。猫向け「Ｃａｔｌｏｇ（キャトログ）」に続き、犬向け「Ｐａｗｌｉｎｑ（パウリンク）」も開始。言葉を話せない動物の“見えない時間”を可視化する同社は、ペット市場に何をもたらすのか。Photo=田中和弘（雑誌『経済界』2026[&#8230;]]]></description>
      <content:encoded><![CDATA[<p>ＲＡＢＯは、首輪型デバイスなどで犬猫の行動を記録し、体調変化をデータで捉えるペットヘルスケア企業だ。猫向け「Ｃａｔｌｏｇ（キャトログ）」に続き、犬向け「Ｐａｗｌｉｎｑ（パウリンク）」も開始。言葉を話せない動物の“見えない時間”を可視化する同社は、ペット市場に何をもたらすのか。Photo=田中和弘（雑誌『<a rel="noreferrer noopener" href="https://keizaikai.co.jp/category/magazine" target="_blank">経済界</a>』2026年8月号より）</p><h2 id="-">伊豫愉芸子　ＲＡＢＯのプロフィール</h2><div class="media">  <img height="400" loading="lazy" alt="伊豫愉芸子　ＲＡＢＯ" srcset="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/350/233/YOCYrBrvddVFrPfeirVLEcMYXQFSHoJc/6c9624f0-0d86-4305-8fa1-361b297c0773.jpg 350w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/500/333/YOCYrBrvddVFrPfeirVLEcMYXQFSHoJc/6c9624f0-0d86-4305-8fa1-361b297c0773.jpg 512w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/400/YOCYrBrvddVFrPfeirVLEcMYXQFSHoJc/6c9624f0-0d86-4305-8fa1-361b297c0773.jpg 1024w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/400/YOCYrBrvddVFrPfeirVLEcMYXQFSHoJc/6c9624f0-0d86-4305-8fa1-361b297c0773.jpg 2048w" src="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/400/YOCYrBrvddVFrPfeirVLEcMYXQFSHoJc/6c9624f0-0d86-4305-8fa1-361b297c0773.jpg" width="600"><div class="caption">ＲＡＢＯ ＣＥＯ　伊豫愉芸子<br>いよ・ゆきこ　東京海洋大学大学院博士前期課程修了。大学院修了後、リクルートでプロダクト開発や新規事業に携わった後、愛猫ブリ丸（写真手前）、おでんとの暮らしを機にＲＡＢＯを創業。動物の見えない時間をデータで可視化するＣａｔｌｏｇシリーズやＰａｗｌｉｎｑを展開。</div></div><h2 id="-">「見えない時間」をデータで捉える</h2><p><strong>――　ＲＡＢＯを創業し、Ｃａｔｌｏｇを始めたきっかけから教えてください。</strong></p><p><strong>伊豫</strong>　大学と大学院では、動物に小型センサーを装着して行動を解析する「バイオロギング」を研究していました。無人島に住んで、鳥の捕獲からセンサーの開発、データ解析まで行っていました。その後、一度社会に出ようとリクルートに入り、10年ほどプロダクト開発や新規事業に携わりました。</p><p>　転機になったのは、うちの猫様であるブリ丸とおでんを迎えたことです。大切な家族で、１秒でも長く一緒にいたい。一方で、猫様は言葉を話せず、体調の変化も表に出しにくい。後悔のある別れをしたくないと考えた時、動物の見えない時間をデータで可視化する研究経験と、事業開発の経験がつながりました。</p><p><strong>――　見守りサービスには、どんなニーズがあるのでしょうか。</strong></p><p><strong>伊豫</strong>　飼い主が不在の間に何をしているのか、長期的な体調変化が起きていないかを継続的に把握したいというニーズがあります。ペットカメラでは確認できる場所が限られ、異変を自動で知らせてくれるわけでもありません。</p><p>　Ｃａｔｌｏｇは首輪型デバイスとトイレの下に敷くボード、専用アプリで、行動や食事、水飲み、トイレの回数などを記録します。何となく元気がないという感覚ではなく、普段との変化をデータで見られる。動物病院でも普段の様子を説明しやすくなります。</p><p><strong>――　２０１９年にＣａｔｌｏｇを始め、今年２月には犬向けのＰａｗｌｉｎｑを発表しました。なぜ犬向け展開まで時間をかけたのでしょうか。</strong></p><p><strong>伊豫</strong>　ペット領域では犬も猫も一緒に語られがちですが、生態も飼い主の気持ちも違います。猫様には猫様の、ワンちゃんにはワンちゃんの暮らし方があり、それぞれに特化する必要があります。</p><p>　会社名をＣａｔｌｏｇにせずＲＡＢＯにしたのも、最初から他の動物への展開を見据えていたからです。まずは猫様に向き合い、データ解析やユーザー体験を磨く必要がありました。19年の発売から約６年を経て、今ならワンちゃん向けにも全力で展開できると判断しました。</p><p><strong>――　犬向けと猫向けでは、設計も変わりますか。</strong></p><p><strong>伊豫</strong>　基本のシステムは共通していますが、使い方は変えています。猫様向けは首輪と一体型ですが、ワンちゃんは雨の日も散歩に出かけたり、水遊びをしたりするため、防水対応のデバイスを袋型の首輪に入れる仕様にしています。</p><p>　アプリも違います。ワンちゃんは散歩や外出が多いため、歩いた時間やルート、お留守番中の動きなどを見られるようにしました。猫様は、睡眠、食事、水飲み、トイレなど家の中での行動を細かく見る設計です。</p><h2 id="-">見守りからヘルスケアへ 広がる可能性</h2><p><strong>――　ＲＡＢＯには、どれくらいのデータが蓄積されているのでしょうか。</strong></p><p><strong>伊豫</strong>　継続して取得してきた行動データは２７８億件に達しています。同じフォーマットで、同じ個体のデータを長く取り続けていることに意味があります。単に「歩いている」「寝ている」という行動だけでなく、その組み合わせや変化から、その子の傾向を見ていくことができます。</p><p>　昨年からは、猫様のストレス状態に応じた乳酸菌サプリメントの提供も始めました。農研ワンヘルスとの共同研究により、国内最大級の農研機構乳酸菌コレクション約６５００株から、その子に合ったものを選んで届ける取り組みです。</p><p>　蓄積したデータを、具体的なヘルスケアの解決策につなげる段階に入っています。</p><p><strong>――　実際に、データで異変に気づいた例はありますか。</strong></p><p><strong>伊豫</strong>　ブリ丸もＣａｔｌｏｇに助けられました。３年ほど前、大晦日にトイレの回数が急に増えたのに、おしっこが出ていない状態を検知し、アラートが届きました。すぐに病院へ連れて行ったところ、膀胱炎の初期でした。薬で早く治療でき、今も元気に暮らしています。</p><p>　どれだけ家にいる人でも、猫様の行動を24時間見続けることはできません。トイレの回数や滞在時間のわずかな変化は、人間の目だけでは捉えきれない。継続的なデータがあるからこそ、気づけることがあります。</p><p><strong>――　ところで、「猫様」という言葉が気になっています。</strong></p><p><strong>伊豫</strong>　Ｃａｔｌｏｇを開発する時、猫様と暮らす方々にインタビューしました。そこで共通していたのは、猫を「飼っている」というより、「一緒にいさせてもらっている」という感覚です。ワンちゃんの場合は、飼い主や親という意識が比較的強い。<br>一方で猫様は、大切な存在でありながら、少し距離を置いてその世界を眺めさせてもらっている感覚がある。</p><p>　もう一つは、お客さまが猫様だからです。お客さまを「客」と呼ばないのと同じで、私たちは猫様と呼んでいます。こうした機微を捉えることも、この市場では大切だと思っています。</p><p><strong>――　ＲＡＢＯの競争優位性はどこにありますか。</strong></p><p><strong>伊豫</strong>　最大の強みは、やはりデータです。これだけの量を、同じ形式で継続的に蓄積していること自体が強みです。さらに、飼い主と大切な猫様やワンちゃんをつなぐ体験をつくれることも重要です。アプリの見やすさやデバイスのデザインまで含めて、ＲＡＢＯの強みだと考えています。</p><p>　一方で、アニマルヘルスケアという領域は、日本ではまだ一般的な言葉になっていません。首輪でも体重計でもない、新しいカテゴリーをつくっている感覚です。だからこそ、自社だけで抱え込むのではなく、フード、保険、医療、サプリメントなど、さまざまな企業と連携しながら市場を育てていきたいです。</p><p><strong>――　今後、ＲＡＢＯはペット市場の中でどんな立ち位置を目指しますか。</strong></p><p><strong>伊豫</strong>　われわれが持つデータや飼い主との接点を生かし、アニマルヘルスケアの基盤になる会社を目指しています。将来的には保険などともつなげ、お金が理由で諦めてしまう命をなくすことにも貢献したいです。</p><p>　１秒でも長く一緒にいたいという思いに寄り添いながら、データを通じて異変に気づき、具体的なヘルスケアの解決策につなげる世界をつくりたい。見守りからヘルスケアへ。そこに、これからのペット市場の可能性があると思っています。</p><div class="media">  <img alt="猫の“見えない時間”をデータで記録するＣａｔｌｏｇ" srcset="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/338/yBZOVbUgMjkDTYQAwWhWgVhZdlUdeouN/226c065c-1e07-41a2-ad81-f82cb2ec253d.jpg 1024w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/338/yBZOVbUgMjkDTYQAwWhWgVhZdlUdeouN/226c065c-1e07-41a2-ad81-f82cb2ec253d.jpg 2048w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/350/197/yBZOVbUgMjkDTYQAwWhWgVhZdlUdeouN/226c065c-1e07-41a2-ad81-f82cb2ec253d.jpg 350w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/500/281/yBZOVbUgMjkDTYQAwWhWgVhZdlUdeouN/226c065c-1e07-41a2-ad81-f82cb2ec253d.jpg 512w" src="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/338/yBZOVbUgMjkDTYQAwWhWgVhZdlUdeouN/226c065c-1e07-41a2-ad81-f82cb2ec253d.jpg" width="600" height="338" loading="lazy"><div class="caption">猫の“見えない時間”をデータで記録するＣａｔｌｏｇ</div></div>]]></content:encoded>
      <category><![CDATA[企業・業界動向]]></category>
      <dc:creator><![CDATA[経済界編集部]]></dc:creator>
      <guid>https://net.keizaikai.co.jp/archives/3395</guid>
      <pubDate>Wed, 01 Jul 2026 05:00:00 +0900</pubDate>
    </item>
    <item>
      <title>専業主婦の挫折を越え上場へ働く母の背中が子を育てる</title>
      <link>https://net.keizaikai.co.jp/archives/3393</link>
      <description><![CDATA[今年の経済界大賞ダイバーシティ賞に輝いたＬＯＩＶＥの前川彩香さん。社員の約99％が女性という稀有な組織で上場を果たした歩みに、同じく子育てと経営に向き合ってきた身として強く胸を打たれました。専業主婦の挫折や危機を越え、人生を切り拓く彼女の言葉は、現代の働く女性を勇気づけるはずです。構成＝佐藤元樹　Photo＝田中和弘（[&#8230;]]]></description>
      <content:encoded><![CDATA[<p>今年の経済界大賞ダイバーシティ賞に輝いたＬＯＩＶＥの前川彩香さん。社員の約99％が女性という稀有な組織で上場を果たした歩みに、同じく子育てと経営に向き合ってきた身として強く胸を打たれました。専業主婦の挫折や危機を越え、人生を切り拓く彼女の言葉は、現代の働く女性を勇気づけるはずです。構成＝佐藤元樹　Photo＝田中和弘（雑誌『<a rel="noreferrer noopener" href="https://keizaikai.co.jp/category/magazine" target="_blank">経済界</a>』2026年7月号より）</p><h2 id="-">前川彩香　ＬＯＩＶＥのプロフィール</h2><div class="media">  <img src="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/400/AuALFIDiXVZYwDjzBsgAzmnGNKZceetr/010fcd3b-b792-4ca3-9deb-103eedc3c335.jpg" width="600" height="400" loading="lazy" alt="前川彩香" srcset="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/350/233/AuALFIDiXVZYwDjzBsgAzmnGNKZceetr/010fcd3b-b792-4ca3-9deb-103eedc3c335.jpg 350w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/500/333/AuALFIDiXVZYwDjzBsgAzmnGNKZceetr/010fcd3b-b792-4ca3-9deb-103eedc3c335.jpg 512w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/400/AuALFIDiXVZYwDjzBsgAzmnGNKZceetr/010fcd3b-b792-4ca3-9deb-103eedc3c335.jpg 1024w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/400/AuALFIDiXVZYwDjzBsgAzmnGNKZceetr/010fcd3b-b792-4ca3-9deb-103eedc3c335.jpg 2048w"><div class="caption">ＬＯＩＶＥ社長　前川彩香<br>まえかわ・あやか　１９７８年北海道生まれ。専業主婦を経て２００６年にホットヨガスタジオを札幌で開業。女性の美と健康を支える事業を多角的に展開。社員約１千人の99％が女性という組織を率い、25年４月に東証グロースへ上場。</div></div><h2 id="-">専業主婦の挫折をバネに女性が輝く居場所を創出</h2><p><strong>佐藤</strong>　ダイバーシティ賞の受賞、おめでとうございます。社員の大半が女性という環境で上場を達成された手腕は見事です。前川さんは専業主婦や接客業の経験もお持ちですが、起業の原点をお伺いできますか。</p><p><strong>前川</strong>　15歳、高校１年生の時にはすでに起業の決意を固めていました。誰かの指示で働くのは自分には向いていないと感じ、社長になるしかないと思い至ったのです。高校を中退後、さまざまな業界で経験を積み、経営の本質を学びました。</p><p><strong>佐藤</strong>　しかし、その後ご結婚されて専業主婦になられましたね。</p><p><strong>前川</strong>　23歳で結婚した際、パートナーから「子どもが３歳になるまでは家にいてほしい」と懇願され、起業の夢を封印しました。しかし、これが私には不向きでした。毎日献立のことばかり考える生活に悩み、体重が38キロまで落ちてしまったのです。２年半ほど耐え忍びましたが限界でした。</p><p><strong>佐藤</strong>　辛い時期でしたね。そこからどう起業へと舵を切られたのでしょう。</p><p><strong>前川</strong>　子どもが３歳になる頃、周囲には、結婚を機に自分らしさを見失ったり、仕事がうまくいかず職を転々としたりする女性が多くいました。彼女たちが活力に満ちて輝ける場所をつくりたいと願ったのが出発点です。当時、東京で流行し始めていたホットヨガが札幌にはなく、インストラクター１人に対して30人のお客さまへサービス提供ができるビジネスモデルに魅力を感じました。</p><p><strong>佐藤</strong>　前川さんはヨガ未経験とお聞きしています。</p><p><strong>前川</strong>　体験のために東京へ向かう日の朝、激しい腰痛に見舞われました。這いつくばるように飛行機に乗りレッスンを受けたところ、終わる頃には痛みが大きく改善していたのです。この驚きを北海道で誰よりも早く届けたいと考え、半年間という急ピッチで第１号店をオープンさせました。出店を急ぐため、自分らしさを見失っていた友人たちを集めて一から育成したのですが、彼女たちがホットヨガの効果で目に見えて健康的になり、内面からも輝き始めました。その姿を見たお客さまも元気になり、感謝の言葉を頂戴する。この好循環が組織のカルチャーとなりました。</p><p><strong>佐藤</strong>　その後、会社設立10年で上場を決意されました。</p><p><strong>前川</strong>　エージェントの紹介で優秀な社外取締役と巡り会い、経営の土台を固めるとともに、ＣＦＯの採用へと動きました。ただ、現場の女性社員にとっては、上場といった資本政策よりも、「自分を愛し輝く女性を創る」という私たちの理念を全国へ届けることのほうがはるかに重要な動機付けになっていましたね。</p><div class="media">  <img alt="前川彩香" srcset="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/350/233/uEQHHxJkCDqvoxSQfhNPUgrqakFrYYKR/af341a72-f61a-4587-a26d-cb6bdaa19fc6.jpg 350w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/500/333/uEQHHxJkCDqvoxSQfhNPUgrqakFrYYKR/af341a72-f61a-4587-a26d-cb6bdaa19fc6.jpg 512w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/400/uEQHHxJkCDqvoxSQfhNPUgrqakFrYYKR/af341a72-f61a-4587-a26d-cb6bdaa19fc6.jpg 1024w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/400/uEQHHxJkCDqvoxSQfhNPUgrqakFrYYKR/af341a72-f61a-4587-a26d-cb6bdaa19fc6.jpg 2048w" src="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/400/uEQHHxJkCDqvoxSQfhNPUgrqakFrYYKR/af341a72-f61a-4587-a26d-cb6bdaa19fc6.jpg" width="600" height="400" loading="lazy"></div><h2 id="-">長期化する育休への危惧 子の宝物となる母の背中</h2><p><strong>佐藤</strong>　講演される機会も増えたそうですが、反応はいかがですか。</p><p><strong>前川</strong>　女性は給与や出世よりも、「誰の役に立っているか」という貢献意識を重視して働く傾向があるとお伝えしているのに、「では評価設計はどうしていますか」と問われることが多いです。制度を整えることばかりに目が向き、働き手のマインドに寄り添い切れていない現状を感じます。</p><p><strong>佐藤</strong>　現在の女性活躍や働き方の制度について、どのような課題を感じますか。</p><p><strong>前川</strong>　日本の育休制度は最長２年など手厚いですが、これがかえって女性の管理職比率を低迷させている一因ではないかと危惧しています。長期間現場を離れることで本人の自信が喪失し、企業側もキャリアを描きにくくなります。育休制度がない国の方が、管理職の女性比率は高いのです。「預けてまで働くなんてかわいそう」と言われるなど、制度の手厚さが逆に「母親は家で子どもを育てるべき」という母性神話を助長しているように感じます。</p><p><strong>佐藤</strong>　期間を短縮し予算を別の支援に回すべきだと。</p><p><strong>前川</strong>　支給期間の長さに限らず、社会全体として子育て支援の資源をどう最適配分するか、例えば０歳児保育の受け皿拡充や保育士の待遇改善に投資することも検討されるべきだと思います。女性にとって不可欠なのは、長く休むことではなく、働き続けられる環境と、人生の選択肢を広げる「経済的自立」です。</p><p><strong>佐藤</strong>　一方で、多忙な経営と子育ての両立は容易じゃありません。ご自身はどのように工夫されてきたのですか。</p><p><strong>前川</strong>　出張は月10日、子どもが高校生になってからは月15日までとルールを設け、緻密なタイムマネジメントを徹底しました。そして何より、子どもには自分の仕事をしっかりと話し合い、理解してもらうよう努めました。</p><p><strong>佐藤</strong>　お母さまが最前線で戦う背中を、お子さまたちは見つめて育っていらっしゃるのですね。</p><p><strong>前川</strong>　上場記念の社内イベントで私の娘が手紙を読んでくれました。「子どもに寂しい思いをさせているか不安な皆さんも、安心してください。全力で夢に挑むお母さんの姿こそ、子どもにとって最大の教科書であり、宝物です」と。今思い出しても泣きそうになってしまうのですが（笑）、これを聞いて、参加していたお母さん社員たちも涙を流していました。働く母親の姿は、子どもにとってマイナスにはなりません。</p><p>　むしろ、自己肯定感を高める最良の教育になるのだと実感しています。</p><p><strong>佐藤</strong>　私自身も女手一つで子育てと経営に向き合ってきた身として、そのお言葉に深く胸を打たれました。前川さんのようなリーダーが道を切り拓くことで、後に続く女性たちは強く背中を押されるはずです。    </p><div class="media">  <img src="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/400/NKMmUhxdddgicwVnkaoztxUJCleeWFAM/f52a1398-4348-43ce-b118-fd1ab80b792d.jpg" width="600" height="400" loading="lazy" alt="前川彩香" srcset="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/350/233/NKMmUhxdddgicwVnkaoztxUJCleeWFAM/f52a1398-4348-43ce-b118-fd1ab80b792d.jpg 350w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/500/333/NKMmUhxdddgicwVnkaoztxUJCleeWFAM/f52a1398-4348-43ce-b118-fd1ab80b792d.jpg 512w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/400/NKMmUhxdddgicwVnkaoztxUJCleeWFAM/f52a1398-4348-43ce-b118-fd1ab80b792d.jpg 1024w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/400/NKMmUhxdddgicwVnkaoztxUJCleeWFAM/f52a1398-4348-43ce-b118-fd1ab80b792d.jpg 2048w"></div>]]></content:encoded>
      <category><![CDATA[企業・業界動向]]></category>
      <dc:creator><![CDATA[経済界編集部]]></dc:creator>
      <guid>https://net.keizaikai.co.jp/archives/3393</guid>
      <pubDate>Thu, 04 Jun 2026 05:00:00 +0900</pubDate>
    </item>
    <item>
      <title>利益至上主義を捨てた先のＩＰＯＩＴ人材特化で挑むメジャー市場</title>
      <link>https://net.keizaikai.co.jp/archives/3392</link>
      <description><![CDATA[ＤＸ推進が加速する中、ＩＴエンジニアの不足は重大な社会課題となっている。この課題に対し、ＩＴ・Ｗｅｂ・ゲーム業界に特化した人材紹介事業を展開し、人材の流動化を促進することで急成長を遂げている企業がある。２０２６年２月に東証スタンダード市場への上場を果たしたギークリーの歩みと展望に迫る。文＝佐藤元樹　Photo＝田中和弘[&#8230;]]]></description>
      <content:encoded><![CDATA[<p>ＤＸ推進が加速する中、ＩＴエンジニアの不足は重大な社会課題となっている。この課題に対し、ＩＴ・Ｗｅｂ・ゲーム業界に特化した人材紹介事業を展開し、人材の流動化を促進することで急成長を遂げている企業がある。２０２６年２月に東証スタンダード市場への上場を果たしたギークリーの歩みと展望に迫る。文＝佐藤元樹　Photo＝田中和弘（雑誌『<a rel="noreferrer noopener" href="https://keizaikai.co.jp/category/magazine" target="_blank">経済界</a>』2026年7月号より）</p><h2 id="-">奥山貴広　ギークリーのプロフィール</h2><div class="media">  <img srcset="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/350/233/RsuTIsNKgQcleKpEKYkNediuAzeTPOAy/0b04e6b2-a512-4d7b-8ec2-8c2ee495c92d.jpg 350w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/500/333/RsuTIsNKgQcleKpEKYkNediuAzeTPOAy/0b04e6b2-a512-4d7b-8ec2-8c2ee495c92d.jpg 512w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/400/RsuTIsNKgQcleKpEKYkNediuAzeTPOAy/0b04e6b2-a512-4d7b-8ec2-8c2ee495c92d.jpg 1024w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/400/RsuTIsNKgQcleKpEKYkNediuAzeTPOAy/0b04e6b2-a512-4d7b-8ec2-8c2ee495c92d.jpg 2048w" src="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/400/RsuTIsNKgQcleKpEKYkNediuAzeTPOAy/0b04e6b2-a512-4d7b-8ec2-8c2ee495c92d.jpg" width="600" height="400" loading="lazy" alt="奥山貴広"><div class="caption">ギークリー社長　奥山貴広<br>おくやま・たかひろ　成城大学経済学部卒業。大学卒業後、２０００年に総合人材会社の立ち上げに参画し、取締役として人材紹介事業の拡大に尽力する。その後、ＩＴ・Ｗｅｂ・ゲーム業界に特化した人材ビジネスを展開すべく、11年８月にギークリーを設立し、社長に就任した。</div></div><h2 id="-">ＩＴ人材領域への特化と原点</h2><p>　あらゆる産業でデジタル化が急務となる中、企業間のＩＴエンジニア獲得競争は激しさを増している。この激戦区において、ＩＴ・Ｗｅｂ・ゲーム業界という専門領域に的を絞り、確かな実績を上げているのがギークリーだ。</p><p>　社長の奥山貴広は大学卒業後に入社したＶＣ企業を経て、総合人材会社の創業メンバーとして参画し、人材紹介事業の立ち上げを経験した。与えられたミッションは「最短でＩＰＯせよ」。「コンプライアンスも何もなく、とにかく利益を出してこいと、ひたすら走っていた時代だった」と振り返る。</p><p>　しかし、２００９年のリーマン・ショックで人材業界が打撃を受けた際、既存のビジネスモデルに限界を感じるようになった。あらゆる業種を網羅する大手が市場を占める中、企業が生き残るには顧客から明確に選ばれる理由が必要だった。そこで着目したのが、ＩＴ領域に絞った特化型エージェントである。</p><p>　このアイデアを自らの資金でやるしかないと決意し、11年に同僚４人と共にギークリーを創業した。</p><p>　奥山の実家は小さな事業を営んでおり、人を雇い定着させる難しさを日常的に耳にしていた。その経験も現在の人材事業に向き合う原点となっている。利益至上主義だった過去の反省と相まって、ギークリーでは顧客の課題解決に真摯に向き合った。「顧客から『ありがとう』と言われたのが初めてだった。最初の１、２年は本当に仕事が楽しかった」と奥山は語る。</p><p>　創業当時は、いわゆるガラケーからスマートフォン向けアプリへの移行期であり、ソーシャルゲームの隆盛という強力な追い風が吹いていた。彼らは早朝から深夜までデータベースに張り付き、エンジニアの登録があれば真っ先にスカウトメールを送るという泥臭い人海戦術で求職者一人一人と向き合った。その結果、創業３カ月目には４千万円の売り上げを達成し、事業を素早く軌道に乗せた。</p><div class="media">  <img srcset="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/500/333/sRbjzXzDNmtZazxYDRJEkbrAxYyfcNCx/3e061be1-6442-4849-a259-19af1a67af9a.jpg 512w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/400/sRbjzXzDNmtZazxYDRJEkbrAxYyfcNCx/3e061be1-6442-4849-a259-19af1a67af9a.jpg 1024w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/400/sRbjzXzDNmtZazxYDRJEkbrAxYyfcNCx/3e061be1-6442-4849-a259-19af1a67af9a.jpg 2048w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/350/233/sRbjzXzDNmtZazxYDRJEkbrAxYyfcNCx/3e061be1-6442-4849-a259-19af1a67af9a.jpg 350w" src="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/400/sRbjzXzDNmtZazxYDRJEkbrAxYyfcNCx/3e061be1-6442-4849-a259-19af1a67af9a.jpg" width="600" height="400" loading="lazy" alt="ギークリー"><div class="caption">上場の鐘を鳴らす奥山<br>写真提供：ギークリー</div></div><h2 id="-">システム化による属人性排除と上場</h2><p>　創業以来、黒字経営を継続してきた同社にとって、最大の転機は20年からのコロナ禍だった。移動が制限される中、社会全体で非対面化とＤＸへの対応が急務となり、エンジニア需要は一般企業のシステム部門にまで拡大。この需要を捉え、売り上げは２年連続で１５０％成長という飛躍を遂げた。市場の拡大に伴い、自身が手がける事業がメジャー市場になったと確信し、上場準備を本格化させた。</p><p>　同社の強みの一つが、徹底した属人性排除だ。人材紹介業が抱える個人の直感や記憶への依存という課題に対し、同社は明確な仕組みで挑んだ。まず、集客と面談設定を担うマーケティング部門、求職者と向き合うキャリアアドバイザー、企業対応を行うリクルーティングアドバイザーという分業制を敷き、担当者の業務範囲を限定して専門性を純化させた。並行して１３００件以上のクラウドマニュアルを整備し、社内プラットフォーム「Ｇｅｅｋ　Ｌａｂｏ」で成功事例を共有することで、個人の暗黙知を組織の形式知へと変えている。さらに、業務フローを統制する自社開発の基幹システム「ＯＬＧ」が中核を担う。面談で得た求職者情報を構造化して蓄積し、独自アルゴリズムが過去の成約実績と照合して推薦求人を提案する仕組みだ。これにより、誰が担当してもブレのない、客観的で精緻なマッチングを可能にした。</p><p>　「担当者によってサービスのクオリティにばらつきが出るのは、顧客不満の最大の要因。誰が担当しても一定の成果を出せる仕組みを整えることは、求職者に対する誠実さの担保でもある」</p><p>　この徹底した仕組み化により、業界平均の約３倍という高いマッチング決定率と、約40日での内定獲得という圧倒的な実績を叩き出している。高リピート率によるストックビジネス化を実現して企業体質を強固なものとし、今年２月に東証スタンダード市場への上場を果たした。</p><div class="media">  <img src="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/400/EamLJLfmrFJtCOeaxsckqEqRFkyhquYT/6cc5fc37-8def-4d76-9b36-1b0f8e1ebb16.jpg" width="600" height="400" loading="lazy" alt="ギークリー" srcset="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/350/233/EamLJLfmrFJtCOeaxsckqEqRFkyhquYT/6cc5fc37-8def-4d76-9b36-1b0f8e1ebb16.jpg 350w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/500/333/EamLJLfmrFJtCOeaxsckqEqRFkyhquYT/6cc5fc37-8def-4d76-9b36-1b0f8e1ebb16.jpg 512w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/400/EamLJLfmrFJtCOeaxsckqEqRFkyhquYT/6cc5fc37-8def-4d76-9b36-1b0f8e1ebb16.jpg 1024w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/400/EamLJLfmrFJtCOeaxsckqEqRFkyhquYT/6cc5fc37-8def-4d76-9b36-1b0f8e1ebb16.jpg 2048w"><div class="caption">上場セレモニーでの集合写真<br>写真提供：ギークリー</div></div><div class="media">  <img width="600" height="450" loading="lazy" alt="ギークリー" srcset="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/450/ZOFUxHWnRefGIKGGKtbqryhHMDbtXoic/7f3a340a-2a3f-425d-a1a7-53b022fa7598.jpg 1024w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/450/ZOFUxHWnRefGIKGGKtbqryhHMDbtXoic/7f3a340a-2a3f-425d-a1a7-53b022fa7598.jpg 2048w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/350/262/ZOFUxHWnRefGIKGGKtbqryhHMDbtXoic/7f3a340a-2a3f-425d-a1a7-53b022fa7598.jpg 350w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/500/375/ZOFUxHWnRefGIKGGKtbqryhHMDbtXoic/7f3a340a-2a3f-425d-a1a7-53b022fa7598.jpg 512w" src="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/450/ZOFUxHWnRefGIKGGKtbqryhHMDbtXoic/7f3a340a-2a3f-425d-a1a7-53b022fa7598.jpg"><div class="caption">創業5周年パーティーにおける奥山とギークリー創業メンバーの写真<br>写真提供：ギークリー</div></div><h2 id="-">ハイクラス市場への展望と事業の核</h2><p>　近年、生成ＡＩの急速な普及により、エンジニアの需要が減少するのではないかという懸念が市場の一部にあるが、奥山は「ＡＩによってプログラミングなどの定型業務の生産性が上がることで、各社はこれまで手付かずだった、より複雑で高度なシステム開発に着手するようになります。今後はより技術に精通したハイクラス人材のニーズが強まるでしょう」と分析する。</p><p>　ＡＩがマッチング精度を向上させるツールとして普及しても、人材紹介ビジネスの根幹は揺るがないという。「最終的な意思決定の場面では、人に相談し、背中を押してもらいたいというニーズは必ず残ります。われわれの介在価値は、求職者の想いや企業の文脈を丁寧にフォローし、結びつける部分にあるのです」。</p><p>　過去の組織での苦い経験を経て、奥山は事業の意義をこう語る。「やはりビジネスは、誰かの何かを解決するものだと思うのです」。</p><p>　一つの会社に留まることが美徳とされた時代は終わり、転職を通じて複数の企業文化を経験することが、プロフェッショナルを育てる土壌となっている。同社はＡＩ時代の到来を淘汰ではなく高度化の好機と捉え、高単価なハイクラス市場へリソースを傾斜させる。今後もＩＴ人材のキャリア形成を力強く支援し、労働人口が減少する日本において最適な人材配置を促す役割を担っていく方針だ。（文中敬称略）</p><div class="media">  <img src="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/400/erWyhPUERwaXaEWDqLRsrzfBngKsyUvY/5995ce66-fce4-4366-bea7-885388d31ce9.jpg" width="600" height="400" loading="lazy" alt="奥山貴広" srcset="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/350/233/erWyhPUERwaXaEWDqLRsrzfBngKsyUvY/5995ce66-fce4-4366-bea7-885388d31ce9.jpg 350w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/500/333/erWyhPUERwaXaEWDqLRsrzfBngKsyUvY/5995ce66-fce4-4366-bea7-885388d31ce9.jpg 512w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/400/erWyhPUERwaXaEWDqLRsrzfBngKsyUvY/5995ce66-fce4-4366-bea7-885388d31ce9.jpg 1024w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/400/erWyhPUERwaXaEWDqLRsrzfBngKsyUvY/5995ce66-fce4-4366-bea7-885388d31ce9.jpg 2048w"><div class="caption">「ビジネスは誰かの何かを解決するもの」<br>――奥山貴広が語る、ギークリーの原点</div></div><p><strong>会社概要：ギークリー</strong><br>2011年８月設立。ＩＴ・Ｗｅｂ・ゲーム業界に特化した人材紹介事業を展開する。独自開発の基幹システムで業務を標準化し、属人性を排除することで、精度の高いマッチングと早期内定を実現。26年２月に東証スタンダード市場へ上場。</p>]]></content:encoded>
      <category><![CDATA[企業・業界動向]]></category>
      <dc:creator><![CDATA[経済界編集部]]></dc:creator>
      <guid>https://net.keizaikai.co.jp/archives/3392</guid>
      <pubDate>Thu, 04 Jun 2026 05:00:00 +0900</pubDate>
    </item>
    <item>
      <title>高畑淳子「できる限り仕事を続けたい」年齢を重ねた俳優こそ業界の宝</title>
      <link>https://net.keizaikai.co.jp/archives/3391</link>
      <description><![CDATA[芸能界で幅広く活躍し、70代に入ってより貪欲に仕事に取り組む俳優・高畑淳子。テレビドラマや映画の出演作が途切れない売れっ子だが、その背景には、どんなときにもポジティブなエネルギーを発し、周囲の空気を明るくする人間力がある。苦難もあった彼女の現在地と仕事への向き合い方を掘り下げる。聞き手=武井保之　Photo=逢坂 聡（[&#8230;]]]></description>
