経営者コミュニティ「経済界倶楽部」

老舗の手掛けるブランディグ戦略が海外でも高評価--丸山邦治(丸山海苔店社長)

丸山邦治氏

文化の海外発信を担う「寿月堂」

 そんな同社が次代の成長エンジンとして据えているのが「寿月堂」ブランドで販売している日本茶だ。これは約30年前、丸山氏が社長に就任後、本格展開した分野だが、海苔同様、その品質の高さからファン層は拡大している。また、「寿月堂」のお茶は、国内は当然、何よりも海外に向けた日本文化の発信商材としての重要な側面も持っている。

 2008年にパリのサンジェルマンデュプレの1等地にオープンした「寿月堂パリ店」は、地下に茶室を完備するなど、日本文化の発信地としてファション誌の『FIGARO』や『ELLE』や、ニューヨークタイムズ等、メディアにも盛んに登場し、大いに話題となった。

 「パリ店は千利休の提唱した〝茶道と禅道は一味〟という言葉をコンセプトにしています。設計をお願いした隈研吾氏には、この茶道と禅道を一体化した〝茶禅〟実践の場という考えを基本に設計してもらいました」(同)

 同店の評判は、ジョルジュサンク、リッツカールトン、マンダリンといった超一流ホテルやヨーロッパ最大の老舗デパート「ギャラリーラファイエット」を動かし、商品として採用されている。

 さらに国内でも、昨年竣工した新歌舞伎座タワー5階の設計を担当した隈研吾氏に再び依頼「寿月堂 銀座 歌舞伎座店」としてオープンさせるなど〝寿月堂ブランド〟の浸透に注力している。

 それら努力は、公的機関ともいえる日本政策金融公庫の「〝中小企業の海外販路開拓とブランド構築〟に成功している15社」に選出されるなど着実に実を結んでいる。

 「日本の文化外交は遅れているといわれています。文化とは商品を輸出するだけでは駄目で〝場〟を設けることが重要なのです。単に輸出するだけでは本当の文化外交とは言えません。そういう意味で、パリ店はわれわれの文化発信の橋頭保とも言える店舗でもあるのです。顧客の9割は現地の方々で、われわれの狙いは確実に成果を上げていると自負しています」(同)

 丸山海苔店の今後のブランディング戦略の行方を興味深く見守りたい。

(文=本誌・大和賢治 写真=西畑孝則)

 
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