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衆参のねじれ解消は 本当に必要か?

視点

 地方自治体では執行権者の首長は落ち着いて執行できるように、4年間の任期が与えられ、果断に執行できるように1人だけが選ばれる独任制がとられている。

 独任制は独裁をもたらす危険性を内包することから、執行部内に独立行政委員会を設け、首長の権限と一線を画す多元主義がとられている。教育委員会や、選挙管理委員会などがそれである。

 さらに、執行を監視する機能として議会を設置し、こちらは民意の反映を重視して多数の合議で決定する制度を取り入れ、執行権と議決権の二元代表制がとられることで民主政治を担保している。

 しかし制度としてはあるが、長い年月の間に初期の目的から逸脱して機能不全を起こしているところが随所に見られる。地方分権時代を迎え、真に自治の体制を確立させるために、機能しなくなった既存の体制の抜本的な見直しは避けて通れないところにきている。

 国政も首相が1年交代するとか、衆参のねじれ現象による決められない国会など、本来の目的から逸脱して機能しなくなった制度を根本から見直さなければいけない時にきているのだ。

 筆者は成熟した民主政治を推進するには二院制は必要であると考えているが、現在実施されている参院選は低投票率が心配され、参院不要論まで囁かれている。

 多数決で決める民主政治は、時の勢いや反動等に左右されやすいポピュリズムの性質を持っている。政党政治を基盤として、多数決が支配する権力の府である衆院の欠点を補う良識の府として、あるいは権威の府として参院は設置された。

 だが、現在は衆院のカーボンコピーと揶揄されるように、衆院と同じような権力闘争の場になっている。同じ角度から衆参で同じことを2回も審議することはスピードが要求される今日無駄であり、ねじれの解消が叫ばれても仕方がない。

 しかし複雑な社会には、多数決だけで決定することが難しいことはいくらでもある。

 法律は明確に中央集権から地方分権の統治形態に変わったが、制度や意識が変わらず現在もどちらつかずの曖昧な状態で推移している。衆参の定数是正も、参院が衆院に先駆けて司法に違憲と指摘されることのない堂々の改正を実施して、国権の最高機関としての権威を取り戻してほしいものだ。

 解散がなく、6年間の任期が保証されている参院こそ、これらの課題に党派を超えて国民を巻き込んで真正面から取り組んでもらいたい。そうすれば低投票率の心配や不要論もなくなりねじれの批判もなくなる。今回の参院選が国権の最高機関である国会の権威を、参院から高めていく契機になることを願っている。

〈本コラムは7/21の参院選前に執筆されたものです〉

 

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