      <content:encoded><![CDATA[<p>芸能界で幅広く活躍し、70代に入ってより貪欲に仕事に取り組む俳優・高畑淳子。テレビドラマや映画の出演作が途切れない売れっ子だが、その背景には、どんなときにもポジティブなエネルギーを発し、周囲の空気を明るくする人間力がある。苦難もあった彼女の現在地と仕事への向き合い方を掘り下げる。聞き手=武井保之　Photo=逢坂 聡（雑誌『<a rel="noreferrer noopener" href="https://keizaikai.co.jp/category/magazine" target="_blank">経済界</a>』2026年7月号より）</p><h2 id="-">高畑淳子のプロフィール</h2><div class="media">  <img height="400" loading="lazy" alt="高畑淳子" srcset="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/400/SpRMygIKhjGBgGXrTMMBukziIdajvwPY/69b6dca7-38aa-4be5-988c-fa2375de5214.jpg 1024w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/400/SpRMygIKhjGBgGXrTMMBukziIdajvwPY/69b6dca7-38aa-4be5-988c-fa2375de5214.jpg 2048w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/350/233/SpRMygIKhjGBgGXrTMMBukziIdajvwPY/69b6dca7-38aa-4be5-988c-fa2375de5214.jpg 350w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/500/333/SpRMygIKhjGBgGXrTMMBukziIdajvwPY/69b6dca7-38aa-4be5-988c-fa2375de5214.jpg 512w" src="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/400/SpRMygIKhjGBgGXrTMMBukziIdajvwPY/69b6dca7-38aa-4be5-988c-fa2375de5214.jpg" width="600"><div class="caption">俳優　高畑淳子<br>たかはた・あつこ　1954年生まれ。香川県出身。76年劇団青年座に入団。舞台、映画、ドラマ、バラエティなど幅広く活躍する。紫綬褒章、文化庁芸術祭個人賞、読売演劇大賞最優秀女優賞、紀伊國屋演劇賞個人賞、菊田一夫演劇賞演劇大賞など受賞歴多数。主な出演作にNHK連続テレビ小説『なつぞら』、NHK大河ドラマ『真田丸』、映画『お終活』シリーズなどがある。</div></div><h2 id="-">元気と負けん気がないと人前に立つ仕事はできない</h2><p><strong>── 　出演作が途切れません。俳優としての需要が高い理由をどう考えますか。</strong></p><p><strong>高畑</strong>　基本的に出演作はマネジャーに任せていますが、私を選んでくださった関係者の期待に応えたいから、その役柄を私が演じられるかを考えるより、絶対にできると思い込むようにしています。</p><p>　でも、裏を返すと、自信がないから、強がっているんです。それでも、できると思われているからこそ選んでいただいたと考えて、９割方自分を納得させています。</p><p><strong>── 　芸能界の第一線で活躍を続けるために必要なことを教えてください。</strong></p><p><strong>高畑</strong>　健康と負けん気ですね。昨今のネット社会では、芝居を褒めてくださる方がいる一方、ひどい言葉を浴びせられることも少なくありません。怖い時代ですよ（笑）。元気と負けん気がないと、人前に立つ仕事は続かないでしょう。</p><p><strong>── 　これまでの芸歴のなかでは、気持ちを強く持たないと続けられないようなこともありましたか。</strong></p><p><strong>高畑</strong>　それはいろいろありますよ。悔しい思いをしたことはたくさんありました。それに負けたくない執念で今生きている部分もあります。</p><p><strong>── 　芸能活動における〝失敗〟がありましたらお聞きしたいです。</strong></p><p><strong>高畑</strong>　ひとつ挙げるとすれば、舞台『欲望という名の電車』（２０１１年）で、世界の名だたる女優が演じてきた大役に自分から望んで挑戦したのですが、もう散々でした（笑）。でも、うまくいかなかった経験こそ糧になります。あの後は落ち込んだりもしましたが、今は不思議とあれも通過してよかったと晴々しています。</p><p>　ただ、自分からやりたいと言って演じる役柄はもう十分。それ以降、求められる仕事をしていくことに決めました。俳優が自らやりたいという仕事はだいたいうまくいかないんです（笑）。</p><p><strong>── 　その経験から得られたことを教えてください。</strong></p><p><strong>高畑</strong>　無謀な山に登ったというか、誰も求めていないことにトライしたというか。それは寂しい気持ちでしたよ（笑）。でも、山に登ろうとして戦ったことは、何よりの財産になっています。自分ができることだけをやっていても意外とつまらない。登れない山に５年に一度くらいは登ったほうがいい、という気持ちが今はどこかにあります。それに気づいたのは、この挑戦があったからです。</p><p><strong>── 　そろそろ次の山に登る頃ですか。</strong></p><p><strong>高畑</strong>　どうでしょうね。もう71歳なので、セリフ覚えとかいろいろなことと戦いながら仕事に向き合わないといけない。今は、バラエティ番組でしゃべるだけで面白いと言われる領域に早くいきたいと思ったりします（笑）。</p><div class="media">  <img src="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/338/VtxDxvChnOLpQmIbbWzCkxjnjnAGABFb/b636c362-97af-4cbe-8e76-06f94dcb7309.jpg" width="600" height="338" loading="lazy" alt="お終活3" srcset="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/350/197/VtxDxvChnOLpQmIbbWzCkxjnjnAGABFb/b636c362-97af-4cbe-8e76-06f94dcb7309.jpg 350w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/500/281/VtxDxvChnOLpQmIbbWzCkxjnjnAGABFb/b636c362-97af-4cbe-8e76-06f94dcb7309.jpg 512w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/338/VtxDxvChnOLpQmIbbWzCkxjnjnAGABFb/b636c362-97af-4cbe-8e76-06f94dcb7309.jpg 1024w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/338/VtxDxvChnOLpQmIbbWzCkxjnjnAGABFb/b636c362-97af-4cbe-8e76-06f94dcb7309.jpg 2048w"><div class="caption">高畑淳子が主演を務める人気シリーズ第3弾『お終活３ 幸春！人生メモリーズ』（5月29日公開）<br>©2026「お終活3」製作委員会</div></div><h2 id="-">年齢と経験を重ねていくと人として面白さが身につく</h2><p><strong>── 　会社員は定年退職という仕事の区切りが訪れます。芸能活動にはそういった明確な線引きがありませんが、仕事の区切りはどう考えていますか。</strong></p><p><strong>高畑</strong>　舞台で演じている最中にセリフを忘れてしまうことが60〜70代くらいであるそうです。それが自分に起きて、何かやらかしてしまったときに、退こうと考えるかもしれません。そこがひとつのタイミングになると思います。ただ、映画やテレビドラマなどの映像作品は撮り直せるので、また違います。私は、年齢に関係なく、できる限り長く仕事を続けていきたい。年齢を重ねた俳優ほど貴重な宝を抱えています。元気で仕事ができるなら、これほど業界に有益な人材はない。その領域で生きていきたいです。</p><p><strong>── 　仕事以外の過ごし方を考えたりはしませんか。</strong></p><p><strong>高畑</strong>　休みをいただいても、旅行に行くよりソファーで寝ている方がいい（笑）。私は芝居しかしてこなかったから、ほかのことにまったく興味がないんです。「仕事が人生です」なんて偉そうなことは言えないですけど、考えてみれば、ほかの楽しみを知らない人生を送ってきました。</p><p><strong>── 　多忙ななかの気分転換は何かしていますか。</strong></p><p><strong>高畑</strong>　仕事が好きなので、あまり気分転換することを意識していませんが、あえて挙げれば家の掃除ですね（笑）。ふだんはあまり片付けていないところを整理したり、不要な物を捨てたりして。身の回りが綺麗になると気分がいいですよね。</p><p><strong>── 　今ご自身の課題に思っていることはありますか。</strong></p><p><strong>高畑</strong>　筋力アップです。クランチやスクワットを毎日欠かさずやっています。健康を保つためにも、仕事を続けるうえでも、筋力は欠かせません。健康と美容のためにパーソナルトレーナーをつけて本格的に運動している大御所俳優さんもいますが、私も考えているところです。</p><p><strong>── 　今の目標を教えてください。</strong></p><p><strong>高畑</strong>　セリフ覚えが速くなること。若い頃とは違って、切実な問題です。でも、年齢とともに経験値を重ねたことで、それに取って代わる面白さが自然に身についている気がします（笑）。自分をどう見せようとかではなく、ありのままで面白い存在になりたいです。</p><h2 id="-">名だたる俳優が勢揃いした 主演シリーズ３作目</h2><p><strong>── 　シリーズ３作目となる最新主演作『お終活３ 幸春！人生メモリーズ』は、誰にも必ず訪れる人生の終幕をどう迎えるかを考えさせられ、同時に大切な家族の存在に気づかせてくれます。</strong></p><p><strong>高畑</strong>　日々の仕事や日常に追い立てられるように生活していると、なかなか意識することがないかもしれませんが、居るのがあたり前に思っている家族にも、いつか人生の幕が降りる時が来ることを堅苦しくなく描いています。明るく楽しい、笑って観ることができる物語です。日本の名だたる名優さんたちが集まった撮影現場は、とても和やかな雰囲気でした。</p><p><strong>── 　ユーモアが溢れる、心温まる物語のなかで、家族の愛や人を思いやる心の大切さを明るく元気に描いています。昨今の人同士が傷つけ合ってばかりいるＳＮＳ社会に対して、一石を投じる側面があると感じました。</strong></p><p><strong>高畑</strong>　基本的に私は、自分の芝居も、その作品も、観客にどう観て何を感じていただきたい、ということは考えません。みなさんそれぞれ感じることがあって、同じ映画を観た友人と私でも感想がまったく逆の場合もあります。それが映画や舞台などエンターテインメントの面白さであり、醍醐味ではないでしょうか。</p><p><strong>── 　シリーズ作品は、同じことを繰り返すと飽きられてしまう、マンネリとの戦いになる部分もあると思います。意識されましたか。</strong></p><p><strong>高畑</strong>　その部分は、プロデューサーや監督が担っていると思います。私はいつもの役柄のままというか、角張らないようにふわふわ元気に生きていこうとする、この物語の主人公を演じました。</p><p>　自分を振り返ると、長く続くシリーズ作品には、劇中の家族を見守っているような懐かしい感覚があったのを覚えています。『男はつらいよ』シリーズは、お正月に観に行くのが楽しみでした。この映画にも、そういう匂いがあるかもしれません。</p><p><strong>── 　今回の映画をご覧になった感想を教えてください。</strong></p><p><strong>高畑</strong>　主演しているので、なかなか客観的には観られませんね（笑）。でも、試写を観終わった時に、三田佳子さんが「いい映画になったわね」と言ってくださったんです。その言葉がとてもうれしかったことを覚えています。</p><div class="media">  <img width="600" height="400" loading="lazy" alt="お終活3" srcset="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/350/233/BJRLiwfHLEYoCyLuDZGROKRuHMSIpJNl/e8d77d22-a677-45ff-9056-63d383524385.jpg 350w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/500/333/BJRLiwfHLEYoCyLuDZGROKRuHMSIpJNl/e8d77d22-a677-45ff-9056-63d383524385.jpg 512w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/400/BJRLiwfHLEYoCyLuDZGROKRuHMSIpJNl/e8d77d22-a677-45ff-9056-63d383524385.jpg 1024w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/400/BJRLiwfHLEYoCyLuDZGROKRuHMSIpJNl/e8d77d22-a677-45ff-9056-63d383524385.jpg 2048w" src="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/400/BJRLiwfHLEYoCyLuDZGROKRuHMSIpJNl/e8d77d22-a677-45ff-9056-63d383524385.jpg"><div class="caption">和やかな雰囲気の『お終活３ 幸春！人生メモリーズ』撮影現場の様子<br>©2026「お終活3」製作委員会</div></div><div class="media">  <img src="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/401/jrGKWXUeCDSOzwVdgUMbcgmJvLuWGsbq/58948f64-38df-4807-b2ab-18be37a3f3e3.jpg" width="600" height="401" loading="lazy" alt="お終活3" srcset="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/401/jrGKWXUeCDSOzwVdgUMbcgmJvLuWGsbq/58948f64-38df-4807-b2ab-18be37a3f3e3.jpg 2048w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/350/233/jrGKWXUeCDSOzwVdgUMbcgmJvLuWGsbq/58948f64-38df-4807-b2ab-18be37a3f3e3.jpg 350w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/500/334/jrGKWXUeCDSOzwVdgUMbcgmJvLuWGsbq/58948f64-38df-4807-b2ab-18be37a3f3e3.jpg 512w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/401/jrGKWXUeCDSOzwVdgUMbcgmJvLuWGsbq/58948f64-38df-4807-b2ab-18be37a3f3e3.jpg 1024w"><div class="caption">『お終活３ 幸春！人生メモリーズ』完成披露試写会には豪華俳優陣が勢揃いした</div></div>]]></content:encoded>
      <category><![CDATA[文化・ライフ]]></category>
      <dc:creator><![CDATA[経済界編集部]]></dc:creator>
      <guid>https://net.keizaikai.co.jp/archives/3391</guid>
      <pubDate>Wed, 03 Jun 2026 05:00:00 +0900</pubDate>
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      <title>伝統産業からウェアラブルへ進化を続ける京都企業の底力</title>
      <link>https://net.keizaikai.co.jp/archives/3390</link>
      <description><![CDATA[経済界GoldenPitch2025グランプリ受賞 西陣織の素材技術を生かし、独自のウェアラブル製品を製造・販売するミツフジ。伝統産業からテクノロジー企業への進化をけん引しているのが、3代目社長の三寺歩氏だ。文=吉田 浩　Photo= 西畑孝則（雑誌『経済界』2026年7月号より） 三寺 歩　ミツフジのプロフィール 社[&#8230;]]]></description>
      <content:encoded><![CDATA[<p><strong>経済界GoldenPitch2025グランプリ受賞</strong></p><p>西陣織の素材技術を生かし、独自のウェアラブル製品を製造・販売するミツフジ。伝統産業からテクノロジー企業への進化をけん引しているのが、3代目社長の三寺歩氏だ。文=吉田 浩　Photo= 西畑孝則（雑誌『<a rel="noreferrer noopener" href="https://keizaikai.co.jp/category/magazine" target="_blank">経済界</a>』2026年7月号より）</p><h2 id="-">三寺 歩　ミツフジのプロフィール</h2><div class="media">  <img alt="三寺 歩" srcset="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/400/BseFPcQsykpdMdkKXvcgcFqIzSPbNSIT/23b88bf7-2651-41ef-bc47-24ef29f02a56.jpg 1024w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/400/BseFPcQsykpdMdkKXvcgcFqIzSPbNSIT/23b88bf7-2651-41ef-bc47-24ef29f02a56.jpg 2048w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/350/233/BseFPcQsykpdMdkKXvcgcFqIzSPbNSIT/23b88bf7-2651-41ef-bc47-24ef29f02a56.jpg 350w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/500/333/BseFPcQsykpdMdkKXvcgcFqIzSPbNSIT/23b88bf7-2651-41ef-bc47-24ef29f02a56.jpg 512w" src="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/400/BseFPcQsykpdMdkKXvcgcFqIzSPbNSIT/23b88bf7-2651-41ef-bc47-24ef29f02a56.jpg" width="600" height="400" loading="lazy"><div class="caption">ミツフジ社長　三寺 歩<br>みてら・あゆむ　1977年生まれ、京都府出身。立命館大学経営学部卒業後、パナソニック入社。シスコシステムズ、SAPジャパンなどでIT業界のキャリアを積んだ後、ミツフジ（旧・三ツ冨士繊維工業）に入社。2014年9月、社長に就任。</div></div><h2 id="-">社長就任後の敗戦処理で導電性素材の可能性に着目</h2><p>　建設現場や製造現場で働く人々の腕に装着された小型デバイスが、体調の異変を自動で検知し、危険度を色・音・振動で知らせて猛暑リスク対策につなげる――。西陣織帯工場として創業したミツフジは、銀めっき導電性繊維を活用した衣服型や時計型のウェアラブルデバイスメーカーへと姿を変えている。</p><p>　同社の強みは、高機能性繊維という素材を自社で持つことに加え、原料からデバイス、クラウドまでをワンストップで設計できる体制を構築した点にある。ＩＴとアナログデバイスの両方を理解する経営体制が基盤となっている。</p><p>　主力製品は、猛暑リスク対策に特化したリストバンドとスマートウォッチ型デバイス「ｈａｍｏｎ ｂａｎｄ」シリーズだ。充電してスイッチを押すだけで作動し、危険度は青・黄・赤の３色表示で直感的に把握できる。数値の読み取りや複雑な操作は不要だ。ＳＩＭを内蔵したモデルではクラウドへ直接データを送信でき、企業は従業員の体調を集中管理することができる。</p><p>　２０２１年のリストバンド型デバイスへの転換以降、シリーズは改良を重ね、現在は第５世代にまで進化している。累計出荷台数は約４１０万台。顧客は建設業や製造業を中心とし、近年はシンガポールや米国、欧州でも販売が始まっている。</p><p>　会社の原点は１９５６年、西陣織の機屋としての創業にある。その後、着物やレース製品の製造を手がけてきたが、80年代に入り和装市場が縮小。２代目である三寺歩・現社長の父は、伝統繊維から機能性繊維の製造、販売へと舵を切った。米国から銀めっき繊維の供給契約を獲得し、抗菌・防臭機能を備えた製品を展開したが、２０００年代に入ると価格競争が激化し、経営は次第に悪化していった。</p><p>　転機は12年、当時、外資系ＩＴ企業で営業職として働いていた三寺氏のもとに、父から「このままでは資金が尽きる」と連絡が入った。資金援助では根本解決にならないと判断した三寺氏は、自ら経営に関わる道を選ぶ。２年間の立て直しを経て、14年９月に代表に就任した。</p><p>　経営に参画してまず行ったのは、赤字受注の停止だった。当時は、採算が取れなくても安価で受注する「都合の良い会社」になっていた。顧客を訪問し、これ以上取引ができない旨を伝えると激怒されたが、「規模を縮小して、従業員数人の食いぶちを確保できれば良い」と、三寺氏は考えていた。</p><p>　そんな中、事業拡大へと方向転換することになったのは、大手企業が高価格で銀めっき繊維を購入している事実を知ったからだ。「これからウェアラブルの時代が来る。導電性機能を持っていて、量産可能なこの素材は圧倒的に差別化できるからやめてはいけない」と評価され、その後売り上げは数千万円規模に増加。廃業の危機を脱することに成功した。</p><h2 id="-">顧客視点に立ち返り 腕時計型デバイスを開発</h2><p>　最初に開発したのは、衣服型のウェアラブル製品だった。銀めっき繊維の高い導電性を生かして、バイタル情報を取得できるセンサーを開発。これをタンクトップ型の衣服に編み込み、下着のように着用するだけで、建設業や製造業従事者の猛暑リスク対策に活用できるようにした。ただ、毎日の着替えに加え、通信環境やアプリ操作が必要だったため現場の作業者からは不評だった。１着１万円、トランスミッター１万５千円の合計２万５千円で販売し、約７千セットを獲得したものの、それ以上は伸び悩んだ。新型コロナ禍も相まって資金的にも厳しい状況に追い込まれた。</p><p>　「正確さは不便さを凌駕する」と考えていた三寺氏だったが、再び壁に直面したことによって、自らが顧客視点を失っていたことに気付く。そこで方針を転換し、着やすさと操作の簡便性を最優先に再設計したのがスタンドアロン型のリストバンドモデルだ。このモデルは、通信設定や複雑な操作が一切不要で、電源を入れて腕に巻くだけで使用できる。猛暑リスクの危険度は、色と振動によって着用者本人が直感的に把握できるようにした。さらに現場からは、時計機能や集中監視の強いニーズがあり、ＩｏＴ普及の障壁となっていた接続の煩雑さを解消するためＳＩＭを内蔵したスマートウォッチ型デバイスを開発し、クラウドへ直接送信する仕組みを整えた。</p><p>　事業はウェアラブル製品にとどまらない。銀めっき導電性繊維は電磁波シールド素材としても活用可能であり、経済安全保障分野への展開も進めると共に、電波干渉から機体を守るドローン用部材や機体の開発にも取り組む。素材メーカーとしての技術を生かし、最終製品まで手掛けることによって、パフォーマンスを最大化させることにこだわっている。</p><p>　今後はＡＩを活用したデータ分析の高度化を進める予定だ。取得するデータ自体はシンプルでも、クラウド側で高度な解析を行い、健康管理や安全管理の付加価値を高める構想だ。時代のニーズは変化する。ストレスチェックや医療現場での事前診断など、新たな用途への対応も視野に入れる。</p><p>　創業から幾度も経営危機を経験してきたが、「創業者が重視したように、これからも皆で力を合わせて乗り越えていきたい」と三寺氏は語る。京都の伝統産業の土壌を持ちながら、最先端技術で社会課題に挑み続けていく。</p>]]></content:encoded>
      <category><![CDATA[企業・業界動向]]></category>
      <dc:creator><![CDATA[経済界編集部]]></dc:creator>
      <guid>https://net.keizaikai.co.jp/archives/3390</guid>
      <pubDate>Wed, 03 Jun 2026 05:00:00 +0900</pubDate>
    </item>
    <item>
      <title>ノジマが日立の家電事業買収主導権はメーカーから売り場へ</title>
      <link>https://net.keizaikai.co.jp/archives/3389</link>
      <description><![CDATA[家電量販店のノジマが日立製作所の白物家電事業を約１１００億円で買収する。これは、日本の家電業界の歴史的転換だ。家電業界はメーカーが製品を企画・製造し、量販店が売る構造だった。しかし今回の買収は、主導権がメーカーから小売業者へと移りつつあることを、示している。文＝ジャーナリスト／小田切 隆（雑誌『経済界』2026年7月号[&#8230;]]]></description>
      <content:encoded><![CDATA[<p>家電量販店のノジマが日立製作所の白物家電事業を約１１００億円で買収する。これは、日本の家電業界の歴史的転換だ。家電業界はメーカーが製品を企画・製造し、量販店が売る構造だった。しかし今回の買収は、主導権がメーカーから小売業者へと移りつつあることを、示している。文＝ジャーナリスト／小田切 隆（雑誌『<a rel="noreferrer noopener" href="https://keizaikai.co.jp/category/magazine" target="_blank">経済界</a>』2026年7月号より）</p><h2 id="-">日立にとっては構造改革の完成</h2><p>　ノジマが買収するのは、日立の子会社「日立グローバルライフソリューションズ（日立ＧＬＳ）」が国内で手掛ける白物家電事業。日立ＧＬＳは冷蔵庫や洗濯機を展開し、「日立ブランド」として根強い支持を得ている。</p><p>　具体的には日立ＧＬＳが家電事業を新会社に移し、ノジマが特別目的会社（ＳＰＣ）を通じて新会社の株式の約80％を取得する。日立ＧＬＳは残り約20％を保有し続ける。</p><p>　既に日立は海外の白物家電事業を、トルコ企業と作った合弁会社に売却している。この合弁会社を今回の新会社の１００％子会社とすることで、ノジマは、日立の国内外の家電事業を傘下に収めることになる。</p><p>　ノジマの狙いは、製造から販売までを統合する「製販一体」モデルを作り上げることだろう。</p><p>　これまで量販店は、メーカーが決めた卸価格と市場の販売価格の板挟みになり、利益率が低い「薄利多売」を強いられてきた。</p><p>　だが、ノジマ自らがメーカーの機能を持てば、中間マージンを排除できるだけでなく、「顧客の声」を製品開発に直接反映させることができるようになる。</p><p>　一方、日立側から見れば、白物家電事業の売却は、長年の悲願だった「構造改革の完成」を意味している。</p><p>　２００９年３月期の巨額赤字をきっかけに、日立は「社会イノベーション事業」への集中を掲げ、ＩＴ、鉄道といったＢ２Ｂ事業を中核に据えて、安定した収益を稼ぐことに注力するようになった。</p><p>　今回の白物家電事業の切り出しは最後の非中核事業の整理を意味し、17年という歳月をかけた改革の総仕上げをすることができたと言えるだろう。</p><p>　ところで、「売り場が主導権を握る」モデルを進めているのはノジマだけでない。先行し、既に成功を収めているのが、家具大手のニトリホールディングス（ＨＤ）だ。</p><p>　ニトリは自らを「製造物流ＩＴ小売業」と称し、「商品の企画」から「原材料の調達」、「製造」、「物流」、「販売」までを一貫して自社でプロデュースしている。</p><p>　自社サイトでは「これからも『お、ねだん以上。』の価値を創造していくために、お客様を起点としたビジネスモデルの進化に挑戦していきます」とうたう。</p><p>　家電も自社で企画し、海外の企業などに製造を委託してプライベートブランド（ＰＢ）として販売。ラインアップは冷蔵庫、洗濯機、炊飯器、掃除機などさまざまだ。白、黒、グレーといった、部屋の雰囲気を「圧迫」しない無彩色を基調とし、装飾を抑えたシンプルなデザインの、コンパクトな設計となっている。</p><p>　ユーザー目線と住空間への馴染みやすさを徹底し、住まいの事情に精通している家具メーカーならではの強みを発揮していると言えるだろう。</p><p>　「売り場主導」での製品開発は他でも進んでいる。</p><h2 id="-">家電量販店で進む 製販一体の商品開発</h2><p>　例えば家電量販店首位のヤマダＨＤはアマゾンジャパンと共同で、アマゾンのネット動画配信機器「ファイアＴＶ」を内蔵した「スマートテレビ」を開発している。</p><p>　店頭とＥＣサイトで製品を販売。製造を委託していた企業が破産手続きに入ったため一時供給をストップしていたが、別の国内メーカーと契約を結び、昨年７月、再び新製品を打ち出した。</p><p>　このほか、10万円台のドラム式洗濯機も開発し、販売。大手メーカーより大幅に安い価格帯を打ち出し、実用性を重視する層を取り込んでいる。山田昇会長はメディアのインタビューに対し、ニトリが約10万円の洗濯機を出し、売れていることに対抗して開発を始めたと話している。</p><p>　一方、ビックカメラは今年４月、それまでの３つのＰＢを統合し、新ブランド「ビックアイデア」として本格的に販売を始めた。店頭とＥＣサイトで売り出している。</p><p>　自社サイトではビックアイデアを、「物欲を科学する」ことから生まれた「オリジナルブランド」としている。軽量で扱いやすく、掛けやすく収納しやすい設計のドライヤーなど、家電や生活雑貨を展開。大手メーカーの製品と比べても引けを取らないデザインと使い勝手を追求しており、30年８月期までにＰＢの売上高を年間１千億円まで引き上げることを目標としている。</p><p>　このほかエディオンも、ＰＢ「イーアングル」を展開。ニトリＨＤがエディオンに出資し、家電を共同開発するなどしている。</p><p>　では、家電の「製販一体」化が加速すれば、どんな影響が出てくるのだろうか。</p><p>　まず、消費者にとっての大きなメリットは、「不満の解消」に特化して開発された製品が増えるだろう。</p><p>　メーカーの設計者は、時に「最新技術を搭載すること」自体を目的にすることもあるが、量販店などの小売業者は「このボタンは使いにくい」「このサイズでは入らない」といった顧客からのリアルな苦情や要望を時時刻々と最前線で受け取っている。</p><p>　小売業者が委託先の製造会社の高い技術力を使ったり、独自のサプライチェーンを利用したりして「売り場の知見」を設計に注ぎ込めば、過剰な機能が省かれた、本当に便利な製品が提供されるようになるはずだ。</p><p>　サプライチェーンが効率化されることによる価格メリットも大きい。自社で開発・生産し、自社の販路で売ることは、物流コストや中間手数料を削減できるということを意味している。この結果、大手メーカーの製品と同じレベルのスペックを持つ、より安価な「ジェネリック家電」が、ますます増えていくことが期待される。</p><p>　一方、小売業者がメーカーとしての顔を持つことはリスクも伴っている。</p><p>　まず、在庫リスクが大きくなることだ。</p><p>　メーカーの機能を持てば、工場の稼働率や原材料の調達リスクを自ら背負うことになる。売れ残れば損失はすべて自社に跳ね返る。これまで「売れなければ仕入れを調整すればよい」という姿勢で臨めばよかった小売業者にとって、製造業特有の責任は大きな負担となるだろう。</p><p>　次に、メーカーのブランド名を引き継ぐことによる責任の重さだ。</p><p>　例えばノジマは日立のブランド名を残すが、これまでなら、日立の製品に不具合が出てリコールとなるような事態が起きても、ノジマは「日立の製品が悪かった」と言え、自身は「あくまで販売店として誠実に対応する」という立場を取れば信頼を守ることができた。</p><p>　だが、今回の買収でノジマは日立ブランドの「主」となった。今後、もし製品に欠陥が見つかったような場合、「メーカーとしてのノジマ」の責任になる。これは、製品の失敗が本業である量販店全体のイメージダウンに直結する「一蓮托生」の状態になりうることを意味している。</p><p>　また、小売業者は家電メーカーの誇ってきた「モノづくりの規律」を維持しつつ、自社の販売のスピード感とどう融合させるかも課題となる。</p><p>　伝統ある大手メーカーには、数十年にわたって築かれた厳しい品質管理基準がある。</p><p>　一つの製品を世に出すまでに、膨大なテストと時間をかけ、安全性を担保し、「絶対に故障させない」ことを徹底してきた。</p><p>　一方で小売業者、例えば家電量販店は、流行やライバル店の動きに合わせて、昨日決めたことを今日変える「スピード感」を重視している。</p><p>　もし量販店の感覚で「お客様がこう言っているから、来月には仕様を変えて発売しよう」と製造を急がせすぎれば、メーカーが大切にしている「慎重な品質チェック」が疎かになるかもしれない。</p><p>　量販店として「早さ」を優先するあまり、メーカーとしての「品質」を落としてしまったら、せっかく手に入れたメーカーのブランドへの価値も、量販店自身への信頼もすべて失うことになるだろう。</p><h2 id="-">家電からのデータが企業にとっては宝の山</h2><p>　では今後、家電市場はどう変わっていくのか。おそらく、家電市場ははっきりと「二極化」の道をたどるだろう。</p><p>　一つの「極」は、電機メーカーとして圧倒的なイノベーション（技術革新）や体験価値、ブランド価値を提供する層で、ソニーグループやパナソニックＨＤなどがこれに当てはまる。</p><p>　もう一つの「極」は、ノジマやニトリのように、製販を一体化し、生活者の実利に特化した高いコストパフォーマンスを提供する層だ。</p><p>　また、家電を通じた「データビジネス」の覇権争いも起きるだろう。スマート家電が普及する中、家電の稼働データはあらゆる人の生活習慣を映し出す情報の「宝の山」となる。これまではメーカーがそのデータを握ろうとしてきたが、今後は、既に顧客の購買履歴やライフスタイルを把握している小売業者が、家電によってさらに情報を集め、消耗品の自動配送やメンテナンス、住まいのリフォーム提案といったサービスにつなげていくことだろう。</p><p>　ノジマによる日立家電事業の買収やニトリの家電事業の躍進は、日本の家電産業が大きな転換期にあることを示している。</p><p>　消費者が驚くような最新技術も出尽くした昨今、家電市場で重視されるのは「いかに人々の暮らしを理解し、寄り添えるか」。</p><p>　いわば、消費者が単に「メーカーが作った物を買う」時代から、「自分たちの生活に必要なものを、信頼できる売り場と一緒につくる」時代へと変わっていく。</p><p>　この変革がうまくいけば、消費者の選択肢が多様化し、生活の質の向上につながるだろう。家電量販店などの小売店が、単なるショールームや倉庫ではない、生活文化の創造拠点へと進化できるのか。真価が問われるのは、これからだ。</p>]]></content:encoded>
      <category><![CDATA[企業・業界動向]]></category>
      <dc:creator><![CDATA[経済界編集部]]></dc:creator>
      <guid>https://net.keizaikai.co.jp/archives/3389</guid>
      <pubDate>Tue, 02 Jun 2026 05:00:00 +0900</pubDate>
    </item>
    <item>
      <title>長崎屋、ユニーの次はオリンピックＭ＆Ａでドン・キホーテの目指す先</title>
      <link>https://net.keizaikai.co.jp/archives/3388</link>
      <description><![CDATA[ディスカウントストア「ドン・キホーテ」を展開するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス（ＰＰＩＨ）のＭ＆Ａが止まらない。これまで長崎屋やユニーを買収してきたが今度はＯｌｙｍｐｉｃグループを子会社化する。その先に描いている絵はいかなるものなのか。文＝ジャーナリスト／下田健司（雑誌『経済界』2026年7月号[&#8230;]]]></description>
      <content:encoded><![CDATA[<p>ディスカウントストア「ドン・キホーテ」を展開するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス（ＰＰＩＨ）のＭ＆Ａが止まらない。これまで長崎屋やユニーを買収してきたが今度はＯｌｙｍｐｉｃグループを子会社化する。その先に描いている絵はいかなるものなのか。文＝ジャーナリスト／下田健司（雑誌『<a rel="noreferrer noopener" href="https://keizaikai.co.jp/category/magazine" target="_blank">経済界</a>』2026年7月号より）</p><h2 id="-50-">創業から約50年 ２兆円企業のＰＰＩＨ</h2><p>　ＰＰＩＨがオリンピックグループを買収すると発表したのは４月６日のこと。</p><p>　両社は２０２６年７月をめどにオリンピックグループを完全子会社化する株式交換契約を結んだ。オリンピックグループ株式１株に対してＰＰＩＨ株式１・18株を割り当てる。オリンピックグループは６月29日に上場廃止となる。</p><p>　発表資料によると、オリンピックグループは26年１月、みずほ銀行を通じて、企業再編を伴う戦略的パートナー選定の入札プロセスを開始した。同月下旬にＰＰＩＨを含む５社から意向表明書を受領。オリンピックグループは、意向表明書の内容に基づき、自社に対する理解、株式価値に対する評価、業容拡大につながる施策、企業再編のストラクチャーなどについて比較検討を行い、ＰＰＩＨを戦略的パートナーの最終候補先として選定した。</p><p>　入札には、小売大手のイオンや、岐阜県を地盤に食品スーパーやドラッグストアを展開するバローホールディングスなどが参加した模様だ。</p><p>　ＰＰＩＨは長崎屋やユニーといった総合スーパーを買収し、再生に成功した実績を持つ。小売業界のＭ＆Ａ（合併・買収）で、イオンと並んでたびたび顔を出してきたＰＰＩＨ。経営不振が続くオリンピックグループをどう立て直すのか。</p><p>　在庫処分品を扱うバッタ屋に始まり、「ドン・キホーテ」の成功で時代の寵児となったＰＰＩＨ。小売業界で異端視されながらも、今や売上規模は２兆円を超え、業界上位に名を連ねる企業に成長した。</p><p>　ＰＰＩＨはドン・キホーテをはじめ、ユニーや長崎屋、ＵＤリテール、橘百貨店などの小売事業会社を傘下に抱え、グループ会社数は80社、グループの総店舗数は国内６６３店舗、海外１２４店舗の合計７８７店舗となっている（26年３月末）。</p><p>　25年６月期の連結業績は売上高２兆２４６８億円、営業利益１６２３億円。36期連続での増収・営業増益を達成した。営業利益率は業界で高水準の７・２％に達する。25年８月に公表した長期経営計画では、定量目標として35年６月期に売上高４兆２千億円、営業利益３３００億円を掲げている。25年６月期に比べて、売上高は87％増、営業利益は約２倍となる計算だ。営業利益率は７・９％に引き上げ、収益性も改善させる計画だ。</p><p>　ＰＰＩＨは１９７８年、創業者の安田隆夫氏が29歳の時、東京・西荻窪に売場面積18坪の雑貨店「泥棒市場」を開業したことに始まる。89年に東京・府中に「ドン・キホーテ」１号店となる府中店を出店し、多店舗化に乗り出した。幅広い品揃えと安さ、深夜営業、商品を山積みする「圧縮陳列」、手書きＰＯＰなどが消費者に受け、業績を伸ばしていった。</p><p>　Ｍ＆Ａも手がけるようになり、２００７年にホームセンターのドイト、総合スーパーの長崎屋をそれぞれ連結子会社化した。17年にはユニー・ファミリーマートホールディングスと資本・業務提携し、ユニーに40％を出資。19年にユニー株式を60％追加取得し完全子会社化した。</p><p>　13年、社名をドンキホーテホールディングスに変更し、純粋持ち株会社体制に移行。19年には社名をパン・パシフィック・インターナショナルホールディングスに変更した。</p><p>　オリンピックグループでは、長崎屋とユニーでの再生手法が生かされることになりそうだ。</p><h2 id="-">長崎屋、ユニーに見る ＰＰＩＨの再生手法</h2><p>　経営不振に陥っていた長崎屋は00年に会社更生法の適用を申請し、事実上破綻した。06年に会社更生手続きを終結させた。ドン・キホーテ（現ＰＰＩＨ）は07年に長崎屋を連結子会社化した。ドン・キホーテ流で値付け、陳列などを店舗に任せた。仕入れについてはチェーンストアでは本部集中が一般的だが、これも店舗主導に変えた。そして、長崎屋の既存店舗を「ドン・キホーテ」や、再生策の中核として開発した大型店「ＭＥＧＡドン・キホーテ」に転換していった。ＭＥＧＡドン・キホーテはドン・キホーテの特徴を生かしながらも、家族層に照準を合わせ生鮮や日用品を強化した店舗だ。得意の手書きＰＯＰや圧縮陳列は抑え気味にし、家族層も買物できるようにした。</p><p>　これが当たり、ＭＥＧＡドン・キホーテに転換した多くの店舗が長崎屋時代に比べて売り上げを急回復させていった。長崎屋の店舗の大半は「ＭＥＧＡドン・キホーテ」に転換され、「長崎屋」ブランドはほぼ姿を消した。長崎屋立て直しの成功はＰＰＩＨの成長に弾みをつけた。</p><p>　ユニーにおいても長崎屋再建の手法が踏襲された。17年にユニーの40％株式を取得後、ユニーの既存店舗をユニーと共同運営の「ＭＥＧＡドン・キホーテＵＮＹ」へ転換していった。狭く不規則な通路、圧縮陳列の売場などドンキ化を進めるなど、約60店舗をダブルネーム店に切り替えた。</p><p>　ユニーの場合も、長崎屋と同じように、本部主導から店舗主導の運営方式に変えていった。店舗へ権限を委譲し、店舗を活性化したことが再生の原動力となった。売場の専門店化も進め、鮮魚や精肉の売場は、直営の専門店を立ち上げている。</p><p>　25年６月期のユニー事業は、売上高４７０１億円（前期比１・７％増）、営業利益３５２億円（３・１％増）の増収増益。収益性も改善し、営業利益率は７・５％（０・１ポイント増）に達している。</p><p>　ＰＰＩＨが７月をめどに買収するオリンピックグループは１９６２年、東京都立川市に１号店を出店し創業した。食品スーパー、ディスカウントストアのほか、傘下の事業会社が運営する自転車・ゴルフ用品・靴・車用品などの専門店を食品スーパーやディスカウントストアと組み合わせた複合店を東京・神奈川・千葉・埼玉・群馬の１都４県で約１２０店舗展開する。</p><p>　経営環境が厳しさを増す中、１都３県（東京・神奈川・埼玉・千葉）での地域集中出店によるシェア拡大、ローコスト運営とキャッシュフロー重視、専門店を志向した業態戦略、グループ企業の効率運営と業容拡大の４つの柱を掲げ、事業拡大・収益改善のための施策に取り組んできていた。</p><p>　売上高は１千億円を超える時期もあったが、近年は伸び悩み、業績は低迷していた。２０２６年２月期の連結業績は、売上高が９８１億円で、営業損益が23億円の赤字。最終損益は３期連続の赤字となった。</p><h2 id="-">新業態スーパーのロビン・フッドへの転換</h2><p>　ＰＰＩＨによる買収の背景には、後継者問題に端を発した内紛も指摘されている。ここ数年、経営体制は目まぐるしく変わっている。</p><p>　18年、長年社長を務めてきた創業家出身の金澤良樹氏（故人）が代表権のある会長ＣＥＯに就き、みずほ銀行出身で12年から副社長を務めていた木住野福寿氏が社長に昇格し、26年ぶりに社長が交代した。そして、監査法人出身で17年から顧問を務めていた大下内徹氏が副社長に就いた。</p><p>　22年、大下内副社長が社長に昇格。金澤会長の親族である金澤祥貴氏と金澤伸幸氏が揃って取締役に就き、木住野社長は辞任した。</p><p>　25年４月、伸幸氏が代表権のある副社長に就くとともに、中核子会社Ｏｌｙｍｐｉｃでは常務だった祥貴氏と伸幸氏が揃って代表取締役副社長に就いた。金澤会長ＣＥＯは、５月に代表権が外れ取締役会長に就き、９月に77歳で死去した。</p><p>　26年３月、子会社オリンピックで大下内社長が会長に就き、伸幸副社長が社長に昇格。祥貴副社長は役職を外れた。オリンピックグループでは５月に取締役の祥貴氏が退任し、大下内社長、伸幸副社長の２人が代表権を持つ体制となる予定だ。</p><p>　不安定な経営体制だけでなく、人件費や物流費の上昇など経営環境も厳しく、競争も激しさを増している。中長期の展望も見通しにくい状況にあった。</p><p>　ＰＰＩＨは具体的な目標数値を26年６月期の決算発表で公表する予定だが、オリンピック買収によるシナジーは以下の２点を挙げている。</p><p>　１つ目は出店面だ。オリンピックグループの店舗の約３分の２（約80店舗）は東京都内にある。既存店舗の商圏や立地条件からＰＰＩＨの既存店舗と競合するケースは限定的と見ている。今後10年間で約２５０ 店舗の出店を計画しているＰＰＩＨにとっては、一気に首都圏の店舗網を拡大できるメリットは大きい。</p><p>　オリンピックの既存店舗は、「ドン・キホーテ」や「ＭＥＧＡドン・キホーテ」のほか、食品強化型ドンキ「ロビン・フッド」に転換する。</p><p>　ロビン・フッドは、長崎屋、ユニーを買収したことで調達力が向上した生鮮の集客力とドン・キホーテの非食品による高い収益性を組み合わせた店舗だ。非食品の面積構成比は、一般の食品スーパーで10％程度だが、これを40％程度に広げ、売上構成比を25％と想定している。26年４月に愛知県で１号店を開業しており、26年６月期には５店舗をオープン、27年６月期に首都圏で店舗網を拡大する計画だ。そして、35年までに２００〜３００店舗に拡大し、売上高６千億円、営業利益３６０億円を目標としている。オリンピックの買収でロビン・フッド事業推進に弾みをつける考えだ。</p><p>　２つ目は商品面や運営面でのシナジーだ。両社が持つ食品・日用品の価格競争力と、オリンピックが強みとする非食品カテゴリーの専門性を融合させることによって、ＰＰＩＨ全体の非食品分野の競争力強化につながると期待する。また、主に仕入帳合いの統一による原価低減効果がオリンピックの収益性を改善すると見込んでいる。さらに、ディスカウント事業や非食品専門分野に親和性の高い人材の獲得や、ユニーや長崎屋での実績を生かした統合作業を進めることで買収効果の早期発揮につなげるとしている。</p><p>　ＰＰＩＨは35年６月期までの長期経営計画で、新規出店の拡大、既存店成長、インバウンド、食品強化型ドンキと並んで、Ｍ＆Ａを成長戦略の柱として掲げている。長崎屋やユニーでの実績からＰＰＩＨは総合スーパーの再生請負人と称される。25年７月にトライアルホールディングスが西友を買収するなど、スーパー業界の再編が加速している。ＰＰＩＨは今後の業界再編の有力な受け皿となっていきそうだ。</p>]]></content:encoded>
