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エボラ出血熱と情報セキュリティー

テクノロジー潮流

「エボラ出血熱と情報セキュリティー」とは、不思議なタイトルだと思われる方も多いかもしれない。謎かけでは、「どちらもウィルスが問題です」ということになるのかもしれないが、そう呑気な話ではない。この2つの事象の共通点から社会の脅威を考えてみたい。「ウィルスによるパンデミックと情報セキュリティーの問題」は、全く別種の脅威であるが、こちらが強力な防御手段を用意すればするほど、さらに強力になって社会を襲ってくるという共通点がある。

 エボラ出血熱が西アフリカで猛威を振るっており、世界への拡散も心配されている。エボラ出血熱への対応に関しては、いまだワクチンが準備されていないという差し迫った問題があるが、さらにウィルスによる感染症は、ワクチンを開発してもいずれそのワクチンに対する耐性を持ち新たな脅威を生み出すという厄介な問題がある。さらに、特定のウィルスを封じ込めても、人間と他の動物との棲み分けがなくなり人間の生活圏が広がってくると、ウィルスの宿主も動物から人間に代わり、新たなウィルスが人間の社会に登場してくる。

 この、人間の生活圏の拡大、生活様式の変化という豊かさの追求が脅威を生み出すという構造は、情報リスクも同じである。そして、この情報リスク、特に情報セキュリティーの問題は、人間の意思や悪意が関係してくるので、さらに克服が厄介になる問題でもある。

 情報を守る仕組みは、どんなに高度に複雑にしてみても、工学技術によって作られたシステムには、必ずそのシステムをコントロールする仕組みが存在するため、その仕組みを破壊したり悪用したりすることを防ぎきることはできない。

 地震のような自然災害は、こちらの防御体制とは関係なく発生する。しかし、情報システムに関する攻撃は、こちらが準備した対応策の弱点を突いてくる。守りを固めるためにさまざまな仕組みを構築すると、大変使い勝手の悪い情報システムになってしまうというジレンマがある。

 巨大な脅威は、大丈夫だと安心しているところに潜在している場合もある。守り手は、この脅威が顕在化する前に、いかに先手をとって守る体制を構築できるかが問われている。この競争は、人間の理性と欲望との競争でもある。

 
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