経営者コミュニティ「経済界倶楽部」

経営者が銀行融資を成功させるための日頃の行動

銀行交渉術の裏ワザ

規模の大きい会社ほど銀行が融資しやすい理由

 私は銀行員時代、3つの支店で働きました。1つ目のA支店は、名古屋市の外れにある住宅街に位置し、融資先は年商3千万円から10億円の中小・零細企業でした。

 2つ目のB支店は名古屋駅前の店舗で、融資先の年商は3億円から100億円規模。そして最後に勤めた大阪支店では、上場企業、および年商20億円以上の中堅・大企業が融資先でした。この経験を通じて私が実感したのは、「規模の大きい会社ほど融資がしやすい」ということです。

 理由は、企業規模が大きくなると貸倒れの可能性が低くなるからではありません。規模の大きな会社のほうが、普段からの銀行とのつきあいがしっかりしていて、融資審査もスムーズに行えたからです。

 ならば、銀行に「融資がしやすい」と思わせるには、普段からどういった行動をとればよいのでしょうか。以下、その要点を示します。

銀行融資を成功させる行動とは

定期的な事業報告

 銀行の信頼を得る上で有効なのは、彼らに対する事業報告を自主的に行うことです。四半期(3カ月)に1回のサイクルで、収支の試算表などに基づく事業報告を行うといいでしょう。年1回の通期決算の内容しか報告しないのと、四半期ごとに事業の途中経過をこまめに報告するのとでは、銀行に与える安心感が大きく違ってきます。

 また、定期的な事業報告により、銀行側は次の融資に向けた事前準備を整えることが可能となり、結果、のちの融資審査もスムーズに行えるようになります。加えて、融資先の今後の展開も予測しやすくなるため、銀行側から融資の提案を行ったり、不測の事態に備えたりすることができるようになるのです。

経営計画書の提出

 融資の返済は、企業の将来利益で行われます。ですから、銀行にとって、融資先の経営サイドが何を考え、将来利益をどう作ろうとしているのか、そして、資金繰りの計画をどう立てているのかは非常に重要なポイントとなります。

 そこで必要とされるのが、利益創出や資金繰りの方針・計画を明確に示した経営計画書を銀行に提出することです。また、経営計画を明らかにすることで、将来融資への安心感を銀行に与えることができますし、計画書の中に資金調達のプランも盛り込んでおけば、銀行サイドは融資審査の準備を事前に進めておくことができるのです。

 なお、前号でも触れましたが、銀行では稟議書によって融資審査を行います。その稟議書には、融資の安全性・妥当性をアピールする資料の添付が不可欠ですが、経営計画書は、そうした資料の筆頭とも言えるものです。

積極的な情報開示

 前号でも述べたとおり、融資申請の稟議書を書くのは、融資の申し込みを受け付ける営業職(営業係)の銀行員です。融資件数の多い少ないで評価が決まる彼らは、基本的に、自分の担当する企業に融資をしたいと望んでおり、支店長や本部などの決裁者を納得させられる稟議書作りに力を注ぎます。ゆえに、説得力の高いデータ・資料を集めたいと常に考えています。

 そんな彼らにとって、自社のデータ/資料の提供に積極的な企業は非常にありがたい存在です。その逆に、情報開示に消極的な企業を彼らは嫌いますし、信用を置きません。ですから、銀行に対する自社情報の開示に消極的になるのは得策ではありません。たとえ、マイナスの情報であっても、それをどう克服するかを説明できるなら、情報を隠し続けるよりもはるかに大きな信用を銀行から得ることができるのです。

決算報告でのひと工夫

 言うまでもなく、上場企業や大企業は、銀行に対して決算報告を行います。このとき、決算内容が悪くても、その原因と具体的な打開策を提示することで、銀行は安心して、のちの融資審査を行うことができるようになります。

 また、決算報告の場に、取引銀行支店の支店長が出てくるならば、あなたの会社をアピールする絶好の機会です。自社の将来性や経営計画を持って説明し、信頼・信用を勝ち取る努力を払うべきです。

社長が前面に立つ

 銀行からの融資を大切にする会社は、ここぞという時は常に社長が前面に出てくるものです。

 経営トップである社長の説明は、ほかの誰の説明よりも説得力がありますし、銀行サイドにとっても納得がしやすく、受け入れやすいものです。とりわけ、経営計画書については、策定・遂行の責任者である社長が、内容と熱意を直接伝えるのがベストと言えるでしょう。

 銀行も、ここぞという時は、社長からの直接説明を聞きたいと望んでいるのです。

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