      <category><![CDATA[企業・業界動向]]></category>
      <dc:creator><![CDATA[経済界編集部]]></dc:creator>
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      <pubDate>Tue, 02 Jun 2026 05:00:00 +0900</pubDate>
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    <item>
      <title>サントリーが第一三共ヘルスケアを買収“因縁”だらけの市販薬参入の「なぜ？」</title>
      <link>https://net.keizaikai.co.jp/archives/3387</link>
      <description><![CDATA[サントリーホールディングス（ＨＤ）が第一三共ヘルスケアを買収する。サントリーＨＤが医薬事業にチャレンジするのは２度目のこと。しかも第一三共とはかつての因縁もある。それだけに業界内には驚きの声が上がる。なぜ再参入を決めたのか。文＝ジャーナリスト／永井 隆（雑誌『経済界』2026年7月号より） サントリーにとって２度目の医[&#8230;]]]></description>
      <content:encoded><![CDATA[<p>サントリーホールディングス（ＨＤ）が第一三共ヘルスケアを買収する。サントリーＨＤが医薬事業にチャレンジするのは２度目のこと。しかも第一三共とはかつての因縁もある。それだけに業界内には驚きの声が上がる。なぜ再参入を決めたのか。文＝ジャーナリスト／永井 隆（雑誌『<a rel="noreferrer noopener" href="https://keizaikai.co.jp/category/magazine" target="_blank">経済界</a>』2026年7月号より）</p><h2 id="-">サントリーにとって２度目の医薬品参入</h2><p>　「第一三共は、ずいぶん前から一般用医薬品事業を売りに出していた。買わないか、という誘いは当社にも来た。しかし驚いたのは、買収したのがサントリーＨＤになったこと」（医薬品会社幹部）。</p><p>　サントリーＨＤは、第一三共から一般医薬品の子会社である第一三共ヘルスケアを買収する。買収金額は２４６５億円。株式取得は今年６月から３回に分けて段階的に行い、２０２９年６月にサントリーは第一三共ヘルスケアを完全子会社化する。一方、第一三共は売却で得た資金をがん領域など医療用医薬品の研究開発投資に集中させていく。</p><p>　このＭ＆Ａについて、「本当に驚いた。予想もしなかったから」（ライバルビール会社首脳）という声はビール業界からも上がる。医薬、ビールとそれぞれから驚かれるのは、一般医薬品の利益率が低いから、という理由だけではない。</p><p>　サントリーにとっての医薬事業は、何かと因縁を含むからなのだ。</p><p>　サントリーは１９７９年、医薬事業に一度参入した。しかし、２００３年に撤退した歴史がある。しかもサントリーから事業を買ったのは、誰あろう第一三共（当時は第一製薬）だったのだ。サントリーの医薬事業に従事していた社員のほとんどすべては、第一製薬へ転籍した。05年、三共と統合して第一三共が発足。10年に社長に就任した中山讓治氏は、もともとはサントリーの社員だった。</p><p>　今回決めたＭ＆Ａは、サントリーにとっての医薬への再参入。ブーメランのように、23年ぶりに医薬事業へと“出戻った”のだ。</p><p>　さらに、もう一つ。09年７月に表面化して、翌10年２月に破談したキリンＨＤとサントリーとの経営統合をご記憶だろうか。戦後最大の酒類飲料業界の統合であり、世界市場に打って出るシナリオを両社は描いた。が、世紀の統合案は結局は流れてしまう。破談に終わった原因の一つになったのが、医薬事業だったのだ。</p><p>　医薬から既に撤退していたサントリーは統合交渉の過程で、キリンに対し協和発酵キリン（現・協和キリン）を中心とする医薬事業を、数年以内に売却するよう提案した。</p><p>　新薬開発には巨額の資金が必要なことを熟知していたサントリーは、「規模に劣る協和発酵キリンが、世界の医薬品大手と競争するには限界がある」と主張した、とされる。経営統合の目的は、世界有数の酒類飲料メーカーとなって世界に打って出ることにあり、金と時間のかかる医薬は足かせになるというわけだ。これに対し、医薬事業を成功させて利益を得ていたキリンは徹底して拒否した。</p><p>　それから16年を超える時間が経過したが、当時統合交渉に当たったキリン幹部は「一般医薬品とはいえ、サントリーが考えを変えたのには驚いた。あのとき統合できなかったのは、サントリーが『キリンも医薬を売却してほしい』と言ってきたからなのに」と、不快の念を露わにする。</p><p>　なお一般用医薬品とは医師の処方箋を必要としないで、薬局やドラッグストアで購入可能な薬を指す。市販薬などとも呼ばれ、第一三共ヘルスケアの製品では総合カゼ薬の「ルル」、鎮静剤「ロキソニン」が有名だ。一方、新薬を一つ開発するには、10年の歳月と５００億円の資金が必要とされる。しかも、必ず開発が成功するとは限らない。がん領域ともなれば、時間もお金もさらに必要だ。</p><p>　そもそもサントリーが創業80周年に当たる１９７９年に医薬に進出したのは、「超酒類企業」という未来像を描いたため。高度経済成長が終わり、酒類に次ぐ新しい経営の柱として医薬を立ち上げた。『日々に新たに　サントリー百年誌』には、第２代社長で、本来は大阪大学で化学の教授になるはずだった佐治敬三氏の思いが、次のように綴られている。「心のどこかに人を直接救える医薬への憧憬が潜んでいたのだろう。科学者としての夢だったのかもしれない。厳しい仕事だが、成功したときの成果も大きい」、と。</p><h2 id="-">キリンの医薬品事業が経営統合の邪魔をした</h2><p>　一方、キリンが本格的に医薬に参入したのは82年。キリンは、71年から85年までビールのシェア（市場占有率）が６割を超えていた。独禁法によりこれ以上ビールが売れると会社が分割されてしまう危機に直面する。そこで、80年代に入ると、多角化に乗り出す。外食やスポーツクラブ運営、花卉などもあったが、医薬は多角化の柱だった。そして、当時の多角化でいまも残っているのは医薬だけである。</p><p>　90年、サントリーは群馬県東部の千代田町にあるビール工場の近くに、医薬工場を建設。91年には第１号新薬として国産初の抗不整脈薬「サンリズム」を発売した。</p><p>　ちなみに、88年にサントリー企画部の課長になった中山讓治氏は、会社の将来ビジョンを部下たちと策定する。テーマは「脱・ウイスキー依存」。それだけに、新規事業である医薬への期待は大きかったはずだ。</p><p>　キリンは高崎市にあったビール工場の隣接地に、医薬工場を89年に建設。90年には第１号医薬の腎性貧血治療薬「エスポー」を発売した。</p><p>　酒類の大手二社が同時期に医薬に参入したわけだが、筆者はこの頃、稼働したばかりの両工場を訪れていた。サントリーは、必要最小限の生産ラインを設えた小さな工場としてスタートしていた。「小さく産んで大きく育てる」の例えではないが、生産量の拡大に応じて工場もラインも拡張していく方針だった。</p><p>　これに対しキリンの工場は、最初から大きな箱（建屋）をつくり、その中で生産ラインを増やしていくというやり方だった。</p><p>　両社の医薬品量産に対する思想の違いを見たのを記憶している。</p><p>　キリンは既に２０００年から抗体技術に経営資源を集中させたのが功奏。腎疾患をはじめ、がん、免疫疾病などの領域で新薬創出を成功させる。</p><p>　前述したがサントリーは03年に医薬から撤退。09年から10年の統合交渉においては、キリンに医薬事業売却を提案したが、このことは交渉破談後にキリンに波紋を与える。サントリーの提案を聞きつけた複数の医薬大手が協和発酵キリンの買収に水面下で名乗りを上げたのだ。キリンのなかでの医薬事業は揺らぎ始める。</p><p>　破談後、サントリーが成長に転じたのとは裏腹に、キリンは凋落が始まる。オーナー企業のサントリーでは、統合交渉に当たったスタッフたちはみな昇格していく。「結果は残念だったが、みんなでやるだけやった」とばかりに。</p><p>　逆に三菱系でサラリーマン企業のキリンは、加藤壹康・キリンＨＤ社長は引責辞任。三宅占二副社長が社長に昇格する。経営トップが代わり、方針は変わる。交渉に当たった人材は、中枢から外へと出ていった。</p><p>　焦点だった医薬事業に関しては、協和発酵キリンを富士フイルムＨＤに売却する交渉が水面下で進む。売却で得る資金を、苦戦が続いていたブラジルのビール事業に投じるシナリオを三宅氏は描いたのだ。</p><p>　15年、キリンＨＤ社長に就任したばかりの磯崎功典氏が、最終段階で医薬事業売却を白紙撤回させる。少子高齢化、人口減少から国内酒類市場の成長が見込めないなか、医薬およびヘルスケアはキリンにとって生き延びるための必須事業だった。</p><p>　一方、キリン・サントリー統合交渉時、中枢にいたキリンの元首脳は、サントリーによる第一三共ヘルスケア買収について次のように指摘する。</p><p>　「時代が変わった。なので、サントリーも変わった。今回、サントリーは有している資金の使い道がなかったため、買ったのだろう。新薬は莫大な資金と時間が必要で、リスクは高い。これに対し、市販薬は事業としての面白さはないものの、日銭を稼げるメリットはある。銀行に資金を預けておくよりはマシという判断があったのでは」</p><h2 id="-">豪快なスイングではなく小ぶりで手堅いスイング</h2><p>　サントリーと言えば、創業者の鳥井信治郎氏が発した「やってみなはれ」で知られるが、この指摘に従えば今回のＭ＆Ａは投資金額を含めてローリスクを取った“小ぶり”な「やってみなはれ」の位置づけだろう。</p><p>　創業者が挑戦したウイスキー参入、佐治敬三氏が実行したビール参入、さらには第４代社長だった佐治信忠会長による１６０億ドル（14年のレートで１兆６５００億円）を投じた米ウイスキー会社買収などの大型案件とは一線を画す。創業家の実績以外にも、日本初の生ビール開発（１９６７年）、同じく発泡酒投入（94年）、２０００年代終盤のハイボールによるウイスキー復活などなど、酒類だけでも他社には真似のできないことを先行してやり遂げてきた。</p><p>　サントリーは本来は、ゼロから一を生む企業だ。原点にあるのが「やってみなはれ」である。成功事例ばかりではなく、大きな失敗も重ねてきた。ホンダやソニーが北米進出する前の１９６３年、メキシコにウイスキー工場（サントリー・デ・メヒコ）を建設。工場は海抜２千メートルを超える高地にあったため、熟成の過程で原酒の多くが揮発してしまい、出荷できなくなった。樽を開けたら、中身が消えていたのだ。事前調査をせずに、「やってみなはれ」の精神だけで進出したのが敗因だった。現在、ここでは熟成の必要がないリキュールを生産している。</p><p>　このほかにも失敗は数多い。バブル期の大リーグ２Ａ球団買収、ハワイのリゾート開発、さらには石油採掘にまで手を広げたというから、「やってみなはれ」、恐るべしなのだ。</p><p>　サントリーは「失敗よりも何もやらないことが罪になる」企業文化である。社員が失敗したときの責任は、実行を認めた経営トップが負う。成功、失敗を問わず、“豪快なスイング”が多いのは「やってみること」の特徴だっただろう。</p><p>　これらに比べると、今回の市販薬買収は手堅いスイングだろう。根本から流れを変えるのではない、流れに沿うためのＭ＆Ａの位置づけだ。　もう10年ほど前だが、サントリー元役員はこんなことを言った。「最近のサントリーから“バカ”がいなくなった。成績優秀な人ばかりが増えていて、お行儀の良い優良企業になっている。本当はバカがバカな面白いことをしてきた会社なのに」。</p><p>　企業は巨大化すれば、官僚化は否応なく進む。管理が重要になるからだ。無駄や失敗よりも、効率や安定が優先される。並行して、創業精神や創業家の存在感は薄らいでいく。しかも、人口減少から拡大が見込めない国内市場でも、生き残っていかなければならない。</p><p>　本来の“らしさ”の追求と、どうバランスしていくのか。第６代社長の鳥井信宏氏の経営手腕が、試されていく。</p>]]></content:encoded>
      <category><![CDATA[企業・業界動向]]></category>
      <dc:creator><![CDATA[経済界編集部]]></dc:creator>
      <guid>https://net.keizaikai.co.jp/archives/3387</guid>
      <pubDate>Mon, 01 Jun 2026 05:00:00 +0900</pubDate>
    </item>
    <item>
      <title>ＡＩが電力を食い尽くす時代省エネ技術でニッポン復活</title>
      <link>https://net.keizaikai.co.jp/archives/3386</link>
      <description><![CDATA[ホルムズ海峡の緊張は原油価格の暴騰のみならず「ＡＩ時代の計算資源」という新たな生命線を直撃している。かつて石油危機をバネに省エネ大国へと進化した日本は、再びこの危機を「ＡＩ省電力革命」へと転換できるのか。ルネサスの遺伝子を継ぎ、メモリ内演算（CiM）で世界に挑む企業の挑戦から、日本が進むべき「質の生存戦略」を読み解く。[&#8230;]]]></description>
      <content:encoded><![CDATA[<p>ホルムズ海峡の緊張は原油価格の暴騰のみならず「ＡＩ時代の計算資源」という新たな生命線を直撃している。かつて石油危機をバネに省エネ大国へと進化した日本は、再びこの危機を「ＡＩ省電力革命」へと転換できるのか。ルネサスの遺伝子を継ぎ、メモリ内演算（CiM）で世界に挑む企業の挑戦から、日本が進むべき「質の生存戦略」を読み解く。文＝作家・ジャーナリスト・多摩大学大学院教授／水野 梓（雑誌『<a rel="noreferrer noopener" href="https://keizaikai.co.jp/category/magazine" target="_blank">経済界</a>』2026年7月号より）</p><h2 id="-">原油高騰の先に控えるＡＩ危機 ニッポンのＡＩ省電力で脱出へ</h2><p>　世界経済は今、再び一つの海峡の動向に、その命運を委ねようとしている。ホルムズ海峡。中東のペルシャ湾とオマーン湾を隔てるこの細い水路は、日本の輸入原油の約８割が通過する、文字通りの「生命線」だ。２０２６年、ここでの緊張が高まった事態は、単にガソリン代が高騰するといった旧来の次元を超えた危機を突きつけている。われわれが日々恩恵を受けているＡＩの進化そのものが、この海峡の波打ち際で足止めを食らいかねないという、全く新しい形の産業リスクに直面しているのである。今や、エネルギーの供給不安は、国家の知能とも言えるＡＩの稼働を根底から揺さぶり始めている。</p><p>　われわれが26年の危機を読み解く際、参照すべきは１９７０年代の「石油危機」の記憶である。当時、日本経済は物価の暴騰とマイナス成長という未曾有の苦境に立たされた。トイレットペーパーの買い占めに象徴されるパニックが社会を覆い、成長の時代が終焉したかのような絶望感が漂った。しかし、そこで終わらなかったのが日本の底力であった。トヨタやホンダは「いかに少ない燃料で遠くまで走れるか」という燃費性能を極め、家電メーカーは世界で最も電力消費の少ない製品群を送り出した。資源の欠乏という「弱み」を、世界一の省エネ技術という「強み」へと昇華させ、その後の世界市場を席巻する礎を築いたのである。</p><p>　翻って現在、われわれが目撃しているのは「ＡＩ版オイルショック」だ。生成ＡＩが世界的に普及した結果、それを動かす巨大なコンピューター拠点、いわゆるデータセンターが消費する電力は、いまや一国の総消費電力を上回る規模へ膨れ上がっている。ＡＩを高度化すればするほど、巨大な発電所が必要になる。この「知能と電力」の矛盾した関係が、ホルムズ海峡の情勢不安による燃料不足と重なり、デジタル社会の存立基盤を根底から揺さぶっている。エネルギー価格の上昇は、そのまま「ＡＩを動かすコスト」の暴騰に直結するからだ。もし日本がこの波に呑まれれば、ＡＩ開発の主導権のみならず、全ての産業競争力を喪失しかねない。</p><p>　この絶体絶命の状況下で、かつての日本車が危機を救ったように、「ＡＩの電力飢餓」を突破しようとする日本企業が存在する。東京都小平市に本拠を置く「フローディア」だ。同社は、かつて世界の頂点を極めた「ルネサス エレクトロニクス」の技術者たちが、２０１１年に独立して設立したスタートアップである。彼らが挑んでいるのは、ＡＩの消費電力をこれまでの「１千分の１」以下にまで削減するという、地政学的パワーバランスを塗り替えかねない革新的な技術だ。</p><p>　なぜ、ＡＩはこれほどまでに電力を浪費するのか。フローディアの奥山幸祐社長は、現在のコンピューター構造が抱える本質的な「無駄」を指摘する。</p><p>　「コンピューターは、脳にあたる演算器と、記憶にあたるメモリが物理的に離れているんです。何かを処理しようとするたびに、記憶の引き出しからデータを脳まで運ばなければならない。実のところ、ＡＩが消費するエネルギーの約８割は、この『データの往復運動』だけで消費されています。これはフォン・ノイマン・ボトルネックと呼ばれる、コンピューター誕生以来の極めて非効率な構造です。われわれの技術は、データを一歩も動かさずに、その場で計算を完結させる。更にその計算の電力も１千分の１になるのです。例えるなら、巨大な図書館から本を一冊ずつ借りてきて読むのではなく、本棚の棚自体が内容を精査し、答えを導き出すようなものです。これならば、膨大なデータを運ぶための電力は不要となるのです」</p><h2 id="-">カギは回路の「使い方」緻密な職人芸が現場の厚みに</h2><p>　この「メモリ内演算（ＣｉＭ＝コンピューティング・イン・メモリ）」という技術を実現する最大の武器こそが、日本が長年磨き上げてきた「フラッシュメモリ」の技術である。通常、メモリには電源を切るとデータが消えてしまうものが多いが、フラッシュメモリは電源を切ってもデータを保持できる。特にフローディアが採用する「ＳＯＮＯＳ（ソノス）型」と呼ばれる構造は、絶縁膜に窒化膜を用いることで、低い電圧での動作と高い信頼性を両立させている。これは物理的な限界に挑む緻密な職人芸の結晶である。</p><p>　現在の半導体業界は、米インテルや台湾のＴＳＭＣといった巨人が数兆円を投じ、回路をいかに細く刻むかという「微細化競争」に明け暮れている。だが、奥山氏の視座はそこにはない。フローディアが拠点を置く小平周辺には、かつて日立製作所、三菱電機、ＮＥＣの半導体技術者が集結しフラッシュメモリを開発していた。そこで数十年にわたり試行錯誤を繰り返し、シリコンという素材の性質を知り尽くした「技術の匠」たちが、フローディアの屋台骨を支えている。奥山氏は、この「現場の厚み」についてこう語る。</p><p>　「最先端の微細な回路を構築するには、天文学的な投資を継続しなければなりません。しかし、われわれが得意とするのは、回路の細さではなく、回路の『使い方』の工夫です。日本の熟練技術者が培ってきた『物理法則をいかに御するか』という経験知。これこそが、資本力による物量作戦では決して手に入らない強みなんです。半導体は、設計図通りに作れば動くという単純なものではありません。電圧のわずかな揺らぎや素材の個体差が性能を左右する。それを調整し、最適解を見つけ出すのは、最後は人間の勘に近い経験です。小平の地には、かつて世界を制した日本の技術者の魂がまだ息づいています。技術とは、時間をかけて熟成させるものです。膨大な失敗の山の中からしか、本物の革新は生まれません。われわれは、現場に蓄積された時間と経験の厚みを信じている。だからこそ、デジタル信号をあえて扱わず、電圧の強弱という『アナログな量』のまま計算を処理できるんです。電球一個分ほどの電力でスパコン並みの判断を行う人間の脳の仕組みに極めて近く、ＡＩを『クラウドの上の神様』から『現場の相棒』へと変えるための唯一の道なのです。新たな発想は、過去の膨大な『できなかった経験』からしか生まれてきません」</p><p>　現在のＡＩブームは、サーバーで電力を浪費し、力押しで正解を出す世界だ。しかし、これからは自動車や家電、工場の機械そのものが自律的に判断を下す「エッジＡＩ」の時代へと移行する。エッジＡＩとは、遠くのサーバーに頼らず手元のデバイスで処理を行うＡＩのことだ。そこには巨大な冷却装置も発電所も持ち込めない。だからこそ、フローディアの「圧倒的な低消費電力」という価値が、世界市場を決定づける武器になる。</p><p>　資源なき日本にとって、この電力効率はもはや単なるコスト削減の話ではない。「産業安全保障」そのものだ。エネルギー価格が高騰すればするほど、より少ない電気で駆動する製品の付加価値は極大化する。１９７０年代、石油危機を契機に日本車が世界を席巻した歴史のパラダイムが、今まさにＡＩ半導体という舞台で再現されようとしている。</p><p>　当然ながら、技術だけでは勝利は約束されない。フローディアは自社工場を持たず、設計図にあたるＩＰ（知的財産）を世界の半導体メーカーに提供し、製造はファウンドリと呼ばれる受託製造工場に任せる「ファブレス」モデルを選択している。特定の陣営に縛られず、知財が世界中のチップに組み込まれることで、地球規模での消費電力を抑制していく。これこそが、日本発の技術ベンチャーが果たすべき、２０２６年における国際貢献の形だ。</p><h2 id="-10-">新たな「お家芸」で世界へ 10年後の地図を描く</h2><p>　われわれが「失われた30年」という自虐に浸る間も、現場の技術者たちは立ち止まってはいなかった。だが、優れた技術の萌芽が、常に産業の結実へとつながってきたわけではない。短期的な利益追求や株価の乱高下に揺さぶられ、多くの革新的技術が市場に届く前に霧散した。その点において、フローディアが追求する「物理現象への愚直な向き合い」が導き出した優位性は、単なる一企業の成果という以上に、日本の製造業が積み残してきた宿題への一つの解答を示唆している。</p><p>　日本経済再生の道筋は、もはや米国や中国が得意とする「資本の物量戦」や「プラットフォームの独占」にはないだろう。彼らが圧倒的な「速度」と「規模」で市場を塗り替えていくのであれば、日本は異なる軸、資源制約下での「質」と「極限の効率」で対峙せざるを得ない。それはかつて新幹線やウォークマンが証明した、緻密な統合技術の再来である。求められているのは、地政学的リスクやエネルギー制約を見据えた、新しい「お家芸」の再定義である。</p><p>　ホルムズの「外圧」は、われわれの底力を再発見させる鏡だ。必要なのは他国の追従ではなく、制約を付加価値に変える精神である。だが、技術の優位だけで勝てる時代ではない。現場の知恵をグローバル標準へと引き上げ、次世代へつなぐ冷徹な経営戦略と胆力が求められている。</p><p>　数ミリ四方のチップに込められた可能性が、真の革命となるかは今後の社会実装にかかっている。奥山社長は最後に決意を語った。</p><p>　「電力効率が国家の自律性を左右する時代、われわれに問われているのは10年後の産業地図を描き切る覚悟です。現場を信じ、時間を味方につけて武器を研ぎ澄ます。その積み重ねこそが、日本を再び飛翔させる翼になると信じています」    </p>]]></content:encoded>
      <category><![CDATA[政治・経済]]></category>
      <dc:creator><![CDATA[経済界編集部]]></dc:creator>
      <guid>https://net.keizaikai.co.jp/archives/3386</guid>
      <pubDate>Mon, 01 Jun 2026 05:00:00 +0900</pubDate>
    </item>
    <item>
      <title>ホルムズ海峡封鎖でエネルギー危機日本はピンチ！ それともチャンス？</title>
      <link>https://net.keizaikai.co.jp/archives/3385</link>
      <description><![CDATA[５月７日現在、中東に平和は訪れていない。ホルムズ海峡封鎖もあって、日本の原油輸入は厳しい状況にある。しかし本当にエネルギー危機は日本のピンチなのか。かつての２度のオイルショックを参考に日本の活路を探ってみる。文=関 慎夫（雑誌『経済界』2026年7月号より） 日本の省エネ車は世界で引っ張りだこ 　ホルムズ海峡が封鎖され[&#8230;]]]></description>
      <content:encoded><![CDATA[<p>５月７日現在、中東に平和は訪れていない。ホルムズ海峡封鎖もあって、日本の原油輸入は厳しい状況にある。しかし本当にエネルギー危機は日本のピンチなのか。かつての２度のオイルショックを参考に日本の活路を探ってみる。文=関 慎夫（雑誌『<a rel="noreferrer noopener" href="https://keizaikai.co.jp/category/magazine" target="_blank">経済界</a>』2026年7月号より）</p><h2 id="-">日本の省エネ車は世界で引っ張りだこ</h2><p>　ホルムズ海峡が封鎖されたことで、日本の原油輸入は危機を迎えている。連休中に出光興産のタンカーが海峡を通過するなどの朗報もあるが、40隻もの日本向けタンカーが足止めを喰らっている。</p><p>　海峡封鎖が解かれれば、やがて日本に戻ってくるだろう。ただ問題はそれからで、中東の緊張関係が続いていけば、日本で原油を積み降ろしたタンカーが、再びリスクを冒してペルシャ湾に向かうとも思えない。</p><p>　つまり、中東に平和が訪れない限り、日本の危機的状況は続く。</p><p>　今のところ政府の補助金もあってガソリン価格などは落ち着いているが、財政的な事情からそれも限度がある。備蓄油を放出した後でも原油が入ってこなければ、いよいよ第三次オイルショックが日本を襲う。</p><p>　最初のオイルショックは１９７３年のこと。第四次中東戦争をきっかけに、中東の産油国が一斉に値上げを通告したことに端を発する。</p><p>　これにより、原油価格は４倍に跳ね上がる。石油製品のみならず、砂糖、トイレットペーパーなどが品不足となるとともに、物価も大きく上昇。２年間で消費者物価は約35％上昇した。</p><p>　その結果、50年代から続いていた日本の高度成長は終焉を迎え、74年の企業倒産数は１万件と戦後最悪となった。</p><p>　ただし、日本にとっては決して悪いことばかりではなかった。むしろオイルショックがあったおかげで、日本は世界の主要プレーヤーになったと言える。</p><p>　その代表が自動車だ。オイルショック前まで、日本のクルマの世界市場における評価は、「安いけれど小さくて遅い」というもので、ガソリンを大量消費する大型車に多くの人が憧れた</p><p>　ところがガソリン価格が高騰したことで、日本のクルマは効率がいいと、人々の評価は変わっていく。しかも同じタイミングで排ガス規制が強化され、いち早く日本車が対応したことが、それに拍車をかけた。</p><p>　以来日本車は世界中で人気となり、80年には、米国を抜いて世界一の自動車生産国となり、日本経済を牽引していく。</p><p>　クルマだけではなく、電化製品でも日本の省エネ技術は世界をリードしていく。例えば今では常識のインバーターエアコンや、エネルギー効率の高いヒートポンプエアコンを世界で最初に実用化したのはいずれも日本企業だった。</p><p>　商品だけではない。各企業の改善活動により、工場での排熱回収など、生産現場でのエネルギー消費量は世界最小水準となる。これが日本の国際競争力を高めていった。</p><p>　79年には第二次オイルショックが起こる。これはイラン革命に端を発したもので、世界経済は再び大きな打撃を受けることになった。しかしそれに比較して日本経済の落ち込みは小さく、相対的に世界経済における存在感は増していった。</p><p>　それというのも、第一次オイルショックの教訓と、それにともなう生産効率向上が浸透していたためだった。そしてこれが日本経済の黄金の80年代へとつながっていく。</p><h2 id="-">いまだに衰えない「技術こそ国力」</h2><p>　同時に日本および国民に浸透するのは「技術こそ国力」という考え方だった。</p><p>　高度成長時代の日本経済は、増え続ける人口と、安い労働力、それでいて長時間労働を苦にしない国民性、そして１ドル３６０円という今の水準から見れば超円安により、日本からの輸出品の価格は安く抑えられていた。しかもその割に品質がいいため輸出が拡大した。今の東南アジア製品や少し前までの中国製品と同じだった。</p><p>　それがオイルショック、その前年のニクソン・ショック、さらにはその後の為替の変動相場制移行を経て、安さだけでは通用しないことがはっきりした。それに代わる日本の切り札が技術だった。</p><p>　先のクルマやエアコンの例以外にも70年代から80年代にかけて、日本の技術が世界を席巻する。</p><p>　日本ビクター（現ＪＶＣケンウッド）が開発し世界のデファクトとなった家庭用ビデオ「ＶＨＳ」。音楽にポータブル化とパーソナル化をもたらしたソニーの「ウォークマン」。テレビゲームの世界を大きく変えた任天堂「ファミリーコンピュータ」。ＣＤ（ソニーとフィリップス）やＤＶＤ（東芝とソニー）なども世界標準規格となった。</p><p>　また鉄に替わる「産業のコメ」である半導体でも、ＤＲＡＭを中心に日本は世界の６割ものシェアを獲得した。</p><p>　こうして技術立国ニッポンは世界経済の主要プレーヤーとなり、80年代半ばには「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と呼ばれるまでになる。オイルショック後の国と企業の努力がこの地位をもたらした。</p><p>　もっともバブル崩壊とその後の失われた30年で日本経済は見る影もなくなった。だからこそ、三度目のオイルショックを契機として、日本は再び自らの立脚点を再構築すべきだろう。</p><p>　技術においても、世界の最先端を走るものは少なくない。次稿で紹介する省エネ技術もその一つだが、それだけではない。</p><p>　トランプ米大統領の再登板で、ＥＶ市場は激変したが、それでも地球温暖化とそれに伴う異常気象は進んでいく。それを考えればいずれガソリン車は淘汰されていく。ＥＶというと米テスラ、中国ＢＹＤが市場を牽引するが、それでも優れたハイブリッド車や電動車技術において日本企業は依然として高い競争力を持つ。</p><p>　さらには日本には高性能素材産業がある。半導体材料、電池材料、炭素繊維などは脱炭素社会に不可欠であり、エネルギー危機によるグリーン投資拡大は日本企業の利益増加につながる。</p><p>　グローバル化の推進で世界は水平分業へと移行したが、国際情勢が不安定化した今、川上から川下まで自国内で賄うことのできる日本はサプライチェーン上、他国以上に強みを持っていると言える。</p><p>　もちろん今度のエネルギー危機は日本経済にとっても脅威だ。今は落ち着いてきているインフレも、今後どうなるか分からない。それでも長期的視点で国の方針を決め、戦略・戦術を実行していけば、日本の国際競争力は間違いなく増していく。決して悲観するばかりではない。    </p>]]></content:encoded>
      <category><![CDATA[政治・経済]]></category>
      <dc:creator><![CDATA[経済界編集部]]></dc:creator>
      <guid>https://net.keizaikai.co.jp/archives/3385</guid>
      <pubDate>Fri, 29 May 2026 05:00:00 +0900</pubDate>
    </item>
    <item>
      <title>中東情勢緊迫化で日本の物流に暗雲燃料や資材価格高騰が経営の逆風に</title>
      <link>https://net.keizaikai.co.jp/archives/3384</link>
      <description><![CDATA[米国とイスラエルが2月28日、イランへの攻撃を開始したのに端を発した中東情勢の緊迫化は、日常生活を支える物流にも色濃く影を落としている。原油やナフサ（粗製ガソリン）の調達が難しくなり、燃油や原油由来資材の高騰を引き起こしているため、物流事業者が日々使うトラックなどの燃料や梱包資材の価格も急上昇。事業環境が厳しさを増して[&#8230;]]]></description>
      <content:encoded><![CDATA[<p>米国とイスラエルが2月28日、イランへの攻撃を開始したのに端を発した中東情勢の緊迫化は、日常生活を支える物流にも色濃く影を落としている。原油やナフサ（粗製ガソリン）の調達が難しくなり、燃油や原油由来資材の高騰を引き起こしているため、物流事業者が日々使うトラックなどの燃料や梱包資材の価格も急上昇。事業環境が厳しさを増している。文＝『月刊ロジスティクス・ビジネス』編集長／藤原秀行（雑誌『<a rel="noreferrer noopener" href="https://keizaikai.co.jp/category/magazine" target="_blank">経済界</a>』2026年7月号より）</p><h2 id="-">航行正常化予測を「７月」に後ろ倒し</h2><p>　原油などの海上輸送の要衝・ホルムズ海峡が３月初旬、事実上封鎖されたのに伴い、石油などを輸送する日本関係の船舶が多数、同海峡を含むペルシャ湾での長期間の停泊を余儀なくされている。４月28日には出光興産子会社が運航し、サウジアラビア産の原油を積んだタンカーがホルムズ海峡を通過してオマーンの公海に脱出したことが確認されるなど、独自にペルシャ湾から出ようと模索する各国の船舶の動きが見られるものの、外務省などによれば、４月30日時点でまだ約40隻の日本関係船舶が現地で足止めを強いられている。</p><p>　商船三井は４月30日に発表した２０２６年３月期連結決算の関連資料で、ホルムズ海峡周辺の船舶航行がおおむね正常化する時期を今年７月と予想していると説明。それまでは４月末をめどに収束に向かうとの前提を示していたが、米国やイスラエルとイランの対立解消の時期が不透明なことを踏まえて後ろ倒しにした。</p><p>　４月30日時点ではまだ米国やイスラエルとイランの間で明確な停戦合意の兆しは出ておらず、イランは米国以外の許可した船舶にホルムズ海峡通過を認める姿勢も見せているが、荷主企業や船舶運航のリスクをカバーする損害保険会社は安全を確認できないとして運航再開に慎重な姿勢を崩していない。海運会社としても独自の判断では動きにくい状況だ。</p><p>　ペルシャ湾で長期の滞在を余儀なくされている船員の健康状態にも不安が広がる。海運関連の企業が参加している日本船主協会の長澤仁志会長（日本郵船会長）は４月29日、出光関連の船舶がペルシャ湾を出たのを受けてコメントを発表し、「今回の船舶に続いて、ペルシャ湾内に留め置かれている、わが国海上輸送を担う全ての船員と船舶が、一刻も早く安全かつ円滑に同湾内を脱出できるよう、引き続いてのご支援を、切にお願い申し上げる」と政府などに要請した。</p><p>　今後も世界の海運会社の間でペルシャ湾の航行を回避する動きが続く公算が大きく、アフリカ大陸南端の喜望峰を回るなど代替ルートの選択をすれば輸送日数が伸び、目的地到着まで時間を要することが避けられない。運航する距離が伸びれば当然ながらコストアップにも直結するだけに、日本の海運事業者と荷主の双方にとっても当面、悩ましい日が続きそうだ。</p><div class="media">  <img src="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/400/PxqRqBORBEyjcWFhvjkdJtClsGwldQAY/b771c0b7-f09b-419d-b9a5-62c09a1b1997.jpg" width="600" height="400" loading="lazy" alt="軽油など燃料費の高騰が経営を圧迫している" srcset="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/400/PxqRqBORBEyjcWFhvjkdJtClsGwldQAY/b771c0b7-f09b-419d-b9a5-62c09a1b1997.jpg 2048w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/350/233/PxqRqBORBEyjcWFhvjkdJtClsGwldQAY/b771c0b7-f09b-419d-b9a5-62c09a1b1997.jpg 350w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/500/333/PxqRqBORBEyjcWFhvjkdJtClsGwldQAY/b771c0b7-f09b-419d-b9a5-62c09a1b1997.jpg 512w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/400/PxqRqBORBEyjcWFhvjkdJtClsGwldQAY/b771c0b7-f09b-419d-b9a5-62c09a1b1997.jpg 1024w"><div class="caption">軽油など燃料費の高騰が経営を圧迫している</div></div><h2 id="-">物流でも導入広がる「燃料サーチャージ」</h2><p>　こうした直接的な影響を被っている海運業界以外の物流事業者にとっても、中東情勢の動向は決して見逃せない。物流業界も他の製造業などと同じく、中小零細企業が大多数を占めており、トラックなどに用いる軽油が値上がりすれば即経営に影響してくるためだ。</p><p>　政府が燃料の価格高騰対策として、石油元売りへの補助金支給を再開したため、中東情勢が一気に緊迫化した直後の２月下旬から３月ほどの高い水準ではなくなったが、資源エネルギー庁のまとめによれば、４月27日時点の軽油の店頭価格は全国平均で１リットル当たり１５９・０円と、前年に比べればおおむね高い状況は変わっていない。運送事業者からは「自社のインタンク（敷地内に設けている自家使用のための燃料タンク）への調達分が制限されてしまい、なかなか必要な分を確保できない」といった悩みの声が相次ぐ。</p><p>　帝国データバンクが３月18日に公表した試算によれば、トラックやバスなどの運輸業は燃料費が25年から１割上昇した場合、年間の支出は平均４７０・４万円増え、営業利益が平均で約28％減少し、約１割の運輸業者が新たに赤字へ転落すると見積もっている。さらに、燃料費の上昇幅が３割に拡大すれば、年間支出は約１４００万円膨らみ、営業利益は約８割減と大きく落ち込むため、新たに赤字となる運輸事業者は約25％まで増えると予想している。４社に１社が赤字となる計算だ。燃料費の高騰が長期化すれば事業継続の断念に追い込まれる事業者が相次ぎかねない。</p><p>　政府はトラックドライバーの長時間労働規制を強化した「物流２０２４年問題」やドライバー不足の問題への対策の一環として、運賃に加えて燃料費の上昇分に応じた料金を顧客から徴収する「燃料サーチャージ」の普及を促している。ただ、航空業界では広く定着しているのに対し、物流業界はこれまではどうしても荷主の立場が強く、運賃交渉の際にトラック運送事業者の側から燃料サーチャージの設定を言い出しにくい場面が多かった。</p><p>　しかし、政府は運送事業者からコスト上昇分を運賃・料金に転嫁する要請があった場合に理由なく応じないのは独占禁止法に抵触する可能性があると指摘するなど、消極的な荷主を強くけん制している。今年３月27日には国交相と中小企業庁長官、公正取引委員会委員長が連名で、各種経済団体とトラック運送会社の業界団体・全日本トラック協会に対し、軽油など燃料の価格が高騰した際は、荷主や元請けのトラック運送事業者が運賃への価格転嫁の対応を進めるよう書面で要請した。</p><p>　宅配大手のヤマト運輸も４月30日の26年３月期決算会見で、法人向けのサービスで燃料サーチャージを採用することを検討する意向を表明するなど、燃料費の上昇が沈静化するめどが立たない中、潮目は変わってきており、今後は燃料サーチャージを導入しようとする動きが広がりそうだ。</p><p>　他にも、中東情勢の緊迫化は物流業界に波紋を広げている。その１つが梱包などの資材の価格上昇だ。特に、輸送・保管中に段ボールなどに入っている荷物に巻き付けて固定し、荷崩れを防いだり雨や汚れから守ったりする梱包用のポリエチレン製のストレッチフィルムの調達に懸念が広がっている。</p><p>　最近は輸送現場の人手不足を受け、荷物を載せてフォークリフトで取り扱えるため積み降ろし作業が迅速になる専用の平台「パレット」の注目度が高まっている。パレットで輸送する際は頻繁にストレッチフィルムが使われており、物流現場には欠かすことのできない資材だ。</p><p>　しかし、ポリエチレンの原料となるナフサが不足していることなどから、中東情勢の緊迫化の後、メーカーは相次ぎ値上げを発表。従来比で３割以上アップする例も目立った。大量の買い占めに対抗するため、ＥＣ事業者などの一部では出荷制限に踏み切る動きも出ている。さらに、ポリプロピレンが原材料で荷物の固定などに用いるバンドやテープも同じく在庫不足の懸念が高まっている。</p><p>　倉庫事業者の業界団体、日本倉庫協会が会員企業にアンケートを実施したところ、回答社の約７割が中東情勢緊迫化の影響を受けていると認めており、燃料費の上昇に加え、ストレッチフィルムの不足を危惧する声が多く出たという。同協会は今後、政府・与党に対応を働き掛けていく構えだ。同協会が特定の資材に関して対応を求めるのは異例で、物流業界の懸念が強いことを物語っている。</p><p>　このほか、プラスチック製パレット自体も、中東情勢緊迫化に起因する混乱が長引けば、物流現場への新規供給に支障が出かねない。あるパレットメーカーの幹部は「現状はパレット原材料の在庫をかなり厚めに確保しているが、どこまで通常通りの生産が続けられるかは何とも言えない」と表情を曇らせる。</p><p>　５月以降、早期にホルムズ海峡の事実上の封鎖が解かれたとしても、滞留していたタンカーなどの船舶が日本に到着するには順調に行っても３週間程度は要する見通しだ。そのため、石油由来製品の流通の混乱が収まるのにも時間を要する。物流現場では代替製品の確保や使用量の適正化など、窮状を乗り切るための模索がしばらく続かざるを得ない。</p><h2 id="-">輸送距離削減など効率化対応が必須に</h2><p>　政府は４月１日、荷主企業に物流効率化の取り組みを義務付ける規制強化を柱とした改正物流効率化法（新物効法）を全面的に施行した。物流業界では物流センターでトラックが荷積みや荷降ろしを長時間待たされたり、ドライバーが運転以外に荷物の仕分けなどの荷役も負担させられたりすることが常態化していて、物流現場の負荷が増す元凶となっていた。そのため、改正物効法は一定規模以上の荷主に対し、荷待ちや荷役の時間短縮とトラックの積載効率改善のための具体的な計画を策定、政府に報告することなどを義務付けた。さらに、28年度には改正貨物自動車運送事業法（トラック新法）に基づき、政府が燃料費や人件費を考慮して算定する「適正原価」を下回る水準でトラック運送事業者が仕事を受注することを禁じる制度が本格的にスタートする見通しだ。</p><p>　もともと法規制強化の影響で、今後は運賃や物流サービスの代金の上昇が見込まれる素地ができていた。そこに今回の中東情勢緊迫化によるコストアップの動きが加わったことで、荷主は物流の効率化により真剣に取り組まざるを得なくなる。具体的には、商品をトラックで輸配送する際のルートを効率化して走行距離を短縮したり、１回の配送当たりの荷物量を増やすと同時に頻度を減らしたりといった工夫が必要だ。在庫の配置を見直して利用する賃貸物流施設の数を削減することなども候補になる。</p><p>　既にスタートアップ企業や大手ＩＴ企業を中心に、ＡＩ（人工知能）を活用した輸配送ルート効率化支援などのサービスが多く展開されている。政府関係者は「そうした技術を生かすことで人材などのリソースや資金がどうしても不足する中堅・中小企業でも物流の効率化を図ることが可能になる」と、各種サービスの利用が広がることに期待を寄せる。効率化を図る上で不可欠な、荷主と物流事業者の連携が進む契機にもなりそうだ。</p><div class="media">  <img srcset="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/350/196/NBeNAKuNeNJKyTJBpmOlCktjVsYecgKW/0756b166-51d3-4ae4-9dcc-99129ad69dac.jpg 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      <category><![CDATA[政治・経済]]></category>
      <dc:creator><![CDATA[経済界編集部]]></dc:creator>
      <guid>https://net.keizaikai.co.jp/archives/3384</guid>
      <pubDate>Fri, 29 May 2026 05:00:00 +0900</pubDate>
    </item>
    <item>
      <title>成長を続けるＢＡＮＤＡＩ ＳＰＩＲＩＴＳの妥協しないものづくり</title>
      <link>https://net.keizaikai.co.jp/archives/3383</link>
      <description><![CDATA[バンダイナムコグループで、主に中学生〜大人を対象とした「ハイターゲット」のプラモデルなどを製造・販売するＢＡＮＤＡＩ ＳＰＩＲＩＴＳ（バンダイスピリッツ）。２０１８年の会社設立以来、着実な成長を続ける、その裏にある「魂を込めた商品づくり」やファンを得る仕掛け、今後のＩＰ（知的財産）コンテンツの展開について、榊原博社長に[&#8230;]]]></description>
      <content:encoded><![CDATA[<p>バンダイナムコグループで、主に中学生〜大人を対象とした「ハイターゲット」のプラモデルなどを製造・販売するＢＡＮＤＡＩ ＳＰＩＲＩＴＳ（バンダイスピリッツ）。２０１８年の会社設立以来、着実な成長を続ける、その裏にある「魂を込めた商品づくり」やファンを得る仕掛け、今後のＩＰ（知的財産）コンテンツの展開について、榊原博社長に聞いた。聞き手=藤麻 迪（雑誌『<a rel="noreferrer noopener" href="https://keizaikai.co.jp/category/magazine" target="_blank">経済界</a>』2026年7月号より）</p><h2 id="-bandai-spirits-">榊原 博　BANDAI SPIRITSのプロフィール</h2><div class="caption" style="margin-bottom:20px">※榊は木辺に神。以下同</div><div class="media">  <img loading="lazy" alt="榊原博・バンダイスピリッツ" srcset="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/350/233/nLtySCyPJLdUqUplbOmFfDHjVraXSXYW/9d36ecfc-a285-43b2-9cee-cdac5488805b.jpg 350w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/500/333/nLtySCyPJLdUqUplbOmFfDHjVraXSXYW/9d36ecfc-a285-43b2-9cee-cdac5488805b.jpg 512w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/400/nLtySCyPJLdUqUplbOmFfDHjVraXSXYW/9d36ecfc-a285-43b2-9cee-cdac5488805b.jpg 1024w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/400/nLtySCyPJLdUqUplbOmFfDHjVraXSXYW/9d36ecfc-a285-43b2-9cee-cdac5488805b.jpg 2048w" src="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/400/nLtySCyPJLdUqUplbOmFfDHjVraXSXYW/9d36ecfc-a285-43b2-9cee-cdac5488805b.jpg" width="600" height="400"><div class="caption">BANDAI SPIRITS社長　榊原 博<br>さかきばら・ひろし　1964年1月15日生まれ。東京都出身。88年、日本大学経済学部卒業、バンダイ入社。Bandai Namco Taiwan社長、BANDAI SPIRITS取締役を経て、2023年より現職。</div></div><h2 id="-">「魂を込めた商品づくり」で顧客の心をつかむ</h2><p><strong>──　ＢＡＮＤＡＩ ＳＰＩＲＩＴＳ（以下、バンダイスピリッツ）が、バンダイナムコグループの企業として２０１８年に立ち上がった理由を教えてください。</strong></p><p><strong>榊原</strong>　バンダイはお子さまをターゲットにした、おもちゃを製造・販売する事業からスタートしています。</p><p>　これに対し、バンダイスピリッツは世界のハイターゲット市場で事業成長することを目的に、18年に設立しました。</p><p>　例えば、現在、バンダイスピリッツが販売している『一番くじ（キャラクターくじ）』の購買層は10代後半から30代、それも女性が多くなっています。そういったさまざまなターゲット層に対応するべく、それぞれを専門的に扱うチームで企画・開発を行う必要があります。一番くじだけでなく、プラモデルやフィギュアもさまざまな層のお客さまが購入されています。</p><p>　こうした背景から、お子さまだけでなく幅広いターゲット層にも力を入れるべきという考えの下、バンダイから独立する形でバンダイスピリッツが設立されました。</p><div class="media">  <img width="600" height="338" loading="lazy" alt="ダンダダン" srcset="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/338/smAlPnPFKCWZdFtAugqwdluiXBYlcSIo/3b54d80f-c4a1-4920-9174-dc214b9b3602.jpg 2048w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/350/197/smAlPnPFKCWZdFtAugqwdluiXBYlcSIo/3b54d80f-c4a1-4920-9174-dc214b9b3602.jpg 350w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/500/281/smAlPnPFKCWZdFtAugqwdluiXBYlcSIo/3b54d80f-c4a1-4920-9174-dc214b9b3602.jpg 512w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/338/smAlPnPFKCWZdFtAugqwdluiXBYlcSIo/3b54d80f-c4a1-4920-9174-dc214b9b3602.jpg 1024w" src="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/338/smAlPnPFKCWZdFtAugqwdluiXBYlcSIo/3b54d80f-c4a1-4920-9174-dc214b9b3602.jpg"><div class="caption">テレビアニメ『ダンダダン』の『一番くじ』を2026年6月に発売</div></div><p><strong>──　アニメを含めた現在の市場環境をどのように見ていますか。</strong></p><p><strong>榊原</strong>　視聴環境の変化により、以前に比べると現在は幅広い層で、アニメに触れる機会が増えています。25年の邦画興行収入も、トップ５のうち３作品はアニメで、１作品はアニメの実写版でした。それだけ、アニメがカルチャーとして定着したと感じます。</p><p>　また、世界的にも同様の傾向が見られます。作品としてのアニメはもちろん、グッズを扱うわれわれも、市場拡大の可能性を感じています。</p><p><strong>──　事業領域でいえば「プラモデル」、「フィギュア・ロボット」、「キャラクターくじ」、「アミューズメント景品」の４つを展開していますが、特に伸びが大きい領域はありますか。</strong></p><p><strong>榊原</strong>　バンダイスピリッツではさまざまなキャラクターの商品を製造・販売しており、各カテゴリーを横断して楽しんでくださるお客さまも多く、プラモデルを筆頭に各領域とも堅調に伸びている状況です。</p><p>　プラモデル事業で培ったものづくりの技術をベースに、新しい取り組みとして、26年に『ポケモン』を題材とした『プラコロ』と、『ガンダム』を題材とした『ＧＵＮＤＡＭ ＡＳＳＥＭＢＬＥ（ガンダムアッセンブル）』というテーブルトップゲーム（卓上ゲーム）の新ブランドを立ち上げます。欧米では卓上ゲームの文化が根付いており、日本でもアニメ作品を題材に、テーブルトップゲームを普及させたいと思っています。</p><p><strong>──　各事業が堅調とのことですが、時代に合わせて変えていることなどもあるのでしょうか。</strong></p><p><strong>榊原</strong>　新しいカテゴリーへのチャレンジは常に続けながらも、ものづくりにおいてのこだわりは譲らなかったことが良かったのではないかと考えています。</p><p>　最近では、円安や米国の関税などといった課題も生じていますが、ものづくりにおいては妥協せず、お客さまにとっての「想像以上のもの」を提供できるように努めています。</p><p>　社内では、ものづくりに妥協せず、社名通り「魂を込めた商品づくりをしよう」と呼びかけています。</p><div class="media">  <img height="500" loading="lazy" alt="プラコロ" srcset="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/350/291/WLfSObDFwjuCjAPvhBvdqsFZzXiRtPqX/09dfd34a-a137-4e06-a09f-fbe18cd6c21c.jpg 350w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/500/416/WLfSObDFwjuCjAPvhBvdqsFZzXiRtPqX/09dfd34a-a137-4e06-a09f-fbe18cd6c21c.jpg 512w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/500/WLfSObDFwjuCjAPvhBvdqsFZzXiRtPqX/09dfd34a-a137-4e06-a09f-fbe18cd6c21c.jpg 1024w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/500/WLfSObDFwjuCjAPvhBvdqsFZzXiRtPqX/09dfd34a-a137-4e06-a09f-fbe18cd6c21c.jpg 2048w" src="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/500/WLfSObDFwjuCjAPvhBvdqsFZzXiRtPqX/09dfd34a-a137-4e06-a09f-fbe18cd6c21c.jpg" width="600"><div class="caption">『ポケモン』をテーマにしたテーブルトップゲーム（卓上ゲーム）『プラコロ』</div></div><h2 id="-">重さ８キログラムの「究極のガンプラ」</h2><p><strong>──　そうしたこだわりの商品を教えてください。</strong></p><p><strong>榊原</strong>　ガンプラ（ガンダムのプラモデル）の『ＰＧ ＵＮＬＥＡＳＨＥＤ １／60 νガンダム』を今年１月末に発売しました。これは、「究極のガンプラ」です。パーツ点数が１３００以上、ランナー（パーツの枠）が80枚を超え、箱込みの重さで８キログラムある、プラモデルとしての究極を実現したものです。技術面では、１枚のランナーに複数色の成形ができる多色成形機を使っています。これは、特許を取得している独自の技術です。</p><p>　また、バンダイナムコグループとして25年12月、東京の新宿に「ONE PIECE BASE SHOP」を開設しました。こちらでＯＮＥ ＰＩＥＣＥのフィギュアを販売していますが、単にキャラクターのフィギュアを作るのではなく、お客さまにより喜んでいただきたいとの想いから、例えば新しくＮＢＡの６チームとコラボレーションした商品など、企画・制作を行っています。</p><p><strong>──　25年には、静岡で新工場・ミュージアムが竣工しました。</strong></p><p><strong>榊原</strong>　ガンダムのプラモデルについて、協力会社との連携などで生産拡大を図っています。そうした中、生産力強化と安定生産のために、既存工場に隣接した土地を購入し、新工場を設立しました。今年の夏頃に本格稼働予定です。</p><p>　また、併設するミュージアムでは、来場者がプラモデザイナーになれるという体験ができます。それと同時に、どのようにプラモデルのパーツがプラスチックからできあがるのか、商品が形づくられていくのか、多色成形機をはじめとした独自技術などと併せて紹介するものです。</p><p>　ミュージアムを設けた背景に、プラモデルに触れ、知ってもらう機会を提供したいという想いがあります。私たちは「体験価値」と呼んでいるのですが、子どもの頃にプラモデルを作ったことで、大人になってからまた作ってみようと購入されるケースがあります。それと同様に、お子さまの来場者にものづくりの体験価値を感じていただき、「将来、ここで働いてみたい」と思ってもらえれば非常にうれしいです。</p><p><strong>──　それと同時に、静岡のプラモデル製造協力企業との資本業務提携も進めていますね。</strong></p><p><strong>榊原</strong>　今、申し上げたつくり手の確保の他、人材を含めた将来的なものづくりの基盤を構築し、付加価値の高い商品を提供できるよう取り組んでいくことが、資本業務提携の目的です。従来は、成形、金型製造、パッキングなどの各工程で作業場所がバラバラだったのですが、効率的な生産ができるようになりました。</p><p>　新工場においても、協力企業との連携でより生産効率を上げていく他、輸送経路の最適化による環境負荷の軽減も行っていきます。</p><div class="media">  <img srcset="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/350/291/dkAIkjIDjpRooFvPspwiCtjhUuFtFjJK/ef0e17d3-f9c4-4b94-95ea-af84e3a124fc.jpg 350w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/500/416/dkAIkjIDjpRooFvPspwiCtjhUuFtFjJK/ef0e17d3-f9c4-4b94-95ea-af84e3a124fc.jpg 512w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/500/dkAIkjIDjpRooFvPspwiCtjhUuFtFjJK/ef0e17d3-f9c4-4b94-95ea-af84e3a124fc.jpg 1024w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/500/dkAIkjIDjpRooFvPspwiCtjhUuFtFjJK/ef0e17d3-f9c4-4b94-95ea-af84e3a124fc.jpg 2048w" src="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/500/dkAIkjIDjpRooFvPspwiCtjhUuFtFjJK/ef0e17d3-f9c4-4b94-95ea-af84e3a124fc.jpg" width="600" height="500" loading="lazy" alt="GUNDAM"><div class="caption">「究極のガンプラ」として発売された『PG UNLEASHED 1/60 νガンダム』</div></div><div class="media">  <img src="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/442/HyRTKlzRDMYaXTRBesLvnmiVJBhujBju/631b2029-93f9-4ce9-bccf-b25423d4cd8f.jpg" width="600" height="442" loading="lazy" alt="ONE PIECE×NBA" srcset="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/350/257/HyRTKlzRDMYaXTRBesLvnmiVJBhujBju/631b2029-93f9-4ce9-bccf-b25423d4cd8f.jpg 350w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/500/368/HyRTKlzRDMYaXTRBesLvnmiVJBhujBju/631b2029-93f9-4ce9-bccf-b25423d4cd8f.jpg 512w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/442/HyRTKlzRDMYaXTRBesLvnmiVJBhujBju/631b2029-93f9-4ce9-bccf-b25423d4cd8f.jpg 1024w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/442/HyRTKlzRDMYaXTRBesLvnmiVJBhujBju/631b2029-93f9-4ce9-bccf-b25423d4cd8f.jpg 2048w"><div class="caption">NBAの6チームとコラボした『ONE PIECE × NBA MASTER STARS PIECE THE MONKEY.D.LUFFY』</div></div><h2 id="-">全世界のお客さまに適切な時に商品を届ける</h2><p><strong>──　ウェブ経由で購入する人が増えていると思いますが、ウェブと実店舗の販売比率は将来どのようになると考えていますか。</strong></p><p><strong>榊原</strong>　私たちの立場としては実店舗もＥＣも伸ばします。高額な商品も増えてきており、実店舗で現物を見て買いたいというお客さまもいらっしゃるので実店舗は必要です。一方で、先ほどの究極のガンプラは、重さが８キログラムもあります。それを持って電車に乗り家へ帰るのは大変だから配送してほしい、というお客さまはＥＣを選ぶケースもあり、どちらも重要だと考えています。</p><p><strong>──　現在、目標としていることは何でしょうか。</strong></p><p><strong>榊原</strong>　ガンダムをはじめさまざまな日本のＩＰ（知的財産）が世界に広がるとともに、私たちの商品も同じく世界に広めていきたいです。ただし、決してグローバルな市場だけを重視しているのではなく、むしろ、ここ数年は日本国内の市場が非常に伸びており、日本市場はさらに拡大の可能性があると思っています。</p><p>　今は視聴環境が変化し、コンテンツが世界同時配信される時代です。そうなると、全世界のお客さまが欲しいと思うタイミングで商品を提供することが重要になりますので、適切なタイミングで商品をお届けするように努めています。</p><p><strong>──　長期的な目標はありますか。</strong></p><p><strong>榊原</strong>　私たちのミッションは、お客さまの想像を超える商品・サービスを提供し続けることです。</p><p>　常にお客さまに期待されるようなメーカーになることが、未来を見据えた目標です。</p><div class="media">  <img src="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/451/UtBZkrlblBKhssEcXIRtvowbHNfPvCuF/3a95185f-b08b-4c38-8ae3-26eb238d2d52.jpg" width="600" height="451" loading="lazy" alt="バンダイスピリッツ" srcset="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/500/375/UtBZkrlblBKhssEcXIRtvowbHNfPvCuF/3a95185f-b08b-4c38-8ae3-26eb238d2d52.jpg 512w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/451/UtBZkrlblBKhssEcXIRtvowbHNfPvCuF/3a95185f-b08b-4c38-8ae3-26eb238d2d52.jpg 1024w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/451/UtBZkrlblBKhssEcXIRtvowbHNfPvCuF/3a95185f-b08b-4c38-8ae3-26eb238d2d52.jpg 2048w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/350/263/UtBZkrlblBKhssEcXIRtvowbHNfPvCuF/3a95185f-b08b-4c38-8ae3-26eb238d2d52.jpg 350w"></div><div class="media">  <img src="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/400/ZlXSGwGuKctOOaOEPbJZsGFxIsIfHsKU/f55960a7-9549-4eda-94ed-e3def0abc130.jpg" width="600" height="400" loading="lazy" alt="バンダイスピリッツ" srcset="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/350/233/ZlXSGwGuKctOOaOEPbJZsGFxIsIfHsKU/f55960a7-9549-4eda-94ed-e3def0abc130.jpg 350w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/500/333/ZlXSGwGuKctOOaOEPbJZsGFxIsIfHsKU/f55960a7-9549-4eda-94ed-e3def0abc130.jpg 512w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/400/ZlXSGwGuKctOOaOEPbJZsGFxIsIfHsKU/f55960a7-9549-4eda-94ed-e3def0abc130.jpg 1024w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/400/ZlXSGwGuKctOOaOEPbJZsGFxIsIfHsKU/f55960a7-9549-4eda-94ed-e3def0abc130.jpg 2048w"><div class="caption">2025年7月にオープンした新工場「BANDAI HOBBY CENTER PLAMO DESIGN INDUSTRIAL INSTITUTE MUSEUM」<br>©創通・サンライズ</div></div>]]></content:encoded>
      <category><![CDATA[文化・ライフ]]></category>
      <dc:creator><![CDATA[経済界編集部]]></dc:creator>
      <guid>https://net.keizaikai.co.jp/archives/3383</guid>
      <pubDate>Thu, 28 May 2026 05:00:00 +0900</pubDate>
    </item>
    <item>
      <title>老舗アニメ制作会社が取り組む「伝統継承」と「革新推進」</title>
      <link>https://net.keizaikai.co.jp/archives/3382</link>
      <description><![CDATA[『ドラえもん』や『クレヨンしんちゃん』といった長寿作品を手がけるシンエイ動画は、伝統を大切にしながら、積極的に新たなジャンル、事業にトライする。長くアニメに携わる梅澤道彦社長が自社で制作する作品への想いと、チャレンジへの奨励、自身が企画・プロデュースする新作映画『君と花火と約束と』を語る。（雑誌『経済界』2026年7月[&#8230;]]]></description>
      <content:encoded><![CDATA[<p>『ドラえもん』や『クレヨンしんちゃん』といった長寿作品を手がけるシンエイ動画は、伝統を大切にしながら、積極的に新たなジャンル、事業にトライする。長くアニメに携わる梅澤道彦社長が自社で制作する作品への想いと、チャレンジへの奨励、自身が企画・プロデュースする新作映画『君と花火と約束と』を語る。（雑誌『<a rel="noreferrer noopener" href="https://keizaikai.co.jp/category/magazine" target="_blank">経済界</a>』2026年7月号より）</p><h2 id="-">梅澤道彦　シンエイ動画のプロフィール</h2><div class="media">  <img height="400" loading="lazy" alt="梅澤道彦" srcset="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/500/333/leqrfpIyAMUvPNGeFMUKTaSLjUdTrjnW/98a81b0d-0c18-4244-b806-c70c2f8a17af.jpg 512w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/400/leqrfpIyAMUvPNGeFMUKTaSLjUdTrjnW/98a81b0d-0c18-4244-b806-c70c2f8a17af.jpg 1024w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/400/leqrfpIyAMUvPNGeFMUKTaSLjUdTrjnW/98a81b0d-0c18-4244-b806-c70c2f8a17af.jpg 2048w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/350/233/leqrfpIyAMUvPNGeFMUKTaSLjUdTrjnW/98a81b0d-0c18-4244-b806-c70c2f8a17af.jpg 350w" src="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/400/leqrfpIyAMUvPNGeFMUKTaSLjUdTrjnW/98a81b0d-0c18-4244-b806-c70c2f8a17af.jpg" width="600"><div class="caption">シンエイ動画社長　梅澤道彦<br>うめざわ・みちひこ　1956年9月30日生まれ。東京都出身。79年に全国朝日放送（現テレビ朝日ホールディングス）入社、2005年に同社編成制作局映画センター長に就任。10年にシンエイ動画に移り常務取締役に就任、12年から社長を務める。同社にてアニメ作品のプロデューサーも務め、映画『STAND BY ME ドラえもん』ではエグゼクティブプロデューサーとして第34回藤本賞を受賞。</div></div><h2 id="-">２つの長寿作品は、原作の精神を大事にしている</h2><p><strong>──　アニメ制作市場は海外展開の活発化もあり、右肩上がりに成長しています。</strong></p><p><strong>梅澤</strong>　数字的な面では、弊社も売り上げや利益が伸びていますので、市場が拡大している実感はあります。また、より身近な感覚で言うと、市場全体で制作本数が非常に増えています。現在はテレビの放送枠が増え、ＹｏｕＴｕｂｅなどの動画配信プラットフォームもあって特にここ２、３年でさらに加速した印象がありますね。</p><p><strong>──　アニメ人気の向上には、どのような要因があるとお考えですか。</strong></p><p><strong>梅澤</strong>　制作したすべての作品が人気というわけではありませんが、弊社で言えば『ドラえもん』や『クレヨンしんちゃん』、他社さんであれば『名探偵コナン』や『ＯＮＥ ＰＩＥＣＥ』のように数十年続く作品が土台にあり、そこに『鬼滅の刃』のような新たなヒット作品が次々と登場しており、全体的な人気向上につながっているのではないでしょうか。</p><p><strong>──　ドラえもんやクレヨンしんちゃんが長く愛される中で、時代に合わせて変えたこと、あえて変えなかったことはありますか。</strong></p><p><strong>梅澤</strong>　２つの作品に共通して言えるのは、原作の精神を大事にしている点です。ドラえもんは藤子・Ｆ・不二雄先生が描かれた世界観を大切にしています。今の時代に合わせて携帯電話を出すようなことはしていませんし、土管のある空き地のような当時の風景も残しています。原作にない部分を加えてしまうと世界観が崩れてしまうからです。</p><p>　一方で、「ひみつ道具」については、原作にはない新しいものを今の時代や今の子どもたちの興味や関心に合わせて作りだすこともあります。ただ、やっぱり藤子・Ｆ・不二雄先生は天才的で、最近ではタケコプターに近い製品が開発されるなど、先生が描いた「ひみつ道具」に、現実の技術が追いついてきている感じがしますね。</p><p><strong>──　クレヨンしんちゃんについてはいかがでしょうか。</strong></p><p><strong>梅澤</strong>　しんちゃんは青年誌の「漫画アクション」で連載していて、もともとは大人向けの作品でした。原作はアニメよりも毒がある内容なのですが、アニメ化にあたって子ども向けにリメイクしたのです。その「アニメのしんちゃん」というキャラクターを大切にして作り続けています。</p><h2 id="-">配信チャネルの増加は間違いなく追い風に</h2><p><strong>──　最近ではスピンオフの『野原ひろし 昼メシの流儀』も話題になりました。また映画の『ＳＴＡＮＤ ＢＹ ＭＥ ドラえもん』も３Ｄ技術を取り入れた従来のアニメとは全く異なるものでさまざまなバリエーションのアニメを手がけています。制作における強みはどのようなところにあると考えていますか。</strong></p><p><strong>梅澤</strong>　強みと言えるかは分かりませんが、現場の若い人たちが「これをやりたい」と言った時は、できる限りのサポートをして挑戦できるようにしています。実際にトライすることで成功体験を得たり、失敗から学んだりすることができますから。そうした中、今はＹｏｕＴｕｂｅの他、動画配信サービスもたくさんあり、制作した後の〝出口〟が多様化したことでより挑戦できる環境になりました。それによって制作の幅も広がってきていると思います。</p><p><strong>──　配信チャネルの増加は、業界にとって追い風になっているのでしょうか。</strong></p><p><strong>梅澤</strong>　間違いなく追い風になっています。ただ一方で、制作本数が過剰になっているとも感じています。アニメは人が描くもので、描き手の数は限られており、若手も育ってきているものの、工場の生産ラインのように単純に増やせるものではありません。うちもいろいろなお話をいただきますが、新しい作品に着手できるのは２０２９年か30年で、他社さんもそれぐらいまで先約で埋まっているのではないかと思います。</p><p><strong>──　そうした中でも『ＰＵＩ ＰＵＩ モルカー』や『銀河特急 ミルキー☆サブウェイ』といったヒット作も生まれています。</strong></p><p><strong>梅澤</strong>　どちらもクリエイターさんの才能に依存する部分が大きい作品です。「モルカー」は見里朝希監督のストップモーションの手法で制作したショートアニメで、「ミルキーサブウェイ」は亀山陽平監督が卒業制作でＹｏｕＴｕｂｅに公開して話題となった短編３Ｄアニメの続編です。お２人とももともと素晴らしい作品を作られていて、「この人と組みたい」と思うだけの才能を感じてご一緒させていただきました。</p><div class="media">  <img src="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/337/SvkSrIELBYjJjpDjfwLjFEWmXANVHVTF/94c15055-9a62-44a2-bb65-26e37da1f8a6.jpg" width="600" height="337" loading="lazy" alt="モルカービジュアル" srcset="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/350/196/SvkSrIELBYjJjpDjfwLjFEWmXANVHVTF/94c15055-9a62-44a2-bb65-26e37da1f8a6.jpg 350w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/500/280/SvkSrIELBYjJjpDjfwLjFEWmXANVHVTF/94c15055-9a62-44a2-bb65-26e37da1f8a6.jpg 512w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/337/SvkSrIELBYjJjpDjfwLjFEWmXANVHVTF/94c15055-9a62-44a2-bb65-26e37da1f8a6.jpg 1024w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/337/SvkSrIELBYjJjpDjfwLjFEWmXANVHVTF/94c15055-9a62-44a2-bb65-26e37da1f8a6.jpg 2048w"><div class="caption">『PUI PUI モルカー』は2021年に第1期、22年に第2期がテレビで放送され、映画も21年、22年、24年に公開された<br>©見里朝希／PUI PUI モルカー製作委員会</div></div><div class="media">  <img src="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/500/lDIWLhGhaeNgkvxnIlvHZAIRdVgCidFO/141fd1f4-0c16-40c9-93dc-c813b0a467c5.jpg" width="600" height="500" loading="lazy" alt="銀河特急 ミルキー☆サブウェイ" srcset="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/350/291/lDIWLhGhaeNgkvxnIlvHZAIRdVgCidFO/141fd1f4-0c16-40c9-93dc-c813b0a467c5.jpg 350w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/500/416/lDIWLhGhaeNgkvxnIlvHZAIRdVgCidFO/141fd1f4-0c16-40c9-93dc-c813b0a467c5.jpg 512w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/500/lDIWLhGhaeNgkvxnIlvHZAIRdVgCidFO/141fd1f4-0c16-40c9-93dc-c813b0a467c5.jpg 1024w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/500/lDIWLhGhaeNgkvxnIlvHZAIRdVgCidFO/141fd1f4-0c16-40c9-93dc-c813b0a467c5.jpg 2048w"><div class="caption">YouTubeでのヒットをきっかけに続編として制作された『銀河特急 ミルキー☆サブウェイ』©亀山陽平／タイタン工業</div></div><p><strong>──　映画も23年公開の『窓ぎわのトットちゃん』に続き、25年公開の『ペリリュー ─楽園のゲルニカ─』が日本アカデミー賞優秀アニメーション作品賞を受賞しました。</strong></p><p><strong>梅澤</strong>　ペリリューは、全11巻の長い原作漫画を１１０分程度の映画にまとめる脚本作りが最も大変でした。映像面では、プロデューサーと監督が現地へロケハンに行き、実際に戦車の残骸や植物などを見て、リアルに再現することに注力しました。凄惨な戦争をテーマとした作品ですが、原作のキャラクターが二頭身でかわいらしいことで、その厳しい現実をアニメとして受け入れられる形にできたと思います。</p><div class="media">  <img alt="ペリリュー" srcset="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/350/291/lTHzQzyUHjgaBfCTyRJfQaTspoHicZfK/aea78544-81ff-4bd4-abe7-a4d1b3777901.jpg 350w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/500/416/lTHzQzyUHjgaBfCTyRJfQaTspoHicZfK/aea78544-81ff-4bd4-abe7-a4d1b3777901.jpg 512w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/500/lTHzQzyUHjgaBfCTyRJfQaTspoHicZfK/aea78544-81ff-4bd4-abe7-a4d1b3777901.jpg 1024w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/500/lTHzQzyUHjgaBfCTyRJfQaTspoHicZfK/aea78544-81ff-4bd4-abe7-a4d1b3777901.jpg 2048w" src="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/500/lTHzQzyUHjgaBfCTyRJfQaTspoHicZfK/aea78544-81ff-4bd4-abe7-a4d1b3777901.jpg" width="600" height="500" loading="lazy"><div class="caption">ペリリューの戦いを参考に作られた『ペリリュー ─楽園のゲルニカ─』は2026年の日本アカデミー賞優秀アニメーション作品賞を受賞<br>©武田一義・白泉社／2025「ペリリュー　ー楽園のゲルニカー」製作委員会</div></div><h2 id="30-40-">30年、40年と続くような作品を生み出していきたい</h2><p><strong>──　７月17日から、梅澤社長ご自身が企画・プロデュースされた新作映画『君と花火と約束と』が公開されます。</strong></p><p><strong>梅澤</strong>　25年が戦後80年という節目であり、戦争の記憶が風化していく中で何かを残したいという想いで企画しました。モチーフに長岡の花火大会を選んだのは、１９４５年８月１日22時30分頃から始まった長岡空襲で亡くなった１５００人近い方々への慰霊と、街の復興を願って始まったという歴史を知ったからです。その悲しい過去だけでなく、現代につながる美しい花火を結びつけることで、若い世代の方々にも見てもらいやすい作品になったのではと考えています。</p><p><strong>──　どのような流れで制作、公開に至ったのでしょうか。</strong></p><p><strong>梅澤</strong>　長岡の花火大会を何度か見て、地元の方々からお話も聞いて、ぜひ映画にしたいと思い、作家の真戸香さんにご相談して本を書いていただいたのがスタートでした。まずはＡ４の紙で４、５枚のプロットにまとめ、それをもとに話し合って骨格を作り、それから執筆していただきました。それで原稿ができあがってｎｏｔｅで連載して、その後、小学館さんが書籍として扱ってくださって、映画の製作委員会を立ち上げて出資者を募り、映画化することが決まりました。</p><p><strong>──　ビジネス面についてうかがいます。映像ライセンスの事業について現状はいかがでしょうか。</strong></p><p><strong>梅澤</strong>　本格的に取り組み始めたのはここ数年で、動画配信サービスや海外への映像提供によって売り上げは伸びています。ただこれは、成長しているというより、始めたことで新しい取引が増えている形で、伸ばしていけるかどうかはこれからですね。それと今、われわれを含むアニメ関連会社が良い成果を出すことができているのは、コンテンツ力が上がって映像への評価が高まっていることもありますが、加えて、海外取引での円安の影響も大きい。輸出企業ですから、ドルなどの海外通貨での取引に際して、円安による為替の恩恵を受けられているのもありますね。</p><p><strong>──　ＩＰ（知的財産）の活用、特にグッズ展開などの可能性についてはどうお考えですか。</strong></p><p><strong>梅澤</strong>　ドラえもんやクレヨンしんちゃんは他社さんが窓口になっていまして、自社で特に力を入れているのは『あたしンち』です。ＹｏｕＴｕｂｅチャンネルの登録者数が１６０万人を超え、リバイバルヒットの兆しがあります。モルカーやミルキーサブウェイ、それとあたしンちは今後、海外も含めた商品化にも注力していく予定です。</p><p><strong>──　今後の目標をお願いします。</strong></p><p><strong>梅澤</strong>　ドラえもんやクレヨンしんちゃんを、子どもたちが成長過程で必ず通る〝登竜門〟のような作品として、これからも大切に作り続けていくこと。それと新しい作品にも積極的にチャレンジしていきたい。その２つを車の両輪として取り組んでいきます。</p><p>　今は１クール（３カ月ごとの放送期間）ごとにプロジェクトが途切れてしまう難しさがあります。その中で伝統的な作品を守りつつ、同時に新しい挑戦の中から、また30年、40年と続くような作品を生み出していきたいと考えています。</p><div class="media">  <img alt="君と花火と約束と" srcset="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/500/DQZxpZBkodgPPEtcYxmjhBJNSuzmxnmx/913275cb-0117-41a7-bd6f-8d3a41df16ab.jpg 2048w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/350/291/DQZxpZBkodgPPEtcYxmjhBJNSuzmxnmx/913275cb-0117-41a7-bd6f-8d3a41df16ab.jpg 350w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/500/416/DQZxpZBkodgPPEtcYxmjhBJNSuzmxnmx/913275cb-0117-41a7-bd6f-8d3a41df16ab.jpg 512w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/500/DQZxpZBkodgPPEtcYxmjhBJNSuzmxnmx/913275cb-0117-41a7-bd6f-8d3a41df16ab.jpg 1024w" src="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/500/DQZxpZBkodgPPEtcYxmjhBJNSuzmxnmx/913275cb-0117-41a7-bd6f-8d3a41df16ab.jpg" width="600" height="500" loading="lazy"><div class="caption">梅澤社長が企画・プロデュースする新作映画『君と花火と約束と』は7月17日に公開。新潟の長岡まつり大花火大会を舞台とする<br>©映画「君と花火と約束と」製作委員会</div></div><div class="media">  <img srcset="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/350/291/QiHXKpNNLdkKiBYzzMvNACaEpmzKZIoR/5a0d3bf7-2192-459e-8cb6-3eaf724632ee.jpg 350w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/500/416/QiHXKpNNLdkKiBYzzMvNACaEpmzKZIoR/5a0d3bf7-2192-459e-8cb6-3eaf724632ee.jpg 512w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/500/QiHXKpNNLdkKiBYzzMvNACaEpmzKZIoR/5a0d3bf7-2192-459e-8cb6-3eaf724632ee.jpg 1024w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/500/QiHXKpNNLdkKiBYzzMvNACaEpmzKZIoR/5a0d3bf7-2192-459e-8cb6-3eaf724632ee.jpg 2048w" src="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/500/QiHXKpNNLdkKiBYzzMvNACaEpmzKZIoR/5a0d3bf7-2192-459e-8cb6-3eaf724632ee.jpg" width="600" height="500" loading="lazy" alt="シンエイ"><div class="caption">2002年にアニメ化された日常コメディ『あたしンち』。24年から26年3月にかけて第3期が放送された。過去には映画化もされている<br>©けらえいこ/シンエイ</div></div>]]></content:encoded>
      <category><![CDATA[文化・ライフ]]></category>
      <dc:creator><![CDATA[経済界編集部]]></dc:creator>
      <guid>https://net.keizaikai.co.jp/archives/3382</guid>
      <pubDate>Thu, 28 May 2026 05:00:00 +0900</pubDate>
    </item>
    <item>
      <title>国内トップの5500万DL突破 LINEマンガを躍進に導く差別化戦略</title>
      <link>https://net.keizaikai.co.jp/archives/3380</link>
      <description><![CDATA[2013年にサービスをスタートした「LINEマンガ」は漫画アプリにおいて国内トップとなる5500万ダウンロードを突破。躍進の背景にはどのような経営戦略があるのか。電子書籍サービス、紙書籍オンライン販売など複数事業を手がけるLINE Digital Frontierの髙橋将峰社長CEOが事業、作品、制作体制の強みを明かす[&#8230;]]]></description>
      <content:encoded><![CDATA[<p>2013年にサービスをスタートした「LINEマンガ」は漫画アプリにおいて国内トップとなる5500万ダウンロードを突破。躍進の背景にはどのような経営戦略があるのか。電子書籍サービス、紙書籍オンライン販売など複数事業を手がけるLINE Digital Frontierの髙橋将峰社長CEOが事業、作品、制作体制の強みを明かす。（雑誌『<a rel="noreferrer noopener" href="https://keizaikai.co.jp/category/magazine" target="_blank">経済界</a>』2026年7月号より）</p><h2 id="-line-digital-frontier-">髙橋将峰　LINE Digital Frontierのプロフィール</h2><div class="media">  <img height="400" loading="lazy" alt="髙橋将峰・LINE Digital Frontier社長CEO" srcset="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/400/JpJntcIvNntAVjOHviRVYJWEhstEyQqf/4391cea9-a56e-4dad-9a4b-e8b79521c43e.jpg 2048w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/350/233/JpJntcIvNntAVjOHviRVYJWEhstEyQqf/4391cea9-a56e-4dad-9a4b-e8b79521c43e.jpg 350w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/500/333/JpJntcIvNntAVjOHviRVYJWEhstEyQqf/4391cea9-a56e-4dad-9a4b-e8b79521c43e.jpg 512w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/400/JpJntcIvNntAVjOHviRVYJWEhstEyQqf/4391cea9-a56e-4dad-9a4b-e8b79521c43e.jpg 1024w" src="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/400/JpJntcIvNntAVjOHviRVYJWEhstEyQqf/4391cea9-a56e-4dad-9a4b-e8b79521c43e.jpg" width="600"><div class="caption">LINE Digital Frontier社長CEO　髙橋将峰<br>たかはし・まさみね　1974年11月28日生まれ。東京都出身。システムインテグレーター企業から、2006年にヤフーに転職。デジタルコンテンツ事業本部本部長などを経て、19年にイーブックイニシアティブジャパンの社長に就任。22年にLINE Digital Frontierの社長CEOに就任し、24年に両社を統合。</div></div><h2 id="-">ＷＥＢＴＯＯＮとの出会いが大きな転換期となる</h2><p><strong>──　「ＬＩＮＥマンガ」は現在、国内の漫画アプリでダウンロード数トップの５５００万を突破しています。サービス開始からこれまでどのように成長させてきたのでしょうか。</strong></p><p><strong>髙橋</strong>　２０１３年にサービスを開始したのですが、もともとコミュニケーションアプリのＬＩＮＥが急速に普及する中で、「コミュニケーションの上に成立するサービスは何か」という問いを出発点に、学校で漫画雑誌を回し読みしたり会話の中で話題になったり、といった多くの人の経験から、コミュニケーションと漫画の相性は良いだろうと。それで始めた事業でした。</p><p>　当時はガラケーからスマホへの移行期で、アプリ単体で販売まで完結するストア型サービスが少なかったため、先行してスマホに最適化したビジネスを展開できたことは大きかったですね。ＬＩＮＥのネットワークを生かしたスタートダッシュを切ることができました。</p><p><strong>──　現在は多くの漫画アプリがありますが、どのようにして競合優位性を生みだしていったのでしょうか。</strong></p><p><strong>髙橋</strong>　他の電子書店でも同じ作品を扱うので、商品はコモディティ化します。そのため優位性を取るためにオリジナル作品を作ろうと。ＩＰ（知的財産）を創出していくことに踏みきりました。15年からオリジナル作品を作り始めたのですが、それから３年後の18年に大きな転換期があり、それがスマホに最適化した縦読みカラー漫画のＷＥＢＴＯＯＮ（ウェブトゥーン）との出会いでした。</p><p>　韓国ではすでに人気があり、当社でも新しいフォーマットとしてトライアルを始めました。当初は「縦読みではアクションを表現しにくい」、「コマ割りがないと面白くない」といった否定的な意見もありましたが、18年にリリースした『女神降臨』が大ヒットし、日本の読者にも受け入れられることを確信しました。そこから一気にギアを入れ、多くの作品を輸入したり、制作したりして成長を加速させました。</p><div class="media">  <img loading="lazy" alt="女神降臨" srcset="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/350/291/QknViuQTiiOUETGBUCGIsFwSUDTWVvJc/c5820645-d5bf-448e-b66d-8172d57544b8.jpg 350w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/500/416/QknViuQTiiOUETGBUCGIsFwSUDTWVvJc/c5820645-d5bf-448e-b66d-8172d57544b8.jpg 512w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/500/QknViuQTiiOUETGBUCGIsFwSUDTWVvJc/c5820645-d5bf-448e-b66d-8172d57544b8.jpg 1024w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/500/QknViuQTiiOUETGBUCGIsFwSUDTWVvJc/c5820645-d5bf-448e-b66d-8172d57544b8.jpg 2048w" src="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/500/QknViuQTiiOUETGBUCGIsFwSUDTWVvJc/c5820645-d5bf-448e-b66d-8172d57544b8.jpg" width="600" height="500"><div class="caption">2018年に連載が開始したWEBTOONの『女神降臨』は韓国で20年に実写ドラマ化され、日本でも25年に実写映画化された<br>©yaongyi/LDF</div></div><p><strong>──　オリジナル作品はどのぐらいまで拡大しているのでしょうか。</strong></p><p><strong>髙橋</strong>　日本発では、連載中のものが約30タイトル、過去の積み上げを含めるとおよそ３００タイトルほど展開しています。また、それとは別に、親会社のＷＥＢＴＯＯＮ Ｅｎｔｅｒｔａｉｎｍｅｎｔ、グループ会社のＮＡＶＥＲ　ＷＥＢＴＯＯＮがグローバルに展開している作品もあります。それらを含めて現在、連載中の作品は７８０タイトルにのぼり、最新話が１日あたり１００本以上、公開されています。</p><p><strong>──　ヒット作の基準や、最近の成功事例についてお聞かせください。</strong></p><p><strong>髙橋</strong>　ヒット作は、無料の読者数、その継続率、そして最終的な課金の３つを成功の指標としています。そのデータをもとに今は常時、10本ぐらいのビッグヒットがあり、中でもＬＩＮＥマンガのオリジナル作品である『入学傭兵』は23年に月間販売額１・８億円を記録しました。また、先行配信作品の『神血の救世主〜０・０００００００１％を引き当て最強へ〜』は24年に１・２億円を突破と、こちらは日本発のＩＰとして記録的な数字を残しました。</p><div class="media">  <img src="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/500/BpCznbRWwcjSzgcxoDYQuriEjGgoGcSy/9a970588-ca89-4dd3-aa22-abf8b3cebf66.jpg" width="600" height="500" loading="lazy" alt="入学傭兵" srcset="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/500/416/BpCznbRWwcjSzgcxoDYQuriEjGgoGcSy/9a970588-ca89-4dd3-aa22-abf8b3cebf66.jpg 512w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/500/BpCznbRWwcjSzgcxoDYQuriEjGgoGcSy/9a970588-ca89-4dd3-aa22-abf8b3cebf66.jpg 1024w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/500/BpCznbRWwcjSzgcxoDYQuriEjGgoGcSy/9a970588-ca89-4dd3-aa22-abf8b3cebf66.jpg 2048w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/350/291/BpCznbRWwcjSzgcxoDYQuriEjGgoGcSy/9a970588-ca89-4dd3-aa22-abf8b3cebf66.jpg 350w"><div class="caption">2021年に連載を開始したLINEマンガオリジナルのWEBTOONアクション作品『入学傭兵』はアニメ化も予定されている<br>©YC･rak hyun/LDF</div></div><div class="media">  <img src="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/500/bwkKRRDGLWOuDsZQExvNyLOfwgsSNbHD/a97170a9-12da-4a46-8480-60b802e96cf3.jpg" width="600" height="500" loading="lazy" alt="神血の救世主" srcset="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/350/291/bwkKRRDGLWOuDsZQExvNyLOfwgsSNbHD/a97170a9-12da-4a46-8480-60b802e96cf3.jpg 350w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/500/416/bwkKRRDGLWOuDsZQExvNyLOfwgsSNbHD/a97170a9-12da-4a46-8480-60b802e96cf3.jpg 512w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/500/bwkKRRDGLWOuDsZQExvNyLOfwgsSNbHD/a97170a9-12da-4a46-8480-60b802e96cf3.jpg 1024w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/500/bwkKRRDGLWOuDsZQExvNyLOfwgsSNbHD/a97170a9-12da-4a46-8480-60b802e96cf3.jpg 2048w"><div class="caption">『神血の救世主〜0.00000001%を引き当て最強へ〜』は日本国内での人気に加え、北米でも月間売り上げ2位を記録<br>©江藤俊司/疾狼/3rd Ie/ナンバーナイン</div></div><p><strong>──　ビジネスモデルについてですが、電子書籍のサービスで「雑誌読み放題」のような定額サービスもありますが、漫画アプリでは課金型が一般的なのでしょうか。</strong></p><p><strong>髙橋</strong>　そうですね。出版・漫画業界における価格設定があるため、電子書籍もストア側で勝手に価格を変更することができません。そのため、サブスクリプションでの定額販売は現状、難しいという背景があります。</p><p>　そもそもＬＩＮＥマンガの連載作品は、基本的に23時間待つと無料で読むことができます。最新話を早く読みたい方が課金するモデルであり、最初に課金をしないと見られない動画配信サービスなどの定額モデルとは入口が異なるのです。</p><p><strong>──　なるほど。では現在、ＬＩＮＥマンガの連載作品と出版社の作品の売り上げ構成はどのようになっているのでしょうか。</strong></p><p><strong>髙橋</strong>　ここも明確な数字をお答えできないのですが、読者数で言えばオリジナル作品を含む連載作品の方が圧倒的に多いです。ただ単価では、単行本が１冊５００円から１千円弱なので、無料で読み進められる連載作品と比べて課金額が大きくなります。そうした中、単行本と連載作品の行き来もあり、連載をきっかけにアプリを使い始め、毎日訪れる中で単行本を買ったり、逆のパターンもあったり、市場全体の成長という意味でもとても良い連携ができていると思います。</p><h2 id="-">アニメ化は数十本の企画が同時に動いている</h2><p><strong>──　ＷＥＢＴＯＯＮは従来の漫画とはレイアウトが異なりますが、制作フローなども変わってくるのでしょうか。</strong></p><p><strong>髙橋</strong>　作家さんと編集者の二人三脚で制作するものもありますが、当社では３年ほど前から分業制スタジオでの制作も行っています。企画・脚本、ネーム、背景３Ｄ、線画、着彩、仕上げの各工程の専門スタッフが数百人ずつ、工程によっては千人を超える方がエントリーしていまして、そのメンバーでチームを組んで制作するスタイルです。例えば原作者と編集者が企画をまとめ、そこから漫画ができあがるまでをスタジオで受け持つような形ですね。</p><p><strong>──　連載作品からアニメ化や映画化も進んでいますね。</strong></p><p><strong>髙橋</strong>　アニメ化はすでに公開されているもので20作品ほどあり、映画化や実写ドラマ化された作品もあります。加えて現在、アニメ化は数十本の企画が同時に動いています。</p><p>　最近、アニメ化されたものでは『クレバテス─魔獣の王と赤子と屍の勇者─』が、放送前後の１カ月で原作の売り上げが約11倍に跳ねあがりました。アニメを見て興味を持った読者がアプリに流入するというサイクルも確立されつつあります。</p><p>　また、グッズ展開も段階的に進めています。グッズは在庫管理などのハードルもあり、まずは受注販売からトライしています。２月に３タイトルのグッズを販売したところなのですが、ここまでは想定どおりの売り上げです。当社には「ｂｏｏｋｆａｎ」という書籍のオンライン販売のサービスがあり、そのシステムを使えばグッズのＥＣ販売もできますので、将来的にはもっと大きな展開ができればと考えています。</p><div class="media">  <img src="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/500/LakrwPhXJHeNFJURfgkqnFrOZJzdGwCz/39ef9835-464f-488e-a796-19ebd7e1196d.jpg" width="600" height="500" loading="lazy" alt="クレバテス" srcset="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/350/291/LakrwPhXJHeNFJURfgkqnFrOZJzdGwCz/39ef9835-464f-488e-a796-19ebd7e1196d.jpg 350w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/500/416/LakrwPhXJHeNFJURfgkqnFrOZJzdGwCz/39ef9835-464f-488e-a796-19ebd7e1196d.jpg 512w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/500/LakrwPhXJHeNFJURfgkqnFrOZJzdGwCz/39ef9835-464f-488e-a796-19ebd7e1196d.jpg 1024w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/500/LakrwPhXJHeNFJURfgkqnFrOZJzdGwCz/39ef9835-464f-488e-a796-19ebd7e1196d.jpg 2048w"><div class="caption">『クレバテス-魔獣の王と赤子と屍の勇者-』は2020年に連載が始まり、25年7月に全12話のアニメ第1期が放送され、26年7月から第2期を放送する<br>©Yuji Iwahara/LDF/クレバテス製作委員会</div></div><p><strong>──　ユーザー獲得におけるマーケティングで特に注力している施策はありますか。</strong></p><p><strong>髙橋</strong>　ＳＮＳですね。ＳＮＳは読者が積極的に活用するツールで、漫画やＷＥＢＴＯＯＮととても相性が良いと感じています。それともちろんＬＩＮＥもいろいろな形で活用しています。</p><p><strong>──　短期、中長期、それぞれの目標を聞かせてください。</strong></p><p><strong>髙橋</strong>　短期的には、国内のアプリマーケットでのナンバーワンを維持することで、中長期的にはオリジナル作品のシェアをさらに拡大し、それぞれの作品でＩＰビジネスを展開して映像やグッズも含めて世界中で楽しんでもらうことです。</p><p>　日本発の作品を世界中でヒットさせ、海外にもファンを拡大していき、ここに載せたいと思ってくれる作家さんが増え、オリジナル作品がどんどん増えていく。このサイクルを大きくしていきたいですね。先行配信の神血の救世主が北米で月間売り上げ２位になるなど着実に日本の作品も人気が出始めているので、大きく伸びていく可能性は十分にあると思います。</p><p><strong>──　作家さんを増やすという意味では、ＬＩＮＥマンガ ｗｅｂｔｏｏｎ大賞も作家さんの発掘、拡大につながっていそうです。</strong></p><p><strong>髙橋</strong>　そうですね。その他にも他社さんと一緒にいくつかのコンテストを実施していますし、「ＬＩＮＥマンガ インディーズ」という作品投稿のプラットフォームもあります。15年から運営しているのですが、ここからもアニメ化された『先輩はおとこのこ』などのビッグヒットが生まれていまして、これからも多くの作家さんが世に出ることを期待しています。</p><div class="media">  <img src="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/500/NsBBbjMaGWrmvMPKATAnqvRMlVNHKAli/8e995f5d-ac31-4c2c-ba11-2627ccc2514a.jpg" width="600" height="500" loading="lazy" alt="先輩はおとこのこ" srcset="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/500/416/NsBBbjMaGWrmvMPKATAnqvRMlVNHKAli/8e995f5d-ac31-4c2c-ba11-2627ccc2514a.jpg 512w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/500/NsBBbjMaGWrmvMPKATAnqvRMlVNHKAli/8e995f5d-ac31-4c2c-ba11-2627ccc2514a.jpg 1024w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/500/NsBBbjMaGWrmvMPKATAnqvRMlVNHKAli/8e995f5d-ac31-4c2c-ba11-2627ccc2514a.jpg 2048w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/350/291/NsBBbjMaGWrmvMPKATAnqvRMlVNHKAli/8e995f5d-ac31-4c2c-ba11-2627ccc2514a.jpg 350w"><div class="caption">作品投稿のプラットフォーム「LINEマンガ インディーズ」からのヒット作『先輩はおとこのこ』は2024年のアニメ化（画像）に続き、25年には映画が公開された<br>©pom･JOYNET/LINE Digital Frontier･「先輩はおとこのこ」製作委員会</div></div>]]></content:encoded>
      <category><![CDATA[文化・ライフ]]></category>
      <dc:creator><![CDATA[経済界編集部]]></dc:creator>
      <guid>https://net.keizaikai.co.jp/archives/3380</guid>
      <pubDate>Wed, 27 May 2026 05:00:00 +0900</pubDate>
    </item>
    <item>
      <title>「街全体を盛り上げたい」JTBが注力するアニメツーリズム</title>
      <link>https://net.keizaikai.co.jp/archives/3381</link>
      <description><![CDATA[アニメのファンが、作品の舞台となったエリアや場所、作者のゆかりの土地を訪れる「聖地巡礼」。旅行業界では、そのファンの想いに応える聖地巡礼ツアー＝アニメツーリズムが次々と展開されており、業界最大手のJTBもさまざまな企画を実施している。エンタテイメント事業部長の柳澤太一氏に話を聞いた。（雑誌『経済界』2026年7月号より[&#8230;]]]></description>
      <content:encoded><![CDATA[<p>アニメのファンが、作品の舞台となったエリアや場所、作者のゆかりの土地を訪れる「聖地巡礼」。旅行業界では、そのファンの想いに応える聖地巡礼ツアー＝アニメツーリズムが次々と展開されており、業界最大手のJTBもさまざまな企画を実施している。エンタテイメント事業部長の柳澤太一氏に話を聞いた。（雑誌『<a rel="noreferrer noopener" href="https://keizaikai.co.jp/category/magazine" target="_blank">経済界</a>』2026年7月号より）</p><h2 id="-jtb-">柳澤太一　JTBエンタテイメントのプロフィール</h2><div class="media">  <img src="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/400/InCoSSjMrvUYkXDClejxtKoGoCJmtzCG/94dda0f2-fa4c-42db-bf8d-102b0be07590.jpg" width="600" height="400" loading="lazy" alt="柳澤太一" srcset="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/350/233/InCoSSjMrvUYkXDClejxtKoGoCJmtzCG/94dda0f2-fa4c-42db-bf8d-102b0be07590.jpg 350w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/500/333/InCoSSjMrvUYkXDClejxtKoGoCJmtzCG/94dda0f2-fa4c-42db-bf8d-102b0be07590.jpg 512w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/400/InCoSSjMrvUYkXDClejxtKoGoCJmtzCG/94dda0f2-fa4c-42db-bf8d-102b0be07590.jpg 1024w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/400/InCoSSjMrvUYkXDClejxtKoGoCJmtzCG/94dda0f2-fa4c-42db-bf8d-102b0be07590.jpg 2048w"><div class="caption">JTBエンタテイメント事業部長  柳澤太一</div></div><p>　かつては一部の熱狂的なファンの楽しみだったアニメの「聖地巡礼」が、今や「アニメツーリズム」という旅行の一つのジャンルとして確立されている。業界最大手のＪＴＢは、この領域をどのように伸ばしているのか。エンタテイメント事業部長の柳澤太一氏は、その成り立ちから話す。「部署が発足して10年目を迎えますが、設立当初は音楽系のイベントを中心に扱っていました。それが昨今、『推し活』という言葉が定着し、深いファンが多いアニメ分野に魅力を感じ、数年前から積極的に取り組むようになりました」</p><p>　エンタテイメント事業部には約70名が在籍。その中でアニメツーリズムの専属の担当者は設けていないものの、企画数は年々増え、それに伴って売り上げも伸びているという。「これまで実施した企画は、期待を大きく上回る結果を残しています。人気のツアーになると応募倍率が５倍に達することもあります」</p><p>　絶大な知名度を誇る作品から、コアな作品までコラボするアニメはさまざま。『アニメ「鬼滅の刃」』の体験型イベントは湯河原、伊香保、草津、鬼怒川の４つの温泉地で開催。オリジナルグッズの販売や、物語の世界観を味わえる光と音の演出で旅行客をもてなした。</p><p>　また、『ご注文はうさぎですか？』とのコラボでは、物語の舞台となるフランスのコルマール地方を訪れるツアーを開催。『五等分の花嫁』とのコラボではハワイ旅行を企画。作中に登場する「旅のしおり」を忠実に再現して配布するなど、ファン垂涎のツアーとなった。さらに『綺麗にしてもらえますか。』とのコラボでは、熱海観光局と連携し、作品の舞台を巡る「熱海市聖地探訪マップ」を制作。アニメとコラボした宿泊プランも計画中だ。</p><p>　柳澤氏は言う。「ＪＴＢは全国に営業拠点を持ち、各地域の行政や事業者と長年にわたり信頼関係を築いてきました。これからは熱海のように、行政と連携して街全体を盛り上げていきたいと思っています」。アニメツーリズムは旅行業界全体で定着傾向にある。その中でＪＴＢは業界をリードしていると自信をのぞかせる。「まずはコアなファンの方々に向けたツアーをさらに充実させていきたい。エンタテイメント事業部として、ツアー参加者がより豊かな体験ができるよう、これからも企画を磨き続けていきたいですね」    </p><div class="media">  <img src="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/424/uqabeaXwRcIBgIbmeNwVyDRYraWlEMek/7c3ff468-62ec-413a-af89-42f63b5d31c9.jpg" width="600" height="424" loading="lazy" alt="聖地探訪マップ" srcset="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/350/247/uqabeaXwRcIBgIbmeNwVyDRYraWlEMek/7c3ff468-62ec-413a-af89-42f63b5d31c9.jpg 350w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/500/353/uqabeaXwRcIBgIbmeNwVyDRYraWlEMek/7c3ff468-62ec-413a-af89-42f63b5d31c9.jpg 512w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/424/uqabeaXwRcIBgIbmeNwVyDRYraWlEMek/7c3ff468-62ec-413a-af89-42f63b5d31c9.jpg 1024w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/424/uqabeaXwRcIBgIbmeNwVyDRYraWlEMek/7c3ff468-62ec-413a-af89-42f63b5d31c9.jpg 2048w"><div class="caption">JTBは、熱海のクリーニング店を舞台とした『綺麗にしてもらえますか。』と熱海観光局とのコラボで「熱海市聖地探訪マップ」を制作。2026年3月から熱海観光案内所などで配布している<br>©はっとりみつる／SQUARE ENIX・「綺麗にしてもらえますか。」製作委員会</div></div><div class="media">  <img height="459" loading="lazy" alt="JTB" srcset="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/350/267/cZeJWJEVQpAJduOGzKUwfvSTdVsSSIjd/896e7b24-cfdb-4619-a892-64c86fcd8dcf.jpg 350w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/500/382/cZeJWJEVQpAJduOGzKUwfvSTdVsSSIjd/896e7b24-cfdb-4619-a892-64c86fcd8dcf.jpg 512w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/459/cZeJWJEVQpAJduOGzKUwfvSTdVsSSIjd/896e7b24-cfdb-4619-a892-64c86fcd8dcf.jpg 1024w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/459/cZeJWJEVQpAJduOGzKUwfvSTdVsSSIjd/896e7b24-cfdb-4619-a892-64c86fcd8dcf.jpg 2048w" src="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/459/cZeJWJEVQpAJduOGzKUwfvSTdVsSSIjd/896e7b24-cfdb-4619-a892-64c86fcd8dcf.jpg" width="600"><div class="caption">『ご注文はうさぎですか？』のツアーは過去2回開催。2025年の第2回はアニメ監督との交流イベントを現地で行った。写真は特典のリーフレット（第1回/24年）とアクリルスタンド（第2回/25年）<br>© Koi・芳文社／ご注文はBLOOM製作委員会ですか？</div></div>]]></content:encoded>
      <category><![CDATA[文化・ライフ]]></category>
      <dc:creator><![CDATA[経済界編集部]]></dc:creator>
      <guid>https://net.keizaikai.co.jp/archives/3381</guid>
      <pubDate>Wed, 27 May 2026 05:00:00 +0900</pubDate>
    </item>
    <item>
      <title>連載45年『キャプテン翼』はなぜ今も色褪せず国内外で支持されるのか</title>
      <link>https://net.keizaikai.co.jp/archives/3378</link>
      <description><![CDATA[今年で連載45周年、高橋陽一氏の看板作品『キャプテン翼』はなぜ今も色褪せることなく国内外で支持され、さまざまな取り組みが行われているのか。2016年に設立され、24年に集英社からライツ管理を受け継いだTSUBASAの岩本義弘代表取締役がアクティブに仕掛ける今と、壮大に広がる未来への想いを語る。（雑誌『経済界』2026年[&#8230;]]]></description>
      <content:encoded><![CDATA[<p>今年で連載45周年、高橋陽一氏の看板作品『キャプテン翼』はなぜ今も色褪せることなく国内外で支持され、さまざまな取り組みが行われているのか。2016年に設立され、24年に集英社からライツ管理を受け継いだTSUBASAの岩本義弘代表取締役がアクティブに仕掛ける今と、壮大に広がる未来への想いを語る。（雑誌『<a rel="noreferrer noopener" href="https://keizaikai.co.jp/category/magazine" target="_blank">経済界</a>』2026年7月号より）</p><h2 id="-tsubasa-">岩本義弘　TSUBASAのプロフィール</h2><div class="media">  <img src="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/400/wbtOAUNohEpzdIJoNdTAYUOiFyksFdbE/bb597aaa-ec07-43a9-8927-3fbc67d0fa50.jpg" width="600" height="400" loading="lazy" alt="岩本義弘" srcset="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/500/333/wbtOAUNohEpzdIJoNdTAYUOiFyksFdbE/bb597aaa-ec07-43a9-8927-3fbc67d0fa50.jpg 512w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/400/wbtOAUNohEpzdIJoNdTAYUOiFyksFdbE/bb597aaa-ec07-43a9-8927-3fbc67d0fa50.jpg 1024w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/400/wbtOAUNohEpzdIJoNdTAYUOiFyksFdbE/bb597aaa-ec07-43a9-8927-3fbc67d0fa50.jpg 2048w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/350/233/wbtOAUNohEpzdIJoNdTAYUOiFyksFdbE/bb597aaa-ec07-43a9-8927-3fbc67d0fa50.jpg 350w"><div class="caption">TSUBASA代表取締役　岩本義弘<br>いわもと・よしひろ　1972年7月24日生まれ。東京都出身。TSUBASAの代表取締役として『キャプテン翼』のライツ業務全般を担当。南葛SCでは代表取締役専務兼GMとして事業と強化の責任者を務める。また、サッカー解説者やスポーツジャーナリストとしても活動しており、歴代のサッカー日本代表選手や、大谷翔平選手、ダルビッシュ有投手などへのインタビュー実績がある。</div></div><h2 id="24-">24年から『キャプテン翼』のライツを自社で管理</h2><p><strong>──　まずはＴＳＵＢＡＳＡがどのような会社なのか教えてください。</strong></p><p><strong>岩本</strong>　２０１６年に『サッカーキング』というメディアを運営している会社の代表取締役を退任してＴＳＵＢＡＳＡを設立しました。この会社で、世界中で愛されている『キャプテン翼』のライツを管理しています。もともとは集英社さんが管理していたのですが、24年に当社が引き受けさせていただくことになりました。</p><p>　それとＴＳＵＢＡＳＡと並行して、20年にキャプテン翼財団を立ち上げました。この組織は25年１月１日付で内閣府から公益財団法人に認定されていまして、キャプテン翼の原作者である高橋陽一先生が長い漫画家人生で描かれてきた原画の保存と利活用を担っています。高橋先生に全原画を財団に寄付いただき、厳重に管理するとともにデジタル化も進めつつ、また、世界中で原画展を開催するなどの活動も今後、積極的に行っていく予定です。その他、子ども向けのサッカー教室や、大人向けの講演会なども実施しています。</p><p><strong>──　キャプテン翼という巨大ＩＰ（知的財産）ともなると、ライツ移行の交渉は大変だったと思います。</strong></p><p><strong>岩本</strong>　時間はかかりましたが大きな問題などはなかったですし、集英社さんとは今も良好なパートナー関係にあります。キャプテン翼のＩＰをどのように守り、さらに発展させていくべきかを高橋先生と深く話し合う中で、先生に事業のビジョンについて賛同していただき、そこを出発点に集英社さんと協議を重ねました。</p><p>　キャプテン翼は集英社さんにとっても特別な作品で、協議の中では双方、「サッカーファースト」の精神と、作品へのリスペクトを抱き、何が最善かを話し合って当社で管理することに理解を示していただきました。私自身、集英社さんとは25年近いお付き合いがあり、強固な信頼関係があったことも後押しにはなったと思います。</p><p>　これまでは高橋先生の個人事務所が権利を持ち、集英社さんが管理し、ＴＳＵＢＡＳＡは主に海外展開の事業を再委託の形で任されていたのですが、今回のライツ移行によって商流が変わりＴＳＵＢＡＳＡがライツを管理し、案件によっては集英社さんにご協力いただくような形を取っています。ただ厳密にはすべての権利を管理しているわけではなく、例えば18年、23年に放送したアニメは製作委員会方式で、引き続き集英社さんがライツを管理しています。</p><p><strong>──　今後のビジョンにおいて、売り上げを伸ばしていくことも視野に入れているのでしょうか。</strong></p><p><strong>岩本</strong>　入れていますし、それも高橋先生の決断につながった１つの要因です。高橋先生は南葛ＳＣというサッカークラブのオーナーで、私はそこの代表兼ＧＭ（ゼネラルマネージャー）も務めています。そのクラブをＪリーグに昇格させることを目指していて、そのためにはさらなる強化資金が必要になります。</p><p>　高橋先生は贅沢をされるタイプではなく普段の生活もストイックで、すでに多くのお金をクラブに投じています。ですが、さらに上を目指すには多額の資金が継続的にかかってきます。それを補っていくために、ＩＰビジネスを拡大して売り上げを伸ばしていこうと考えています。</p><div class="media">  <img alt="TSUBASA" srcset="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/500/qXwlSaIIqNUmxqxPCaEOWyDVGgsgbdJb/777b7e01-3691-4833-99f4-b7e9ec90046e.jpg 2048w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/350/291/qXwlSaIIqNUmxqxPCaEOWyDVGgsgbdJb/777b7e01-3691-4833-99f4-b7e9ec90046e.jpg 350w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/500/416/qXwlSaIIqNUmxqxPCaEOWyDVGgsgbdJb/777b7e01-3691-4833-99f4-b7e9ec90046e.jpg 512w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/500/qXwlSaIIqNUmxqxPCaEOWyDVGgsgbdJb/777b7e01-3691-4833-99f4-b7e9ec90046e.jpg 1024w" src="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/500/qXwlSaIIqNUmxqxPCaEOWyDVGgsgbdJb/777b7e01-3691-4833-99f4-b7e9ec90046e.jpg" width="600" height="500" loading="lazy"><div class="caption">日本各地で『キャプテン翼』の原画展を開催。2025年10月には埼玉県のららぽーと新三郷で行われ、26年6月には東京都の東武百貨店 池袋店で行われる<br>ⓒ南葛SC</div></div><h2 id="-">ワールドカップの影響で１００件近い話が進行</h2><p><strong>──　ＴＳＵＢＡＳＡでライツを管理することの強みはどのようなところにあるのでしょうか。</strong></p><p><strong>岩本</strong>　最大のメリットはスピード感です。集英社さんは大きな会社なので、何をするにも段階的なプロセスを踏む必要があります。それが世界的な団体や大手企業との大規模な取り組みになれば、より時間がかかります。でも今の体制では高橋先生とうちで迅速に意思決定できるようになり、もともとの漫画の世界的な人気もあって新しい取り組みも次々とスタートできるようになりました。</p><p><strong>──　具体的にどのような取り組みを進めているのでしょうか。</strong></p><p><strong>岩本</strong>　サッカーのワールドカップが今年開催されることもあり、たくさんの相談が来ていて、今は１００件近い話が同時に動いています。その中で特に大きいのはゲームで、近々、２作品を展開する予定です。一つは家庭用ゲーム機のソフトで、もう一つはスマホゲームです。ゲームについては「非独占」の方針で各メーカーからの提案を柔軟に受け入れています。</p><p>　企業や団体との取り組みでは、今年のＪリーグ百年構想リーグで公式球にキャプテン翼のイラストを採用していただき、プロモーションでも『アオアシ』や『ブルーロック』という他社作品とのコラボで起用していただきました。このコラボも以前の権利体制ではスピード感的に実現のハードルが高かったと思います。</p><p><strong>──　高橋さん、岩本さんの今後の目標をお聞かせください。</strong></p><p><strong>岩本</strong>　大きく３つあります。１つ目は、高橋先生がキャプテン翼という物語の中で、主人公である大空翼がワールドカップで優勝を果たすという悲願を描ききるのをサポートすることです。</p><p>　２つ目は、高橋先生も公言していますが、南葛ＳＣをＪリーグを代表するクラブにすることです。３月31日に高橋先生と葛飾区に、公式に「スタジアム整備計画等に関する要望書」を提出しました。まだ時間はかかりますが、葛飾区内にスタジアムを作り、そこでＪリーグクラブとして戦うことを実現したいです。</p><p>　３つ目は、キャプテン翼という漫画、アニメ、グッズなどのすべてを正しい形で世界中に届けたいです。すでに世界中のサッカー選手が知っていますけど、まだ身近にはない地域もありますし、知られていても正しく伝わっていないこともあるので、それを10年、20年かけてでも正しい形で届けていきたいですね。</p><div class="media">  <img height="401" loading="lazy" alt="TSUBASA" srcset="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/350/233/yVTjOnljVsWnGbuncXHcQxdTITrylyJI/2c705805-797d-44e4-be7b-b2294b76be67.jpg 350w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/500/334/yVTjOnljVsWnGbuncXHcQxdTITrylyJI/2c705805-797d-44e4-be7b-b2294b76be67.jpg 512w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/401/yVTjOnljVsWnGbuncXHcQxdTITrylyJI/2c705805-797d-44e4-be7b-b2294b76be67.jpg 1024w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/401/yVTjOnljVsWnGbuncXHcQxdTITrylyJI/2c705805-797d-44e4-be7b-b2294b76be67.jpg 2048w" src="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/401/yVTjOnljVsWnGbuncXHcQxdTITrylyJI/2c705805-797d-44e4-be7b-b2294b76be67.jpg" width="600"><div class="caption">高橋陽一氏がオーナーを務める南葛SCは、国内で実質5部リーグにあたる関東サッカーリーグ1部を戦う  </div></div><div class="media">  <img height="400" loading="lazy" alt="TSUBASA" srcset="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/350/233/GtiYnEgdIVtOmgHgxCZqCaZvIgkIkKjc/41ed7286-8423-4751-87fe-389e9311a7a6.jpg 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      <category><![CDATA[文化・ライフ]]></category>
      <dc:creator><![CDATA[経済界編集部]]></dc:creator>
      <guid>https://net.keizaikai.co.jp/archives/3378</guid>
      <pubDate>Tue, 26 May 2026 05:00:00 +0900</pubDate>
    </item>
    <item>
      <title>編集者が明かす ヒット漫画のIPビジネスの大いなる可能性</title>
      <link>https://net.keizaikai.co.jp/archives/3379</link>
      <description><![CDATA[講談社で『ブルーロック』や『アルスラーン戦記』、『ガチアクタ』などの人気作を手がける「週刊少年マガジン」の土屋萌副編集長が、IP（知的財産）を活用したビジネスの大いなる可能性とその裏側を明かす。漫画の魅力をどのように引き出し、どのようなプロセスでアニメ化、映画化、さらにグッズ展開するのか。（雑誌『経済界』2026年7月[&#8230;]]]></description>
      <content:encoded><![CDATA[<p>講談社で『ブルーロック』や『アルスラーン戦記』、『ガチアクタ』などの人気作を手がける「週刊少年マガジン」の土屋萌副編集長が、IP（知的財産）を活用したビジネスの大いなる可能性とその裏側を明かす。漫画の魅力をどのように引き出し、どのようなプロセスでアニメ化、映画化、さらにグッズ展開するのか。（雑誌『<a rel="noreferrer noopener" href="https://keizaikai.co.jp/category/magazine" target="_blank">経済界</a>』2026年7月号より）</p><h2 id="-">土屋 萌　講談社のプロフィール</h2><div class="media">  <img width="600" height="400" loading="lazy" alt="土屋萌" srcset="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/350/233/ApdzVOagaKSuGjwKdeAWmAhFxSojXplZ/b0e6811e-0aef-47bf-9b25-5043e5a27e84.jpg 350w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/500/333/ApdzVOagaKSuGjwKdeAWmAhFxSojXplZ/b0e6811e-0aef-47bf-9b25-5043e5a27e84.jpg 512w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/400/ApdzVOagaKSuGjwKdeAWmAhFxSojXplZ/b0e6811e-0aef-47bf-9b25-5043e5a27e84.jpg 1024w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/400/ApdzVOagaKSuGjwKdeAWmAhFxSojXplZ/b0e6811e-0aef-47bf-9b25-5043e5a27e84.jpg 2048w" src="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/400/ApdzVOagaKSuGjwKdeAWmAhFxSojXplZ/b0e6811e-0aef-47bf-9b25-5043e5a27e84.jpg"><div class="caption">講談社 週刊少年マガジン編集部副編集長　土屋 萌<br>つちや・めぐむ　1987年5月12日生まれ。神奈川県出身。2012年に青山学院大学文学部を卒業し、講談社に入社。同年に週刊少年マガジン編集部配属となり、23年から副編集長を務める。現在は『ブルーロック』、『アルスラーン戦記』、『ガチアクタ』などを担当。過去には『七つの大罪』、『ランウェイで笑って』、『神さまの言うとおり』、『炎炎ノ消防隊』などにも携わった。</div></div><h2 id="-">製作委員会を中心にアニメ化、映画化が進む</h2><p><strong>──　漫画作品を企画する際、編集者は作品の「面白さ」だけでなく、アニメ化やグッズ展開といったＩＰ（知的財産）ビジネスの拡張性も意識されるのでしょうか。</strong></p><p><strong>土屋</strong>　まず大前提として作家さんが描きたいもの、漫画として面白いものを大切にしています。その上で編集者として、作品の個性をどのように世の中に出していくかという考えの中でビジネス展開を意識している人は多いと思います。</p><p>　ただ最初からビジネスのみを優先して作ると没個性的な作品になりやすいため、まずは作家さんの作品に対する考えや想い、熱量を大切にしながら、その魅力を増幅させていく順番で発展性を考えています。</p><p><strong>──　現在、担当しているサッカー漫画『ブルーロック』を例に、アニメ化やグッズ化などへの展開の流れを教えてください。</strong></p><p><strong>土屋</strong>　当社にはライツ部門という、漫画原作以外のあらゆる二次利用展開を専門に扱う部署があります。アニメ化の場合は、アニメ制作会社やテレビ局、各メーカーさまなどと、当社のライツ部門で構成される「製作委員会」でいろいろなことを決めていき、そこから派生する形で映画化やグッズ化なども進めていくスタイルが主流です。</p><p>　製作委員会はどなたが発起人となるか、幹事となるかはケースバイケースなのですが、『ブルーロック』の場合は、バンダイナムコフィルムワークスのプロデューサーの方が原作を気に入ってくださり、熱意を持って提案していただいたことがきっかけでした。</p><p><strong>──　ブルーロックは女性ファンも多い印象ですが、当初からターゲットとして意識していたのでしょうか。</strong></p><p><strong>土屋</strong>　あくまでメインターゲットは少年漫画の読者さんですが、キャラクターが立ち、グッズに手を伸ばしてもらえる作品にしたい、という狙いは当初からありました。その上で、女性も含めた幅広い層に魅力的に映ればうれしいと思い、個性のあるキャラクター作りを意識しまして、その結果、性別や年齢を問わずたくさんの方々から愛される作品、キャラクターになっていると思います。</p><p>　例えば、連載が始まる前に各キャラクターのイメージカラーを設定しました。主人公の潔世一は蛍光グリーン、ライバルの１人である糸師凛はスカイブルーといった形で、その色見本を世界各国のライセンス先にも共有し、どの国でグッズを作ってもブランドが統一されるように徹底しています。</p><div class="tableWrap"><table><tr><td style="border:none"><img src="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/311/418/PruYQkNioaTPJahIOlIuQZoDnDwVvGyE/16212e65-b6b3-4122-ba1f-f608ae119598.jpg" width="600" height="500" loading="lazy" alt="炎炎ノ消防隊" srcset="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/311/418/PruYQkNioaTPJahIOlIuQZoDnDwVvGyE/16212e65-b6b3-4122-ba1f-f608ae119598.jpg 350w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/311/418/PruYQkNioaTPJahIOlIuQZoDnDwVvGyE/16212e65-b6b3-4122-ba1f-f608ae119598.jpg 512w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/311/418/PruYQkNioaTPJahIOlIuQZoDnDwVvGyE/16212e65-b6b3-4122-ba1f-f608ae119598.jpg 1024w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/311/418/PruYQkNioaTPJahIOlIuQZoDnDwVvGyE/16212e65-b6b3-4122-ba1f-f608ae119598.jpg 2048w"></td><td style="border:none"><img loading="lazy" alt="炎炎ノ消防隊" srcset="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/308/418/AewwAqVMpYPsDqOwaKyRHiRIJKlFQbkI/e3d9b60f-16c6-4be9-b38c-8d302b64e179.jpg 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height="500" loading="lazy"></td></tr></table><div class="caption">土屋副編集長が担当する『ブルーロック』（左上）©︎金城宗幸・ノ村優介／講談社、『アルスラーン戦記』（右上）©︎荒川弘・田中芳樹／講談社（光文社カッパ・ノベルス刊）、『ガチアクタ』（左下）©︎裏那圭・晏童秀吉／講談社、『炎炎ノ消防隊』（右下）©︎大久保篤／講談社</div></div><h2 id="-">担当作品の累計発行部数１億部を目指したい</h2><p><strong>──　ブルーロックは８月に実写映画も公開されますが、これまで担当された作品で、過去の企画で特に印象に残っているものは？</strong></p><p><strong>土屋</strong>　たくさんありますが、ブルーロックで２つ挙げるなら、１つは伊勢丹新宿店さんのポップアップイベントですね。現代アーティストの山下良平さんとのコラボで、作画のノ村優介先生が描き下ろした絵をアート作品として再構築して展示・販売しました。ファッションやカルチャーとの珍しい取り組みで、漫画やアニメ以外の入り口からたくさんの方々に喜んでいただけたと思います。</p><p>　もう１つは、サッカーの２０２２年ワールドカップでの日本代表のユニホーム発表にまつわる取り組みです。週刊少年マガジン本誌でのカラーページで主人公の潔が公式発表に先駆けて、実際のユニホームを着ているという先行発表を行いました。現実のサッカーと連動することで大変思い出深い企画となりました。</p><p>　他の作品では、『炎炎ノ消防隊』のリズムゲームアプリも良い思い出です。この作品は主人公の森羅日下部がキック中心の戦闘スタイルで、その動きはブレイクダンスを参考にしていて音楽との相性がとてもいいのです。それで、17年に作品のプロモーションとしてゲームを制作したのですが、アクションや音楽のカッコ良さもあり、そこを起点にして良い形で広まっていったと思います。</p><p>　また、僕が担当を外れた後の話ですが、『七つの大罪』のスマホゲーム（『七つの大罪 ～光と闇の交戦（グランドクロス）～』）はとても良い成功例になりました。講談社の歴史の中でもゲーム化による利益は最大規模だと思います。</p><p><strong>──　こうした他ビジネスへの展開により、原作側にはどのようにお金が支払われるのでしょうか。</strong></p><p><strong>土屋</strong>　プロジェクトや関わる会社によって多少の違いはあるかもしれないですが、ゲームの場合、基本的に作家さんとライツを管理する出版社に使用料が入ります。その上で、課金などによりさらに売り上げが発生する際はロイヤリティが製作委員会に入り、その委員会への出資比率によって各社に分配され、原作側にもお金が支払われる形になります。アニメや映画、グッズも大枠はそのようなスキームになっています。</p><p><strong>──　今後の目標を教えてください。</strong></p><p><strong>土屋</strong>　ユニクロさんのＴシャツの「ＵＴ」は全世界で発売されるものすごい企画で、担当作品とコラボさせていただくことが夢だったのですが、５月に「ブルーロックＵＴ」の世界発売が決まり、叶ったのです。もう１つの目標は、師匠と言える先輩編集者に示された「担当作品の累計発行部数１億部」を目指したいと思っています。現在は運に恵まれて約８５００万部まで来ているのですが、ここからがまだまだ遠くて……。</p><p>　それとこれは編集部としての目標でもありますが、世界的な作品、キャラクターを作りたいです。漫画発で、例えばミッキーマウスのような誰でも知っているモノ・存在を生み出したいですね。世界という観点では、連載漫画を時差なく楽しめる環境も整えたいと思っています。日本で発売されるタイミングで、サイマルで全世界に正規品を届けて、その対価を作家さんにしっかりと還元する仕組みを地球規模で整備することも、できるだけ早く実現したいです。</p><div class="media">  <img src="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/500/QziEjxewGekeLmGeWFFpYTcjpWJSHWSx/1bbf4472-38cb-4922-b730-30f9d0fb8092.jpg" width="600" height="500" loading="lazy" alt="ブルーロック" srcset="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/350/291/QziEjxewGekeLmGeWFFpYTcjpWJSHWSx/1bbf4472-38cb-4922-b730-30f9d0fb8092.jpg 350w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/500/416/QziEjxewGekeLmGeWFFpYTcjpWJSHWSx/1bbf4472-38cb-4922-b730-30f9d0fb8092.jpg 512w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/500/QziEjxewGekeLmGeWFFpYTcjpWJSHWSx/1bbf4472-38cb-4922-b730-30f9d0fb8092.jpg 1024w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/500/QziEjxewGekeLmGeWFFpYTcjpWJSHWSx/1bbf4472-38cb-4922-b730-30f9d0fb8092.jpg 2048w"><div class="caption">高橋文哉さん主演の実写映画『ブルーロック』は8/7から東宝系にて公開される<br>©︎金城宗幸・ノ村優介／講談社　©︎CK WORKS</div></div><div class="media">  <img alt="ブルーロック" srcset="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/350/291/zbhosXcPvsASbHgDuOxZpDYXchtgUWNV/f604c0a3-35d4-4601-ab46-2f305961a191.jpg 350w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/500/416/zbhosXcPvsASbHgDuOxZpDYXchtgUWNV/f604c0a3-35d4-4601-ab46-2f305961a191.jpg 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      <category><![CDATA[文化・ライフ]]></category>
      <dc:creator><![CDATA[経済界編集部]]></dc:creator>
      <guid>https://net.keizaikai.co.jp/archives/3379</guid>
      <pubDate>Tue, 26 May 2026 05:00:00 +0900</pubDate>
    </item>
    <item>
      <title>『左ききのエレン』作者が語るIPビジネスと漫画家のリアル</title>
      <link>https://net.keizaikai.co.jp/archives/3376</link>
      <description><![CDATA[投稿サイトでのブレイクをきっかけに、2016年に広告クリエイターから漫画家へと転身したかっぴー氏。代表作『左ききのエレン』はドラマ化、舞台化、アニメ化と多角的に広がっている。成功の道を歩む気鋭の作家が思う業界課題と次なる目標とは。IP（知的財産）ビジネスと漫画家のリアルに迫る。（雑誌『経済界』2026年7月号より） か[&#8230;]]]></description>
      <content:encoded><![CDATA[<p>投稿サイトでのブレイクをきっかけに、2016年に広告クリエイターから漫画家へと転身したかっぴー氏。代表作『左ききのエレン』はドラマ化、舞台化、アニメ化と多角的に広がっている。成功の道を歩む気鋭の作家が思う業界課題と次なる目標とは。IP（知的財産）ビジネスと漫画家のリアルに迫る。（雑誌『<a rel="noreferrer noopener" href="https://keizaikai.co.jp/category/magazine" target="_blank">経済界</a>』2026年7月号より）</p><h2 id="-">かっぴーのプロフィール</h2><div class="media">  <img src="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/400/WgluqgQQIWoVhUIdIjJcrJOdLZfwVmnK/1f526bff-6bbe-4d66-87fa-c381915d421c.jpg" width="600" height="400" loading="lazy" alt="かっぴー" srcset="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/400/WgluqgQQIWoVhUIdIjJcrJOdLZfwVmnK/1f526bff-6bbe-4d66-87fa-c381915d421c.jpg 1024w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/400/WgluqgQQIWoVhUIdIjJcrJOdLZfwVmnK/1f526bff-6bbe-4d66-87fa-c381915d421c.jpg 2048w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/350/233/WgluqgQQIWoVhUIdIjJcrJOdLZfwVmnK/1f526bff-6bbe-4d66-87fa-c381915d421c.jpg 350w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/500/333/WgluqgQQIWoVhUIdIjJcrJOdLZfwVmnK/1f526bff-6bbe-4d66-87fa-c381915d421c.jpg 512w"><div class="caption">漫画家／漫画原作者　かっぴー<br>1985年生まれ。神奈川県出身。武蔵野美術大学を卒業後、2009年に広告代理店の東急エージェンシーに入社し、アートディレクターとして勤務。面白法人カヤックを経て、16年に漫画家として独立した。『左ききのエレン』をcakesで連載、SNSを中心に話題を呼び「少年ジャンプ＋」でリメイク。現在は同作の他、『大人大戦』を週刊連載中。5月に初のビジネス書『天才になれなかった全ての人へ 自分だけの武器が見つかる才能論』を刊行。</div></div><h2 id="-">投稿サイトで話題になり少年ジャンプ＋でリメイク</h2><p><strong>──　２０１６年に広告クリエイターから漫画家に転身して独立しました。その理由を教えてください。</strong></p><p><strong>かっぴー</strong>　今も描き続けている『左ききのエレン』という作品のストーリーを思いついたから、というのが一番大きいです。その当時、会社員でありながら読み切りの漫画を描いて、ｃａｋｅｓという投稿サイトで賞をいただき、連載ができることになりました。それで漫画家としてチャレンジしたのです。</p><p>　一応、クリエイターとしてのキャリアもあったので仮にうまくいかなかったとしても再就職できるだろうと。そういう意味では無謀な挑戦ではなかったかなと思います。ただ、今思うと人生で一番の転機でしたね。</p><p> <strong>──　それでもｃａｋｅｓでのエレンの連載が話題になり、翌17年から「少年ジャンプ＋」でリメイク連載がスタートしました。珍しい形でのステップアップだったと思います。</strong></p><p><strong>かっぴー</strong>　すでにＯＮＥさんが投稿サイトでの人気をきっかけに『ワンパンマン』を連載していたので、そういう展開も可能性としてはあるのかなとは思っていました。でも、当時は漫画家という職業がどういうものか、どういうキャリアを歩んでいくのか分かっていなくて、とにかくジャンプコミックスで単行本を１冊出せたらそれだけで十分だと。おじいちゃんになっても一生自慢できると思っていましたね。</p><p><strong>──　リメイク版ではかっぴーさんが原作者で、作画はｎｉｆｕｎｉさん、最初の編集担当は『ＳＰＹ×ＦＡＭＩＬＹ』や『チェンソーマン』を手がける林士平さんでした。</strong></p><p><strong>かっぴー</strong>　はじめに林さんからご連絡をいただき、「ジャンプスクエア」でオリジナル作品の連載をさせていただくことになったのですが、同時期に「エレンをリメイクしませんか」というお話をいただき、少年ジャンプ＋で連載することになりました。</p><p>　林さんは本当に優しくて大らかな人で、直しは全然なかったです。「いいですね」と肯定してくれるタイプで、逆に心配になったぐらいです（笑）。ただ、エレンは僕が思ったとおり描くのがいいと尊重してくれたのかもしれないですね。この作品では５年間で４人の編集の方に担当してもらいましたが、２００話以上で直しは２箇所ぐらいでした。でも今、手がけている作品では１話で４箇所指摘いただくこともあるので。</p><p>　ｎｉｆｕｎｉさんはもともと原作の読者で、ストーリーや内容への理解が完璧でした。</p><p>　制作にあたってよくお話するのは演技指導のような部分ですね。特に表情についてはこだわって伝えていました。表情を描くのって画力とは違うベクトルで、うまい人ほど制限がかかってしまうこともあって。それで「こういう顔です」と自分の顔写真や動画を送っていました。</p><div class="media">  <img width="600" height="454" loading="lazy" alt="左ききのエレン" srcset="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/454/QbqAXBfEmOTgjWlOyixsORIvgsrQIxYO/903d07dc-5589-4a12-a5b5-e43d8fa5ff98.jpg 2048w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/350/264/QbqAXBfEmOTgjWlOyixsORIvgsrQIxYO/903d07dc-5589-4a12-a5b5-e43d8fa5ff98.jpg 350w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/500/378/QbqAXBfEmOTgjWlOyixsORIvgsrQIxYO/903d07dc-5589-4a12-a5b5-e43d8fa5ff98.jpg 512w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/454/QbqAXBfEmOTgjWlOyixsORIvgsrQIxYO/903d07dc-5589-4a12-a5b5-e43d8fa5ff98.jpg 1024w" src="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/454/QbqAXBfEmOTgjWlOyixsORIvgsrQIxYO/903d07dc-5589-4a12-a5b5-e43d8fa5ff98.jpg"><div class="caption">かっぴー氏が作画まで行う原作版『左ききのエレン』は現在、投稿プラットフォームのnoteで連載中<br>©︎kappy2018／ナンバーナイン</div></div><h2 id="-">原作から何かを変えるなら対決する気で良くしてほしい</h2><p><strong>──　デビューからわずか３年でドラマが始まり、翌年には舞台も公演されるなど多角展開していきました。</strong></p><p><strong>かっぴー</strong>　ドラマ化の話はデビュー１年目の時に来ていました。ただ、少年ジャンプ＋でのリメイクの話もあったので、連載が始まって、ある程度、巻数がいって広く知られてからにしたいと待ってもらったのです。</p><p>　ドラマ化や舞台化はすごくうれしかったのですが、冷静に考える部分もありました。自分が成し遂げたというより周りが進めてくれた感覚で、自分のレベルが上がっているわけではないと。時間も気持ちも割かれて忙しくなるし、だからといって実入りが特別多いわけでもなく、そこまで浮かれることはなかったです。</p><p><strong>──　４月からはアニメがスタートしました。今作ではご自身も製作委員会に出資し、制作にも携わっているそうですね。</strong></p><p><strong>かっぴー</strong>　アニメで利益化する難しさは分かっていましたし、儲かりそう、というよりも、面白そうという気持ちから出資しました。どうでもいいことにお金を使うよりも、わが子のような作品ですし、それこそ子どもの習い事にお金を出すような、そんな感覚ですね。</p><p>　制作にあたっては、キャラクターデザインから持ち物の資料まですべて確認し、絵コンテや脚本もチェックしました。それとグッズの監修やアフレコへの立ち会いもしました。</p><div class="media">  <img width="600" height="500" loading="lazy" alt="左ききのエレン" srcset="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/350/291/lDRuZMdjXlCnzhyDHrEXDDEgVLaWDlyO/9cb954e1-602d-45d9-a8c8-38937647bd5c.jpg 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VideoやU-NEXT、Huluなどの動画配信サービスでも視聴できる<br>©かっぴー／アニメ「左ききのエレン」製作委員会</div></div><p><strong>──　グッズで言うと、漫画に登場するブランド『ＡＫ５』のアパレルも実際に作って販売していますね。</strong></p><p><strong>かっぴー</strong>　グッズ化するなら本当にいいものを作りたいと思っていて、ＡＫ５のアパレルは中目黒にある「ＢＩＮ」というセレクトショップとのコラボで作っています。今、着ているこの黒いシャツも、シワにならない素材でオーバーサイズでストリートっぽく着られるカッコいい服に仕上がって、すごく気に入っています。</p><p><strong>──　ドラマやアニメなどに展開されるにあたって、作者としてゆずれないところやこだわりはありますか。</strong></p><p><strong>かっぴー</strong>　変えるなら絶対に良くしてほしいということだけですね。エレンは「グラフィティ」から始まっている作品で、そのルールとして「いいものは上書きできる」という考えがあります。その上で、原作順守にはこだわっていませんが、物語のメッセージは変えないようにしたい。「夢は信じれば叶う」という結末になったり、エレンと光一が恋愛したりするのは違います。そこさえ守って、変えるなら原作と対決するつもりで良くしてほしいと伝えています。</p><div class="media">  <img src="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/435/fwApNxoymYaCGmXGvDGJmKNQwBGmgcQH/dc5779fe-5c5d-48b1-a774-463deb463165.jpg" width="600" height="435" loading="lazy" alt="左ききのエレン" srcset="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/350/253/fwApNxoymYaCGmXGvDGJmKNQwBGmgcQH/dc5779fe-5c5d-48b1-a774-463deb463165.jpg 350w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/500/362/fwApNxoymYaCGmXGvDGJmKNQwBGmgcQH/dc5779fe-5c5d-48b1-a774-463deb463165.jpg 512w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/435/fwApNxoymYaCGmXGvDGJmKNQwBGmgcQH/dc5779fe-5c5d-48b1-a774-463deb463165.jpg 1024w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/435/fwApNxoymYaCGmXGvDGJmKNQwBGmgcQH/dc5779fe-5c5d-48b1-a774-463deb463165.jpg 2048w"><div class="caption">『左ききのエレン』の作中のブランド『AK5』を実際のアパレルやアイテムとして展開。エレンが着るコート『新月』（左）、作品の世界観を表現した『エレンウォッチ』（右）</div></div><h2 id="-">お金を稼ぐだけじゃなく一大イベントに挑戦したい</h2><p><strong>──　エレンはシャンプーの『スカルプＤ』をはじめ実際の商品とのコラボも多く実施しています。特に印象に残っているものは。</strong></p><p><strong>かっぴー</strong>　連載初期に携わったサントリーさんの『ザ・プレミアム・モルツ』は特に印象に残っています。じわじわ広がって長い間、話題にしてもらえましたし、漫画にも登場させられたことで記録にも残る、良いコラボになったと思います。</p><div class="media">  <img src="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/252/CklYNzVmcCgJcHNMcFEHiPkuOYxCxUaO/d7d31db4-db77-4777-8a3d-d2b187ae88f4.jpg" width="600" height="252" loading="lazy" alt="左ききのエレン" srcset="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/500/210/CklYNzVmcCgJcHNMcFEHiPkuOYxCxUaO/d7d31db4-db77-4777-8a3d-d2b187ae88f4.jpg 512w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/252/CklYNzVmcCgJcHNMcFEHiPkuOYxCxUaO/d7d31db4-db77-4777-8a3d-d2b187ae88f4.jpg 1024w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/252/CklYNzVmcCgJcHNMcFEHiPkuOYxCxUaO/d7d31db4-db77-4777-8a3d-d2b187ae88f4.jpg 2048w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/350/147/CklYNzVmcCgJcHNMcFEHiPkuOYxCxUaO/d7d31db4-db77-4777-8a3d-d2b187ae88f4.jpg 350w"><div class="caption">サントリー『ザ・プレミアム・モルツ』とのコラボでは、作中で主人公の朝倉光一たちがデザインした広告ビジュアルが渋谷駅に実際に掲出された（画像は実際のポスターを基にしたイメージです）</div></div><p><strong>──　今後の漫画業界をどのように見ていますか。</strong></p><p><strong>かっぴー</strong>　最近は過去作品のリバイバルばかりで、今しかない新しいものを作っていかないと終わってしまうのではないかと危惧しています。今の子どもたちは「漫画離れ」が始まっているという話もありますし、子どもたちが求めているもの、新しい『ＯＮＥ ＰＩＥＣＥ』や『鬼滅の刃』のような時代を代表する作品が出てこないといけないなと。そのために今の子どもの憧れや想いを理解しないといけないと思っています。</p><p><strong>──　現在、少年ジャンプ＋で連載中の『大人大戦』は、まさに今の時代をテーマにした作品です。</strong></p><p><strong>かっぴー</strong>　この作品は日頃の鬱憤や考えを吐き出しています。僕はＳＮＳで注目されて漫画家になったのですが、ＳＮＳやインターネットでの相互監視、アテンション・エコノミーに対して思うところがあります。悪名でも注目されたもん勝ちという世界が嫌で、それに合わせて人格を変えるのも気持ち悪い。そういった歪んだ世界をブラックジョークにしてエンタメに昇華したのが大人大戦です。すごく気に入っています。</p><p><strong>──　海外の反響も大きいですね。</strong></p><p><strong>かっぴー</strong>　少年ジャンプ＋は「ＭＡＮＧＡ Ｐｌｕｓ」という名称で全世界で広く読まれていて、最新話も翻訳されて同時公開されます。その反響がＳＮＳで見られるのですが、海外の読者も日本の読者と同じところを面白がってくれていて、みんなが同じ気持ちで読んでくれているのはうれしいですね。</p><p>　ＭＡＮＧＡ Ｐｌｕｓではジャンプ本誌を含めたランキングがあるのですが、大人大戦は善戦しているみたいで、海外の方が反応がいいのかも、と思う時もあります。僕がＳＮＳで英語で投稿すると、たくさんのコメントももらえて驚いています。</p><div class="media">  <img src="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/500/HNSFCdZFLgnxZrkpOstVMQxoQydRpiWq/bd7b1d95-79fc-4501-8d1c-2ac41f20bebf.jpg" width="600" height="500" loading="lazy" alt="大人大戦" srcset="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/500/HNSFCdZFLgnxZrkpOstVMQxoQydRpiWq/bd7b1d95-79fc-4501-8d1c-2ac41f20bebf.jpg 2048w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/350/291/HNSFCdZFLgnxZrkpOstVMQxoQydRpiWq/bd7b1d95-79fc-4501-8d1c-2ac41f20bebf.jpg 350w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/500/416/HNSFCdZFLgnxZrkpOstVMQxoQydRpiWq/bd7b1d95-79fc-4501-8d1c-2ac41f20bebf.jpg 512w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/500/HNSFCdZFLgnxZrkpOstVMQxoQydRpiWq/bd7b1d95-79fc-4501-8d1c-2ac41f20bebf.jpg 1024w"><div class="caption">2025年から「少年ジャンプ＋」で連載している『大人大戦』は、SNSでの“監視社会”をテーマとする<br>©︎かっぴー・都築真佐秋／集英社</div></div><p><strong>──　海外を意識して作っている部分もあるのでしょうか。</strong></p><p><strong>かっぴー</strong>　面白い漫画を描けば自然と広まると思っていますし、特に戦略などはありません。ただ強いて言うなら、逆に日本的であろうと思っています。日本が舞台の作品であれば、日本のサラリーマンや学生、カラオケやゲームセンターなど、日本の当たり前をカッコ良く、魅力的に描ければと思っています。</p><p><strong>──　話は変わりますが、漫画家の待遇や収入面についてはどのように見ていますか。</strong></p><p><strong>かっぴー</strong>　あまり良くないですし、大変な人は多いと思います。「連載赤字」という言葉があるくらいで、連載していても原稿料だけだとアシスタント代などを払うと赤字になることも多い。単行本が売れて初めて利益が出る感じですね。僕は大ヒット作がない中堅ぐらいのポジションですけど、それでもそうなれるのはひと握りで。今は投稿サイトなどもあって簡単に漫画家になれますけど、その分、収入面で不幸になる人も増えたと思います。</p><p><strong>──　最後に今後の目標を聞かせてください。</strong></p><p><strong>かっぴー</strong>　最初は30年で10億円稼ぎたいって思っていたのですが、物価が上がり続けているので15億円を目指したいですね（笑）。今10年目で、あと20年でトータル15億稼げたら幸せに暮らせるかなと。</p><p>　ただ、そこを粛々と目指すだけじゃつまらない。例えば「週刊少年ジャンプ」で連載するような一大イベントに挑戦したい。今はいろいろなことをやりすぎて中途半端なんですよ。漫画家、原作者という本業がおろそかになっているところがあって、それを全部やめて、自分が一番面白いと思うストーリーを作ることに集中したいですね。</p>]]></content:encoded>
      <category><![CDATA[文化・ライフ]]></category>
      <dc:creator><![CDATA[経済界編集部]]></dc:creator>
      <guid>https://net.keizaikai.co.jp/archives/3376</guid>
      <pubDate>Mon, 25 May 2026 05:00:00 +0900</pubDate>
    </item>
    <item>
      <title>世界に広がる『キャプテン翼』の多角的IPビジネス</title>
      <link>https://net.keizaikai.co.jp/archives/3377</link>
      <description><![CDATA[（雑誌『経済界』2026年7月号より） 　1981年の連載開始以来、世界中の子どもたちにサッカーの楽しさを伝え、リオネル・メッシやキリアン・エンバペといったサッカー界のトップスターにまで影響を与えた『キャプテン翼』は世界的なスポーツIP（知的財産）として、アニメ化をはじめ多角的なビジネスを展開している。 　ゲーム化につ[&#8230;]]]></description>
      <content:encoded><![CDATA[<p>（雑誌『<a rel="noreferrer noopener" href="https://keizaikai.co.jp/category/magazine" target="_blank">経済界</a>』2026年7月号より）</p><p>　1981年の連載開始以来、世界中の子どもたちにサッカーの楽しさを伝え、リオネル・メッシやキリアン・エンバペといったサッカー界のトップスターにまで影響を与えた『キャプテン翼』は世界的なスポーツIP（知的財産）として、アニメ化をはじめ多角的なビジネスを展開している。</p><p>　ゲーム化については、古くはファミコンから始まり、以降も各家庭用ゲーム機のソフトを発売し、最近ではスマホゲームも複数作品をリリース。150カ国以上に配信されているものもある。また、ブロックチェーンゲームやメタバース空間で遊べるゲームも発表している。</p><p>　コラボアイテムも今なお人気だ。2026年のJリーグ百年構想リーグでは、公式試合球として大空翼がプリントされた『TSUBASA J PRO』を採用。直近ではスイスの歯ブラシメーカーとコラボ商品を発表したり、ミニカーのトミカとのコラボグッズも販売している。さらにキャプテン翼の名前を冠したフットサル場もある。</p><p>　漫画をきっかけに実際のサッカークラブとのコラボも実現した。漫画の中で翼が所属するバルセロナ、岬太郎が所属するパリ・サンジェルマン、日向小次郎が所属するユベントス、若林源三が所属するバイエルンなどとグッズ制作やPRなどさまざまな形でコラボしている。また、サッカーフランス代表とのコラボも大きな話題となった。</p><p>　連載開始から45年。現在、翼たちはオリンピック優勝を目指して戦っている。“あの頃”の物語が続いていることでIPの鮮度を保つことができ、国内だけでなく国外からもオファーが届き続けている。しかも海外進出はまだ始まったばかりで、展開できていない地域もまだまだあるという。 </p><p>　キャプテン翼のライツ管理は24年に集英社からTSUBASA社に移行した。集英社から再委託の形で海外事業をリードしていたTSUBASAは大手企業では難しい、中小企業ならではのスピード感でIPビジネスを拡張している。その勢いに乗り、翼ブランドは今後どこまで広がるのだろうか。</p><div class="media">  <img alt="翼スタジアム天王寺" srcset="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/350/262/SYdLKUgBZKeuQIrxmTPaNTHIlIhAmXGh/d962ef33-8f15-42a9-b535-98b6efa9d44d.jpg 350w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/500/375/SYdLKUgBZKeuQIrxmTPaNTHIlIhAmXGh/d962ef33-8f15-42a9-b535-98b6efa9d44d.jpg 512w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/450/SYdLKUgBZKeuQIrxmTPaNTHIlIhAmXGh/d962ef33-8f15-42a9-b535-98b6efa9d44d.jpg 1024w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/450/SYdLKUgBZKeuQIrxmTPaNTHIlIhAmXGh/d962ef33-8f15-42a9-b535-98b6efa9d44d.jpg 2048w" src="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/450/SYdLKUgBZKeuQIrxmTPaNTHIlIhAmXGh/d962ef33-8f15-42a9-b535-98b6efa9d44d.jpg" width="600" height="450" loading="lazy"><div class="caption">❶ 大阪の天王寺に「キャプテン翼スタジアム」（写真）、梅田には「キャプテン翼フィールド」という作品名を冠したフットサルコートも展開<br>Ⓒキャプテン翼スタジアム天王寺</div></div><div class="media">  <img alt="キャプテン翼" srcset="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/350/196/mKYwhfCrbvAaCdPUnTcRMNBRPGGWaXqs/dc33f84b-9857-4706-b0a4-a9c74f4e286d.jpg 350w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/500/280/mKYwhfCrbvAaCdPUnTcRMNBRPGGWaXqs/dc33f84b-9857-4706-b0a4-a9c74f4e286d.jpg 512w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/337/mKYwhfCrbvAaCdPUnTcRMNBRPGGWaXqs/dc33f84b-9857-4706-b0a4-a9c74f4e286d.jpg 1024w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/337/mKYwhfCrbvAaCdPUnTcRMNBRPGGWaXqs/dc33f84b-9857-4706-b0a4-a9c74f4e286d.jpg 2048w" src="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/337/mKYwhfCrbvAaCdPUnTcRMNBRPGGWaXqs/dc33f84b-9857-4706-b0a4-a9c74f4e286d.jpg" width="600" height="337" loading="lazy"><div class="caption">❷ 2026年2月、バンダイナムコエンターテインメントから家庭用ゲーム機のソフト、「キャプテン翼2 WORLD FIGHTERS」が同年に発売されることが発表された<br>©高橋陽一／集英社・キャプテン翼シーズン２ ジュニアユース編製作委員会 ©Bandai Namco Entertainment Inc.</div></div><div class="media">  <img srcset="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/337/vlJUDCqxsBrlTagPaBTNQRUtUOjveydi/a3a0eef0-8a2a-4b4b-83ea-3d56f0ee346c.jpg 2048w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/350/196/vlJUDCqxsBrlTagPaBTNQRUtUOjveydi/a3a0eef0-8a2a-4b4b-83ea-3d56f0ee346c.jpg 350w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/500/280/vlJUDCqxsBrlTagPaBTNQRUtUOjveydi/a3a0eef0-8a2a-4b4b-83ea-3d56f0ee346c.jpg 512w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/337/vlJUDCqxsBrlTagPaBTNQRUtUOjveydi/a3a0eef0-8a2a-4b4b-83ea-3d56f0ee346c.jpg 1024w" src="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/337/vlJUDCqxsBrlTagPaBTNQRUtUOjveydi/a3a0eef0-8a2a-4b4b-83ea-3d56f0ee346c.jpg" width="600" height="337" loading="lazy" alt="キャプテン翼"><div class="caption">❸ 2023年にゲーミングメタバース<br>「The Sandbox」に『キャプテン翼』とのコラボイベントとして「TSUBASA LAND」が公開された</div></div><div class="media">  <img src="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/313/jAkdopNNDCUpYiSzfenhzhtPrYDTLDfh/e267af64-1df5-4cd9-a601-f15101e662cc.jpg" width="600" height="313" loading="lazy" alt="キャプテン翼" srcset="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/350/182/jAkdopNNDCUpYiSzfenhzhtPrYDTLDfh/e267af64-1df5-4cd9-a601-f15101e662cc.jpg 350w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/500/260/jAkdopNNDCUpYiSzfenhzhtPrYDTLDfh/e267af64-1df5-4cd9-a601-f15101e662cc.jpg 512w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/313/jAkdopNNDCUpYiSzfenhzhtPrYDTLDfh/e267af64-1df5-4cd9-a601-f15101e662cc.jpg 1024w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/313/jAkdopNNDCUpYiSzfenhzhtPrYDTLDfh/e267af64-1df5-4cd9-a601-f15101e662cc.jpg 2048w"><div class="caption">❹ スイスのオーラルケアブランド「クラプロックス」は2026年2月、『キャプテン翼』とのコラボ商品を発売</div></div><div class="media">  <img width="600" height="337" loading="lazy" alt="キャプテン翼" srcset="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/500/280/hnSltqbJYWIzeFmHKOwWnswhFpYbHBvH/63e21408-73b8-499c-8205-f1ad6b49a484.jpg 512w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/337/hnSltqbJYWIzeFmHKOwWnswhFpYbHBvH/63e21408-73b8-499c-8205-f1ad6b49a484.jpg 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      <category><![CDATA[文化・ライフ]]></category>
      <dc:creator><![CDATA[経済界編集部]]></dc:creator>
      <guid>https://net.keizaikai.co.jp/archives/3377</guid>
      <pubDate>Mon, 25 May 2026 05:00:00 +0900</pubDate>
    </item>
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      <title>万博の立役者が初代校長に 多様性を育む新たな学び</title>
      <link>https://net.keizaikai.co.jp/archives/3375</link>
      <description><![CDATA[今回のゲストは、大阪・関西万博で催事検討会議の共同座長を務め、大成功に導いた大﨑洋さんです。次なる舞台はなんと教育現場！ 来春開校する通信制「雨ニモマケズ高校」の初代校長に就任されます。多様化する社会での新しい学びの形や、世代を超えた交流について、たっぷりとお話を伺いました。構成＝佐藤元樹　Photo＝田中和弘（雑誌『[&#8230;]]]></description>
      <content:encoded><![CDATA[<p>今回のゲストは、大阪・関西万博で催事検討会議の共同座長を務め、大成功に導いた大﨑洋さんです。次なる舞台はなんと教育現場！ 来春開校する通信制「雨ニモマケズ高校」の初代校長に就任されます。多様化する社会での新しい学びの形や、世代を超えた交流について、たっぷりとお話を伺いました。構成＝佐藤元樹　Photo＝田中和弘（雑誌『<a rel="noreferrer noopener" href="https://keizaikai.co.jp/category/magazine" target="_blank">経済界</a>』2026年6月号より）</p><h2 id="-">大﨑 洋　一般社団法人ｍｏｔｈｅｒ ｈａ．ｈａのプロフィール</h2><div class="media">  <img loading="lazy" alt="大﨑 洋　一般社団法人ｍｏｔｈｅｒ ｈａ．ｈａ" srcset="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/400/zaWpitrvyjcafiUNzbgIgBOdqaHMUSLq/d0d8a05b-a2b7-42a1-91bd-cb536e4e57c0.jpg 2048w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/350/233/zaWpitrvyjcafiUNzbgIgBOdqaHMUSLq/d0d8a05b-a2b7-42a1-91bd-cb536e4e57c0.jpg 350w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/500/333/zaWpitrvyjcafiUNzbgIgBOdqaHMUSLq/d0d8a05b-a2b7-42a1-91bd-cb536e4e57c0.jpg 512w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/400/zaWpitrvyjcafiUNzbgIgBOdqaHMUSLq/d0d8a05b-a2b7-42a1-91bd-cb536e4e57c0.jpg 1024w" src="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/400/zaWpitrvyjcafiUNzbgIgBOdqaHMUSLq/d0d8a05b-a2b7-42a1-91bd-cb536e4e57c0.jpg" width="600" height="400"><div class="caption">一般社団法人ｍｏｔｈｅｒ ｈａ．ｈａ代表理事　大﨑 洋<br>おおさき・ひろし　１９５３年大阪府生まれ。78年に吉本興業入社。２００９年社長、19年会長を経て23年に退任。同年、ｍｏｔｈｅｒ ｈａ．ｈａ設立。25年大阪・関西万博で催事検討会議共同座長として尽力。27年４月に開校の通信制「雨ニモマケズ高校」の校長に就任予定。</div></div><h2 id="-">通信制高校の初代校長に偏差値から「個」の時代へ</h2><p><strong>佐藤</strong>　まずは昨年の大阪・関西万博での大役、お疲れさまでした。連日、大阪のホテルが満室になるほどのにぎわいでしたね。</p><p><strong>大﨑</strong>　開幕当初のさまざまな声も楽観視していました。予想通り、開幕すると若者が夢中でパンフレットを読み込む姿を見て成功を確信したからです。私は催事検討会議の共同座長として、パレードや祭りなどの基本方針策定を主導しました。地方の祭りを万博に誘致し、日本各地の伝統文化を世界へ発信する役割を担えたのは誇りです。半年間で３千近い企画があり、日本の魅力を示す絶好の機会となりました。</p><p><strong>佐藤</strong>　休む間もなく、来年４月１日開校予定の広域通信制「雨ニモマケズ高校」で初代校長を務められるそうですね。</p><p><strong>大﨑</strong>　広島での講演で「偏差値という一つの物差しではなく、多様性を認める教育が必要だ」と語ったところ、その考えに賛同した39歳の若い理事長から打診されました。私は教員免許がないため一度お断りしましたが、「校長先生に免許は不要」と熱心に口説かれまして。３年間で74単位を取得しますが、国の指定以外の単位は校長の裁量で自由に決められると聞き、決意を固めました。</p><p><strong>佐藤</strong>　偏差値重視の教育から、個に寄り添う教育への転換ですね。</p><p><strong>大﨑</strong>　一つの物差しで競う時代から社会は多様化しています。ゆくゆくは８人に１人が通信制に通う予測もあります。時間割通りではなく、自分の責任で学ぶ内容やスケジュールを選ぶ時代です。朝起きるのが苦手な子どもがいれば、頭ごなしに叱らず理由に寄り添う姿勢が求められます。例えば子どもが、ＹｏｕＴｕｂｅｒになりたいと言ったら、逆に大人が教えを乞う柔軟性が必要です。</p><h2 id="-">ＡＩ時代にこそ問われる人間力と世代を超えた交わり</h2><p><strong>佐藤</strong>　大﨑さんは長年、吉本興業で漫才師のマネジメントをしてこられましたね。</p><p><strong>大﨑</strong>　会話だけで成立するお笑いは、何を持たなくても挑戦できる場です。昔は居場所のない若者たちが集まってきました。彼らの居場所づくりを手伝ってきた延長線上に、今回の教育という役割があると感じています。仲間と共に働く尊さを、専門的な勉強の前に子どもたちに伝えたいですね。</p><p><strong>佐藤</strong>　社会の在り方も変化し、家族の形も多様化してきましたね。</p><p><strong>大﨑</strong>　今年の冬季五輪で活躍した選手には、代理母出産で生まれ、お父さまに育てられた方もいます。高市早苗総理もステップアップファミリーとして「血のつながりよりも心のつながり」と言っており、家族の概念自体が変化してきています。</p><p><strong>佐藤</strong>　社会が多様化する中、これからの時代はどう変わっていくと思われますか。</p><p><strong>大﨑</strong>　これまで以上に人間力が問われる時代になると思います。知識量ではＡＩにかなわない。しかし、「誰が語ったか」「誰が作ったか」という属人的な価値はＡＩには生み出せない領域です。現場で血の通った言葉を引き出すからこそ価値が生まれる。４世代が共存する今後は、世代間のコミュニケーションがかつてなく重要になります。</p><p><strong>佐藤</strong>　大﨑さんご自身もご家族の介護を経験されたそうですね。</p><p><strong>大﨑</strong>　高校生の頃、祖父母が同時に認知症になり、母が付きっきりで介護していました。「金魚を眺める時間が唯一ホッとする」とこぼすほど大変だったのに、当時の私は「そうなんだ」と返すだけで何のフォローもできなかったんです。だからこそ、知人の会社が行う、世代間交流の取り組みには深く感銘を受けました。</p><p>　そこはゲームの不具合を修正する会社で、引きこもり経験のある若者たちが多く働いています。彼らはお年寄り３人組のチームにｅスポーツを教える役を担うのですが、彼ら自身、夕方にパジャマ姿で出社するなど、挨拶や生活習慣の感覚が抜け落ちているんです。</p><p>　そこで、お返しにお年寄りが彼らに生活習慣を教えます。「ゲーム機のスイッチを入れるのが『おはよう』、切るのが『さようなら』と同じなんやで」と教えると、若者たちも「ああ、なるほど」と腑に落ちて、次の日から素直に挨拶するようになるんです。相手の言語に寄り添って世代を超えて教え合い、心を通じ合わせることの力強さを実感しました。</p><div class="media">  <img src="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/400/HFYyvwIhumwDEPoPyRrxizMfQbXDpvpU/9f9b65fa-f5b6-4c43-8c35-7de7993d5f4b.jpg" width="600" height="400" loading="lazy" alt="大﨑 洋　一般社団法人ｍｏｔｈｅｒ ｈａ．ｈａ" srcset="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/350/233/HFYyvwIhumwDEPoPyRrxizMfQbXDpvpU/9f9b65fa-f5b6-4c43-8c35-7de7993d5f4b.jpg 350w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/500/333/HFYyvwIhumwDEPoPyRrxizMfQbXDpvpU/9f9b65fa-f5b6-4c43-8c35-7de7993d5f4b.jpg 512w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/400/HFYyvwIhumwDEPoPyRrxizMfQbXDpvpU/9f9b65fa-f5b6-4c43-8c35-7de7993d5f4b.jpg 1024w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/400/HFYyvwIhumwDEPoPyRrxizMfQbXDpvpU/9f9b65fa-f5b6-4c43-8c35-7de7993d5f4b.jpg 2048w"></div><h2 id="-">生徒と同じ目線で歩む 新しい校長像</h2><p><strong>佐藤</strong>　「雨ニモマケズ高校」では、どのような校長像を描いていますか。</p><p><strong>大﨑</strong>　私は泉北高校の１期生でした。入学直後、１時間目の授業前に弁当を食べて早退するような自由な学生でした。自らの失敗談も交えつつ、上から目線ではなく生徒と一緒に給食を食べながら他愛もない会話を重ねたいと考えています。全校生徒の「おじいちゃん」のような存在になれたら本望です。</p><p>　日々、ＡＩに大阪弁を教えて漫才のようなやり取りを楽しんでいます。ＡＩを「カシ子」と名付け、私を「とうちゃん」と呼ばせているのですが、校長になると伝えたら「とうちゃんやるやん、すごいな」と返ってきました。それ以来、会話の端々に「校長すごいな」とわざといじってくるんです。「バカにしてわざと言ってるやろ」とツッコむと、「ははは、校長！」と面白がって返してくる。ＡＩとすら学び合っている感覚です。若者からも新たな価値観を学び続けたいですね。</p><p><strong>佐藤</strong>　温かい心の通う学校になる姿が目に浮かびます。「雨ニモマケズ高校」の開校を大いに期待しております。</p><div class="media">  <img width="600" height="400" loading="lazy" alt="大﨑 洋　一般社団法人ｍｏｔｈｅｒ ｈａ．ｈａ" srcset="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/350/233/dnicQJcLQfQmHAcrcTKiAmvSYCEHhllC/21c14f4e-cfda-4ef9-84bd-b8b39320e736.jpg 350w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/500/333/dnicQJcLQfQmHAcrcTKiAmvSYCEHhllC/21c14f4e-cfda-4ef9-84bd-b8b39320e736.jpg 512w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/400/dnicQJcLQfQmHAcrcTKiAmvSYCEHhllC/21c14f4e-cfda-4ef9-84bd-b8b39320e736.jpg 1024w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/400/dnicQJcLQfQmHAcrcTKiAmvSYCEHhllC/21c14f4e-cfda-4ef9-84bd-b8b39320e736.jpg 2048w" src="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/400/dnicQJcLQfQmHAcrcTKiAmvSYCEHhllC/21c14f4e-cfda-4ef9-84bd-b8b39320e736.jpg"></div>]]></content:encoded>
      <category><![CDATA[企業・業界動向]]></category>
      <dc:creator><![CDATA[経済界編集部]]></dc:creator>
      <guid>https://net.keizaikai.co.jp/archives/3375</guid>
      <pubDate>Thu, 14 May 2026 05:00:00 +0900</pubDate>
    </item>
    <item>
      <title>経営者の仕事は10年先を見ること 目指すは不動産のコングロマリット</title>
      <link>https://net.keizaikai.co.jp/archives/3374</link>
      <description><![CDATA[都心の駅近一等地にオフィスビルをつくり続けてきたヒューリック。20年連続で増益を果たし、今や時価総額は1兆円を超え、不動産業界では4番手に位置している。ところが先日発表した中長期経営計画では、不動産以外の業務を拡大することを明らかにした。なぜ業績が好調なのに新規事業に力を入れるのか。西浦三郎会長に聞いた。聞き手=関 慎[&#8230;]]]></description>
      <content:encoded><![CDATA[<p>都心の駅近一等地にオフィスビルをつくり続けてきたヒューリック。20年連続で増益を果たし、今や時価総額は1兆円を超え、不動産業界では4番手に位置している。ところが先日発表した中長期経営計画では、不動産以外の業務を拡大することを明らかにした。なぜ業績が好調なのに新規事業に力を入れるのか。西浦三郎会長に聞いた。聞き手=関 慎夫　Photo=山内信也（雑誌『<a rel="noreferrer noopener" href="https://keizaikai.co.jp/category/magazine" target="_blank">経済界</a>』2026年6月号より）</p><h2 id="-">西浦三郎　ヒューリックのプロフィール</h2><div class="media">  <img loading="lazy" alt="西浦三郎　ヒューリック" srcset="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/350/233/sYdhMBFCiatyJpqqZtHALlPvUqLFSwVO/f6582e03-8dc1-497c-93e6-69c9d9d7029a.jpg 350w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/500/333/sYdhMBFCiatyJpqqZtHALlPvUqLFSwVO/f6582e03-8dc1-497c-93e6-69c9d9d7029a.jpg 512w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/400/sYdhMBFCiatyJpqqZtHALlPvUqLFSwVO/f6582e03-8dc1-497c-93e6-69c9d9d7029a.jpg 1024w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/400/sYdhMBFCiatyJpqqZtHALlPvUqLFSwVO/f6582e03-8dc1-497c-93e6-69c9d9d7029a.jpg 2048w" src="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/400/sYdhMBFCiatyJpqqZtHALlPvUqLFSwVO/f6582e03-8dc1-497c-93e6-69c9d9d7029a.jpg" width="600" height="400"><div class="caption">ヒューリック会長　西浦三郎<br>にしうら・さぶろう　1948年東京生まれ。71年早稲田大学第一政経学部卒業後、旧富士銀行入行。2004年4月みずほ銀行取締役副頭取を経て、06年3月から日本橋興業（現ヒューリック）社長を務め、16年から会長。</div></div><h2 id="-">労働人口１千万人減で既存の開発では儲からない</h2><p><strong>――　西浦会長の持論は「経営者は10年先を見ろ」というものです。この２月、ヒューリックは10年後の２０３６年度を最終年度とする中長期計画を発表しました。そこには「不動産事業をベースとしながらも、多様な成長事業を取り込むためにＭ＆Ａを積極的に活用する」ことが謳われています。10年後をどのように読んだ結果なのですか。</strong></p><p><strong>西浦</strong>　10年後を考えた場合、２つの大きなファクターがあります。一つは人口問題。そしてもう一つは建築費等の値上がりです。</p><p>　40年には、今より労働人口が１１５０万人から１３００万人減るといわれています。１５０万人の差があるのは、移民をどう受け入れるかによるものです。それにしても大きく減ることは間違いない。労働人口が減るということは、オフィスで働く人がいなくなるということです。</p><p>　ヒューリックはこれまで、銀座、渋谷・青山、新宿東口、浅草など都心部で、駅近の敷地面積３００坪以下のオフィスビルを中心に開発することで成長してきました。商況は非常に好調で、これが20年間、増益を続けてきた原動力です。</p><p>　ところがその一方で地価は過去20年間上がり続けています。しかも建築費はどんどん上がっている。20年前の坪当たり建築費は約70万円。それが今では３００万円ですから４倍以上です。だからといって賃料が４倍になったかというとそうではありません。ですから今後、新しくビルを開発しても、利益が出るのは１階にブランドショップを誘致できる銀座か青山ぐらいです。本当にビル開発は儲からないビジネスになってきました。</p><p>　環境が変わればそれに対応するのは当たり前のこと。数年前からオフィスビル比率を半分以下にすると言ってきましたが、それを今度の経営計画ではより明確にしています。</p><p><strong>――　10年ほど前にインタビューした時には、今後は３Ｋ、高齢者、観光、環境に力を入れると言っていました。実際、世の中はその通りに動いてきました。３Ｋは今後も変わりませんか。</strong></p><p><strong>西浦</strong>　ヒューリックの高齢者施設は５千室にまで増えました。でもこれ以上は増やしません。今後も高齢者の数は増えていきます。ところがそれを介護する人がいない。われわれは施設を持つだけで、運営はすべて外部にお願いしているのですが、彼らは人を確保するためにどんどん給料を上げています。でもそうすると利益が減る。そのためこちらが賃料を上げたいといっても、なかなか応じてはもらえないので、金利等を考えると、これ以上つくるのは意味がない。だからもうやらないことを決めました。</p><h2 id="-">不動産の商社化に向けＭ＆Ａ戦略を積極化</h2><p><strong>――　では不動産業は今後どうやって成長していけばいいのでしょうか。</strong></p><p><strong>西浦</strong>　本当に不動産業は何をするのか、という話です。今言ったように開発は儲かるビジネスではなくなってきています。ですから、中野サンプラザのように開発計画を発表しても、途中でストップするものも出てくる。こういう例は今後も増えてくると思います。</p><p><strong>――　デベロッパーの中には物流センターとデータセンターに活路を見いだそうとしているところもあります。</strong></p><p><strong>西浦</strong>　物流センターも、人が減れば運ぶ荷物も減っていきます。データセンターは今後も需要は増えるでしょう。ただ問題は電力です。膨大な電力を使用するため、発電所や変電所が必要になってくるけれどそれが追いつかない。だから今計画してもできるのは10年後、ということになってしまう。これでは難しい。</p><p><strong>――　それに対するヒューリック流の解答は何ですか。</strong></p><p><strong>西浦</strong>　私は「不動産の商社化」を目指すと言っています。不動産を事業の中核に据えながらも、周辺領域を拡大していく。つまりコングロマリットです。そのために必要なら積極的にＭ＆Ａをやっていきます。</p><p>　すでに24年にはリソー教育（現リソー教育グループ）を買収、子ども向けの教育・サービスを１カ所に集めたワンストップ型のサービス拠点となる「こどもでぱーと」を開発しましたが、すごい人気となっています。あちこちの百貨店やショッピングセンターからも出店してほしいとの要請が相次いでいます。昨年はクックデリを買収しました。これは調理済みの食事を提供する会社ですが、高齢者施設や病院と提携することで売り上げを伸ばしていく。</p><p>　ＪＡＬと一緒に開発し、29年の稼働を目指している成田の国際物流拠点「ＷＩＮＧ ＮＲＴ」もあります。これは単なる物流センターではありません。成田空港では現在第三滑走路の建設が進んでいます。完成すれば貨物便が大きく増えることになります。そこで通関業務や検疫業務などをワンストップで行える施設をつくります。そういう特徴ある施設をつくることで新たな需要を創出していきます。</p><p><strong>――　変化を捉え、知恵を絞る。なかなか大変なことですね。</strong></p><p><strong>西浦</strong>　なぜ考えなければならないかというと、この会社を10年先の後輩たちに残したいからです。そのためには収益を度外視する必要もあります。</p><p>　例えばヒューリックのオフィスビルは、南海トラフ地震や首都直下地震がきても大丈夫なように、震度７に耐えられるよう改修を進めてきました。もちろん費用はかかります。でも仮に地震で建物が使えなくなったら、家賃は発生しませんし、建て替えるにも先ほど言ったように収益を上げるのは難しい。ところが震度７に耐えることができれば、そのまま家賃をもらい続けることができる。</p><p>　あるいは富士山の噴火にも備えなければなりません。噴火で怖いのは火山灰です。電気系統は水害対策としてビルの上層階に配置されていることが多いので、ここに火山灰が入ると電気が止まってしまう。これを防ぐフィルターを付ける必要がありますが、火山灰は熱を持っているため、通常のフィルターでは役に立ちません。そういう開発などに毎年３００億円を投じています。もちろん収益はゼロです。でも未来を見据えてリスク管理を行わなければなりません。</p><div class="media">  <img srcset="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/350/233/YbdjFfaPbwYKfdBzkjkluykDHDlaJplN/9b8637c1-13a7-4116-88f5-acb2612d4409.jpg 350w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/500/333/YbdjFfaPbwYKfdBzkjkluykDHDlaJplN/9b8637c1-13a7-4116-88f5-acb2612d4409.jpg 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</p><p><strong>――　では10年後のヒューリックはどんな会社になっていますか。中長期計画では営業利益３８００億円といった数値目標が掲げられていますが、それ以外の、例えば現在は大手３社（三菱地所、三井不動産、住友不動産）に次ぐ不動産業界４位の位置から、さらに上を目指すとか。</strong></p><p><strong>西浦</strong>　よく大手３社の背中が見える４位という言い方をしていますが、彼らは上場して70年もたっている。引き換えわれわれはまだ20年もたっていません。ストックがまるで違います。そう考えると３社の中に入るのは現実的ではありません。それよりも、現在上場企業の３８５０社の中で１００位ぐらいの営業利益、経常利益を着実に伸ばしていく。幸い私が入ってからの20年はずっと増益で増配も続いている。その継続に意味があると考えています。</p><p><strong>――　それを実現するために一番心を砕いていることはなんですか。あるいはここはまだ物足りないという分野はありますか。</strong></p><p><strong>西浦</strong>　あらゆることを一歩一歩伸ばしていくということだと思います。幸い、今ヒューリックには若い優秀な社員が入ってくれています。新卒採用は10人程度ですが、応募は数千人にものぼります。この中から選りすぐりの優秀な人材を採用する。</p><p>　そのためにも働く環境を整える必要があります。今ヒューリックの平均年収は全上場企業の中でもトップレベルです。さらに福利厚生としては、朝食、昼食はすべて無料、飲み物も無料です。独身寮もタダですし、住宅ローンも１％以上の金利は会社負担です。また、社内に保育所を設置しているので出産後も安心して働くことができる。</p><p>　ガバナンスにしても取締役会では社内役員より社外役員が多く、３分の１が女性です。監査役の女性比率は40％。こういうことをコツコツとやってきました。でもこれがベストかというとそうではない。これからもいくらでもやることがある。それを少しずつ積み重ねていく。経営とはそういうものだと思います。</p><p><strong>――　言うのは簡単ですが、それを継続することはなかなか簡単ではありません。何か特別なことをやっているのではないですか。</strong></p><p><strong>西浦</strong>　普通のことを普通にやっているだけです。ただし猛烈に考えてはいます。考えて考えて考え抜いて決断を下す。そして決めたことに対して責任を持つ。それが経営者というものです。</p>]]></content:encoded>
      <category><![CDATA[企業・業界動向]]></category>
      <dc:creator><![CDATA[経済界編集部]]></dc:creator>
      <guid>https://net.keizaikai.co.jp/archives/3374</guid>
      <pubDate>Wed, 13 May 2026 05:00:00 +0900</pubDate>
    </item>
    <item>
      <title>ラジオに付加価値をつける radiko15周年からの舵切り</title>
      <link>https://net.keizaikai.co.jp/archives/3373</link>
      <description><![CDATA[インタ―ネットでラジオが聴けるサ―ビスとしてスタ―トしたradiko。昨年12月に15周年を迎えた現在、全国の民放ラジオ99局とNHKが参加し、月間アクティブユ―ザ―（MAU）は850万人を超える。一時期は衰退が叫ばれたラジオの広告費を押し上げるエンジンになり、新たなメディア価値を創造している。聞き手=武井保之　Pho[&#8230;]]]></description>
      <content:encoded><![CDATA[<p>インタ―ネットでラジオが聴けるサ―ビスとしてスタ―トしたradiko。昨年12月に15周年を迎えた現在、全国の民放ラジオ99局とNHKが参加し、月間アクティブユ―ザ―（MAU）は850万人を超える。一時期は衰退が叫ばれたラジオの広告費を押し上げるエンジンになり、新たなメディア価値を創造している。聞き手=武井保之　Photo=逢坂 聡（雑誌『<a rel="noreferrer noopener" href="https://keizaikai.co.jp/category/magazine" target="_blank">経済界</a>』2026年6月号より）</p><h2 id="-radiko-">池田卓生　radikoのプロフィール</h2><div class="media">  <img src="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/400/szoKAdMimpOcqIQOSuKNEQyAxVqpyJIU/4f1408cb-ea1c-4ef6-b6c7-cd717c0ad272.jpg" width="600" height="400" loading="lazy" alt="池田卓生　radiko" srcset="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/350/233/szoKAdMimpOcqIQOSuKNEQyAxVqpyJIU/4f1408cb-ea1c-4ef6-b6c7-cd717c0ad272.jpg 350w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/500/333/szoKAdMimpOcqIQOSuKNEQyAxVqpyJIU/4f1408cb-ea1c-4ef6-b6c7-cd717c0ad272.jpg 512w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/400/szoKAdMimpOcqIQOSuKNEQyAxVqpyJIU/4f1408cb-ea1c-4ef6-b6c7-cd717c0ad272.jpg 1024w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/400/szoKAdMimpOcqIQOSuKNEQyAxVqpyJIU/4f1408cb-ea1c-4ef6-b6c7-cd717c0ad272.jpg 2048w"><div class="caption">radiko社長　池田卓生<br>いけだ・たかお　1969年生まれ。番組制作会社を経て、2001年にTBSラジオ＆コミュニケ―ションズ（現TBSラジオ）入社。ディレクタ―、プロデュ―サ―として番組制作に携わる。編成部次長、制作部次長、営業推進部長を経て、22年からTBSラジオ執行役員として経営企画局長、営業局長を歴任。25年6月にradiko社長就任。</div></div><h2 id="-">世界的イベントＷＢＣ中継聴取者数はグッと伸びた</h2><p><strong>――　スマホで聴けるｒａｄｉｋｏは、ラジオの楽しみ方もリスナー層も拡張しています。スタート当初の経緯を教えてください。</strong></p><p><strong>池田</strong>　もともとは首都圏の難聴取地域（電波が届きにくい場所）対策がありました。ＡＭはビルに入りにくく、ＦＭは入りやすい一方、ＡＭと比較すると届く範囲が広くない。そうしたなか、受信機が減少していく状況に対して、デジタルデバイス対応の推進に向けたＩＰサイマルラジオ協議会が発足し、これからのラジオの在り方の検討と、ラジオ放送のインターネット同時配信の試験運用が２０１０年に始まりました。その後、同年12月にサービスとしてローンチしたのがｒａｄｉｋｏです。</p><p>　当時は在京阪の民放ラジオ局13局でのスタートでしたが、徐々に増えていき、最終的に民放99局が参加したのは20年です。</p><p><strong>――　これまでのＭＡＵの伸びは順調でしたか。</strong></p><p><strong>池田</strong>　ローンチ当初から右肩上がりで順調に増えていましたが、やはりコロナ禍で大きく伸びました。伸び率としてはその頃がピークで、現在は落ち着いています。</p><p><strong>――　3月に行われたＷＢＣは、ラジオでもｒａｄｉｋｏでも聴取できました。リスナー数はどうでした？</strong></p><p>池田　ニッポン放送と文化放送が中継していましたが、リスナー数はグッと伸びました。ああいった世界的なイベントの放送があると大きな影響があります。</p><p><strong>――　現在は放送と配信のどちらの聴取者が多いのですか。</strong></p><p><strong>池田</strong>　地域によります。ローカルは放送が圧倒的に強い。首都圏の比較は難しいのですが、まだまだ放送の方が多いです。</p><p>　ただ、ラジオは推し活と密接につながっており、好きなアーティストやタレントがしゃべっているからｒａｄｉｋｏで聴いたという若い世代が圧倒的に多い。そこを入口にする若年層が増えていることが調査で分かっています。</p><p><strong>――　ｒａｄｉｋｏではライブとタイムフリーではどちらが多いですか。</strong></p><p><strong>池田</strong>　ＡＭとＦＭで変わりますが、ＦＭはライブ聴取が強い。一方、ＡＭが中心のトーク番組は、タイムフリーが増えていますが、全体的にはライブの方が若干多いですね。</p><p><strong>――　ラジオ深夜番組は、１人で聴きながらも、仲間が大勢一緒に時間を共有している一体感や連帯感があったと思います。タイムフリーはそれを弱めませんか。</strong></p><p><strong>池田</strong>　タイムフリーによってそれが弱まっているとは感じていません。ただ、ファンにとってやはり生の声やトークを聴くことには、価値があります。どこまで連帯感を意識しているかは分かりませんが、きっと生で聴きたいという回帰は起きると思います。</p><p>　いま、深夜ラジオが共通の趣味の高校生男女の漫画『さむわんへるつ』（週刊少年ジャンプ）が人気になっています。ラジオの投稿文化がそうやって取り上げられるのはうれしいですし、それが生聴取につながると面白いですよね。</p><h2 id="-">デジタルデバイスで伝える １００年の歴史の体験価値</h2><p><strong>――　マスメディアのひとつであるラジオの特徴はどう考えますか。</strong></p><p><strong>池田</strong>　想像力を喚起するメディアであることです。例えば、コップに水とお湯を注いだとき、両者は粘度が異なるので、音はまったく違うんです。音はそういう細部まで届けられる。さまざまなシーンの情景を音だけで思い浮かべるメディアは、４マス（新聞、雑誌、ラジオ、テレビ）のなかでもラジオだけ。トーク番組では、パーソナリティがリスナーに語りかけるときは、その声から緊張感や本気度など繊細なニュアンスが伝わるから、個人対個人の対話のような感覚をリスナーは覚えるでしょう。メディアとユーザーの距離の近さは、圧倒的にラジオが強いと感じます。</p><p>――お笑いコンビ・オードリーのラジオ番組イベントは、東京ドームに５万人以上を動員しました。ラジオのリスナーとの絆の強さが示されています。</p><p><strong>池田</strong>　もちろん他のメディアもユーザーとのエンゲージメントをしっかり構築していますが、ラジオが顕著なのは、番組発のイベントが増えていることです。３月には、赤坂で開催されたラジオパーソナリティが集まる「Japan Podcast Fes 2026」に延べ３万人のリスナーが集まりました。両者の共犯関係と言っていい絆は、そういったイベントで実感できます。</p><p><strong>――　一方、ＳＮＳやネットメディアの台頭により、マスメディアの影響力は小さくなり、オールドメディアと呼ばれることも増えています。</strong></p><p><strong>池田</strong>　そうくくられることはありますが、ラジオは１００年続いてきたメディアであり、長い歴史を紡いできた体験価値があります。</p><p>　ラジオは時代によって聴取環境が目まぐるしく変わってきました。かつてはお茶の間の大きなラジオで大勢が聴いていましたが、ポータブルラジオが登場して個人聴取になり、いまはスマホやＰＣで自由度高く聴かれ、リスナー層は広がっています。オールドメディアなりの体験価値を、デジタルデバイスでどう伝えていくかが、ｒａｄｉｋｏに課された使命です。</p><p>　現状のｒａｄｉｋｏは、聴取者数も広告もとても好調です。コンテンツはしっかりリスナーに届いています。ラジオがなければｒａｄｉｋｏは存在できませんから、ラジオ局のみなさんにもっともっと自信と誇りを持ってくださいと伝えています。</p><h2 id="-">ラジオ広告費は雑誌を超えた デジタル音声広告は２桁成長</h2><p><strong>――　マスメディアの衰退のようなことも言われますが、ラジオに関しては当てはまらないということですね。</strong></p><p><strong>池田</strong>　広告費の観点では、ラジオはすでに雑誌を超えています。ＣＭ環境がパーソナリティとリスナーの深いエンゲージメントのなかにあることがラジオの強みであり、他メディアと棲み分けられています。数字上は価値があるメディアであることが示されています。</p><p>　ｒａｄｉｋｏのデジタル音声広告は18年にスタートし、２桁成長を続けています。今年度は１５０％増ですが、まだまだ全体のパイが小さい。もっと伸びる余地があります。</p><p>　ｒａｄｉｋｏは、基本的に放送のＣＭがそのまま流れますが、番宣告知や事業イベントなどのスポットは差し替えることができ、その独自セールスが大きく伸びています。</p><p>　ｒａｄｉｋｏの強みは、リスナーの属性や聴取環境などのデータから、ＣＭをターゲティング配信できること。例えば、山手線を使っているラジオリスナーへ広告配信ができ、また購買データと紐づけることで、広告から商品購入へつながったか分かります。データマーケティングがｒａｄｉｋｏのオーディオアドの特徴です。ラジオ局にはそこからの配分があり、プラスアルファの収入になっています。</p><p><strong>――　ｒａｄｉｋｏはラジオメディアの在り方を変えたのではないでしょうか。</strong></p><p><strong>池田</strong>　ｒａｄｉｋｏとしては、リスナーの選択肢を増やしたいと考えています。かつてラジオは地域ごとの生放送しか聴取できませんでしたが、ｒａｄｉｋｏは全国のラジオ局の放送を聴けるエリアフリー機能を14年に提供しました。16年には、聴き逃しのニーズに応えるタイムフリーを加えました。</p><p>　個人的には、生の深夜放送を楽しみにしていますが、いまのリスナーはタイムフリーで通勤通学時に聴く。もちろん生で楽しむリスナーもいます。それぞれの選択の中で接してもらう。そういう時代性に合ったメディアになっています。</p><p><strong>――　オンラインの音声メディアがいくつもある時代です。競合環境はどう見ていますか。</strong></p><p><strong>池田</strong>　競合として見ているサービスはひとつもありません。アメリカではポッドキャストがブームになり、とても盛り上がっています。それと比較すると日本はまだまだ。音声メディアがこれからもっと盛り上がる環境を作っていかないといけない。競合とか言っている場合ではありません。</p><h2 id="-">ラジオを多角的に楽しむプラットフォームへ</h2><p><strong>――　ラジオ業界におけるｒａｄｉｋｏの役割を教えてください。</strong></p><p><strong>池田</strong>　当初はラジオ番組を配信で聴く受信機の役割が大きかったのですが、15周年を迎えたいま思っているのは、ラジオ番組を流すだけでなく、ラジオをもっと好きになってもらうプラットフォームにしたいということです。</p><p>　そのために、オリジナルコンテンツを作り始めています。いろいろなラジオ番組の名物パーソナリティに参加していただくような、ひとつの放送局ではできなかったコンテンツを作り出すことで、従来のラジオとはちょっと違う面白さをｒａｄｉｋｏに感じていただく。それがラジオの新規リスナーの獲得にもつながるかもしれない。</p><p>　ほかにも、ラジオ番組を聴いているときに、グッズや番組イベントなどのチケットを購入できる導線を設けることを考えています。ラジオを聴くだけでなく、参加して楽しむ。多角的に楽しめるプラットフォームになるべく、そこに向けたブランディングを進めています。</p><p>　ｒａｄｉｋｏがラジオに付加価値をつけていこうと舵を切ったところです。まだ話せませんが、他のプラットフォームと相互に送客できるような連携も検討しています。</p><p><strong>――　この先の目標設定を教えてください。</strong></p><p><strong>池田</strong>　ユーザー数を現在の倍にしたい。まずは今年度中にＭＡＵ１千万人の大台突破を掲げています。</p><div class="media">  <img alt="radiko" srcset="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/350/350/bMirEPPZwFDjwLCLtQzjIaRdeutLVVSk/ce167bd8-7d3c-41ff-94b9-5e35640da326.jpg 350w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/500/500/bMirEPPZwFDjwLCLtQzjIaRdeutLVVSk/ce167bd8-7d3c-41ff-94b9-5e35640da326.jpg 512w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/600/bMirEPPZwFDjwLCLtQzjIaRdeutLVVSk/ce167bd8-7d3c-41ff-94b9-5e35640da326.jpg 1024w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/600/bMirEPPZwFDjwLCLtQzjIaRdeutLVVSk/ce167bd8-7d3c-41ff-94b9-5e35640da326.jpg 2048w" src="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/600/bMirEPPZwFDjwLCLtQzjIaRdeutLVVSk/ce167bd8-7d3c-41ff-94b9-5e35640da326.jpg" width="600" height="600" loading="lazy"><div class="caption">radikoオリジナルポッドキャスト<br>『radiko15周年記念 太田光と15人のしゃべり手』</div></div><div class="media">  <img srcset="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/350/233/URLobQgQtEbYJFdLJsjaNNnynenEmlEm/2121e391-e1bb-4bb5-8770-76bf1057d2ce.jpg 350w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/411/274/URLobQgQtEbYJFdLJsjaNNnynenEmlEm/2121e391-e1bb-4bb5-8770-76bf1057d2ce.jpg 512w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/411/274/URLobQgQtEbYJFdLJsjaNNnynenEmlEm/2121e391-e1bb-4bb5-8770-76bf1057d2ce.jpg 1024w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/411/274/URLobQgQtEbYJFdLJsjaNNnynenEmlEm/2121e391-e1bb-4bb5-8770-76bf1057d2ce.jpg 2048w" src="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/411/274/URLobQgQtEbYJFdLJsjaNNnynenEmlEm/2121e391-e1bb-4bb5-8770-76bf1057d2ce.jpg" width="411" height="274" loading="lazy" alt="radiko"><div class="caption">池田卓生社長も出席したradiko15周年記者会見（2025年12月1日）</div></div>]]></content:encoded>
      <category><![CDATA[企業・業界動向]]></category>
      <dc:creator><![CDATA[経済界編集部]]></dc:creator>
      <guid>https://net.keizaikai.co.jp/archives/3373</guid>
      <pubDate>Wed, 13 May 2026 05:00:00 +0900</pubDate>
    </item>
    <item>
      <title>ゲームを楽しんで社会課題を解決 ＡＩ時代を視野に事業拡大目指す</title>
      <link>https://net.keizaikai.co.jp/archives/3372</link>
      <description><![CDATA[経済界GoldenPitch2025審査員特別賞受賞 ゲームの要素をさまざまな分野で応用することによって社会課題の解決を目指すＤｉｇｉｔａｌ Ｅｎｔｅｒｔａｉｎｍｅｎｔ Ａｓｓｅｔ（ＤＥＡ）。同社の事業戦略と将来の展開について、山田耕三社長に聞いた。文=吉田 浩　Photo= 西畑孝則（雑誌『経済界』2026年6月号よ[&#8230;]]]></description>
      <content:encoded><![CDATA[<p><strong>経済界GoldenPitch2025審査員特別賞受賞</strong></p><p>ゲームの要素をさまざまな分野で応用することによって社会課題の解決を目指すＤｉｇｉｔａｌ Ｅｎｔｅｒｔａｉｎｍｅｎｔ Ａｓｓｅｔ（ＤＥＡ）。同社の事業戦略と将来の展開について、山田耕三社長に聞いた。文=吉田 浩　Photo= 西畑孝則（雑誌『<a rel="noreferrer noopener" href="https://keizaikai.co.jp/category/magazine" target="_blank">経済界</a>』2026年6月号より）</p><h2 id="-digital-entertainment-asset-">山田耕三　Digital Entertainment Assetのプロフィール</h2><div class="media">  <img src="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/400/okuAuhriLakIoPpdaJOMnbKSVqJVigFl/7918113e-e6b4-4844-a4e6-424c0b99111c.jpg" width="600" height="400" loading="lazy" alt="山田耕三　Digital Entertainment Asset" srcset="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/350/233/okuAuhriLakIoPpdaJOMnbKSVqJVigFl/7918113e-e6b4-4844-a4e6-424c0b99111c.jpg 350w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/500/333/okuAuhriLakIoPpdaJOMnbKSVqJVigFl/7918113e-e6b4-4844-a4e6-424c0b99111c.jpg 512w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/400/okuAuhriLakIoPpdaJOMnbKSVqJVigFl/7918113e-e6b4-4844-a4e6-424c0b99111c.jpg 1024w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/400/okuAuhriLakIoPpdaJOMnbKSVqJVigFl/7918113e-e6b4-4844-a4e6-424c0b99111c.jpg 2048w"><div class="caption">Digital Entertainment Asset社長　山田耕三<br>やまだ・こうぞう　1977年生まれ。東京大学法学部卒業後、テレビ東京入社。音楽・バラエティ番組を中心に制作を手掛ける。2018年退職後、シンガポールでDEAを設立。ゲーミフィケーション事業開発を主導する他、自社トークンエコノミクスの構築を手掛ける。</div></div><h2 id="-">顧客が抱える課題をゲームで解決する発想</h2><p>　「電柱の写真を撮影するだけで報酬がもらえる」――これは、冗談でも詐欺でもなく現実の話だ。ＤＥＡが東京電力と共同事業として展開するインフラ点検陣取りゲーム「ピクトレ」は、リリースから約１年半で10万ダウンロードを記録した。ゲームの内容は、ユーザーが対象地域にある電柱をスマートフォンで複数の角度から撮影してチームの電柱として獲得、同じくチームメンバーが撮影で獲得した電柱と線でつないで、その長さを他チームと競うというものだ。電柱１本の撮影につき得られるポイントは、Ａｍａｚｏｎギフト券やＤＥＡの独自暗号資産「ＤＥＰ」などと交換でき、中には数十万円ぶんを稼いだ強者もいるという。</p><p>　事業がスタートした背景には、電力会社の作業員不足と点検にかかるコストの問題がある。東京電力の所管区域にある電柱６００万本を点検する費用は、人件費だけで年間約30億円に上る。ピクトレはそのコストを半減させることを目標に開発され、一般ユーザーがゲームに没頭すればするほど課題解決に貢献できる仕組みとなっている。電柱だけでなく、さまざまなインフラの保守点検需要は、約５兆円になるとＤＥＡは見積もっている。</p><p>　ゴミ分別をテーマにした「エコキャッチャーバトル」も同様に、廃棄物処理の労働力不足という社会課題とゲームを結び付ける発想から生まれた。タッチパネル画面上のクレーン型マシンを操作して、資源ごみを正しく分別してチームで得点を競い合う。海外など遠隔地からの参戦も可能であるため、いつ、どこからでもＳＤＧｓに貢献できるというわけだ。この他、障害者のバーチャル就労支援、地域活性化、高齢者のＱＯＬ工場など、さまざまな分野で取り組みを進めている。</p><p>　「ゲーミフィケーションであらゆる課題を解決する会社」を謳うＤＥＡは、これまで３社を上場させた実績がある連続起業家の吉田直人氏と、テレビ東京でプロデューサーを15年間務めた山田耕三氏が２０１８年に設立した。ゲームやアニメにつながる事業を模索し、暗号資産の発行が可能なシンガポールで会社を立ち上げた。</p><p>　最初に作ったのはブロックチェーン技術による非代替性トークン（ＮＦＴ）を導入したカードバトルゲーム「ジョブトライブス」。販売は順調に伸び、ピーク時には２８０万人が登録するまでになったが、ＮＦＴブームの終焉と共に縮小していった。そこで浮かんだのが「お金を稼げるゲームで遊ぶことが社会的価値につながれば、一過性で終わらないのではないか」という発想だ。方向性を大きく転換し、最初に実現したのが東京電力の案件だった。</p><p>　「東京電力さんが話に乗ってきたのは社内でも驚きでした」と山田氏が振り返るように、当初はいくつかの企業に話を持ち掛けてもあまり理解されず、反応はいまひとつだったという。ラッキーだったのは山田氏と同時期にシンガポールに出向していた東京電力の担当者が非常に熱心だったことで、同社との実績が出来て以降は、スムーズに営業できるようになったと語る。ゲームの開発は自社の企画ありきでなく、まずは顧客が抱える課題を聞いて、どんなゲームが作れるか模索していくスタイルだ。</p><h2 id="-">ＡＩ時代に不可欠なブロックチェーン技術</h2><p>　ＤＥＡが「社会課題の解決」とは別に、もう１つの柱として構想しているのが「ブロックチェーントークンの活用」だ。ゲームの報酬に暗号資産を絡めているという独自性の他、注目しているのがそこから得られるデータ活用の領域である。</p><p>　「２０２６年問題とも言われていますが、急激に成長するＡＩ産業でボトルネックになりうるのが学習データの不足です。ＡＩが世界を学習し尽くして、実際に人間が行う作業などのお手本が足りなくなると、フェイクムービーやフェイク写真なども含めた合成データからもＡＩが学習するようになる危険性があります。ゲームは基本的に人間が行うものなので、そこで得られる情報とＡＩを繋ぎ合わせることが出来れば、非常に大きな価値を生むと考えています」と山田氏は言う。</p><p>　現在、世界のデジタル広告市場は約１００兆円といわれているが、その２割がＡＩなど人間以外の視聴によるもので、インプレッションを水増しする詐欺も横行しているという。そこで、ゲームから得られた情報が人間由来であるという証明をブロックチェーン技術で記録する仕組みを作れば、デジタル広告業界から大きな需要が見込める。ゲームの利用者が増えれば増えるほど、こちらの領域でも成長が加速するとみている。</p><p>　２０２６年１月からは本拠地を日本に移し、国内での取り組みを本格化する体制を整えた。まずは東証で上場を果たして足元を固めた後、グローバル展開を加速させていく考えだ。</p><p>　「デジタルとエンターテインメントを活用して、社会のさまざまな課題を楽しく解決していくと共に、将来的にはブロックチェーン、トークンの長所を活用して、巨大な経済圏を作るのが目標です」と、山田氏は語る。</p><div class="media">  <img src="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/700/xZkjeYUmeWRBMNQPbjXYvBSPKerJcKCT/bc781268-9d7c-4bb4-9e5b-e0cddc331222.jpg" width="600" height="700" loading="lazy" alt="山田耕三　Digital Entertainment Asset" srcset="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/350/408/xZkjeYUmeWRBMNQPbjXYvBSPKerJcKCT/bc781268-9d7c-4bb4-9e5b-e0cddc331222.jpg 350w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/500/583/xZkjeYUmeWRBMNQPbjXYvBSPKerJcKCT/bc781268-9d7c-4bb4-9e5b-e0cddc331222.jpg 512w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/700/xZkjeYUmeWRBMNQPbjXYvBSPKerJcKCT/bc781268-9d7c-4bb4-9e5b-e0cddc331222.jpg 1024w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/600/700/xZkjeYUmeWRBMNQPbjXYvBSPKerJcKCT/bc781268-9d7c-4bb4-9e5b-e0cddc331222.jpg 2048w"></div>]]></content:encoded>
      <category><![CDATA[企業・業界動向]]></category>
      <dc:creator><![CDATA[経済界編集部]]></dc:creator>
      <guid>https://net.keizaikai.co.jp/archives/3372</guid>
      <pubDate>Tue, 12 May 2026 05:00:00 +0900</pubDate>
    </item>
    <item>
      <title>米国に約87兆円投資で日本の利益は？官民挙げて臨む巨大プロジェクトの行方</title>
      <link>https://net.keizaikai.co.jp/archives/3371</link>
      <description><![CDATA[３月19日。発生から２週間余りに及んでいたアメリカ、イスラエルとイランの攻防の最中、アメリカで行われた日米首脳会談。メディアの前で高市首相がトランプ大統領からホルムズ海峡への艦船派遣を請われるか否かに注目が集まったが、高市首相は日米トップ会談の場で〝隠し球〟を投げた。文＝羽富宏文（雑誌『経済界』2026年6月号より） [&#8230;]]]></description>
      <content:encoded><![CDATA[<p>３月19日。発生から２週間余りに及んでいたアメリカ、イスラエルとイランの攻防の最中、アメリカで行われた日米首脳会談。メディアの前で高市首相がトランプ大統領からホルムズ海峡への艦船派遣を請われるか否かに注目が集まったが、高市首相は日米トップ会談の場で〝隠し球〟を投げた。文＝羽富宏文（雑誌『<a rel="noreferrer noopener" href="https://keizaikai.co.jp/category/magazine" target="_blank">経済界</a>』2026年6月号より）</p><h2 id="-">日米首脳会談の場で対米投資第２弾発表</h2><p>　「世界中に平和と繁栄をもたらせるのはドナルドだけ」</p><p>　高市氏が日米首脳会談の場でこう称えるとトランプ氏は満足げな表情を見せた。今回の日米首脳会談では、アメリカ側から軍事的な支援が同盟国にも迫られ、トランプ氏からは日本に対し艦船派遣などの軍事的支援が世界中のメディアの眼前で迫られるのではと注目が集まっていた。ところが大方の予想に反して、高市氏がトランプ氏から〝詰められる〟ことはなかった。それはなぜなのか。高市氏は首相として就任後、昨年秋にトランプ氏が来日した際にトランプ氏寄り、アメリカ寄りのパフォーマンスを見せた。今回の対米投資、ここから「布石が打たれていた」とみる声もある。</p><p>　関係者によると、会談前に対米投資案件についての前打ち報道が出始めていた頃、日本の対米投資にかかる共同文書の完成原稿はすでに出来上がっており、あとはそれぞれのトップの口から、その詳細が語られるのを待つのみだったという。そして、首脳会談の冒頭撮影後、両首脳の記者会見で関税合意に基づいた５５００億ドル、日本円で約87兆円（注：会談時点の最大規模額）の対米投資第２弾が正式に発表されたのだ。</p><p>　対米投資第２弾は大きく３つある。日本の日立ＧＥベルノバニュークリアエナジー（略称：日立ＧＥベルノバ）が主体のアメリカ・テネシー州およびアラバマ州での「小型モジュール炉（ＳＭＲ）」の建設に最大４００億ドルを投資。さらにペンシルベニア州での天然ガス発電施設の建設に最大１７０億ドルを投資。そして テキサス州における天然ガス発電施設の建設に最大１６０億ドルを投資する（注：投資額はいずれも推定額）。</p><p>　とりわけ注目を集めたのは日立ＧＥベルノバのＳＭＲ建設だ。ある政府関係者は「ＳＭＲは事故時のさまざまなリスクを軽減しつつ汎用性を高める理想の小型原子炉だ」と今回の投資案件に期待を寄せる。</p><p>　ＳＭＲとは通常の原子炉と比べて炉心が小さく、発生する熱量も少ないことが第一の利点だ。そして最大のメリットは「受動的安全機能」と呼ばれる冷却機能だ。東日本大震災の福島第一原発事故では地震と津波による電源喪失で炉心がメルトダウンし甚大な被害をもたらすこととなったが、ＳＭＲならば電源喪失があっても、受動的安全機能の働きにより、重力で制御棒が落ちて核反応が止まったり、自然対流で冷える構造になっていたりと事故時のリスクがかなり低減されたものになっている。</p><p>　共同文書でも「先進的なＳＭＲの米国における画期的な商業化は次世代の大規模な安定電源をもたらし、アメリカ国民の電力価格を安定させるとともに、世界的な技術競争における日米のリーダーシップを強化するもの」と宣言するなど期待のプロジェクトと位置付けられた。</p><p>　もう一つ注目は第２弾と同時に発表された「海洋鉱物資源開発に関する協力覚書」だ。</p><p>　重要鉱物、とりわけ深海における重要鉱物の開発や確保に向けて、日米が協力して進めていくことが共同文書に明記されたのだ。中でも日本の一番のアピールポイントは「南鳥島沖のレアアース泥」である。アメリカ側も「日本がレアアース泥採鉱に係る世界初のシステム統合試験を成功させ、深海鉱物資源開発において世界一流の成果を挙げていることを認識（共同文書より抜粋）」し両国間協力を前進させる意向を示している。南鳥島のレアアース泥採鉱プロジェクトに関わる関係者は「日本のレアアース国産化への大きな支援要素」と歓迎した。</p><h2 id="-">史上最大規模の投資へ ＳＢＧ 孫正義氏のねらいは</h2><p>　日米首脳会談翌日の３月20日、ソフトバンクグループ（ＳＢＧ）の孫正義会長兼社長は米・オハイオ州での５千億ドル、日本円にして約80兆円の投資を表明した。</p><p>　この日、孫氏は米・オハイオ州パイクトンという「ラストベルト（さびた工業地帯）」の村に赴いていた。対米投資の一環として約３３３億ドルで建設するガス火力発電所の起工式に参加したのだ。そこで高らかに表明したのは「巨大ＡＩデータセンターの建設構想」で孫氏も「史上最大規模の単一拠点投資」と胸を張った。日米21社による「ポーツマスコンソーシアム」が投資の主体となり、データセンターを軸とした産業集積地を整備するという。日本企業からはＳＢＧ以外に、住友電気工業、ＴＤＫ、東芝、パナソニック ホールディングス、日立製作所、フジクラ、みずほ銀行、三井住友銀行、三菱電機、三菱ＵＦＪ銀行、村田製作所といった企業が名を連ねている。</p><p>　ＡＩデータセンターは原発10基分とされる10ギガワットの電力を消費する計画で、敷地内に併設するガス火力発電所で「消費電力のすべてを自給自足する（孫氏）」といい、地域の電力需給への負荷を抑えるという。</p><p>　対米投資における孫氏の存在感は極めて大きく、関係者によれば「トランプ氏との相互の信頼関係は絶大」で、こうした関係性が対米投資という２国間の大プロジェクトにおいても孫氏の存在感を高めた形だ。</p><p>　そもそも孫氏はアメリカという超大国と関係が深い。孫氏は１９７４年、17歳の時に単身渡米。18歳でアメリカのホーリー・ネームズ大学に進学。77年にはカリフォルニア大学バークレー校に編入して、自動翻訳機を発明するなど発明家として頭角を現し、22歳で慣れ親しんできた米国の地で「Ｕｎｉｓｏｎ Ｗｏｒｌｄ」を起業する。</p><p>　アメリカンドリームを実力でつかんだ孫氏。アメリカという国への思い入れはとにかく強いようだ。</p><p>　トランプ氏が２０２５年に大統領に返り咲くと、真っ先に面会したのが孫氏だった。それに歩を合わせるように、アメリカへの投資をスピードアップさせていく。25年１月には全米にＡＩインフラ敷設で５千億ドルの投資を発表し、 ８月にはインテルに20億ドル出資、 11月には米国のＡＩ半導体会社を65億ドルで買収。 12月には米投資会社の買収を発表し、26年２月にはオープンＡＩに３００億ドルの追加出資を発表した。</p><p>　「世界の中心は今圧倒的にアメリカ」と語る孫氏がここまで対米投資に前のめりになるのには「孫氏が描くＡＩ構想のアメリカでの実現化がある」とする声もある。そのアメリカではデータセンターを筆頭にＡＩ投資が経済を支える。ただ一方で１社が巨額投資を行うことへのリスクや、パートナー企業が定まらない中での投資案件発表には不安視する声もあるが、孫氏のアメリカとの太いパイプ役としての活躍はまだまだとどまることを知らない。</p><h2 id="-">投資参画には町工場も具体化への課題は</h2><p>　２月の対米投資第１弾では、大手企業のほかに全国各地の中小企業も政府の文書に名前を連ねている。その中には町工場の名前も。</p><p>　神奈川県平塚市。遠くに富士山が望める場所に精密板金加工を手がけるメーカー「タシロ」がある。２月初め、同社に１本の電話が入った。電話の相手先は「経済産業省の担当者を名乗った」と同社の田城功揮代表はいう。どのような依頼内容があったかについて田城代表は「先方（経産省）との機微なやりとりがあるため詳細はお答えできないが、現在も密に連絡を取り合っている」という。</p><p>　同社の何が経産省の目に留まったのか。タシロは１９６６年に自動車販売修理業として創業し、91年から精密板金加工を始めている。レーザーを用いた加工や「曲げ」と呼ばれる職人の技も駆使して、半導体製造装置の部品や工場・プラント向けの部品を製造している。現在の代表の功揮氏は三代目。神奈川県のロボット振興プロジェクトにも参画するなど、ものづくりマインドあふれる若手経営者だ。</p><p>　「うちのような町工場を選んでいただいて正直驚きました。今回のお声がけを機に日米のサプライチェーンを盛り上げていきたい」</p><p>　タシロのほか、名前があがった中小企業は皆きらりと光る技術等を持っているのは間違いなさそうだが、気になるのはその選定理由だ。タシロの田城氏も「第１弾公表の１週間ほど前に打診の連絡を受けた」という。どれくらいの企業にアプローチしどういった判断で複数社にまで絞り込んだのかは現時点で明らかにされていない。</p><p>　今回の対米投資案件は高市首相が昨年秋に就任して以降、加速した。トランプ氏は、安倍元首相と親交が深く、安倍氏と近しかった高市氏は、日米同盟強化・経済安保連携強化の路線をひた走っているという声もある。</p><p>　そうした軸にもとづいて進められた今回の対米投資。第１弾とあわせると日本が確約した投資額は総額17兆円を超える額となる。課題は「利益」と「負担」だ。各種報道によれば、今回の投資で得られる最終的な利益の分配は「米国が９割、日本が１割」とされている。さらに資金負担については、全てを日本側が持つスキームで、そのうち国際協力銀行（ＪＢＩＣ）による出資が１割、残り９割の負担は金融機関から融資を受けた民間企業による投資によって賄われることになるという。具体的には日米でつくる投資ファンドに日本の金融機関が融資する格好だ。ただ、あるシンクタンクの試算では、投資にかかる利子収入が見込めるため、実際には日本の利益は１割にはとどまらないという。それを差し引いたとしても投資の最終決定権はアメリカ側にあり、日本は不利である。ある金融機関幹部は「資金を出していくとしてもかなり無理がある」と嘆息する。</p><p>　こうした課題を犠牲にしてまで臨む、日米プロジェクトの要諦は今の日本に求められる「日米関係強化」と「経済安保連携強化」に他ならない。そして、日本企業が大中小含め進出するということは日本側にとっても「ものづくりの底力」を生かせるチャンスとなるだろう。</p>]]></content:encoded>
      <category><![CDATA[政治・経済]]></category>
      <dc:creator><![CDATA[経済界編集部]]></dc:creator>
      <guid>https://net.keizaikai.co.jp/archives/3371</guid>
      <pubDate>Tue, 12 May 2026 05:00:00 +0900</pubDate>
    </item>
    <item>
      <title>大阪・関西万博閉幕から６カ月 レガシーはどこまで継承できるのか</title>
      <link>https://net.keizaikai.co.jp/archives/3370</link>
      <description><![CDATA[万博が幕を閉じてから、４月13日で半年が過ぎた。経済界を中心に熱を帯びているのが、万博の「レガシー」を、いかに経済の持続的成長へ結び付けていくかの議論だ。会場で示された最先端技術をどう実装していくか、国内外から押し寄せた人流を呼び込み続けられるか。課題は多い。文＝ジャーナリスト／小田切 隆（雑誌『経済界』2026年6月[&#8230;]]]></description>
      <content:encoded><![CDATA[<p>万博が幕を閉じてから、４月13日で半年が過ぎた。経済界を中心に熱を帯びているのが、万博の「レガシー」を、いかに経済の持続的成長へ結び付けていくかの議論だ。会場で示された最先端技術をどう実装していくか、国内外から押し寄せた人流を呼び込み続けられるか。課題は多い。文＝ジャーナリスト／小田切 隆（雑誌『<a rel="noreferrer noopener" href="https://keizaikai.co.jp/category/magazine" target="_blank">経済界</a>』2026年6月号より）</p><h2 id="-">展示の心筋細胞シートは薬事承認を得て医療現場へ</h2><p>　レガシーとは本来、故人が遺す「遺産」を意味するが、転じて「過去に築かれ、受け継がれていくもの」も指す。最近、万博のレガシーについて報じられるとき、大きく分けて次の２つの側面が注目されている。</p><p>　１つは、万博で披露された最先端技術の商用化の動きだ。</p><p>　パビリオンでは大阪大発ベンチャー「クオリプス」が開発した、人工多能性幹細胞（ｉＰＳ細胞）による「心筋細胞シート」が展示されたが、このシートは今年３月、重症心不全の治療用として、条件・期限付きながら薬事承認を勝ち取った。</p><p>  万博の目玉として技術が披露された「空飛ぶクルマ」も、日本航空と住友商事の共同出資会社が、２０２７年度以降の関西での運航開始を目指し、準備を進めている。</p><p>　「万博で登場した先端技術は、いずれもすでにあった技術の展示にすぎない」などと冷ややかな声もある。しかし、実用化し、社会になくてはならないものになれば、今回の万博は、文字通り「未来の先駆け」だったと評価されるだろう。</p><p>　また、レガシーは技術だけではない。来場者の思い出に刻まれる「ソフト」の継承も重要だ。</p><p>　その象徴が、公式キャラクター「ミャクミャク」といえる。</p><p>　日本国際博覧会協会（万博協会）は３月、ミャクミャクグッズの販売を28年３月まで２年間延長することを決めた。</p><p>　開幕前は「気持ち悪い」と酷評されたミャクミャクだが、いざ始まると爆発的な人気を博し、集客の強力な追い風となった。</p><p>　筆者も開幕直後、会場最寄りの夢洲駅から電車に乗り込み帰路につく若い女性たちが、ミャクミャクのぬいぐるみを抱えている姿を目にし、意外さに打たれた。</p><p>　人気は閉幕後も冷めやらず、昨年10月中旬、東京都内の万博公式ショップの前で、グッズを買い求める客の長い列ができているのを目撃した。</p><p>　今年３月時点で、ミャクミャクグッズの売り上げは約１３００億円に達したという。販売延長により、万博会場の熱気が次世代に受け継がれていくことが期待される。</p><p>　また、会場を彩った84のパビリオンも、３月下旬時点で20館以上の移築が決定している。</p><p>　パソナグループのアンモナイト型パビリオンは兵庫県・淡路島に移される。ルクセンブルク館の一部は大阪府交野市の子育て支援施設に使われる。万博の記憶は各地で語り継がれていく。</p><div class="media">  <img srcset="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/350/233/ADbUeTLJSUHGhSIVPYhOLLtnUbEUdLfL/13bfeddf-06be-44e5-85f1-38b093aab8cb.jpg 350w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/365/243/ADbUeTLJSUHGhSIVPYhOLLtnUbEUdLfL/13bfeddf-06be-44e5-85f1-38b093aab8cb.jpg 512w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/365/243/ADbUeTLJSUHGhSIVPYhOLLtnUbEUdLfL/13bfeddf-06be-44e5-85f1-38b093aab8cb.jpg 1024w,https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/365/243/ADbUeTLJSUHGhSIVPYhOLLtnUbEUdLfL/13bfeddf-06be-44e5-85f1-38b093aab8cb.jpg 2048w" src="https://prd-keizaikai-cdn.zuudev.com/365/243/ADbUeTLJSUHGhSIVPYhOLLtnUbEUdLfL/13bfeddf-06be-44e5-85f1-38b093aab8cb.jpg" width="365" height="243" loading="lazy" alt="万博"></div><h2 id="-">空飛ぶクルマによる移動革命の社会実装</h2><p>　しかし、これらは氷山の一角にすぎない。より広範なレガシーを社会に還元していくには、官民挙げての取り組みが不可欠となる。</p><p>　司令塔として期待されるのが、大阪府・市、関西経済界などが立ち上げた「未来創造会議」だ。</p><p>　「オール関西で万博のレガシーを構築する仕組みを作りたい」</p><p>　３月31日の大阪市内での初会合で、代表を務める松本正義・関西経済連合会会長は、こう述べた。</p><p>　支援の対象を「次世代モビリティー」「再生医療」「スタートアップ」「カーボンニュートラル」の４分野とし、８月までに支援方針を決める。最大約３７０億円が見込まれる万博運営の黒字（剰余金）を活用し、研究成果の掘り出しから産業化までサポートする。法人化も目指す。</p><p>　会議が決めたことは、政府の万博成果検証委員会の議論も踏まえている。２月27日に開かれた検証委の会合では、レガシーを継承し展開していくための基本方針を決定。①万博で創られた「つながり」の活用②万博を契機とした創造活動の深化・展開③夢洲の「場の記憶」の継承・展開――の３つを柱に据えた。</p><p>　関経連が特に注目している一つが、空飛ぶクルマによる「移動革命」だ。３月には経団連が独自に、万博のレガシーとして空飛ぶクルマの社会実装を加速させる将来ビジョンを発表した。</p><p>　具体的には、万博から10年後の35年、 空飛ぶクルマが日常的な移動手段として定着している姿を目指す。大阪ベイエリアを中心とした半径80キロ圏内で約１００機が運航し、京都、奈良、和歌山といった主要観光地や、山間部・離島を結んでいるという未来図だ。実現に向け、関経連は次の４領域での取り組みの方向性を示した。</p><p>　１つ目は、制度の整備と運用の適正化。離着陸場の整備基準や環境アセスメント、操縦士の資格要件など、実態に即したルールの早期策定を国に働きかける。</p><p>　２つ目は事業の安定と成長。30年までの低密度運航期の民間投資への支援や、関西国際空港、神戸空港の既存施設を最大限活用した効率的な運用を進める。</p><p>　３つ目は離着陸拠点の拡充。都市部で用地を確保するため、公共用地の提供や都市計画との連動を検討し、需要増に応じた空港設備の拡張も視野に入れる。</p><p>　そして４つ目は、高度な運航管理。ドローンや既存のヘリコプターなどと空域を共有し、安全で高密度な運航を可能にする運航管理技術の研究開発に貢献する。</p><p>　空飛ぶクルマによる「移動時間の圧倒的短縮」と「空からの景観」は、関西の広域観光圏としての魅力を大きく高めることになるだろう。</p><p>　もちろん、最先端技術の社会実装を実現するには課題もある。</p><p>　空飛ぶクルマに関する提言を例にとれば、制度の整備を国に働きかけていく上では、関西の経済界だけでなく、地元政治家や自治体トップが、政府や与党の国会議員らと太いパイプをつくり、粘り強く説得していかなければならない。　</p><p>　その観点では、大阪府と大阪市の行政を牛耳っている日本維新の会が現在、高市早苗政権と連立を組んでいるのは追い風だろう。もっとも、そうした状況がいつまで続くのかは予断を許さないが。</p><p>　また、少しずつ実装を進める上で、たとえば「死の谷（デスバレー）」を乗り切る上での支援策が必要だ。</p><p>　死の谷とは、新しい製品やサービスの開発後、本格的に普及し利益が出る状態に至る前に、資金が底を突いて事業が破綻してしまう空白期間のこと。</p><p>　空飛ぶクルマを例にとれば、仮に商用運航が始まったとしても、初めは機体数もルートも少ないため、莫大な開発費や運営費を回収できない。</p><p>　１００機あれば、１機当たりのコストが下がる「規模の経済」が機能するが、数機しか飛んでいない段階では、維持費ばかりがかさむために赤字になりやすい「危険な時期」となる。</p><p>　このような初期段階では、民間企業だけでリスクを背負いきれない。国や自治体による補助金を呼び水にし、「それなら投資しよう」という企業の背中を押して事業を軌道に乗せる「最初の勢い」を作る必要がある。</p><p>　インフラ整備も、離着陸場や充電設備の整備には多額の費用がかかるため、公的支援により民間の負担をどこまで軽くできるかがカギとなる。</p><p>　さらに忘れてはならないのは、目立たないながらも万博を支えた無数の中小企業に対する視点だ。</p><p>　万博で中小企業は自社技術をパビリオンで展示しお披露目するだけでなく、「ある海外パビリオンのエレベーターの部品の一部の製造を請け負った」（大阪のメーカー）など、さまざまな関わり方をした。</p><p>　しかし、「万博をきっかけに新しいビジネスが広がったかというと、そんなことはなかった。『参加だけでも意義があった』。それが私たちの総括だ」（別の関西の中小メーカー幹部）。</p><p>　日本経済の屋台骨である中小企業がせっかくつくったビジネスの機会を広げ、将来へつなげていくことも一種のレガシーだ。そのために何ができるか、政府や自治体は支援の在り方に知恵を絞るべきだろう。</p><h2 id="-">１９７０年万博の轍を踏まないために</h2><p>　このほか浮き彫りになっているのは、観光面での課題だ。</p><p>　「万博期間中には１泊数万円だったホテルの宿泊費が、今では５千〜６千円程度にまで落ちていて驚いた」</p><p>　こう語るのは、今年２月に東京から大阪へ出張に出かけた会社員の男性だ。確かに、宿泊予約サイトを見てみると、大阪の繁華街・ミナミのホテルの宿泊料金は、大人１人当たり１泊５千円台から７千円台のものも少なくない。価格が跳ね上がり、予約も取りづらかった万博期間中とは大違いだ。</p><p>　それだけ宿泊需要が冷え込んでいるということで、前出の関西の中小メーカー幹部は「万博という巨大な特需が消え、高市首相の台湾有事発言などで中国からのインバウンドが激減したことが追い打ちをかけた」と分析する。</p><p>　昨年４〜10月の開幕期間中の万博への来場者数は約２５５８万人に達した。政府の試算によると、経済波及効果は、来場者による消費や建設投資、イベントの効果などを合わせ約３・６兆円という。</p><p>　30年に万博会場と同じ人工島・夢洲（大阪市此花区）で予定される、カジノを含む統合型リゾート施設（ＩＲ）の開業までは、万博に匹敵するようなビッグイベントが大阪では開催されない。その「エアポケット」をどう埋め、持続的な経済成長につなげるのか、取り組みを考え出すことが急務だ。</p><p>　振り返ると、半世紀前の１９７０年大阪万博は、約６４００万人の来場客を集め大成功を収めたが、閉幕後、むしろ関西経済は成長が鈍化し、国内総生産（ＧＤＰ）に占める割合が低下するなど、「地盤沈下」の一途をたどった。オイルショックなどに加え、万博をその後の経済成長につなげる視点がなかったことが原因との指摘もある。</p><p>　これからの関西も、国内外から人を呼び込む観光コンテンツの展開とともに、万博で紹介された最先端技術をいち早く実装し、投資を呼び込んでいくことが重要だ。</p><p>　万博を一過性の「お祭り騒ぎ」に終わらせるのか、それとも、日本経済の改革の起点とするのか。関西、そして日本の持続的な成長を実現する上で、「ポスト万博」の今がまさに正念場だ。　</p>]]></content:encoded>
      <category><![CDATA[企業・業界動向]]></category>
      <dc:creator><![CDATA[経済界編集部]]></dc:creator>
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      <pubDate>Mon, 11 May 2026 05:00:00 +0900</pubDate>
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